【ヲタ評×キルラキル(前)】
父親の仇を探す為、現場に残された片太刀バサミの謎を追って本能寺学園に転校した纏流子。しかしそこは、身に着けた者に人外の力を与える極制服を着た生徒会役員達に支配されていた――
キルラキル 1 [Blu-ray]
第五回目はなんと前後編。
お題は今期一番ホットなアニメと言われる、そう――
『キルラキル』
本作は人気作品、グレンラガンを製作したスタッフがガイナックスから独立後TRIGGERとして製作したオリジナル新作アニメなわけだけど。
なんか『キルラキル』って『てーきゅう』に似てない?
あぁ待って、閉じないで! ふざけてるわけじゃないんだから! キルラキルに対する真面目な考察は次回後編でやるとして、今回はキルラキルとてーきゅうの演出及び表現上の奇妙な類似点とその理由を語っていこうと思うわけなのさ。
そもそもこの二つのどこが似ているか。口で言うより見るが早い。って事で、僕の言う事が嘘だと思う人はとりあえずてーきゅうのDVDを買って見比べて見ましょう。
・・・・・・はい、分かったでしょ?
という事で、てーきゅうとキルラキルには以下のような類似点があるわけですよ。
①呑気な視聴者を置き去りにする高速台詞回し。
②中割り(原画と原画の間を埋める絵)を減らした原画(動画の要点となる頭や真ん中、終わりの絵)メインの作画スタイル。
③同一時間上の細かいやり取りを排除した大胆な場面転換。
④それによって生じるカット数の増加。
⑤意図的な作画のデフォルメ化。
大雑把に見ても以上の五点。こりゃ、偶然と言うにはちょっと類似点が多すぎるね。で、勿論僕はキルラキルはてーきゅうのパクリ! みたいなド低脳な戯言を言いたいわけじゃありません。上記の類似点を考察する事で、キルラキルスタッフのブラボーな熱意が感じられると思うわけです。
ではでは、何故このような類似性が生まれたか。これはてーきゅうをベースに考察すれば分かります。てーきゅうは前回説明した通り、漫画原作の低予算三分アニメ。つまり、やりたい事(原作)はあるけど、予算も時間もないアニメなわけだ。
やりたい事ってのは勿論中身の話。限られた時間で原作の内容をやる為、台詞を早回しにしてカット数もじゃんじゃん増やす。でもそうするとアニメーターの負担が激増して予算をオーバーしちゃう。という事で、中割りを減らしてその分厳選した原画を勢いよく流し、半紙芝居的な動画を違和感なく成立させる。絵柄のデフォルメ度が高いのはそうしないと半紙芝居的動画としての調和が取れないから。絵が綺麗だと中割を減らした時にいかにもコマ送りって動画になっちゃうからね。
以上を総括すると、キルラキルはべらぼうに欲張りな作品だと分かる。スタッフはあれもこれもやりたい事が沢山あって、その全てに妥協なく取り組んでいる。濃厚な話を『たった2クール』に収める為に台詞を早めカットを増やし、中割りを抜いた分はきっちり決め絵をぶち込んでくる。抜くべき所をしっかり抜いて高クオリティーを実現した驚異のアニメ。それがキルラキルとてーきゅうの奇妙な類似点の理由ってわけだ!
十文字曳参(じゅうもんじ えいさん)
アニメ、マンガ、ノベル全般を愛する孤高の評論家。
作家、文筆家としても活躍する。
ぬこPの依頼で「ヲタクの評価」のコメンテーターに就任。
「CoTri(当チャンネル)」と「ヲタクの評価」のコラボ企画として、
不定期で色々な作品について語る予定。
ヲタクの評価(テスト運営中)
http://yuruwota.myplayers.jp/
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十文字曳参 著
SDイラスト こたつねこ
企画 こたつねこ(ぬこP)
配信 みらい図書館/ゆるヲタ.jp
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