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「日本史の謎は「地形」で解ける」(竹村公太郎)(メカAG)
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「日本史の謎は「地形」で解ける」(竹村公太郎)(メカAG)

2014-05-28 18:00
    日本史の謎は「地形」で解ける」(竹村公太郎)(メカAG)

    今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

    ■「日本史の謎は「地形」で解ける」(竹村公太郎)(メカAG)
    「日本史の謎は「地形」で解ける (PHP文庫) [文庫]」 竹村 公太郎 『Amazon』
    http://www.amazon.co.jp/dp/4569760848

    この本なかなか面白い。たとえば日本の都がなぜ奈良→京都→江戸と移っていったかについて、エネルギー問題に目を向ける。当時のエネルギーとは材木。平城京から平安京への遷都の理由はいろいろな歴史学者が研究しているが、この著者は当時奈良地方の山が禿山になってしまっている点に着目する。

    奈良は盆地でこれ以上周囲から材木の供給もままならない。そこで近くにある奈良より開けた土地に目をつけた。同じ理由で長年日本の中心だった西日本は、近畿地方を中心にどんどん森林資源が失われつつあった。徳川家康はまだ手付かずの森林が残っている東日本に目をつけた、と。

       *   *   *

    徳川家康の利根川を中心とする治水事業も、漠然と走っていたが、この本を読むと改めてその困難さ、そしてそれでもそこに目をつけた家康の先見の明さが実感できる。

    関東地方というと、京都から見ると田舎だったかもしれないが、こんなにだだっ広い平野があるんだから、もっと他の武将も目をつけたっていいんじゃ・・・と思ってた。

    でも・・・これが1000年前の関東平野。

    「霞ヶ浦の変遷|昔はどうなっていたか/約1千年前」 『霞ヶ浦河川事務所』

    http://www.ktr.mlit.go.jp/kasumi/kasumi00131.html

    かなり「水」の部分が多い。というか霞ヶ浦がでかい(笑)。むかしは「香取海」と呼ばれていたらしい。

    「香取海と古墳と神社と」 2010年06月05日 『こちらホワイトロック』

    http://sazaepc-tasuke.seesaa.net/article/152347326.html

    貝塚や神社の分布から相当な大きさだったようだ。

       *   *   *

    縄文時代、いまから6000年前ぐらいは海面がいまよりかなり高かったらしい。これは地球規模の現象。

    「縄文海進」 『Wikipedia』

    http://ja.wikipedia.org/wiki/縄文海進

    そこから徐々に海面が下がり現在に至るわけで、その中でたとえば神武東征の頃、大阪のかなりの部分は海だったとかの話が出てくるわけですな。日本書紀の神武東征の記述だと、いまでは陸地の所を船で進んだことになってて「おかしい」と言われた。でも研究が進むに連れて、むかしは確かに海だったことがわかり、実は日本書紀の記述が正しかった、と。

    同様に関東地方でも徐々に海面が下がっていき、ちょど家康の頃が「手頃」だったのだろう。とはいえむかし海だった部分は水はけが悪く、家康から3代家光まで60年かけて利根川の流れを変えたり、東京湾を埋め立てたりしていったわけですな。

    そう考えると家康の治水事業ってピラミッドや万里の長城にも匹敵するのではなかろうか。60年だよね・・・。重機もない時代に人力で掘って川の流れを変えたわけで。

       *   *   *

    ちなみに別な本だったと思うけど奈良盆地もむかしは湖だったらしい。

    「奈良盆地の盆地湖」 『邪馬台国の会』

    http://yamatai.cside.com/katudou/bonntiko.htm

    湖による海運がこの地が栄えた理由なのだろう。万葉集に日本の国(奈良)を読んだ句に「海原(うなばら)」が出てくる。奈良には海はないはずなのにこれはなんだ?と。

    「天の香具山と「海原」」 『和歌雑記』

    http://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/kaguyama.html

    これが奈良盆地にあった湖のことなのだろう。奈良盆地の湖はやがて消滅していく。そうなると海運のメリットがなくなってしまう。それもまた平安京への遷都の理由の一部だったのかもしれない。

    やがて大阪湾も徐々に埋まっていき、かつてあった河内湖も消滅し、海岸線が京都から離れ、今度は大阪が港湾都市として栄えていく。

    「大阪湾の歴史」 『大阪湾環境データベース』

    http://kouwan.pa.kkr.mlit.go.jp/kankyo-db/intro/detail_p07.html

       *   *   *

    江戸は治水との戦いで、それ以降もたびたび洪水を起こす荒川の周囲に堤防をつくったりした。堤防といっても一風変わっていて、決壊させるための堤防。下流で決壊すると江戸の街が水浸しになるので、上流で大雨の時に遊水地として機能するようにしたらしい。

    「中条堤」 『Wikipedia』

    http://ja.wikipedia.org/wiki/中条堤

    いまも基本的に考え方は同じ。途中に遊水地を作って、大雨の時に大量の水が一気に東京湾に流れこむのを防止する。江戸開府から400年後の現在もまだ川と戦い続けている。

    「首都圏外郭放水路」 『Wikipedia』

    http://ja.wikipedia.org/wiki/首都圏外郭放水路

    遊水地の代用にされた地元の人々はいい迷惑だったみたいだが。それにしても決壊を前提とする堤防ってユニークだよね。脱線ポイントとかを連想する。

    「列車を脱線させるための分岐器がある」 2008年11月06日 『太郎の部屋』

    http://tarouroom.blog89.fc2.com/blog-entry-392.html

    列車同士が正面衝突すると甚大な被害が出るから、その前に片方を脱線させて止めてしまおうという発想。こういうのをリスクコントロールというのだろう。リスクをゼロにするのではなく、都合がいい方向にコントロールする。

    執筆: この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

    寄稿いただいた記事は2014年05月27日時点のものです。

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