【ヲタ評×革命機ヴァルヴレイヴ】
ドルシア軍の攻撃を受け、宇宙都市モジュール77に住む学生達は謎の人型兵器ヴァルヴレイヴを使って応戦するが――世界を暴く物語、革命機ヴァルヴレイヴの魅力とは!?
革命機ヴァルヴレイヴ 2nd SEASON 1 [Blu-ray]
僕じゃな~い~僕じゃない~僕じゃ~な~い~♪
というわけで第十三回のテーマはアニメ『革命機ヴァルヴレイヴ』
今回から暫くは冬の大メカ物祭りと題して最近放送したメカ物アニメを評論していきたいと思います!
本作品はサンライズ製作のオリジナルロボット。
内容を簡単に説明すると、
未来、人々の多くは宇宙に移動し、世界には大きな二つの勢力が存在する。主人公である時縞ハルトはどちらにも属さない中立国ジオールの人間で、ここに大国ドルシアが攻めてくる。
すったもんだの末主人公は謎の人型兵器ヴァルヴレイヴに乗り込みドルシア軍を撃退。孤立した宇宙都市を生き残りの学生達で運営しながら現状打破の為宇宙を旅する、といった内容。
言うまでもなく、ヴァルヴレイヴがガンダム、宇宙都市はホワイトベース、ニュータイプの代わりにカミツキという特殊設定を用いた非常にガンダム的な作品だ。
しかし、本作品がただのガンダムの亜流作品かというとそうではない。というか、製作がサンライズなのでガンダムを作りたいなら素直に作ればいいわけで。本作はサンライズが培ったメカ物ノウハウを生かす為あえて作った、脱ガンダム的ガンダム作品と言える。
その為、作中にはガンダム作品との差別化の為の工夫が随所に見られる。その中でも特に重点を置いているのがカジュアルさだ。
本作は二つの勢力の間で喘ぐ中立国ジオールの生き残りであるモジュール77を、子供達の楽園であるネヴァーランドに見立て、大人対子供の構図を明確にしている。その為、本作の見所の一つとして、昨日まで普通の学生だった子供達がモジュール77を独立国家として自治していく様子があげられる。
なんて言うと、かなりお堅い話のような気がするけど、ようは等身大の子供達の青春活劇。そこに現実社会で見られる各種ムーブメント、例えばツイッター、SNS、ユーチューブやアイドルカルチャーなどをぶち込み、今風の見せ方を採用している。
正直、戦争中に何を脳天気な!
と思える点が非常に多く、尺の多くを本筋よりもキャラクター達の青春描写に割き、若干間延びしているように見えなくもない。けれど、ナウなヤング達の視点から見ると、明日の生き死により今日の青春が大事なわけで、日常パートの細かい人間模様を描写する事で特に若年層の感情移入を狙った作りになっていると言える。
また、ニュータイプという解釈の難しい設定を、パイロットの心身を戦闘を通して蝕むカミツキに置き換える事で、学生から兵士にならざるを得なかった少年少女達の苦悩をわかりやすく描く事に成功している。
それら、等身大の子供達の視点を軸に置いたカジュアルさがあるからこそ、不意打ちに訪れる戦争の悲劇が効果的に胸を打つ。ガンダム作品が演出する悲劇はどうしても大局的な物になりがちだが、ヴァルヴレイヴにおける悲劇は昨日まで席を並べて勉強していた友人に降りかかり、だからこそ身近に感じられる。
ガンダム作品が戦争を通して子供達が無理やり大人になる事を強いられる作品だとすれば、本作はそれをより強調し、明確にした作品だと言える。
それらを総括した上で今後気になるのは、本作がガンダムを超える物になるのか、数多のガンダム亜流作品の一つとして埋没してしまうのかという点だろう。
現在二期が放送中の本作、一期未視聴の方はDVDを購入し、共にサンライズの挑戦の行く末を見守ろうじゃないですか!
十文字曳参(じゅうもんじ えいさん)
アニメ、マンガ、ノベル全般を愛する孤高の評論家。
作家、文筆家としても活躍する。
ぬこPの依頼で「ヲタクの評価」のコメンテーターに就任。
「CoTri(当チャンネル)」と「ヲタクの評価」のコラボ企画として、
不定期で色々な作品について語る予定。
ヲタクの評価(テスト運営中)
http://yuruwota.myplayers.jp/
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配信 みらい図書館/ゆるヲタ.jp
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