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<第8回>

20年経った今でも、

「'90年2月4日、X(JAPAN)初武道館ライブ」の衝撃は未だに忘れられない。

 

X(JAPAN)に出会うまでの俺は、ずっと海外のハードロックとかニューロマンティックが大好きで、'80年からは洋楽ロック誌「Viva Rock」の創刊編集長(前職の音楽専科社)を務めていた。

ただ '89年ぐらいから、普段は日本にいないミュージシャン達との関係に物足りなさと虚しさを感じ始めていた。

 

”何か新しい邦楽ロック誌を立ち上げたい!”

と考えていたけど、当時は既に邦楽ロック誌が乱立していて、人脈もない俺の入る余地はありそうにも無かった。

 

ところが、ほぼ諦めかけていた頃、あるライターの方が、

「邦楽ロックにも星子さんの好きそうなバンドがいますよ」

と教えてくれたのが、X JAPAN(当時はX )だった。

 

そして、運命の2月4日。

 

武道館に入ると、まず超満員の熱気に圧倒された。

 

「何か起きそうな予感だな...」

 

オープニングのSEが流れ始めた瞬間、

「ぎゃーッ!!」「ヨシキーっ!」「ヒデー!っ!」「トシーっ!」「パターっ!」「タイジーっ!」

の大歓声が会場中に鳴り響く!!

 

「何なんだ、こりゃ!?」

 

5人が次々に繰り出ヘヴィなサウンドと、その奇抜な衣装とメイクに目と耳が釘付けになってしまった。

TOSHIの伸びやかなヴォーカル、YOSHIKIのパワフルでスピーディーなドラミング、hideとPATAの綺麗に織りなすギターフレーズ、TAIJIのハードに唸るベース、どれもが新鮮な驚きだった。

 

あの時の観客と自分の興奮は、今でもありありと思い出せる。

「すげぇー!!これがXジャンプって言うのか。床が揺れてる!」

 

特に、hideのソロパート「hideの部屋」は圧巻だった。

「このエキセントリックで妖艶なモードは何なんだ!?こんなのが日本にもいたんだ!」

 

興奮のあまりライブ終了後は、関係者に成りすまして(笑)、六本木での打ち上げ(初体験だ!)に一人でちゃっかり潜入してたっけ。

邦楽にはほとんど知り合いがいなかったので、心細かったなぁ...。

 

打ち上げ会場の飲み屋は友達のバンドマンが大勢駆けつけてて、赤や緑や黄色や紫の髪でいっぱい!

しかも、みんなメイクを落としてるので、誰が誰だかサッパリ分からん!(笑)。

おまけに、サングラスまでしてる。

 

隣にいた人に、こっそりhideを教えてもらったけど、

「うそ...これじゃ分かんねぇよ」

って感じだった(笑)。