• 遊戯王から学ぶ、カードゲーム創作の脚本術  第2回「デュエルで描くキャラクター」

    2020-03-16 19:401




    前回「偶然を必然にする方法」について語らせていただきました。
    読んでいない方は、こちらもよろしくお願いいたします。

    今回はデュエルを使った「キャラクター」の描き方について少し話そうと思います。


    1.漫画のカナメはキャラクターにあり!!


    漫画の描き方の考え方の1つに「基本四大構造」というものがあります。
    「キャラクター」・「世界観」・「ストーリー」・「テーマ」の4つによって漫画は構成されているという考え方で、その中でも特に「キャラクター」が最も重要であると言われています。

    これはとても納得のいく話で、過去のヒット作の多くにおいても、キャラクターたちの葛藤や人間ドラマがファンの間でも語られることの多い重要な要素となっています。

    つまり、創作が広く人気を得て大きな需要を見込めるようになるには「キャラクター」というものがとても大切なのです。

    しかし、ここに問題があります。
    『遊戯王』などのゲームを題材とする作品の場合、ただゲーム内容を書くだけではキャラクターが描けないのです。


    2.デュエルでキャラクターを描け!!


    ではどうするのか?
    答えは単純です。
    デュエルの中で「キャラクター」を書けばいいのです。

    『遊戯王』で使われている方法はいくつもありますが、今回は以下の2つについて解説しようと思います。
    1)使用するカードでキャラクターを表現する。
    2)デュエル内容自体でキャラクターを描く。

    それぞれについて解説していきます。

    まずは1つ目、「使用するカードでキャラクターを表現する」についてです。
    この手法は、原作『遊戯王』に登場する決闘者のほぼ全員に使われています。

    実際、原作者の「高橋和希」先生自身もキャラクターの心の形をモンスターに反映させていると何度か話されています。

    まずは、その中でも特に印象的な描かれ方をしている「孔雀舞」と彼女のカードについてお話ししようと思います。



    文庫版遊戯王6巻より 著:高橋和希


    最初に「孔雀舞」が登場した王国編で彼女が使用していたのは【ハーピィレディ】デッキで、大量のサポートカードで「ハーピィレディ」1体を強化し続ける戦術を取るデッキでした。


    文庫版遊戯王5巻より 著:高橋和希


    作中のデュエルでは、その強力な戦術で城之内や遊戯を追い詰めます。
    しかし、この戦術を彼女が使う理由はたた強力だからというだけではありません。
    なぜなら、この戦い方には「彼女自身の考え方が表れているのです。

    作中で彼女は言います、「他人は頼れない」「今までずっと1人で生きてきた」っと。
    これまでの彼女は孤独で、強くならなければ生きていけなかったことを想像させます。


    文庫版遊戯王6巻より 著:高橋和希


    そう、彼女のデッキは「これまでの彼女の人生観」そのものなのです。

    孤独な彼女のデッキには仲間がいません。
    「万華鏡」で分身し「ペットドラゴン」を従えようと、それは自分自身、あるいは利用すべき下僕であり、決して対等な仲間ではないのです。


    文庫版遊戯王8巻より 著:高橋和希


    しかし、次に彼女が登場したバトルシティ編では、彼女のデッキは「アマゾネス」たちという「対等な仲間」を得たデッキへと変ります。

    これは、王国編を通して遊戯たちと関わった彼女が仲間を得たことを示しているのです。


    文庫版遊戯王15巻より 著:高橋和希


    このように、使用するカードで「キャラクター」の考え方やその変化を表現しているのです。


    他の例で特に印象深いのは、「ペガサス」の「トゥーン」でしょうか。
    彼の使う「トゥーン・ワールド」はモンスターに無敵の力を与えるというとんでもない効果で、当時の読者に強い衝撃を与えました。



    文庫版遊戯王8巻より 著:高橋和希


    しかし、「ペガサス」がこのカードを製作したのはただ強いカードを作りたかったというだけではありません。

    後に作中で語られるのですが、「ペガサス」は若い頃に恋人と死別し絶望しています。
    そんな彼にとって、「死」は最も恐れるべきものなのだと推測できます。





    「トゥーン」となったモンスター達は決して死ぬことはありません。
    そう、彼らは「ペガサス」の願いの形そのものなのです。



    文庫版遊戯王8巻より 著:高橋和希


    その他の「キャラクター」に関してもこの「使用するカードでキャラクターを表現する」手法は取られていますので、自分なりの想像をしてみるのも楽しいと思います。



    次は2つ目、「デュエル内容自体でキャラクターを描く」についてです。
    これも様々な場面で使われているのですが、最も印象的に描かれている10巻(文庫版6巻)収録の「遊戯vs闇のプレイヤーキラー」を見ていきましょう。


    文庫版遊戯王6巻より 著:高橋和希


    大会運営からの刺客である「闇のプレイヤーキラー」(以下、闇PK)は、深夜に大会参加者たちに勝負を挑み、狩っていきます。

    夜はフィールドのパワーを受けられず、「闇晦ましの城」の出す「闇」に隠れた彼のモンスターが視認できないため、参加者たちは圧倒的に不利な条件のもとで負けていきます。


    文庫版遊戯王6巻より 著:高橋和希


    闇PKと戦う事となった遊戯もまた、その戦術に苦戦します。
    しかし、追い詰められた状況でも遊戯は余裕を崩さずに言葉で翻弄します。
    彼は遊戯の挑発に乗るままに罠にかかり、最終的には「光の護封剣」により身を守っていた「闇」も奪われてしまいます。


    文庫版遊戯王6巻より 著:高橋和希


    危機感を感じた闇PKは「カオスシールド」で守りを固めるのですが、それを見た遊戯は
    「闇」や「シールド」の中に隠れているという絶対的に有利な状況でしか動けない闇PKの心の弱さを指摘します。



    文庫版遊戯王6巻より 著:高橋和希


    最後は遊戯に「闇晦ましの城」を落とされ、自らの「シールド」で逃げ場を失っていた彼のモンスターは全滅してしまいす。



    文庫版遊戯王6巻より 著:高橋和希


    作中に彼の登場シーンはデュエル以外にはほぼありません

    しかし、読者にも彼が「常に自身を有利な状況に置きたがる臆病さを持ち」「挑発にすぐ乗ってしまう精神的な弱さがあり」「不利になったら保身に走る」人物であることが分かります。

    そう、使用するカードだけでなく、デュエルの中で起こった出来事にどう対処するかでもキャラクターを描く事ができるのです。

    この手法もまた多くのデュエルで使われているので、そのいくつかは別の機会にご紹介したいと思います。

    いかがでしたでしょうか?
    今回はカードゲーム創作における「キャラクターの描写方法」を紹介いたしました。
    今後も遊戯王やゲーム創作に関することなどを書いていこうと思いますので、気になる方は当アカウントやツイッターのフォローも宜しくお願い致します


  • 広告
  • 遊戯王から学ぶ、カードゲーム創作の脚本術  第1回「偶然を必然にする方法」

    2020-03-16 18:562


    カードゲーム小説投稿者、同人ゲームデザイナーの”えすぺら”です。

    今回は、物書きの視点で原作『遊戯王』について語ろうと思います。


    『遊戯王』は「週刊少年ジャンプ」で1996年~2004年まで連載されていた漫画作品です。作品内に登場するカードゲームは「遊戯王OCG」として商品化され、20年以上たった現在も続いています。


    JC遊戯王1巻 著:高橋和希


    これ程長く『遊戯王』が愛されてきた原動力の1つには、間違いなく原作『遊戯王』という作品の人気があります。

    では、その人気を生み出した秘訣は何処にあるのでしょうか?

    それは、作者「高橋和希」先生の巧みな脚本力にあると私は思います。

    原作漫画では各所でその技が光るのですが、今回はその一部についてだけ語ります。



    1.勝利は偶然じゃいけない?

    皆さんは、「ピクサー22の法則」をご存じでしょうか?

    ピクサー22の法則」とは、アメリカのアニメ会社「ピクサー」の元所属作家エマ・コーツ氏が語った物語を作るうえで重要なポイントを22個にまとめた物です。

    この中の1つに、「キャラクターを襲う試練は偶然でも良いが、解決は必然でなければならない」というものがあります。

    例えば、どんな攻撃も通じない物凄く強い怪物にたまたま遭遇して危機を迎えた主人公。
    適当に攻撃したら偶然そこが急所で勝利!!なんて落ちだったら、「えっー」となってしまうでしょう。
    同じ攻撃で倒すにしたって、体の一部をかばう仕草から弱点を推理して攻撃、などの方が見ていて納得感があります。
    しかし、ここに1つの問題があります。


    カードゲームを題材に創作をする場合、偶然という要素がどうしても入ってしまうのです。


    カードゲームの多くには、シャッフルやドローといったランダム要素がそのゲーム性の根底にあります。
    ゲームをプレイする上では、そのランダム性が先の見えない展開を演出し、楽しさの一因となるのですが、それを物語上で描写する際には問題となるのです。

    圧倒的に不利な状況を主人公が逆転しても、それは多くの場合「運よく強力なカードを引けたから勝利できた」という「偶然による勝利」にしかならないのです。


    2.偶然を必然に変える方法


    では、どうすればいいのでしょうか?
    これに対する解決法はいくつかありますが、『遊戯王』では主に以下の2つが使われています。

    1)試練を別に用意して、それを必然で克服する。
    2)相手の必然を自分の偶然にかぶせる。

    それぞれについて解説していきます。

    1つ目、「試練を別に用意する」が使われたのは5巻(文庫版3巻)収録の「遊戯vs海馬2戦目」。
    海馬が最強カード「青眼の白龍」3体を召喚して絶体絶命の遊戯は、次のドローで逆転できなければ敗北するところまで追い込まれます。


    文庫版遊戯王3巻より 著:高橋和希



    遊戯の手札には「エクゾディア」のパーツが4枚あり、残りの1枚を最後のターンで引き当てれば逆転できる状況でした。

    しかし、敗北への「恐怖心」から、カードを引けなくなってしまいます。




    文庫版遊戯王3巻より 著:高橋和希



    そこで思い出したのは仲間との絆、「ピースの輪」。

    1人ではないことを思い出した遊戯は「恐怖心」を克服し、「希望」であるカードを掴むことに成功します。

    

    文庫版遊戯王3巻より 著:高橋和希


    そして、見事に「エクゾディア」の頭部を引き当てた遊戯は逆転勝利するのです。





    文庫版遊戯王3巻より 著:高橋和希

    

    この少年漫画的な燃える逆転劇は私も大好きなエピソードなのですが、冷静に考えると主人公の遊戯自身はこの逆転勝利に余り貢献していません。

    乱暴な言い方をすると、勝てたのはドローしたカードが偶然「エクゾディア」だったから以上の理由ないのです。


    しかし、「恐怖心」からドローできないという「別の試練」を用意することで「恐怖心に打ち勝てたからこそドローという行為をすることができた」という「必然による試練の克服」を作り出しているのです。

    これにより、偶然による勝利を必然のドラマにより塗りつぶし、読者のカタルシスを引き出しているのです。

    この手法は形を変えながら後のアニメシリーズを含めて各所で使われていますので、探してみるのも楽しいかもしれません。



    では次に2つ目、「相手が作った必然に自分の偶然にかぶせる」についてです。

    この手法も色々な対戦で使われていますが、特に印象深いのは20巻(文庫版12巻)収録の「遊戯vsマリクの人形」でしょう。



    文庫版遊戯王12巻より 著:高橋和希


    遊戯が初めて「神」と対峙することになったこの戦い。

    マリク(の人形)は「オシリス」の効果を生かしたコンボ「ゴッドファイブ」の布陣をしき、遊戯を圧倒します。


    文庫版遊戯王12巻より 著:高橋和希



    モンスターの召喚すら封じられて絶体絶命の遊戯。

    誰の目にも勝ち目がないように見えるこの状況で、遊戯がドローしたのは「洗脳」。

    マリクの「リバイバルスライム」を奪うことで、その「再生能力」と「オシリス」の「招雷弾」で「無限ループ」を発生させることに成功し、自らの「生還の宝札」のドローによりマリクは敗北します。


    文庫版遊戯王12巻より 著:高橋和希


    相手の戦術を利用しての逆転劇という、バトルもの創作の中でも最高に燃える展開で、ファンからの人気も高いエピソードです。

    この決着は偶然「洗脳」をドローしたおかげで勝利しているのですが、読んでいると全く偶然とは感じません。

    その理由は敵のマリクが勝利のために用意した最強の戦術という「必然」を遊戯が逆に利用して勝利しているため、その最後のひと押しが「偶然」であっても「必然」による勝利と感じるのです。

    ちなみに、この最強の布陣にはマリクが運よくコンボ用のカードを引けたという偶然の要素がありますが、キャラクターを襲う試練は偶然でも良いので問題とならないのです。

    この試練そのものを利用した手法はカードゲーム以外の創作でも使いやすいので、「遊戯王」に限らず他の作品でも各所で使われています。


    さらに「遊戯vs人形」戦では、ドローの前に勝利をあきらめた遊戯にライバルの海馬が声をかけ、それがキッカケで逆転の戦術に気づいて希望を見いだすという「試練を別に用意する」という手法も同時に使われていてかなり凝った構成となっています。


    

    文庫版遊戯王12巻より 著:高橋和希




    人気の高いエピソードなだけあって、この回の脚本では他にも沢山の技術が使われているのですが、長くなるのでそれはまた別の機会にお話ししたいと思います。

    いかがでしたでしょうか?
    今回はカードゲーム創作における「偶然を必然にする方法」を紹介いたしました。
    今後も、遊戯王やゲーム創作に関することなどを書いていこうと思いまので、気になる方はア当カウントのフォローやTwitterのフォローもよろしくお願いいたします


    著者のTwitter
    著者のカードゲーム小説
    著者のカードゲームのHP




  • 投稿動画の使用素材20200112

    2020-01-12 14:57
    第1回 VRクロユニ選手権!! 前半&後半


    ◆使用ソフト
    VirtualCast
    https://virtualcast.jp/about/

    ◆使用素材

    【BGM】
    るるVR 様 提供楽曲
    https://twitter.com/rurusound

    魔王魂 様
    https://maoudamashii.jokersounds.com/
    yuki 様
    http://commons.nicovideo.jp/material/nc107662
    クニカル 様
    http://commons.nicovideo.jp/material/nc121881

    【効果音】
    音人 様
    https://on-jin.com/

    【イラスト】
    いらすとや
    https://www.irasutoya.com/
    100+
    https://kentei-do.blogspot.com/2019/04/blog-post_526.html