竹槍のような排気口が伸びているうえに、やたらめったら明るいしケバい。
けど、飾られた赤ちょうちんには「金時」「石焼き芋」の文字。よく見ると後部には釜まで積まれている。
「うーん、これは話しかけてはいけないタイプの方なのだろうか」
迷ったが意を決してお話を聞いてみることに。
――あの……お話伺ってもいいですか?
どうぞどうぞ。イモはあと1個しかないんですけども。
(なんだかすごく気さくに答えてくれるぞ……)
――結構長く活動されてるんですか?
いえ、まだ、始めて2週間くらいなんです。
――え、そうなんですか?
(始めてから)2日目くらいで「ハム速」さんとかに上がっててビックリしたんですけれども。
――こうした派手な出で立ちにしているのはやはり目を引くためですか?
これはですね、2010年の「六本木アートナイト」というアートのお祭りに出品したものなんです。それをリメイクしてストリートにも出せるようにしました。
――車検通るんですね!
車検は全部通ります。これ、カーキャリアとかに載せてるんで荷物扱いなんですよ。荷物のルールさえ守ればいいので、(高さ)3.8m以下で、車幅守って……そういうのを調べてOKになるようにしました。
――お客さんたくさんいらっしゃいますか?
怖いと思う方もいらっしゃるみたいですね(笑)
そもそも焼き芋が爆発的に売れるようなものでもないですし。
焼き芋屋さんぽくないので「本当に売っているのか」とかよく聞かれたりします。
だんだん知られるようになるとみなさん、話しかけてくれるようになるのかな、と。
全然怖い人ではないお二人の名前はキザキさんとヤマワキさん。「ヨタ(yotta)」というチーム名でアート活動しているのだそうだ。
ちなみにこの車「金時」の今後の出没地点などは、下記のURLで知ることができる(GoogleマップにGPSで位置情報がマークされるのだ)。twitterでの告知もしている。
http://yotta-web.com/kintoki/https://twitter.com/yotta_kintoki
お二人によると「スタートは確かに“現代アート”だったが、現在は片手間でやっているわけではなく、ちゃんとした焼き芋屋さん」なのだとか。
続けて「次は10月くらいかな」と語るヤマワキさんたち。
――え、どちらか行かれるんですか?
いや、3月くらいで焼き芋の季節が終わっちゃうんで……。僕らもあと1週間くらいかなあ、なんて。
イベントなんかがあったりしたら、出てくるかもしれません。
――じゃ、またシーズンになったら見られるかもしれない、というわけですね。
ありがとうございます!
最終的に「金時」の周りには写真を撮る人が取り巻いていた。
そんな中、最後のイモが売れて、本日の営業は終了。
けばけばしい光を放ちながら、“デコデコ焼き芋カー”「金時」は杉並の夜に消えていった。
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