「十文字曳参のヲタコンテンツ批評」
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【ヲタ評×ウィッチクラフトワークス】
社会の影で工房の魔女と搭の魔女、二つの勢力が対立する街。普通の高校生として生活していた多華宮仄はある日、校内一の人気者にして姫の異名を持つ火々里綾火が魔女だと知る。おねショタ垂涎の学園異能バトル、ウィッチクラフトワークスの魅力とは!?
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多華宮君は私のお姫様だから――
本作はgood!アフタヌーンにて好評連載中の漫画、ウィッチクラフトワークスのアニメ化作品。現代のとある街、普通の高校生である多華宮仄は、歴史の影で対立してきた工房と搭、二つの魔女勢力の争いに巻き込まれて~というのがあらすじである。
本作の魅力は三つ。主人公である多華宮君と火々里さんのおねショタ(お姉さん×ショタ)的関係、多様な萌属性を背負うモブヒロイン達、CGを多用したド派手で綺麗な映像美である。
主人公とヒロインのおねショタ関係、およびキャラクター造形は本作の看板と言っていい。おねショタは萌属性の中ではマイナーで、それを中心に持ってきた作品は少ない。お姉さんがヒロイン、サブヒロインという作品はないではないが、主人公がショタ属性という作品はかなり稀だ。勿論、読者の皆様の中には、本作をおねショタ物に括る事に違和感を覚える方もいるだろう。「何を馬鹿な事を言ってるんだ。多華宮君と火々里さんは同い年の同級生じゃないか!」と。確かに、年齢的だけ見ればそうなる。だが、おねショタの萌を分解すれば、男性の弱体化(子供化)と、ヒロインの強化(母化)という事になる。本来守る側の男が守られる側に回り、本来守られる側のヒロインが守る側に回る。いわゆる騎士と姫の逆転現象の極端化がおねショタであるとすれば、やはり二人の関係は実質的におねショタだと言える。母に似た愛を与える庇護者としてのヒロインは、男性の理想である母のような彼女であり、多くの男性が大なり小なり抱えているマザコン精神を強力に刺激する。また、姫である多華宮君が十二話を通していかにして騎士の座に返り咲くかというのも、ストーリー的な見所と言える。
次に、多様な萌属性を背負うモブヒロイン達。本作は登場人物がかなり多い。1クールアニメとして見れば、普通なら過剰になり持て余す数だ。下手に出番を与えればその分尺を裂いてエピソードを回収しなければいけなくなる。しかし、本作は他の女の子キャラをサブヒロインではなく、モブヒロインとして描き、半群像劇風に描く事で物語の散漫化を防いでいる。主軸はあくまで多華宮君と火々里さんの物語であり、他のキャラは皆、等しく添え物の扱いだ。そして、その添え物に対する力の入れ具合が大きな魅力となっている。モブヒロイン達は皆、本来ならサブヒロインになれるだけの強烈なキャラクター付けがなされており、作中でも強い個性を持って振舞っている。そこに明確なストーリーはないが、それを予想させる断片的な情報だけはあちらこちらに無造作に転がっている。その余白により、視聴者は彼女達のサブストーリーを脳内保管し、思い思いに最適化して、本編とは無関係に楽しむ事が出来るという仕組みだ。
最後に、CGを多用したド派手で綺麗な映像美。異能バトル物は多いが、その力を派手に行使している作品は実は多くない。構図やシチュエーションなども似たり寄ったりで、またこういうのかと思う事がよくある。本作は戦闘や修行シーンなどで大胆にCGを多用し、新鮮な絵作りに腐心している。上記二つは原作の良さ(モブの見せ方はアニメ化の良さとも言えるが)だが、こちらはアニメならではと言える。躍動感、疾走感、壮大で、ド迫力、見上げるような巨大さに、凄まじい数の暴力。非常に見応えがあり、是非違法動画サイトなどではなく、DVD等を購入して視聴していただきたい。
本当は火々里さんとメデューサ配下の搭の魔女(主に倉石たんぽぽちゃん)の魅力についてもっと語りたいのだが、紙面の都合によりこの辺で失礼する。
十文字曳参(じゅうもんじ えいさん)
アニメ、マンガ、ノベル全般を愛する孤高の評論家。
作家、文筆家としても活躍する。
ぬこPの依頼で「ヲタクの評価」のコメンテーターに就任。
「CoTri(当チャンネル)」と「ヲタクの評価」のコラボ企画として、
不定期で色々な作品について語る予定。
ヲタクの評価(テスト運営中)
http://yuruwota.myplayers.jp/
十文字曳参 著
SDイラスト こたつねこ
企画 こたつねこ(ぬこP)
配信 みらい図書館/ゆるヲタ.jp
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