●絶食療法の由来
絶食療法は50年以上前から行われており、歴史は意外と古い。最初に近代的な治療に適用したのは内務省栄養研究所の高比良英雄氏といわれているが、療法として深化させたのは心療内科医である鈴木仁一氏らのようだ。鈴木仁一氏ら東北大学の研究グループが確立した手法が現在でも絶食療法のメインとなっているために「東北大学方式」ともよばれている。
●具体的な方法
絶食療法は心身に大きな負担がかかるために誰でも気軽に行えるわけではない。まずは、実施を予定しているクライアントの体調、本人の意志、絶食に伴うリスクをチェックして実施可能なクライアントに対してのみ行われる。具体的には10日間の絶食期と5日間の復食期が設定されている。絶食期には約1000mlの水分補給しかできないうえに(必要に応じて水分はさらに摂れる)個室に隔離されて一切の娯楽や面会を禁止される。このように孤独な10日間を過ごしたあとは、おもゆやおかゆなどの食事をとれる5日間ほどの復食期を経て終了となる。
●絶食療法の適用症
絶食療法の適用症としては過敏性腸症候群、不定愁訴症候群、慢性胃炎などの心身症、うつ病、不安障害に有効とされている。他にも肥満や軽糖尿病も適用範囲内のようだ。
●絶食療法が心身症やうつ病、不安障害に効くメカニズム
絶食療法が上記の症状に効くメカニズムは完全に解明されてはいないが、(1)絶食という心身に強い負荷を加えることで、神経や内分泌系、免疫機能が再調整されて心身ともに健康になる。(2)娯楽を取り上げられた個室で絶食という極限状態を経験することにより、普段よりも深く自分自身と向き合い、新たな「気づき」を得られることで精神的な症状が改善する。(3)絶食を乗り越えることで達成感や自分自身に対する信頼感が増すことによってメンタルタフネスを手に入れることができる。という3点が有力な仮説として考えられている。
絶食療法は文字通り絶食を用いた療法なので、単独での安易な実施は控えるべきだ。それでも、「最近心身共に調子が悪い」「メタボで身体も重いし、心も重い」と感じている人は医師立会いのもとで絶食療法を体験してみるのはいかがだろう?
photo by Ansel Edwards Photography
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※この記事はガジェ通ウェブライターの「浅川 クラゲ」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?
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