【ケルブレ小説】久我山家の日常・その1
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【ケルブレ小説】久我山家の日常・その1

2016-12-13 05:06
    この小説はケルベロスブレイドの二次創作小説となります。
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    久我山家の日常・その1

    「ぐおー、ぐおー」
     深夜、久我山椎名は隣の部屋で寝ている同居人のいびきで目を覚ました。妹の七瀬は椎名の横で健やかな寝息を立てている。
    「くそっ、目が覚めてしまった。賞金稼ぎをしていた時はこの程度の事で目を覚ます事など無かったのだがなぁ……」
     完全に目が覚めてしまった椎名は、横で寝ている妹を起こさないように起き上がると、キッチンへと向かった。室内は暖房の熱で乾燥し、椎名の水分をかなり奪い去っていた。冷蔵庫のゲロルシュタイナーで水分を補給し、寝室に戻る。
    「姉さん……」
     椎名の夢でも見ているのか、七瀬は幸せそうな顔で寝入っている。幼いころに誘拐され、つい最近まで奴隷にされていた、七瀬。そんな彼女を救出したのが、実質的に椎名の賞金稼ぎとしての最後の仕事となった。
     以後は妹と師匠と共に、ケルベロスとして活動している。師匠というのは、今、隣の部屋で大いびきをかいて爆睡している同居人、クーガー・カレルレン。
     最近の椎名の悩みと言えば、クーガーの事が多い。嘗ては、名うての剣士として裏社会で名を馳せ、椎名の剣術の師匠でもあったのだが、数年ぶりに再開した彼女はネット依存の引きこもりと化していた。七瀬救出の際にはその腕が錆びついていないことを存分に示したのだが、その後は基本的に自堕落、無生産でぐうたらな日々を送っている。前に住んでいた家を家賃滞納で追い出されたので、椎名の家で引き受けたのも不味かった。いろいろと世話になった過去があるだけに、久我山姉妹はクーガーに甘くなってしまう。月に何日かケルベロスの仕事をするだけで、後は自室でネット三昧な彼女に、ついついそのままにさせてしまうのだ。
    「いかんなぁ、これではいかん……」
     寝床のマットレスの上で、椎名はばりばりと頭を掻いた。ケルベロスの仕事は、出不精ながらこなしているので、クーガーは全くの無職というわけではない。
     しかし、今のままでいいのか。
     ギラギラした野生を身に、冴え渡る剣の技を伝授してくれた師匠――そんなクーガーが毎日毎日、引きこもりきりでPCの前に張り付いている姿を見るのは、椎名にはあまりに忍びなかった。
    「うーん、そうだな……よし、ひとつ策を打つとしてみるか!」
     数刻悩んだ後、椎名の頭にひとつの考えが纏まった。劇的に現状を打破できるような策ではないが、何もやらないよりはマシだと考える。
     そう。
     だいぶマシになる可能性があるのだ。

    「はぁ、オレが、なんだってぇ!?」
     明けて、朝。
     食事の席で椎名はクーガーに、夜中に思いついた策を話した。クーガーは引きこもりであるが、毎食に顔を出すぐらいには義理堅い。椎名の話を聞いたクーガーは案の定、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていた。
    「ご飯粒、飛んでます……」
     クーガーが飛ばした米粒が顔についた七瀬だったが、それをティッシュで拭うと、それ以上は何も言わずに黙々と食事を続ける。
    「では、もう一度だけ説明するが、三度目はないかよく聞け」
    「お、おう……」
     至って冷静な椎名に、クーガーも席に腰を下ろす。
    「師匠にも旅団に入って貰う。有無は言わせん」
     ケルベロス諸氏が集まって運営される組織、旅団。面倒だからといって、今までそれらには入ろうとしなかったクーガーに、椎名は入るように促したのだ。
    「い、いや、だけどな……そういうのに入ったら、ネットする時間も減っちまうし……」
    「入らないのならば――そうだな。家を追い出しまではしないが、ネット回線を解約する」
    「マジか……」
     クーガーが使っているネット回線の契約主は、家主である椎名だ。ネット三昧を続けているクーガーにとっては、ネット回線の解約=強力な兵糧攻めにほかならない。
    「ネットなしに一日中家でごろごろしているか、ネットができる環境で時間を作って旅団の活動に参加するか。師匠の性格で、前者はキツイと思うがな」
    「くそっ、椎名。オマエ、性格悪くなったな」
    「この性格は元からだ。さぁ、どうする?」
     真摯な視線でクーガーを見据える、椎名。
     クーガーは3分ほど悩んだ結果、答えを出した。
    「わぁったよ。旅団に、オレも参加する。すればいいんだろ!」
    「うむ。よろしい」
     どちらが師匠で弟子だか判りかねるところだが、問答は終了した。
    「ごちそうさまでした」
     そんな師弟をよそに、七瀬はお茶碗一杯のご飯と味噌汁とおかずを完食し、箸を置いたのだった。
        ――――――――――――――――――――――――――――――――――
    はい、とりあえず、第一回目の投稿はこんな感じですかね。
    ではでは、また次回。                   echo 2016/12/13 5:05
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