安価な現実と高価な仮想現実

今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

■安価な現実と高価な仮想現実(メカAG)


機械の学習能力やニューラル・ネットワーキングといった先進的なコンピュータ・サイエンスのテクニックを駆使すれば、アルゴリズムは観察結果をもとに、より改善されたアルゴリズムを新たに作り出すことすらできる。

「本当に人間に残る仕事は何だろう/アルゴリズムが全て呑み込む未来 (1/2)」 2014年03月10日 『BLOGOS』

http://blogos.com/article/81983/

ニューラルネットの適応はアルゴリズムとは違うような。どっちかというと人間でいれば直感だよね…。アルゴリズムというのはどちらかというと「理屈」のような。

ニューロファジー洗濯機というのが20年ぐらい前にあったような。洗濯機が洗濯物の量や汚れ具合を自分で判断して最適な洗い方を考えるとかがウリだった。そのうち洗濯機が進化してポエムを語り出したり、人間に反乱を起こしたりするのだろうか。「もう洗濯なんかしません!」とか。

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森博嗣の小説「有限と微小のパン」でこんなことが語られている。コンピュータグラフィックスを駆使した仮想現実よりも、人間の役者を使ったほうが低コストだしリアルだと。この作品が出たのは2001年ですな。

「有限と微小のパン (講談社文庫)」 森 博嗣(著) 『Amazon』

http://www.amazon.co.jp/dp/4062732947

コンピュータによる仮想現実と人間の役者による仮想現実はどちらがすぐれているか?作中ではコンピュータの専門家の方が役者の方が優れていると主張する。専門家ゆえにその限界もよくわかっていた。よく知らないと夢を見ちゃうよね…。

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別エントリでも述べたけれど、人間がコンピュータより優れているのは、その低コストと汎用性。そこらへんにうじゃうじゃいるし勝手に増え続けるし、適当に教えればそこそこなんでもできるし。このコストパフォーマンスに当分機械は太刀打ちできない。

また人間が求めるものがそもそも合理的でない。論理性の欠片もない矛盾だらけの仕様を自動的に論理的な整合性を持つプログラムに変換してくれるAIができればいいですね。「とにかく早くなんとかしろ」と指示すれば、なんとかしてくれるAI。すばらしい。

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逆に言えば人間は常にアルゴリズム化(合理化)できないものに価値を求めるといえよう。「わがまま」こそ人間の特権。たとえば「障害者」と書くべきか「障がい者」と書くべきか、アルゴリズムで導き出せるんですかね。導き出したとして人間は納得するのだろうか。

そもそもそんなことが重要な社会問題になる事自体が、社会がそれだけ豊かになったため。日々の生活にも困窮している社会ではそんなのは話題にすらならないだろう。つまり機械がいまあるいろいろな問題を解決したとしても、人間はさらに「解決できない問題」を求めるだろう。かつてはどうでもよかったような問題を。人間のわがままには際限がない。

案外、最後に残るのは詩人と哲学者なのかもしれない。

執筆:この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2014年04月25日時点のものです。

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