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「古さの名誉」徒然草気まま読み#117
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今回扱うのは、第九十九段。短いので、全文をご紹介。堀河の相國は、美男のたのしき人にて、その事となく過差を好み給ひけり。御子基俊卿を大理(だいり)になして、廳務を行はれけるに、廳屋の唐櫃見苦しとて、めでたく作り改めらるべきよし仰せられけるに、この唐櫃は、上古より傳はりて、そのはじめを知らず、數百年を經たり。累代の公物、古弊をもちて規模とす。たやすく改められ難きよし、故實の諸官等申しければ、その事やみにけり。どんなに経済的に裕福であろうと、あるいは権力を持っていようと、踏み越えられない一線がある。簡単に変えてはいけないものがある。そのことを、誰もが自然にわきまえていたということがわかる一段。日本に保守主義というものがあるとしたら、その源流だともいえるような話だが、現代の日本の「保守」に、この感覚はあるだろうか?