今回は竹内 健さんのブログ『竹内研究室の日記』からご寄稿いただきました。
※この記事は2013年10月05日に書かれたものです。
■iPhoneではアップルはフラッシュメモリを10倍高く売って儲けている(中央大学教授 竹内健)
iPhone5Sが発売になりました。au、ドコモ、ソフトバンクの料金設定について、いろんな駆け引きがあるようですね。
それはさておき、フラッシュメモリの観点からiPhone5Sの価格を見てみましょう。
どの会社でも、新規購入・機種変更を問わず、iPhone5Sの16GBモデルに比べて、
・32GByteモデルは1万320円高い
・64GByteモデルは2万640円高い
中身の違いは単純にフラッシュメモリだけですから、
・16GByteのフラッシュメモリを1万320円
・32GByteのフラッシュメモリを2万640円
で売っているわけです。
一方、中身は同じフラッシュメモリの16GByteのSDカードは価格.comの最安値は、925円。
つまり、高々、千円のフラッシュメモリを一万円くらいでアップルは売っているわけですね。
なんと、価格が10倍です。
しかも、フラッシュメモリを製造しているのは半導体メーカーで、半導体メーカーが超大口顧客のアップルに高い価格でフラッシュメモリを供給しているとは思えない。
むしろ、逆に安く供給しているのでしょうね。
従って、この十倍の価格差のかなりの部分が、アップルの懐に入るのでしょうね。
フラッシュメモリでこれだけ大儲けできるのだから、メモリカードのスロットをiPhoneやiPadに作らないはずです。
もし、メモリカードが使えるようになったら、ユーザーはiPhoneやiPadを購入する時は一番メモリ容量が小さいモデルにして、メモリが必要な時は、メモリカードを自分で購入して容量を増やすようになるでしょう。
現に、デジカメではそうしています。
こうして、ユーザーが自分でiPhoneやiPadのメモリ容量を増やせるようになったら、アップルの儲けはかなり少なくなるでしょう。
ほとんど労力をかけずにフラッシュメモリで儲けられる、というビジネスモデルがある限り、アップルはいわゆるシンクライアント、ネットワークコンピューターといった、データをできるだけクラウドに記憶して、端末のメモリを少なくする、という方向には行かないのかもしれませんね。
むしろ、儲けを最大化するには、できるだけユーザーにiPhoneやiPadに搭載したフラッシュメモリをたくさん使わせる、つまりできるだけデータを端末に記憶する方向になるのかもしれません。
これは、クラウドとは技術の方向性が逆行してますけれど。
こんなにお手軽に儲けてしまうビジネスモデルが、いつまで続くんでしょうね。
執筆: この記事は竹内 健さんのブログ『竹内研究室の日記』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2013年10月10日時点のものです。
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