今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。
■不況とコンピュータ(メカAG)
「「機械との競争」:機械は雇用をどのようにして奪うのか?」 2014年05月06日 『イケハヤ書店』
http://www.ikedahayato.com/20140506/5277757.html
ある種の人たちはホントこの手の話が好きだね。ちょっと前は不況の原因は人口減少とか言ってたし、なんかいろいろ原因があるんだねぇ~(苦笑)。人口減少はもうネタとしてしゃぶり尽くしたってことですかね。やっぱ賞味期限があるんだろうな。次々に新鮮な「原因」を見つけなきゃいけないから大変だね。
amazonの内容紹介によると
MITスローン・スクール、デジタル・ビジネス・センターの研究者2人が2011年に自費出版した本書の原書であるRace Against The Machineの未来予測は、アメリカ国内外で大きな反響を呼んだ。本書の2人は、技術の進歩が速すぎて起きる雇用喪失説の立場をとる。つまり、コンピュータとの競争に人間が負け始めていることこそ、雇用が回復しない真の原因であると主張する。「機械との競争」 エリク・ブリニョルフソン (著), アンドリュー・マカフィー (著), 村井章子 (翻訳) 『Amazon』
http://www.amazon.co.jp/dp/4822249212
つまり2011年に(おそらくアメリカの)雇用問題を、コンピュータの発達に結びつけているわけだ。
* * *
でもそれならアメリカの雇用が回復してきている現状をどう説明するのだろうか。
「アメリカの人口・就業者・失業率の推移」 『世界経済のネタ帳』
http://ecodb.net/country/US/imf_persons.html
上記の3つ目のグラフにアメリカの失業率の推移が載っている。2000年頃に失業率は最低になっている。ドットコムバブルとか言われたあたりですな。あの頃はいまとは逆に、インターネットが永遠の好景気を約束するとか言われた。
情報網の発達で不良在庫を圧縮できるからとか。もうアメリカは不況と好景気を繰り返す従来型経済ではなく、ずっと好景気が続くんだ!と本気で唱えていた学者もいた。
* * *
んであえなくトッドコムバブルがはじけて2002年に失業率の山がある。そこから景気が再び回復し始めるのだが、それは住宅バブルが進行しつつあったためで、それが2008年のリーマンショックで再び弾ける。
失業率が再び跳ね上がり、2010年あたりがピークだ。おそらくこの本もその時期に書かれたのだろう。つまりこれはリーマンショックによる不況を、コンピュータの発達と結びつけようとした本ですな。
でもグラフを見ればわかるけど、失業率はこの後改善してるんだよね。
不況の原因を「わかりやすい」理由に求めるのはいつの時代もやってきたこと。人間誰でも現状が辛いと「なんで俺たちだけがこんな目に…」と理由をこじつけたくなるよね。この本を書いた人は優秀だったかもしれないが、2011年以降の未来を知っている2014年の俺のほうが有利wwww。
執筆: この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2014年05月14日時点のものです。
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