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『マルドゥック・スクランブル』『蒼穹のファフナー』『天地明察』などを世に送り出した作家・冲方丁氏が、自身のブログで「二次創作について考えた」と題したエントリーを更新。二次創作を全面解禁し、メディアミックス作品を一次創作であると明確にすることや、ファングループの形成による二次創作者への登録の呼びかけ、さらには海賊版・違法ダウンロード・不適切な中古販売への規制や抑制をユーザーを含めた全員で図っていくことを目指していくことを宣言しています。

冲方氏は、自身の関連書籍を発行する各出版社やビデオメーカーのスタッフが集結する『冲方サミット』で二次創作を許容する方向性を示し、ブログでも「どうにかして実現したい所存」と述べてます。そのために一次創作を明確にして、規約を守った二次創作が利益や評価を得ることを認めるとしています。

1)許諾する一次創作作品を限定し、所定のサイトもしくは発行物において発表します。

2)二次創作者は、二次創作作品の冒頭(表紙、紹介文第一行、冒頭部分、その他最初に目にする場所)に、『これは○○(許諾された一次作品タイトル・発行・著作者)の二次創作です』と、一次創作作品との関連について、誰もが見て取れるかたちで明記する。

3)一次創作者への許諾の対価は「一次創作作品のソースの拡散」とみなし、それ以外の対価は要求されない。

4)上記をまっとうしないものを二次創作とみなさず海賊版として扱う。

 さらに、二次創作者に、下記二点を定める。

5)二次創作作品の製作・販売・配布・上映等に伴う責任は、全て二次創作者が負う。

6)二次創作作品の著作権は、二次創作者に帰属し、そのいかなる利益も許諾する。

※『☆本日のお話・二次創作について考えた(3)☆』より

http://towubukata.blogspot.jp/2014/07/blog-post_17.html

ここでユニークなのは、二次創作作品を「出版社などが主催する新人賞に応募しても良い」としているところでしょう。同エントリーでは仮に二次創作を 受賞させる際に、編集者が「冲方サイドにいちいち確認する必要はありません」としつつ、「ただしご連絡があれば色々とお仕事のお話ができますし、推薦コメントくらいは書きます」と寛容な姿勢を見せています。ただし、「『二次創作である』ことを明記しないものは、全てこれ海賊版とみなして対処をいたします」と釘を差すことも忘れていません。

冲方氏は、同人誌やマッド動画をはじめとする二次創作がグレーゾーンであるのみならず、日本の出版業界が契約を後回しにしていることを「プロの作家ですら灰色の世界でものを書いている」と指摘。「制作者と販売者と消費者の共通了解とせねば、国内市場でのみ融通を利かせていた暗黙が大前提の前時代的なやり方は、いずれのきなみ壊滅するであろう」という危機意識から、二次創作と海賊版との違いを説明する必要性を強調しています。

『黒い季節』でスニーカー大賞の金賞に輝きデビューし、メディアミックスが常態の中で作家活動を続けている冲方氏らしい今回の宣言。現在の出版慣習と同人誌文化に一石を投じた形となり、追従する作家が登場するのかどうかも含めて、その影響が注目されるのではないでしょうか。

※画像は冲方氏のブログ『ぶらりずむ黙契録』より

http://towubukata.blogspot.jp/2014/07/blog-post_17.html [リンク]

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