
L→R JOE / Ricky
輝かしき結成25周年の節目を飾る、DASEINの2枚組コンピレーションアルバム『燦然たる我が人生』は彼らの唯一無二なる存在感をあらためて証明する!
ーーこのたびDASEINが発表することになったのは、結成25周年の節目を飾る2枚組コンピレーションアルバム『燦然たる我が人生』です。今作は“過去のアルバムに収録されていないCDシングルやカップリング、コロナ禍以降に発表した配信シングル、ライヴ披露済みの未発表曲、そこに書き下ろしの新譜をプラスした全18曲”を2枚組として構成したものになるそうで、かなりレア感の漂う内容となっている印象があります。
Ricky:DASEINとしてはアルバムをずっと作れてなかったのもあり、2017年に出した3rdアルバム『唯、此処に在る事が愛しくて』以降にシングルとか配信シングルとして発表した曲たちや、ライヴではやってたけど音源化してなかった曲たちを、このタイミングでアルバムにちゃんとまとめておきたかったんですよ。で、結果2枚組になっちゃったわけなんですけど、意味合い的には“DASEINが25周年のタイミングで過去の精算的にかき集めた”コンピレーションアルバムってことなんです。
ーーDisc1の1曲目には天羽~AMOW~coverとして「宙知らぬ未来-BREAK THROUGH THE SKY-」が収録されていますが、天羽といえばRickyさんがDASEIN加入以前に在籍されていたユニットですよね?この選曲はやや意外でした。
Ricky:確かに、僕が天羽をやってた頃から応援してくれている人たちは「びっくりした!」ってこの間のツアー初日([25th Anniversary TOUR 2025「UNIT×UNITE」~弐の伍の言わず 挑む僕らに二言無し~ <UNIT[伍]STYLE>])に言ってましたね。当時とはタイトルが変わっているうえ、ドラムをJOEが叩くことによってアレンジもかなり変わったから、凄くDASEINっぽさの出たカバーになったと思います。
JOE:僕は天羽を当時から聴いてましたし、前にも「BREAK←SHAKE→BRAIN」をDASEINとして音源化してるんで、この曲も違和感とかはなくやれましたね。アルバムの1曲目としても、ふさわしい仕上がりになったと思います。
ーーそのほかにも、今作にはサポートベーシスト・長野典ニさんが楽曲提供してくださったという「サンザッパラ」も収録されていますね。
Ricky:今回、ずっとサポートしてくれてるメンバー全員に「曲をください」って頼んでたんです。ギターの朝井’SCOTTIE’泰生さんとマニピュレーターの山田巧くんも書いてくれてたんですけど、どっちも間に合わなくてテンちゃんのだけ間に合いました(笑)
ーーそんなこの曲には2バスのフレーズがビシッと入っている点も聴きどころかと。
JOE:原曲の段階から、典ニが“僕が叩くであろうパターン”を詰め込んでくれてたんですよ。テンポチェンジしてからのツービートとかも入ってて、ドラマー的に凄く盛りだくさんな曲になってます。凄くカッコいいんですけど、叩くのはちょっと大変ですね(笑)
Ricky:DASEINとしては新鮮な感触の曲で、テンちゃんらしいヤンチャ感も含まれてるから、詞とか曲タイトルはそういうイメージを拡げながら書いていった感じでした。
ーーかと思うと、Disc1にはなんとBlack DASEIN~coverとして「悲しいKissに消えないで」も収録されているのですね。
JOE:これ、もともとはRickyがDASEINのために一生懸命作ってた曲なんです。でも、それを先にブラダーにやられちゃってたんで。今回は逆輸入しました(笑)
Ricky:ブラダーと比べると、DASEINではあれよりちょっと上品に歌ってます(笑)
ーーDisc2で聴ける書き下ろしの新曲「僥倖レゾンデートル」と「燦然たる我が人生」については、それぞれどのようなプロセスを経て生まれた曲になりますか。
Ricky:「僥倖レゾンデートル」の方は凄く難産だったんですよ。というか、紆余曲折を経て最初とはだいぶ違う雰囲気の曲になりました。まずは曲タイトルが先にあって、それをアルバム自体のタイトルにするつもりでいたんですけど、とにかく途中で手こずっちゃって。だけど、行き詰まって諦めかけた頃に全く別の曲として新しく出来たのが「燦然たる我が人生」だったんです。しかも、「燦然たる我が人生」の方が壮大で非常にメッセージ性のある曲になっちゃったんですね。そうしたら、不思議なことに表題曲を作らなくちゃ!っていう重荷が取れたのか、視点を変えてもう1回取り組んでみるかという意識が生まれて、そこから「僥倖レゾンデートル」は歌い上げる系だった原曲とは真逆の、軽いテイストでテンポも今回のアルバムの中では最速の曲に転生しました。
JOE:「僥倖レゾンデートル」の方は、ほんとに期限ギリギリで出来てきたんですよ。
Ricky:アレンジャーでもある山田巧くんに、ワンチャン「間に合うかな?」って出したら見事に仕上げてくれたので助かりました。ということで、このアルバムでは彼のクレジット表記を山田’救世主’巧とさせてもらってます!
JOE:まさにメシアだったよねぇ(笑)
Ricky:歌詞と歌録りもこれはバタバタでしたからね。6月14日が[25th Anniversary TOUR 2025「UNIT×UNITE」~弐の伍の言わず 挑む僕らに二言無し~ <UNIT[弐]STYLE>]のツアー初日だったんですけど、15日に詞を速攻で書いて、16日にレコーディングでしたから。もう半分やっつけで、タイトルの「僥倖レゾンデートル」の意味をそのまま歌詞にしてやりました(笑)
ーー一方、「燦然たる我が人生」は表題曲らしいドラマティックさに満ちた楽曲となっております。音にも詞にも25周年ならではの深みと説得力が滲んでいますね。
Ricky:サビアタマのフレーズだけは前からストックしてあったんですけど、他はアコギ片手に切羽詰まった中で作っていったら、意外と自然にメロディが繋がっていきました。多少のフォークっぽさはありつつ、JOEのあのドーン!っていう深くて重いドラムの音が重なることで、この曲にはDASEINらしい力強さとスケール感が備わりました。
JOE:この曲はリズムもサビも今までにはなかったパターンで、途中にはRickyからの要望で歌に沿ったドラムソロも入れてるんですけど、そこもやってて楽しかったですね。あと、最後の部分には「絶望の花」(2001年発表のファーストアルバム『現存在』収録)のリズムパターンを崩して入れました。
ーーJOEさんがそのようにされた理由とは、どのようなものだったのでしょう。
JOE:ちょうどアルバムタイトルが『燦然たる我が人生』に決まった頃、Rickyが「ジャケットはこんな感じでどう?」って持ってきたデザインに僕が一目惚れしちゃいまして。で、その画像の中に“絶望の花”が描いてあったんですよ。おまけに、よくよく聴いたらこの曲は「絶望の花」とテンポもほぼ一緒で。それで僕もそこを意識して叩いたんです。
Ricky:「燦然たる我が人生」は「絶望の花」に対するアンサーソングじゃないですけど、25年目にしてあれに肩を並べるような曲を作りたいという気持ちで作ったものなんですよ。元をたどると、DASEINは腰を壊して一時はドラムをやめなきゃいけないかもっていう状態だったJOEと、天羽が解散して路頭に迷いそうになってたRickyが出会って、絶望の中でお互いの存在そのものが希望の花となったところから始まってるバンドですからね。それにくわえて、この詞の中では〈燦然たる〜〉っていう表現に対して〈惨憺たる~〉っていう言葉も組み合わせて使っていて、対比的な言葉遊びをしながらも、今の時代や社会に対しての風刺みたいなものを歌ってたりもします。
ーー「燦然たる我が人生」の曲と詞は、つくづく含蓄が深いものとなっておりますね。
Ricky:いや、もうね、どうしたって綺麗事だけじゃ生きていけないんですよね。おそらくこの世はというか人類はどうしようもないアホで、どんなに文明が発達しようとも争いだけはバカの一つ覚えみたいにやり続けるじゃないですか。しかも厄介なことにお互いに自分こそが正義だと言い張って争うわけです。もう何が正しくてどっちが悪なのかの区別も曖昧だし、そんな絶望的で惨憺たる世の中を良くしようなんて考えてたら命がいくつあっても足りないので、ここは開き直って自分の人生をより良いものにするためだけに一生懸命になればいいんじゃないかと思ったりもするんですよね。本来、正しく生きるために必要なのは争いではなく慈愛や自愛であって、大事な人や自分自身に対する優しさに満ちた行いこそが結果的に「燦然たる」と呼べる人生になるのではないかと。ただ、それを貫くために時には戦わないといけないというなんとも皮肉な人間社会の宿命ですよね。自ら燃える地球を背に、DASEINという正義の旗を掲げ独自の世界で戦い続ける、そんなメッセージが今回のジャケ写には描かれたりしてます。
ーー『燦然たる我が人生』のリリース後、8月に東名阪で開催される[25th Anniversary TOUR 2025「UNIT×UNITE」~弐の伍の言わず 挑む僕らに二言無し~ <UNIT[伍]STYLE>]でもぜひDASEINの勇姿を感じさせてくださいませ。
JOE:ここまで25年の中で、DASEINはふたりで唯一無二の“HYPER BEAT ROCK”というものを作りあげてきて、日々それを進化させて来たわけですからね。今度のライヴでもそこはしっかり伝えていきたいと思ってます。
Ricky:DASEINってふたり揃ってけっこうバカもやるんで、わりと“面白い人たち”みたいなイメージもあるとは思うんですけど、音楽的にやってること自体はとてもシリアスで、ドラムの手数は凄まじいしヴォーカルもハイトーンだしでだいぶスリリングなことをやってると思うんですよ。そもそもバンド名自体が哲学用語だったりもするし、歌詞を含めての世界観は控えめに言っても「普通じゃない」。今回のツアーではその「普通じゃないDASEIN」を改めて見せつけていこうという想いがあります。SET LIST的にはアルバム曲を主軸にしてるので比較的最近のDASEINなんですが、衣装やヘアスタイルは令和版の「あの頃」を意識してますので、デビュー当時を知らないファンには「あの頃」を感じてもらって、知ってるファンにはそうそうこれこれ!とDASEINというアイデンティティを存分に懐かしんでいただきたい!
写真:岡本麻衣 (ODD JOB LTD.)
取材:杉江由紀
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