• このエントリーをはてなブックマークに追加
【さよならXP】第6回 アニメで分かる!? 使い続けるリスクの具体例
閉じる
閉じる

新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

【さよならXP】第6回 アニメで分かる!? 使い続けるリスクの具体例

2014-04-10 06:30

    いよいよ『Windows XP』のサポート期限が終了しました。読者の皆様はいかがお過ごしでしょうか。OSのアップグレードを検討されている方や、サポート期限終了後もしばらくは『Windows XP』と共に生きようと決意されている方もおられるのではないかと思います。

    この連載では『Windows XP』を使い続けることにどんなリスクがあるのか、また、アップグレードするときにはどのような注意点があるのかなどの情報を取り上げてきました。今回が最終回となります。

    ■第6回 アニメで分かる!? 使い続けるリスクの具体例

    ついにこの日が過ぎてしまいました。『Windows XP』のサポート期限終了です。

    この連載では主に『Windows XP』を使い続ける際や乗り換えの際の注意事項を主にお伝えしてきました。それぞれの回で少しずつ危険性の例について触れてきましたが、今回は最終回ということで、今のまま『Windows XP』を使い続けるとどうなることが予想されるかという点を具体的にお伝えしたいと思います。

    ●直ちに影響はない!本当に?

    いちいちハッカー(この記事ではわかりやすさを優先し、悪意をもった攻撃者のことを「ハッカー」と呼びます)が個人のパソコンを攻撃するはずがないとか、中小企業を狙い撃ちするはずがないとか、これは某資本の陰謀だとか、一斉にOSを切り替えるなど全体主義だ、軍靴の音が聞こえてくるというご意見の皆様もおられることでしょう。確かに、現実的には「直ちに危険はない」のかもしれません。しかし、決して安心はできない状況なのです。

    では手始めに、ハッカーの気持ちになってみましょう。ハッカーの欲しい物は何でしょうか。

    最新型のガジェットでしょうか。超モンスター級のコンピューターでしょうか。あるいは、明日の食べ物でしょうか。いずれにしても、“あるもの”が必要です。もうお分かりですね。それは、お金です。

    単に自己顕示欲を満たしたいというハッカー像は今や亜流。近年は、ハッカー業界の収益事業化が進んでいます。あなたのパソコンにある情報がハッカーにとってはお宝かもしれませんし、あなたの会社の業務を止めることがハッカーにとっては利益につながるかも知れません。いまやハッカーは商売人。商機とみればどんなものだって攻撃対象にすることでしょう。

    次の節からは、数年後に想定される様々なケースについて考えます。最後に、『Windows XP』サポート期限について取り上げたアニメをご紹介します。

    (なお、以下に掲載する想定ケースは全て架空のものです。実際に起きるとは限りませんが、起きる可能性は非常に高いと筆者は考えています)

    ●CASE1: とあるサイトを見ただけで、あなたのパソコンにある秘密のファイルが盗まれる

    ある日、グラフィック表示機能に大きなセキュリティの穴が見つかります。

    画像に特別な細工を行うと、その画像を見ただけで遠隔操作されてしまうという重大なものです。

    インターネット上には報告が上がりますが、マイクロソフトは対応しません。IEはもろに影響を受け、他社製のブラウザも影響を受けることが判明します。

    OS内部の根深い問題であったため他社製のブラウザの修正にも時間がかかり、それに目を付けたハッカーが「もうけ時!」と判断。直ちにパソコンの情報を盗む不正なサイトを作成、特定の企業や人物にそのサイトを閲覧するよう仕向けます。

    そして、中小企業からは社外秘の設計図など重要な企業秘密が盗まれ、政府から防衛に関する国家機密が盗まれます。そして、あなたのパソコンからは、ネットバンキングの情報やクレジットカード番号が盗まれて勝手にお金を引き出され、挙げ句の果てに個人情報と一緒に意味深な『数学課題』『新しいフォルダ』といったフォルダの内容までさらされてしまいます。めでたしめでたし。

    サポート期間中であれば、このような重大な問題が発見されればすぐに修正パッチが配布されていたはずですが、サポート期間後はそれは期待出来ないのです。

    ●CASE2: あなたのファイルが人質に。返して欲しければ10万円払えと請求を受ける

    数年後、ウィルス対策ソフトのXP向けサポートが徐々に終了し、ついにウィルス定義ファイルの更新が途絶えます。

    ウィルス対策ソフトがインストールされていれば感染が防げたようなウィルスにも感染してしまうという、セキュリティ上の危険に晒された状態となります。

    あなたは、とあるアプリをダウンロードします。そのアプリを実行すると、あなたの大切な写真や音楽などがどこかへ消えてしまいます。あなたが慌てていると、メッセージが表示されます。

    「ファイルは隠して暗号化しておいた。返して欲しければ10万円を指定の方法で送金するように。さもなければあなたのファイルは永遠に戻らない」

    そのアプリは暗号化に固定の暗号鍵をつかっているわけではありませんでした。そのため、ウィルス対策の専門家もお手上げで、どうやら、犯人に10万円を払う他ないようです。払ったところでファイルが戻る保証もなく、あなたは落胆のため息をつきます。

    ●CASE3: デバイスドライバーが実はスパイウェアでパスワードを盗まれる

    今後、周辺機器のメーカーのサイトから『Windows XP』向けのデバイスドライバーがダウンロードできなくなっていくことが予想されます。あなたが使っていた周辺機器もご多分に漏れず、公式サイトからデバイスドライバーをダウンロードできなくなってしまいました。そこで、あなたはインターネットで検索し、デバイスドライバーを配布している非公式サイトを見つけます。

    あなたは嬉々(きき)として非公式サイトからダウンロードしたデバイスドライバーをインストールし、周辺機器は正常に認識されました。これで全ての問題は解決したかのように見えました。

    しかし、そのデバイスドライバはスパイウェアが組み込まれた偽物だったのです。そして、あなたはそれと気付かないまま、キーボードの入力などを盗まれてしまいます。数日後、あなたはネットバンキングやクレジットカードから勝手にお金を引き出されていることに気付きます。

    新しい『Windows』では正当なデジタル署名がなければデバイスドライバーがインストールできないようセキュリティが強化されています。スパイウェアが組み込まれるなどの改造がされていれば、デジタル署名が不正な物と判断されインストールはされません。

    ●CASE4: 社内LANにウィルスが蔓延(まんえん)、業務に支障。場合によっては危険な事態も

    一部の企業ではサポート期限終了後も『Windows XP』の使用を続けます。どのような理由であれ、ウィルスなどの不正なプログラムに感染する可能性が高い状態でパソコンが稼働している状態が数年間は続くことでしょう。もし伝染性の高いコンピューターウィルスに感染したとしたら、社内LANであっという間に感染が拡大、業務に支障が出るという危険性があります。

    結果、顧客に迷惑をかけることになるだけではなく、顧客情報や企業秘密をこっそり盗まれでもしたら会社が傾くレベルの信用問題にもなりかねません。顧客情報や企業秘密はそれだけでハッカーにとって価値のある情報です。また、信用を失墜させることで利益を得るライバル会社があるかもしれません。あるいは、亜流とは言え、愉快犯の可能性もあります。

    では、もし鉄道などの命に関わるインフラを直撃したら?  

    実際には大事故に至る可能性はそれほど大きくはないものの、万が一があります。可能性としては、セキュリティ意識の低さが人命を奪うことも考えなければなりません。

    筆者が参加しているアニメ自主制作企画において、約1年後までXPを使い続けた架空の鉄道会社を舞台とするアニメ作品をニコニコで公開しました。この作品は、できるだけ沢山の方に最低限のセキュリティ意識を持って頂くことを目的としています。あくまでも可能性を示唆した物ですが、もし興味のある方はご覧頂ければ幸いです。

    【ニコニコ動画】こうしす! #1 「XPだけどお金がないから使い続けても問題ないよね」(RC1)

    ●さいごに

    これまで6回に渡り『Windows XP』サポート期限終了について取り上げてきました。いかがでしたでしょうか。

    最後までご覧頂いた読者の皆様には心より感謝いたします。

    もし、万が一『Windows XP』でこのページをご覧になっている方がおられましたら、直ちにWindows Updateを適用し、LANケーブルを抜くなどインターネットから切断されることを強くおすすめします。

    また、『Windows XP』から既に新しいOSに移行されたという皆様も、ぜひ積極的にOSやアプリのアップデートやアップグレードを行うようにしてください。これは、数あるウィルス対策のなかでも基本中の基本です。これだけでは十分な対策であるとはいえませんが、セキュリティ被害にあう確率は確実に下がります。他にもセキュリティソフトの導入や、怪しいサイトやメールを開かないという心がけも重要です。

    セキュリティの専門家でさえうっかりセキュリティ被害にあうことがあるのですから、細心の注意が必要です。

    そうです、悪のハッカーからあなたを守るのは、あなた自身なのです。

    ●連載:さよならXP


    第1回 サポート期限終了後もWindows XPを安全に使い続けるには
    http://getnews.jp/archives/432529

    第2回 ウィルスに感染したら気付くでしょ?  その慢心が命取り
    http://getnews.jp/archives/452043

    第3回 古いPCにWindows 8をインストール——ダメでした!
    http://getnews.jp/archives/473408

    第4回 UAC無効化? ちょっと待った!
    http://getnews.jp/archives/518436

    第5回 残り1週間! XPサポート期限切れについての11個の質問と答え
    http://getnews.jp/archives/548307


    画像:次のスクリーンショットを使用しています。

    『Windows XP』

    ※この記事はガジェ通ウェブライターの「Butameron」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?

    ■関連記事

    【さよならXP】第5回 残り1週間! XPサポート期限切れについての11個の質問と答え

    これが自主制作アニメ!? 自主制作アニメ『白菜アニメ』第2弾が公開

    【さよならXP】第4回 UAC無効化? ちょっと待った!

    【さよならXP】第3回 古いPCにWindows 8をインストール——ダメでした!

    【さよならXP】第2回 ウィルスに感染したら気付くでしょ?  その慢心が命取り

    RSSブログ情報:http://getnews.jp/archives/553697
    チャンネル会員ならもっと楽しめる!
    • 会員限定の新着記事が読み放題!※1
    • 動画や生放送などの追加コンテンツが見放題!※2
      • ※1、入会月以降の記事が対象になります。
      • ※2、チャンネルによって、見放題になるコンテンツは異なります。
    ブログイメージ
    ガジェ通
    更新頻度: 毎日
    最終更新日:
    チャンネル月額: ¥550 (税込)

    チャンネルに入会して購読

    コメントを書く
    コメントをするにはログインして下さい。