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「十文字曳参のヲタコンテンツ批評」 critique.027「生徒会役員共*」
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「十文字曳参のヲタコンテンツ批評」 critique.027「生徒会役員共*」

2014-03-24 13:00

    「十文字曳参のヲタコンテンツ批評」
    http://ch.nicovideo.jp/contri/blomaga/tag/103
     

    【ヲタ評×生徒会役員共*】

    男女比1対18。ほとんど女子高の桜才学園で生徒会に入った平凡な少年津田タカトシと、彼を取り巻く脳みそ桃色淫語ガールズ達の日常を描いた作品。●●●、****! ×××××!!! 飛び交う自主規制の嵐、生徒会役員共*の魅力とは!

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    ピーーー、バキュンバキュンバキュンバキュン!

    本作は週刊少年マガジンで好評連載中の漫画、生徒会役員共のアニメ化二期作品。男子28人、女子524人の桜才学園に入学し、生徒会に入った津田少年と、一見真面目だが口を開けば淫語ばかりの生徒会役員共の日常を描いたコメディー作品である。

    2014年冬アニメの特徴として、性表現の多さが挙げられる。旧来の性表現を匂わせるギリギリなエロやラッキースケベに比べ、直接的な表現が非常に増えている。キルラキル、最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが、のうりん等々。これらを全て一括りに露出系と言う訳ではないが、事実として挙げておく。

    生徒会役員共*は、そういった性表現の目立つ作品の中でも突出した存在と言えよう。性表現は本作の主軸であり、面白さの根幹を成している。ビジュアル面での性表現こそほとんどないが、代わりに台詞としての直球表現が多く、それなしでは成り立たない作品と言える。

    意外と言えば失礼にあたるのだろうが、本作の人気は高い。特に主軸となるエピソードがあるわけでもなく、キャラデザもズヴィズダー、キルラキル等の持つキャッチーさに比べればいかにも弱い。キャラクター性も同様で、全体を通して性的にオープンなキャラクターという縛りがある為か、個々の描き分けが難しいのだろうと察せられる。

    それでも、本作は一定した人気がある。マンネリと言ってしまえばそれまでだが、主軸がなく、閉じた世界で繰り広げられる物語は良くも悪くも安定感があり、曲者揃いの2013年冬アニメの中では、流し見枠としての地位を確立しつつあると言えよう。

    個人的な趣向で言えば好みではない。それでも、一期は楽しんで見ていた事を告白する。それ以上の評価は個人の好みの範疇でしかないので割愛して、今回は二期作品としての批評に焦点を当てていこうと思う。

    よろしくない。オープニングの出来は独特の始まりもあって高評価だが、本編の演出に問題を感じる。本作は帰宅部活動記録やえびてん等の会話劇主体の部活物作品の大枠にくくられる。これといって大きなドラマがあるわけでもなく、あくまで面白さの主体はキャラ同士の掛け合いにある。また、ネタ自体もくだらなく、そのくだらなさ、しょうもなさが気取った感じのない気楽な笑いを提供してくれるものと分析している。

    作画が豪華すぎるのだ。一期は良くて平均的、全体で見れば低予算アニメにくくられる作画クオリティーであり、演出だった。それでいいと思う。この手のアニメに過剰な演出を加えるのは、それこそ演出過多であり、作品の魅力である気の抜けた笑いを殺す事になる。

    実際、本作は京アニ作品かというくらい多彩な構図を使い、色彩表現や背景も綺麗である。褒め言葉ではない。駄菓子的な味わいが売りなのに、高級レストランにいるような気分で落ち着かない。作品の内容と演出が不一致を起こし、会話劇に集中できず、ながら見アニメなのに疲れてしまうという本末転倒な事になっている。

    試みとしては面白い。今まで、この手の気軽な作品(けっして悪い意味ではない。筆者としては、四コマ漫画と壮大なストーリー物はそれぞれ別の良さと役割、需要があると思っている)にこれだけの予算をかけたケースは稀だ。ただ、本作に関しては残念ながら、上手く機能していないだろう。

    業界全体が低予算方向で動く中、かけなくていい労力をかけ、このような演出を採用したのはある種の冒険であり、作品の評価とは無関係に、その姿勢は評価するべきである。せめて構図の工夫の吹き出し等の演出、どちらか一本に絞った方が効果的だったのではと思わなくもない。

    苦言の批評になったが、演出以外は大きな変更点もなく、原作の進行に伴い魅力的なキャラが増加している。突っ込み役である津田少年を演じる浅沼晋太郎氏の演技にも磨きがかかり、個人的には刺さらないネタも、演技の力技で爆笑に変えられる場面が多い。

    そういった面から見ると、本作は緩コメディーとして確かな地力を持っていると言える。女性声優の口から飛び出す淫語が聞けるというだけでも、DVDを買う価値は十分にあると言えよう。

    個人的には、スルメとタカトシマッパ!のコーナーがお勧めである。ここだけ全話見たいくらいだ。



    十文字曳参103.jpg(じゅうもんじ えいさん)
    アニメ、マンガ、ノベル全般を愛する孤高の評論家。
    作家、文筆家としても活躍する。
    ぬこPの依頼で「ヲタクの評価」のコメンテーターに就任。
    「CoTri(当チャンネル)」と「ヲタクの評価」のコラボ企画として、
    不定期で色々な作品について語る予定。


    ヲタクの評価(テスト運営中)
    http://yuruwota.myplayers.jp/


    十文字曳参 著
    SDイラスト こたつねこ

    企画 こたつねこ(ぬこP)
    配信 みらい図書館/ゆるヲタ.jp




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