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「十文字曳参のヲタコンテンツ批評」 critique.020「ステラ女学院高等科C3部」
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「十文字曳参のヲタコンテンツ批評」 critique.020「ステラ女学院高等科C3部」

2014-02-04 13:00


    「十文字曳参のヲタコンテンツ批評」
    http://ch.nicovideo.jp/contri/blomaga/tag/103

    【ヲタ評×ステラ女学院高等科C3部】
    ぼっち気質のコミュ障系女子大和ゆらは、内気な自分を変える為にステラ女学院高等科に入学する。そんなゆらに目をつけたのは曲者揃いのサバゲー集団、C3部の面々だった。どうしてこうなった! 不可解系サバゲーアニメ、ステラ女学院高等科C3部の魅力とは?


    020.jpg

    「ステラ女学院高等科C3部(しーきゅーぶ)」 1 [Blu-ray]



    コマンド! コントロール! コミュニケーション!
    (こ、こみゅにけーっしょん???)


    冬の大ミリタリー×女子祭り第二弾は、アニメ『ステラ女学院高等科C3部』

    本作は月刊ヤングマガジンで連載中の漫画、特例措置団体ステラ女学院高等科C3部をガイナックスがアニメ化した物。内容は内気な主人公がサバゲーを通して変化していく様を描く王道的な部活物なのだが・・・・・・

    前回評論したガル&パン同様、サバゲーを題材にしたC3部もミリタリーから戦争要素の排除を行った作品であるが、本作品は成功とは程遠い結果に終わっている。

    今回はC3部の失敗を評論しつつ、反面教師的な教訓を見出していこうと思う。
    最初に言いたいのは、アニメ版C3部は原典である漫画版の内容を大幅に改編し、それが悪い方向に作用しているという事である。

    漫画版の主人公はアニメ版のように根暗ではなく、作風も明るい。サバゲー要素はいかにもミリタリー漫画といった説明が多いが、だからこそ愛を感じる事が出来きで、アニメ版のような迷走は見られない。

    アニメを見てC3部をつまらないと思ってしまった人には、是非漫画版を購入して再度判断して頂きたいと思う。

    さて、本作の失敗点だが、テーマのブレが大きな原因になっているだろう。作品の見出し、OP、EDの雰囲気から、視聴者は本作品にガル&パン的なスポコンや、けいおん!のような部活系日常感を期待したはずだ。

    それが蓋を開けてみれば、ガル&パン程のスポコン要素はなく、けいおん!と比べると(それどころか、数ある部活物と比べても)あまりに人間関係が殺伐としていて、まったく萌える事が出来ない。

    勿論、萌が全てではない。昨今は萌を中心に申し訳程度の本筋でお茶を濁そうとする作品が多い中、等身大の弱さや身勝手さ、卑屈さを備えた主人公の栄光と没落を描くというのは挑戦的で、その点に関してはガイナックスらしいと言える。

    しかし、それをしたいのならばオリジナル作品でやるべきだし、最後までその覚悟を貫くべきである。本作品は全体を通して主人公の抱える卑屈な人間性が影を落とし、作品を後味の悪い物に変えている。

    てっきり筆者は十三話目を見て初めて完成する、耐えの必要な作品かと思っていたが、特にそんな事もなく、十一話までで溜めた鬱憤が十二話で発散される事なく有耶無耶にされ、十三話では今までの話が夢だったかのように当初望んでいた明るいコメディータッチのエピソードが流れて終了する。

    話の構成に一貫性が伺えず、全話を通して視聴してもまったく主人公を愛する事が出来ない。EDの「コマンド! コントロール! コミュニケーション!」という台詞が聞こえる度、心の中で(こ、こみゅにけーしょん???)と首を傾げてしまう出来だ。

    また、サバゲー物でありながら、サバゲー描写のクオリティーが低く、銃器の特性や戦略性が描かれる場面はほとんどない。

    極端な事を言えば、サバゲーである必要がまったくない。
    (ついでに言えば原作付でやる意味もまったくない)

    何がしかの熱意だけは感じられるのだが、原作やそれが抱える題材に対する愛が圧倒的に不足しているように思われ、それが失敗の原因になっているのは明らかだ。

    作品を成功させる為には、ある程度の知略が必要とされる。大勢に受け入れられる物にする為、時には非情な判断で要素を削り、作品の方向性を明確にする事が必要だ。そして、それ以上に大事なのは作品に対する愛である。

    作り手が作品を愛し、どんな所が愛しいのかを的確に演出する事が出来れば、作品は自然と魅力的な物となる。反面、作り手が愛を持たず、エゴイスティックな熱意だけで作品を作れば、作品は迷子になり、視聴者は勿論、作り手の手からも逃げていく奇怪な問題作となってしまう。

    奇作の多いガイナックスだが、このような駄作は珍しい。そういう意味では、ガイナックスフリークには是非お勧め出来る一本と言える。

    また、EDに関してはこれぞアニメのEDと言える素晴らしい出来なので、その二点に価値を見出すのなら、DVDを買う価値はあると言える。





    十文字曳参103.jpg(じゅうもんじ えいさん)
    アニメ、マンガ、ノベル全般を愛する孤高の評論家。
    作家、文筆家としても活躍する。
    ぬこPの依頼で「ヲタクの評価」のコメンテーターに就任。
    「CoTri(当チャンネル)」と「ヲタクの評価」のコラボ企画として、
    不定期で色々な作品について語る予定。


    ヲタクの評価(テスト運営中)
    http://yuruwota.myplayers.jp/


    十文字曳参 著
    SDイラスト こたつねこ

    企画 こたつねこ(ぬこP)
    配信 みらい図書館/ゆるヲタ.jp



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