今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。
■アニメ産業とソフトウェア産業
「なぜ、ジブリの後継者は宮崎吾朗になれたのか?」 2013年07月28日 『とある青二才の斜方前進』
http://tm2501.hatenablog.com/entry/2013/07/28/195555
このブログを読んでいて、アニメ産業って1980年代の日本のソフトウェア産業に似ているなと思った。PC-8801が全盛の頃ぐらいだろうか。小さなソフトハウス(ソフトメーカー)が乱立し、百花繚乱のように多種多様なソフトウェアが生み出されていた。
これ、ジブリに限った話じゃないんだけど、アニメ製作会社の多くは企業というよりは「活動団体」なんだ。「持続的に利益を上げ、社員をやしなう」のが多くの業界での企業の目的だけど、アニメの場合は利益を上げるのは個人技であり、その個人技を活用したチームというスタンドアローンな関係になってる。
これなんか初期のソフトハウスそのものだ。開発するのはプログラマ個人であり、ソフトハウスというのは彼らが同居している場でしかなかった。開発は個人でできるが、パケージを作ったり販売するには会社が必要だから、会社が存在するわけだ。もちろん仲間内でコードやテクニックを共有するという利点もある。キャラクターのドット絵を書いたりする作業も共有できる。
徐々にグループで開発するようになって言ったけれど。ドラクエなどはその走りではなかろうか。
* * *
アニメに限らず、保障が手薄い業界・手に職付ける業界に広く言えることだけど、業界人は会社という場所に期待してない。初めに入ったところだけは技術を身につけるためにとどまることがあっても、そのあとは不遇なら出て行く。多少の愛着はあるだろうけど、手に職がある人同士の業界だと「出ていけるぐらいの人」「独立した人から誘いを受ける」ぐらいでないと、その人の仕事なんか成り立たない。
これも個人が主体だから、会社を移る人間も普通にいたように思う。いまなら機密漏洩だとか神経質になるけれど、当時は技術を持っているのはあくまでプログラマ個人だったから、あまりそういうことも問題にならなかったのではなかろうか。結局その人が作った製品はその人がいないと作れない。
そもそも1985年に著作権法が改正されるまで、プログラムに対して著作権がおよぶかはグレーだったし。
ある意味牧歌的時代。開発するソフトウェアの規模が、そもそも個人が作れる程度だったこともある。大勢の開発者と金と時間をかけて開発したソフトウェアだったら、そうおおらかではいられないだろう。
* * *
アニメの制作現場はよく知らないが、上記を読んでて、むかしのソフトウェア開発を思い出した。で、アニメってアメリカとかよりも日本が栄えているよね。一方日本のソフトウェア産業は壊滅してしまった(最近のスマホアプリとかはまたどうなるかわからないけど)。
日本でだけ元気なアニメ産業、そして日本でもかつて元気だったソフトウェア産業、その製作形態が似ているというのは興味深いところだ。
執筆:この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2013年08月01日時点のものです。
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