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「コンフリクト」といふもの
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「コンフリクト」といふもの

2016-07-03 02:21
    仕事をしてれば「競合他社」というものを意識することは当然に多いと思うのだけれど、弁理士なんて仕事をしてると、それを意識することは更に多くなる。ただ、普通の人が意識する事と違うのは、自分にとっての「競合」ではなく、クライアントにとっての「競合」であるという点。
    よく、特許を取る事の意味として「参入障壁」、つまり他の企業が同種の商品を発売したり類似サービスを提供したりすることを妨害するという事が挙げられるけど、この考え方があまり好きじゃない。

    1.「コンフリクト」が許されないといふこと

    大手クライアントの仕事をしてた時には、「対~社」というテーマでの特許業務など日常茶飯事、というかそれしかないレベル。
    そして、弁理士はクライアント企業内の秘密に嫌でも関わる仕事なので、クライアントの「競合他社」の仕事を請けることは、「利益相反」、「コンフリクト」として許されないこととされている。
    弁理士法上で禁止されているのは相手方のある事件なので、法律的にNGなのは当事者対立構造の審判や裁判のみ。対特許庁の手続きでしかない特許出願については法律で禁止されているわけではないけれど、競合関係にある企業の特許出願の依頼は基本1社しか請けられないのが業界的な常識。

    気持ちはわかりますな。特許の仕事は企業内の最先端の情報を取り扱う仕事なので、そんな情報が競合他社に漏れることは企業にとって命取りですから。

    ただ、それ漏らすような弁理士、そもそも仕事依頼するのやめた方が良くないですかね。それとも他に理由があるんでしょうか。

    自分が思うに、というか感じるに、そういった企業のコンフリクトルールは、

    (1)はなから弁理士を信用していない前提で設定されている
    (2)「競合他社憎し、仕事を出してやってるんだから言うこと聞け」という感情的なところで設定されている。

    のいずれかだと思うんですな。
    まぁ両方あると思うんですが、どっちにしろクソみたいな理由。

    ぶっちゃけ、色んな弁理士を知ってると(1)の理由があるのはしょうがない。ハッキリ言って弁理士なんて誰でもなれるんだなと思う。まぁ試験受ければいいだけで、人格だとか人間力だとか関係ないですからね。
    それよりも(2)の理由、これが非常に残念。

    競合他社を意識して企業活動を運営していくことは重要だとは思うんですが、オーバーヒートし過ぎて子供の喧嘩みたいになってませんかね?

    2.潰し合うしかないのか?といふこと

    大企業の特許業務の中で仕事をしていて思ったことは、
    「で、最終的な目的って何なの?相手企業を潰すことなの?」といふこと。

    細かい短期的な目的ならあるんですが、最終的な目的が見えていないので、短期的な目的も何のために存在しているのかわからず、そんな意味不明な目的のために齷齪働く知財部員達の志気も上がらない。
    で、そんな志気の低い知財部員が直接的なクライアントなので、仕事を請ける側の弁理士もどんどん嫌になっていく、、とまぁそういった愚痴はおいといて、、、

    ともかく、企業における「競合他社」を意識した特許業務は、明確に意識しているかどうかはさておき、「潰し合い」が前提になっているかと。
    少なくとも、「競合他社の事業を妨害しよう」、「競合他社からライセンス料をふんだくろう」という目的には変わりはない。

    3.プレイヤーは多い方がいいといふこと

    お金が絡む以上、トムとジェリーのように仲良く喧嘩するような事にはならないので、やっぱり喧嘩はガチ、つまるところは潰し合いですな。
    「大企業だし、潰れるようなことにはならないでしょ、ハハハ」
    なんて言ってられると思いますかね。SHARPって会社知ってますか?

    じゃあ、A社とB社がバチバチやりあって、A社が潰れたとします。
    そうするとB社は幸せになれるんでしょうか。

    おそらくそうはならないですよね。
    やっぱり、プレイヤーはある程度いないと市場は活性化しないでしょう。
    「隣の店を潰したら自分の店も潰れる」なんて言葉もあります。
    市場全体が元気が無くなってB社も衰退していくなり、新たな競合C社にとって代られるなり、企業活動にゴールなんてありません。

    「続けていく」
    企業がやることってそれだけです。
    であれば、競合他社を意識して企業を運営するのはある程度は必要なものの、そればかりが目的になって企業本来の目的を見失っているのは非常にヨロシクない。

    4.競合の両者の特許出願の代理がしたかった

    そんなウンザリする「競合他社」対策の渦中で仕事をしていた時に思ったことは、
    「競合他社の特許出願の代理もして、両方の企業が共に成長できるような仲立をしたい」
    といふこと。

    「人がたくさんいる」という事は、「やれる事が多い」ということに他ならないわけで、
    それならば、業界内で喧嘩して消耗戦をやるのではなくて、業界全体が更に前進できるように協力し合えないものかなと。

    例えば、革新的な製品のアイデアがあったとして、それを実際に作るために実現しなければいけないモジュールが何個かあったとする。
    そのモジュールの全てを一社で実現するのは大変でも、数社で分担すれば可能性はグッと高まるはず。
    競合他社として業界でプレイヤーとして立っているのなら、他社に負けない技術の一つや二つは何かしらあるはずなわけで、その強みを活かして業界全体の発展に寄与できるような協力はできないものなのか。
    カルテルみたいにならないように気を付けつつだけど。

    若しそれが出来るとしたら、業界のプレイヤー全てから仕事を請けているような弁理士しかいないんじゃないかなと。
    まぁ、コンフリクトルールに縛られてる以上無理なんですが。
    とにかく、大企業の仕事を続けていく上でのモチベーションの1つはそこにあった。もうないけど。

    今現在のクライアントには、「競合他社を潰せ!」みたいなモチベーションを持ってるクライアントはいないので、そんな役割を担う可能性は低いし、そんなダサいモチベーションをもったクライアントの仕事はそもそも請ける気がしないので可能性は更に低い。

    が、特許出願の代理に関わらず、弁理士として企業やクリエイターに寄り添って知財の仕事をしていく以上、「知財」というモノに基づいて喧嘩ごとに関わることも少なくないわけで、そういった時に、各プレイヤーの強みを活かして全体がハッピーになるような仲立をするような仕事がしたいですね。

    まぁ、パテントトロールとか、商標ブローカーとか、安易にパクリをやるような輩みたいな連中は全力で潰すけど。
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