ユネスコの無形文化遺産に登録されたことで世界からも注目を集める和食。そんな和食のよいところをひきたて、欠点を補ってくれる意外な食材は……牛乳。
ヘルシーと言われる和食の効果を一層高め、過剰に摂取しがちな塩分を抑えることができる牛乳を使った和食“乳和食”。そのまま飲んだり、お菓子や飲み物、クリームシチューなどの洋食に使うイメージが強い牛乳と和食は合うの? 本当においしいの? 洋食っぽくなっちゃうのでは? 減塩効果はあるの? 本当においしくて効果的ならぜひ食事に取り入れたい、そんな牛乳を使った“乳和食”を実際に作ってみました。
■ごちそうミルクちらし寿司
ガジェット通信でも紹介させていただいた『目からウロコのおいしい減塩 乳和食』から、1品目は見た目も美しい「ごちそうミルクちらし寿司」に挑戦。
ちらし寿司のどこにミルクが……と思ったら、手作りチーズをトッピングに、チーズを作るときにできた乳清(ホエー)で寿司ご飯を炊くとのこと。無駄がないですね。
まずは、カッテージチーズを作ります。チーズを自分で作れるなんて難しそう……そんなふうに思っている方にはびっくりの簡単さです。
●カッテージチーズの材料(4人分のお寿司用)
・牛乳 500ml
・お酢 大さじ2杯半
●カッテージチーズの作り方
(1)牛乳を火にかけます
(2)沸騰しかけたところで弱火にして、お酢を入れて静かにかき混ぜ、火を止めます
(3)牛乳が分離して濁りの少ない乳清が出てきたら、そのまま冷まし、ガーゼかキッチンペーパーを敷いたザルでこします
できあがり。すっごく簡単でしょう? お酢をレモン汁にしても良いですよ。
さて、チーズをこしたあとに残った黄色い液体。
これは乳清(ホエー)といって、牛乳のたんぱく質やミネラルがたくさん含まれ、すごく栄養があるそうです。
保湿効果もあるので化粧水としても利用されているほど。筆者も時々チーズは作るのですが、今まで乳清は捨てていました。もったいなかった……。乳清入りのごはんってどんな感じなのでしょう。それでは作ってみます。
●乳清ご飯の材料(4人分のお寿司用)
・米 2合
・乳清 約360ml(足りない分はお水を加えます)
●乳清ご飯の作り方
(1)お米をとぎます
(2)いつもはお水を入れるところを乳清を入れます。足りない分はお水を加えます
(3)炊飯器をスイッチオン。あとは炊飯器におまかせ
ごはんが炊けました。乳清を入れたので薄い黄色がかっています。
チーズと乳清を作る段階でお酢が入っていますが、そんなに気になりません。もちもち感とつやが増している感じがします。このご飯でハムとクリームチーズのおにぎりを作ったらおいしそう。
ごはんとチーズの準備ができましたので、「ごちそうミルクちらし寿司」を作りましょう。
●「ごちそうミルクちらし寿司」の材料(4人分)
・乳清ごはん 2合
・寿司酢 大さじ4
・白ごま 大さじ2
・カッテージチーズ 100g(500mlの牛乳とお酢でできた分だけ)
・干し椎茸の甘辛煮 4枚
※薄切りの干し椎茸を水でもどし、砂糖と醤油で甘辛く煮付けました
・えび 12尾
・いくら 60g
・厚焼き卵 150g
・きゅうり 1/2本
・さやえんどう 8枚
●「ごちそうミルクちらし寿司」の作り方
(1)炊きあがった乳清ごはんに寿司酢を混ぜて寿司飯を作り、ごまを混ぜ込みます
(2)きゅうりと厚焼き卵はさいの目切り、茹でエビは殻をむき、筋をとって軽く塩ゆでしたさやえんどうを斜めに2つに切っておきます
(3)器に1を盛りつけ、干し椎茸の甘辛煮、きゅうり、厚焼き卵、えび、いくら、カッテージチーズ、さやえんどうをトッピングしてできあがり
トッピングする具はお好きなものに変更しても大丈夫です。カッテージチーズには、まぐろとアボガドなども合いそうですね。
●編集部の感想
・ごはんがもっちりしておいしい!
・チーズのくせが気にならない。
・チーズの食感がいい。意外にお寿司に合う。
・まろやかな味でお酢が苦手な人や子どもでも食べられそう。
通常のすし飯よりも、お酢を控えめにしていることもあり、酸っぱさが抑えられまろやかに。彩りもきれいな、いつもとちょっぴり違うちらし寿司、持ち寄りパーティーなどにも喜ばれそうです。
■ぶりと大根のしょうが入りミルク粕汁
もう1品、お汁系から「ぶりと大根のしょうが入りミルク粕汁」も作ってみました。こちらもほとんど普通の粕汁と作り方は同じなのですが、ミルク酒粕を入れるところがポイントです。
●「ぶりと大根のしょうが入りミルク粕汁」の材料
・ぶり 4切(アラでも良い)
・大根 10cm
・人参 1/2本
・長ねぎ 1/2本
<ミルク酒粕>
・牛乳 400cc
・酒粕 80g
・みそ 大さじ2
<だし汁>
・かつおぶしパック 2袋(10g)
・熱湯 400cc
●「ぶりと大根のしょうが入りミルク粕汁」の作り方
(1)酒粕と味噌に牛乳を少しづつ加えて溶かし、ミルク酒粕を作ります
※牛乳をレンジで少し温めておくと混ざりやすい
(2)ぶりの切り身(アラでも大丈夫)を一口大に切り、軽く塩を振っておきます
(3)ぶりをざるに入れて上から熱湯をかけます(これで生臭さがとれます)
(4)大根を銀杏切り、にんじんを半月切りにします
※火が通りやすければ違う切り方(短冊切りなど)でも大丈夫
(5)かつおぶしにお湯を注ぎ、茶こしかガーゼで漉して即席かつおだしをとります
※市販のだしパックや顆粒だしでもかまいません。なければお水でも大丈夫
(6)5でとっただしに4の野菜を入れて柔らかくなるまで煮ます
(7)6に3のぶりを加えて少し煮ます
(8)7に1で作ったミルク酒粕を加えます
(9)8に斜め切りにした長ねぎを加え、塩で味を調えます
(10)器に盛り、お好みでおろし生姜をトッピングしてできあがり
●編集部の感想
・牛乳と酒粕が調和してお互いのクセや臭みをとり、すごくまろやかで優しい味に
・体が温まりますね~(しみじみ)
・冬場にぴったり! すごくおいしいです
・粕汁が牛乳のおかげで、一段階別のモノに進化しているかのような印象
・シチューのようでいて、和食のダシを主体とした旨味は生かされていて美味
・子供でも喜んで食べられそうな新しい和食だと感じました
・ぶりを使っているにもかかわらず、魚の臭みも牛乳のおかげで感じることがありませんでした
大好評でした。これ、粕汁がちょっと苦手という人にもおすすめです。ぶりを鮭にしてもいいですね。豚バラ肉も合いそうです。
体によさそうだけど、牛乳を入れた和食ってちょっと想像できないと思っていましたが、こんなふうに牛乳を和食に自然に使うことができるとは、目からうろこが落ちるような驚きでした。
栄養価も高めてくれ、なによりおいしさもアップしてくれる“乳和食”。いつもの食事をちょっと変えてみたいときにもぴったり。
意外な作り方とおいしさは食事の話題にもなります。みなさんもぜひ一度作ってみてはいかがでしょうか。
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