今回はメカAGさんのブログ『疑似科学ニュース』からご寄稿いただきました。
■続々々・日本の若者は恵まれていない?
資料を見ていて不思議に思ったのは、日本の子供の貧困率がワースト9位という点はわりとあちこちの日本のサイトに書いてあるのだけど、OECDの平均はいくつなのか?という点。
すでに述べたように貧困率というのはその国の中の格差であって、国をまたがって比較してもあまり意味がない。単にその国の格差が大きいか小さいかを示しているだけで、絶対的な水準ではない。
ただ格差の大小を比較することはまったく意味がないわけではないから、以下その方向で述べる。
* * *
「Measuring child poverty(PDFデータ)」 『UNICEF Innocenti Research Centre Report Card 10』
http://www.unicef.or.jp/library/pdf/labo_rc10.pdf
の7ページ目にこんな文章がある。
By this standard, more than 15% of the 200 million children in the 35 countries listed in Figure 1b are seen to be living in relative poverty.
35ヶ国の2億人の15%以上が相対貧困であると。15%といったらだいたい日本と同じだ。ようするにOECDの平均が15%ということではなかろうか?
* * *
順位が違うから別なデータなのだろうけれど、
「子供の貧困率 Child-poverty rate」 2009年09月07日 『投資を楽しむ♪』
http://www.pixy10.org/archives/630938.html
では日本の貧困率が14%ぐらいで、OECD 30ヶ国の平均が13%ぐらいになっている。アイルランドがワーストの上位に来ているから、おそらく再配分前の貧困率だろう。
* * *
そもそもみんな日本の再配分による貧困率の是正が働いていないと批判しているけれど、それって悪いことなのだろうか?政府による介入なしのありのままの貧困率が日本は低いとも言える。
「Measuring child poverty(PDFデータ)」 『UNICEF Innocenti Research Centre Report Card 10』
http://www.unicef.or.jp/library/pdf/labo_rc10.pdf
の18ページ目に再配分前後の数値が載っている。日本は再配分の前も後も15%ぐらいだ。アメリカは同様に25%ぐらい。格差の少ない国は、逆に再配分前の格差は大きい国が多い。いくつかピックアップすると
アイルランド 41%→8%
イギリス 33%→10%
フランス 29%→8%
ドイツ 17%→8%
スイス 9%→8%
フィンランド 15%→5%
イタリア 15%→15%
アメリカ 25%→23%
日本 15%→14%
ある程度経済規模の大きい国の中で再配分前の格差は、日本は小さい方な気がする。再配分しなくても格差がそれほど大きくないって、幸せなことだと思うんだけどね。
執筆: この記事はメカAGさんのブログ『疑似科学ニュース』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2013年05月27日時点のものです。
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