法務省は、出生届が出されなかったために、戸籍がない状態のまま暮らす「無戸籍」状態にある人が、全国で少なくとも200人以上いることを公表しました。
このデータは、全国の市区町村を通じて行った初めての調査でわかったことですが、20歳以上の人も18人いたことがわかっています。法務省は、戸籍法という法令がありながらも、無戸籍のままになる方がいることに、驚きを隠せないようです。
無戸籍になる原因は、様々な理由が考えられています。特に問題とされているのは、夫のDV(ドメスティックバイオレンス)の問題。
夫の暴力から逃れて、離婚に至った女性が、夫の戸籍に子供が入ってしまうことを避けるために、あえて出生届を出さないケースが指摘されています。
結婚や戸籍関係を決める法令である「民法」の第772条では、婚姻中の女性の子供は夫の子と推定し、また離婚後300日以内に出生した子供は、前夫の子供と推定すると規定しています。
したがって、前夫と別居している間に他の男性との間に子供を授かった場合などは、血縁がないとしても子供が前夫の戸籍に入ってしまうこととなります。そのため、出生届を出すのを躊躇せざるをえなくなってしまうというわけです。もちろん、授かった子供が前夫の子供という場合も当然ながらあります。とはいえ、日常的な暴力が原因で婚姻関係を解消したわけですから、子供を夫に渡せないと考えるのは自然でしょうね。
もっとも、無戸籍のまま過ごさざるをえない方は、このようなケースだけでなく、様々なケースがあることがわかっています。ただし、その多くが婚姻にまつわるものですので、お子さんが社会生活を営む上で不自由を被らないように法整備を行うことが求める声が強くなっています。
戸籍は血縁関係を公に記すだけのものだという方もいます。夫婦別姓などが議論されている時代ですから、世論によっては意味を持たなくなるのかもしれません。
しかしながら、現時点では戸籍がないことで進路や職業、住む場所などが制限されることもありえます。戸籍を尊重するにしても、法的な記録として扱うにとどめるにしても、一番の当事者は子供ですから当然の権利を剥奪されることなく、最良の解決方法が導けるとよいですね。
写真は 足成 http://www.ashinari.com/ より
※この記事はガジェ通ウェブライターの「松沢直樹」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?
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