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中華padがメディアでタブーな理由(ワケ)
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中華padがメディアでタブーな理由(ワケ)

2013-01-10 11:03
    中華padがメディアでタブーな理由(ワケ)

    この記事は『久田将義責任編集 ニコ生ナックルズマガジン』の藤木TDCさんの記事からご寄稿いただきました。

    『久田将義責任編集 ニコ生ナックルズマガジン』

    ■中華padがメディアでタブーな理由(ワケ)
     今でこそ原稿程度はデータでやりとりしてるけど、筆者は00年代になるまで紙にシャーペンで原稿を書いていたアナログ&アナクロな人間で、携帯電話は今でも二つ折りのガラケー、外にPCはほとんど持ち出すこともあまりない。比較的持ち出すデジタル製品というと取材で使うICレコーダーぐらい?とまあスマホとかiPadとかにはまったく興味示してなかったが、近年、自分でも驚くぐらい猛烈に興味をそそられているのが中国製のノンブランドタブレットPC、いわゆる「中華Pad」という商品だ。

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     かつてアップルのiPadが登場した頃、そのマネをしてオリジナルOSで組み上げられた中華padは腹かかえて笑えるトンデモ中国土産でしかなかったが、GoogoleがAndroidをオープンソースで公開して以降システムが安定、けっこう使えるタブレットとして国内のB級ガジェットマニアの間で注目されてきた。筆者も最近、その怪しさ満点の魅力にとりつかれ、秋以降2台のPadを購入してしまった。最大の魅力は価格の安さで、iPad miniが28800円~、AmazonのKindle Fireが12800円なんていう時代に、中華padは最安値で6000円台からあり、筆者は最安値帯である7000円程度のシングルコア製品をすでに2台購入した。1台は深◯にある普耐尓(Ployer)電子のmomo9加強版という7インチ、もう1台は広州の佳的美(Gadmei)社のE6という6インチのタブレットPCだ。普耐尓も佳的美もまったく無名の会社だが、中国語でいう平板電脳(略して平板とも)を安価で製造して世界に輸出している。ブランドメーカーじゃないので、日本の中華Pad販売店はメーカー名を出していないし、momo9なんてどういうルートで仕入れたものか、メーカーロゴのない実に怪しいバージョンだ(企業名を印字してノベルティ化するためか?)。シングルコアなのでADが重たいホームページや動画などは閲覧に若干ストレスを感じるが、メールのやりとりやtwitterを覗く分には何の問題もない。そもそも自分はメール見るぐらいしかモバイルPC使わないし、この程度のロースペックで充分だ(とはいえ市場では中華もデュアルコア主流のようで、安いシングルコアは売れなくなってる模様)。ネットへのアクセスはデータ通信が使えずWiFiのみの(実は有線LANも使えるという驚くべき機能が…)だが、筆者の行動範囲からいって駅前のカフェの公衆WiFiとかで使えりゃ間に合う。高い金払ってデータ通信に加入するのはそもそも中華Padの理念とマッチしないのだ。

     この手のノンブランドPadが魅力的なのは値段が安いので一般人が開発したカスタムファームウェアをインストール(ROM焼き)してシステム改造できることにある。PCといえば我らオッサンにはブラックボックス性の高い製品だが、親切な方々が無償公開するブログに導かれておそるおそるROM焼きをしてどうにかうまくいくと、ああPCちゅうても所詮「モノ」なんだなあと勝ち誇った気分になる。年だねえ。でも7000円ぐらいだからブッ壊れても惜しくないし、筆者のようなモサーッとしたオッサンが汚いカバンからPadを取り出すと若い編集者なんかが「エッ、pad使ってんですか?」とか驚くのが痛快。まあ実はiPadだって中国で組み立てられてるからある種の中華Padといえるわけだ。高価でブランド力の強いアップル製品はベンツみたいなもので、出回り始めた安価な中華padはさしずめ70年代の国際市場における日本車みたいなものだろう。貧乏人がベンツに乗るのも分不相応なので、別に笑われても中華でいいんです。でもこのまま中華で5000円台のPadが出たりしたら、世界制覇できるんじゃなかろうか。いま中華Pad持ってる人間は、その先駆者なんですよ。

     ただ、その怪しさの根源であり、メディアがおおっぴらに情報掲載しないのは、日本において中華padは電波法に抵触するグレーゾーン商品だからだ。というのも電波法においてWiFiやBluetoothなどは小電力無線局に該当するとされ、基本的に使用するのに無線免許がいるが、小電力ということでメーカー届け出による技適マーク(技術基準適合証明マーク)が躯体もしくは画面のどこかについていないと電波法第4条により不法無線局とされ、同110条で一年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処されることになる。ということで建前上、中華Pad販売店は無線LAN使用に全く関知してないことになっているし、メディアも「これはすごい、安い、使える!」と煽ると幇助になる可能性が高くスルー状態だ。メディアの放置がアングラ商品の雰囲気をますます強くする。

     ところで電波法第4条の適用をを徹底すると、海外から旅行やビジネスで来日した人々が技適マークのないPCでWiFiを使うことも取り締まらねばならないことになる。発売初期、日本版がまだ出なかった頃の輸入盤iPadなんかはこの違法性に抵触する商品だった。

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     しかし無線LANやBluetoothがそんなに世の中に迷惑かけてるか? ちょっと前に関東通信局に電凸して「無線LANが電波障害を起した実績はあるか?」と聞いたら、担当者様は毅然として「混信障害はある」とおっしゃられたが、そんなこといっても今までPC使ってって無線LANやBluetoothの混信でトラブったことなんかないぞ。そうした意味でWiFiやBluetoothの電波法規定は時代にそぐわない前世の遺産であり早い改正を望みたいが、これを維持するのは日本の携帯・PCメーカーの意思でもあるんだろうなあとも思う。なにせ中華Padのに対する法的防波堤がなくなったら、中華がどんどん流入して高い国内メーカーのPadは誰も買わなくなるだろうからね。また中国製品だから総務省や経産省も突っぱねられるけど、アメリカ製Padで同じ状況だったら完全に市場の構造障壁として叩かれまくるはずである。このようにいろいろグレーゾーンを抱えながらも中華Padはじわじわ使用者が増えていると思われる。なんでもかんでも法規制する近年の政府・自治体の風潮からいって、売れてくると注意喚起して販売店締めつけなんてこともあると思うので、気になる方は早めに、しかも円高のうちにゲットしておくのが良いかと。ちなみにデュアルコアで、クリスタルなんとかというAVメーカーみたいな名前がついてるのが評判いいみたいよ。でもWiFiの使用はダメ、ゼッタイ!(藤木TDC)

    藤木TDC (フリーライター)

    1962年生まれ。フリーライター。映画やアダルトビデオの評論から、芸能史、味わい深い酒場探訪、横丁・小路の歴史探索まで、雑誌を中心に執筆。著書に『場末の酒場、ひとり飲み』(ちくま新書)、『アダルトビデオ革命史』(幻冬社新書)、『続東京裏路地懐食紀行』(共著、ミリオン出版)、『アダルトメディア・ランダムノート』(ミリオン出版)、『昭和幻景』(写真・イシワタフミアキ、ミリオン出版)等。

    執筆: この記事は『久田将義責任編集 ニコ生ナックルズマガジン』からご寄稿いただきました。

    久田将義責任編集 ニコ生ナックルズマガジン

    http://ch.nicovideo.jp/article/ar26077

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