「十文字曳参のヲタコンテンツ批評」 critique.007「のんのんびより」

【ヲタ評×のんのんびより】

東京育ちの小学生、一条蛍が引っ越した先は、二時間に一度しかバスがこないド田舎だった･･････　空気系田舎の日常コメディー、のんのんびよりの魅力とは！




のんのんびより 第1巻 [Blu-ray]


にゃんぱす～♪

はい、のっけからイライラさせてすみません。
キルラキルが今期の学園バトル物王者候補なら、第七回で扱うのは日常物の覇権候補、のんのんびより！

前回前々回で紹介したキルラキルとは全てにおいて対照的な本作品。あちらが高速で展開する怒涛の『動』だとすれば、こちらは凪いだ湖面のように平坦な『静』のアニメ。

キルラキルがラーメン次郎のマシマシチョモランマだとすれば、のんのんびよりは老舗の蕎麦屋のざる蕎麦って所でしょう。台詞やカット数は少なく、独特の長回しはＮＨＫ大河ドラマのように見る者を世界観に引きずりこむ不思議な空気感を持っている。

一時流行った空気系って言葉は、この作品にこそ相応しいと思いません？
そもそも、大半の日常物は学校や部活等の閉鎖的なコミュニティーの中で純粋にキャラクター同士のやり取りを見て楽しむ物だけど、本作は異色の別物。

そもそも、多くの日常物ではキャラクターのやり取りに重点を置く為、舞台背景は省略されがちだ。本作品の場合は逆に、田舎という広大な世界を最大限活用し、自然体で動き回る小中学生達を観察する箱庭的作品となっている。

そこには巨大な悪や秘められた謎、伏線は存在しない。あるのは圧倒的な平凡感。誇張のない普通の日常の中のちょっとした事件が淡々と垂れ流されるだけなのだ。

と、前回のノリでつい御託が多くなってしまったけど、一言で表すと本作品は可愛い。

圧倒的に可愛い

可愛い＝正義。

だから、のんのんびよりは素晴らしい。以上！

と、これ以上語るのは蛇足以外のなにものでもないんだけど、お仕事なのでもう少し。
能力バトル物が設定的にも展開的にも頭打ちにある中、のんのんびよりのような日常物は多くの伸びしろを残し、日進月歩の進化を辿っている。

本作はあるあるネタの多い日常物から一歩外に飛び出し、田舎という舞台を活用したないないネタや、カット数の少なさから生まれる余剰エネルギーをふんだんに与えられた美麗な背景が見所である。

のんのんびよりは日常物の皮を被った非日常物。田舎という舞台をしっかり活用した、ある種の異世界ファンタジーである点が成功の秘訣の一つであると言える。そして、その魅力を見抜いて的確にアニメ化したスタッフの手腕は凄いよね！

仕事でミスしたり、恋人に振られたり、カレーを作りながら原稿書いてて焦がしちゃった人。のんのんびよりは、いつだってあなたを温かく迎え、荒んだ心を癒してくれる事間違いなしだよ。

あー。のんのんびより毎日放送してくれないかな。
日本中のみんながＤＶＤ買ったら実現すると思うんですけど、どうでしょう？




十文字曳参（じゅうもんじ　えいさん）
アニメ、マンガ、ノベル全般を愛する孤高の評論家。
作家、文筆家としても活躍する。
ぬこPの依頼で「ヲタクの評価」のコメンテーターに就任。
「CoTri（当チャンネル）」と「ヲタクの評価」のコラボ企画として、
不定期で色々な作品について語る予定。


ヲタクの評価（テスト運営中）
http://yuruwota.myplayers.jp/

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十文字曳参 著
SDイラスト こたつねこ

企画 こたつねこ（ぬこP）
配信 みらい図書館/ゆるヲタ.jp

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