わずか50年で消えた古九谷は隠れキリシタンによる暗号だった。日本版ダ・ヴィンチ・コード!

今回は恵美嘉樹さんのブログ『歴史ニュースウォーカー』からご寄稿いただきました。

※すべての画像が表示されない場合は、http://getnews.jp/archives/345181をごらんください。

※この記事は2013年5月15日に書かれたものです。

■わずか50年で消えた古九谷は隠れキリシタンによる暗号だった。日本版ダ・ヴィンチ・コード!
わずか50年で消えた古九谷は隠れキリシタンによる暗号だった。日本版ダ・ヴィンチ・コード!
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九谷焼というのは、なんだか派手な色をした陶磁器です。東洋風とも西洋風とも、とりあえずワビサビな世界とは一線を画しています。

九州の伊万里焼(有田焼)に似ています。似ているどころか伊万里焼が九谷のオリジンというのが有力説です。

伊万里焼は、秀吉が朝鮮出兵で、むこうの陶工を連れてきたのが始まりなので、戦国時代末の16世紀後半からスタートです。

江戸時代の17世紀の後半(1655年ごろ)になって加賀藩(石川県、厳密には加賀藩支藩の大聖寺藩)に突如あらわれたのが、伊万里焼っぽいテイストを持つ「古九谷」でした。両方とも「いい仕事していますね~」。

この古九谷はなぜか50年ほどでこの世から消えてしまいます。その後、復活するまで100年以上の断絶があるのです。

(古九谷を造った人たちと、九谷焼をつくる人たちの間には、人的に技術の継承がないということ。デザインは古九谷を踏襲しています)

芸術品として当時も高い評価をえた古九谷ですが、なんでわずか50年で消えてしまったのでしょうか。

石川県の子供向けの解説HPによりますと、

山中町九谷で始まった古九谷(こくたに)は、わずか50年あまりで歴史の表舞台(おもてぶたい)から、ぷつりと姿を消しています。どうして古九谷(こくたに)は突然、消えてしまったのでしょうか。そこには三つの説があります。

 1. 原料の陶石(とうせき)がなくなった。

 2. 大聖寺藩(だいしょうじはん)の財政が苦しくなった。

 3. 江戸幕府のかんしょう。

しかし、いずれの説も確かな証拠(しょうこ)がなく、古九谷はいまだに不明な点が多い「謎の焼き物」です。

「■コラム『古九谷の謎』(1)」 『石川新情報書府サイト』

http://shofu.pref.ishikawa.jp/shofu/kodomo/kutani/whats-kutani-03.html

と~っても分かりやすく説明してくれます。

ところが、3つの説ともに決め手にかけます。

1)は、江戸時代ですから原料は全国各地から入手できますし、100年後に復活したときにはちゃんと材料はあったわけですし。

2)は、親の加賀藩は百万石で、文化で徳川に勝とうとやっきになっていた時です。大聖寺藩もいい港をもっていて北前船の拠点でした。なにより、磁器はめちゃくちゃ高付加価値商品で、もうかる。

3)は、「おうおう、いいもん作ってるじゃねぇか! 作るのやめないとつぶすぞ!」ってことでしょうか。それより、どんどんいいものを幕府に献上させたほうがいいと思います。

で、これらの諸説を覆す最新の古九谷バズーカーが放たれました。

なんと隠れキリシタンが作ったというものです。石川県立美術館の学芸員さんの説です。きのう(2013年5月15日)の読売新聞への寄稿です。

「隠れキリシタンが古九谷に託した信仰」 2013年05月15日 『読売新聞』

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/ishikawa/feature/kanazawa1368584408857_02/news/20130515-OYT8T00538.htm

たしかに、なぜ加賀藩に突然(1655年ごろ)、九州の職人がやってきたのかというのも謎ですが、島原の乱(1637年)とかでキリスト教徒排斥のころなので、とりあえず九州からは追い出されたというのはアリでしょう。

なにしろ、加賀藩はキリシタン大名の高山右近もこの頃(1613年まで金沢在住)、お預かりしていましたし。

とにもかくにも、加賀藩のもとで、その技術を発揮して、古九谷をつくっていったわけです。

ところが、その作品には、暗号としてキリスト教のイコンが込められていた、と。

大弾圧のあとだけに、イコンだけでなく、「遺恨」も込められたのかもしれません。(これが言いたかったw)

ほかの古九谷はどうなんでしょう?暗号見つかるかな?(いずれも石川県のHP石川新情報書府*1より)

*1:「古九谷」 『石川新情報書府』
http://shofu.pref.ishikawa.jp/shofu/kutani/kutani_j/tenji/ko/sf301.htm

色絵鶴かるた文平鉢
わずか50年で消えた古九谷は隠れキリシタンによる暗号だった。日本版ダ・ヴィンチ・コード!
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「色絵鶴かるた文平鉢」 『石川新情報書府』

http://shofu.pref.ishikawa.jp/shofu/kutani/kutani_j/tenji/ko/sf3150.htm

ああ、これは45度回転させたら完全に十字架ありますね!

色絵宝尽鷺文平鉢
わずか50年で消えた古九谷は隠れキリシタンによる暗号だった。日本版ダ・ヴィンチ・コード!
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http://getnews.jp/img/archives/2013/05/50_3.jpg

「色絵宝尽鷺文平鉢」 『石川新情報書府』

http://shofu.pref.ishikawa.jp/shofu/kutani/kutani_j/tenji/ko/sf319.htm

こっちも45度回転で、もっと立派な十字架あるある!

楽しくなってきました!

色絵布袋図平鉢
わずか50年で消えた古九谷は隠れキリシタンによる暗号だった。日本版ダ・ヴィンチ・コード!
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「色絵布袋図平鉢」 『石川新情報書府』

http://shofu.pref.ishikawa.jp/shofu/kutani/kutani_j/tenji/ko/sf3200.htm

おっ!布袋の持っている枝に不自然な十字がっ!どうですか奥さん!

色絵鳳凰図平鉢
わずか50年で消えた古九谷は隠れキリシタンによる暗号だった。日本版ダ・ヴィンチ・コード!
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http://getnews.jp/img/archives/2013/05/50_5.jpg

「色絵鳳凰図平鉢」 『石川新情報書府』

http://shofu.pref.ishikawa.jp/shofu/kutani/kutani_j/tenji/ko/sf3220.htm

うーん鳥の足が交差しているところを十字架と見れば・・・ムリか。。。。

そして、きたーーーーーーー!!!!

色絵四葉座十文字平鉢
わずか50年で消えた古九谷は隠れキリシタンによる暗号だった。日本版ダ・ヴィンチ・コード!
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http://getnews.jp/img/archives/2013/05/50_6.jpg

「色絵四葉座十文字平鉢」 『石川新情報書府』

http://shofu.pref.ishikawa.jp/shofu/kutani/kutani_j/tenji/ko/sf325.htm

もろバレーーーーーーーーーー!!!!!

磔!!!!!!

こうして50年も作っていたら、「暗号」はバレる。

「古九谷の村~解散~」となったのかなぁ?

まあ、文書の史料ではぜったいに「隠れキリシタン=古九谷説」を証明するものはでないでしょうから、定説にはなりえないですが、ダビンチコードっぽくて面白いですね。

いや~いい仕事してますね。

「ダ・ヴィンチ・コード(上) (角川文庫)」 ダン・ブラウン(著), 越前 敏弥(翻訳) 『amazon』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/asin/4042955037/

「古九谷論争の最期―神の手の贈物 伊万里説 (時鐘舎新書) [新書]」 二羽喜昭(著) 『amazon』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/asin/483301758X/

執筆: この記事は恵美嘉樹さんのブログ『歴史ニュースウォーカー』からご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2013年05月22日時点のものです。

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