ユーザーブロマガは2021年10月7日(予定)をもちましてサービスを終了します

東方海恵堂、番外編"宴の従者"舞ノ一
閉じる
閉じる

新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

東方海恵堂、番外編"宴の従者"舞ノ一

2017-06-19 20:42

    ニコニ・コモンズ連動(海神の従者

    「これは………!?」


     乙姫の部屋の隅…複雑な模様に紛れて小さな扉がそこにあった。私は弾幕の隙間をぬってその扉に手をかけた。

    「なっ!?」


     いち早く反応したのは風花さんだった。そしてその様子を興味深げに見る乙姫と、弾幕の狭間から殺意に近い視線を向ける花錦さんの二人を背に、私は扉の奥に潜り込んだ。


    ………


     扉の奥は何もない廊下だった。いや、何も存在しない廊下だった。今までに見てきた妖精も、装飾も調度品もここにはない。有り体に言えば殺風景な場所だ。

    「ははーん、どうやらあなたを連れてきたのはあの子みたいね」

     後ろの扉から乙姫様の声がした。後ろを振り返ると、扉から企み顔を覗かせる乙姫様と、二人の姉妹の姿があった。

    「そうね、あの子なら色々できるかも。神様と人魚の合の子だしね」

    「はぁ…あんさんを呼んだのは姉様どしたか、そりゃあ通さんわけにはいきまへんな」

    「あっ、あのっ………姉様には気をつけてくださいね」

     三者三様の激励をもらって、私は廊下をまっすぐに歩いていった。


    ………


     かれこれなん十分歩いただろうか。この廊下、感覚的に言って屋敷の大きさに反して長すぎる。もしかして、あの悪巧み乙姫様に騙されたのか…?と、そんなことを考えていると、

    「…あら、こんな場所にお客様ですか?ここは秘匿の場所、何人も立ち入ることはできませんが」

     未だ長く続いている様に見えた廊下から声がした。その声は人の気配のなさに反して近く、間近で言葉を交わされているような錯覚を受ける。

    「…あぁ、あの娘の意思ですか。また随分と普遍な者を選んだのですね」

     そんな言葉と共に、長い廊下に明かりが点り、見えないと思っていた終端が視界に入ってきた。そこには、青を着た優しげな者と、青を着ない仏頂面な者が立っていた。


    海を創るディバイン
    八尾比 海琴/Yaobi Mikoto


    海に造られるリヴァイアサン
    八尾比 恵/Yaobi Megumi


    「海琴様、そろそろ覚えておいてもらわないと、この方にも私たちにもご迷惑がかかります」

     青を着ない少女が粛々と話しかける。会話に混ざらない方がいいか、それとも…

    「…ま、ここに来たと言うことは、これでようやくあの娘の目的も果たされると言うことね。しかし、なんでただの人間にそれを任せたのかしら?あの娘の嗜好は知れないわ…」

     青くない少女がため息混じりにぼやいた。そんな彼女を青い女性がなだめる。

    「あの娘はあの娘なりに頑張っているのです。それに、こうして結果を残してくれたのですから、そこは認めてあげましょう」

     そういって、青い女性は青くない少女ではなく、私に向かって微笑みを向ける。穏やかなその笑みは、さっきまでの殺伐とした記憶を一気に吹き飛ばすような安らぎに満ちた表情だった。

    「さて、幾度となくいらしたお客様、あなたの目的はこの先です。あの娘に出会ったのなら、どうぞあの娘のお話を聞いてあげてください」

    「あの娘が真剣になって私たちに話を通したんだから、それにふさわしい人間でありなさい」

     よくわからないが、激励をもらったようだ。そしてこの先に、私を連れてきた真犯人がいて、私がここに来た理由を教えてくれる者がいるようだ。私は二人の姿を後ろに、まっすぐと先へ進んでいった。壁があるとわかっていても、それが壁でないことを直感で理解しながら…


    広告
    コメントを書く
    コメントをするには、
    ログインして下さい。