アウトなパクリとセーフなパクリの線引きは? 著作権法における複製
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アウトなパクリとセーフなパクリの線引きは? 著作権法における複製

2015-12-16 22:45
  • 70

前回の記事の反応が意外と良かったので続きます。皆様ありがとうございます……‼!

今回は「セーフな『パクリ』とアウトな『パクリ』」についてです。


前回の著作権に関する知識を前提として書いているので、読んでもいいよ‼という方はそちらからご覧くださいませ。

何か疑問点などございましたら、コメント欄やTwitterにて受け付けております。

Twitter @Hbpp1Do


目次

1基本事項

2どうして「セーフ」なパクリがあるの?

3どこまでなら複製してもセーフなの?

 ①権利の目的とならない著作物

 ②著作物に該当しない場合

 ③私的使用のための複製

 ④教育に関する複製

 ⑤営利を目的としない上演等

 ⑥引用

Pixivは著作権フリー!? (私見)

参考文献は末尾に参照


1、基本事項

前回の要約

ⅰ著作権法は文化の発展に寄与する法律だよ!

ⅱ文化の発展のために著作者の経済的利益や権利を守るよ!

ⅲ文化の発展のために、セーフな複製とアウトな複製を分ける目的があるよ!

(すべての複製を禁止すると文化の発展が阻害されるから)

ⅳ著作物は「思想又は感情を創作的に表現した者であって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属する物を言う」を言うよ!

→ブログもPixivも著作権あるよ!


2、どうしてセーフな「パクリ」があるの?

 パクリ=すべて悪、というわけではありません。前回も言った通り、著作権法は文化の発展に寄与する法律です。全ての複製を禁止したら、逆に文化の発展を阻害する恐れがあります。

 なので、公正な利用、文化の発展に寄与するような利用なら「権利者の許可を得なくてもOKですよ!」となっています。この「許可を得なくてもOK!」な場合は、全て著作権法に記されています。これを限定列挙主義と言い、逆にそれ以外の方法で複製してしまうと、著作権法違反となります。


3、どこまでなら複製してもセーフなの?


※今回は、皆さんに関係がありそうな主な条項、誤解されやすい条項しか挙げておりません。全て知りたい!という方は著作権法に書かれているのでご覧ください。

①権利の目的とならない著作物(著作権法第13条参照)

まず、権利の目的とならない著作物が

あります。これは、憲法や法令、裁判所の決定、国や地方自治体、独立行政法人が発する告示、訓令などです。

 要は、国や地方公共団体、独立行政法人が作成するもののことです。これはわざわざ許諾をとったり、引用元を示したりする必要はありません。(著作権法○○条を表記するがために許諾をとる必要はないということです)


②著作物に該当しない場合

 ただのアイデアであったり、ただのデータであったりする場合、これはそもそも著作物として認められません。思想又は感情を創作的に表現(字や絵や音楽など)して、ようやっと著作物となりえるのです。


また、著作権法102項にて、「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は(中略)著作物に該当しない」として示されています。これは、交通事故で何人死んだ、だとか、再婚禁止期間が違憲となった、というような、報道に関するもので「人事異動記事や死亡記事のように誰が書いても同じになるような事実の報道(田島正弘編「インターネット新時代の法律実務QA(日本加除出版株式会社、2012)152153)のことです。事実の伝達、というのはうわさ、という意味でも、人の意見という意味でもありません(よく勘違いされる方がいらっしゃるのですが念のため)。自身の思想によって創作的に表現するのですから、新聞記事は著作物となり得ますよ‼(東京地判平6・2・18判事1486110)。皆さんも、レポートを書く際にご注意ください。


③私的使用のための複製

著作権法第30

著作権の目的となっている著作物は個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用するときは、次に掲げる場合を除きその使用する者が複製することができる。


つまり、家庭内皆で音楽を聴いたり、詩を印刷したりするのはOKだということです。この後、私的複製の例外が書かれていますが、これは皆さんで確認してください(要は公に出すなよ!ということです)


④教育に関する複製


著作権法第33(教科用図書などへの掲載)

公表された著作物は学校教育の目的上必要と認められる限度において、教科用図書に掲載することができる。


著作権法第35(学校その他の教育機関における複製等)

学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く)において、教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における使用に供することを目的とする場合には、必要を求められる限度において、公表された著作物を複製することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし、著作権者の利益を不当に害することとなる場合はこの限りではない。


学校で、参考書がコピーされたプリントが配られたことがあるのではないでしょうか。これは、学校教育の為なのでオッケーです。ただ、学校と違い、塾は営利目的であるため、著作権法第35条には含まれません。


⑤営利を目的としない上演等

著作権法第38

公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ聴衆から料金を受け付けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。


非営利、無料、無報酬を満たしたなら、著作権者の許諾なく著作物を自由に利用できます。しかし、ここで注意したいのが、これはインターネットには適用されません。あくまで公への上演、演奏、上映、口述に限ります(著作権法例研究会編「実務者の為の著作権ハンドブック(8)(著作権情報センター、2011) 202) なので、ニコニコ動画に歌ってみたなどをアップロードする場合はきちんと許可をとりましょう。


⑥引用

著作権法32条第1項

公表された著作物は引用して利用することができる。この場合において、その引用は公正な慣行に合致する物であり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものでなければならない。


 私もいくつかこの記事で引用させていただきました。条文の通り、公正な慣行に合致し、なおかつ正当な範囲内で行われていれば、引用が可能になります。

 これはパロディ事件(最判昭55・3・28 民集34巻244頁)で「明瞭区別性」と「付従性」が必要になるとされています。明瞭区別性とは、かぎかっこなどにより、引用部分が区別されていることです。付従性は引用する側が主であり、引用される側が従であること、つまり、引用が目立ちすぎては駄目よ‼!!ということです。

 また、著作権法48条から、「著作物の出所を、その複製又は利用の応対に応じ合理的と認められる方法及び程度により、明示しなければならない」という規定があります。

 正式な引用をすれば、いくらでも著作物は扱えますが、しなければそれはただの盗用です。よく、大学生でも公正な慣行に即していない引用をしている人を見かけますが、注意してください。先生は見逃してくれませんよ。これはインターネット上でも同様です。

 (ちなみに、引用とは違い参考文献については、著作権法に規定はございませんが、先人への敬意をこめて書くのが、倫理的に正しいのではないか、パクリの汚名を晴らせるのではないかと個人的には考えています。



4 Pixivは著作権フリー!?(私見)


 「ブログなんてフリーみたいなもん」「Pixivは著作権フリー」なんて言葉を、Twitter上でちょくちょく見かけます。そんなことはありません。規約をきちんと読みましょう。まったくもってそんなことはありません(大事なことなので)。思想又は感情を創作的に表現したものは著作物なのです。なんでPixivはオッケーだと思った……。

 普段からSNSに慣れ親しんでいるためか、著作権に関する意識が少々低いように感じられます。

 もちろん、「がっちがちに縛り付けろ!」とは思っておりません。著作権法違反は結構見逃されていますが、それはある意味ネット上の文化の醸成に一役買っています。しかし、あくまで見逃されているだけ、黙認されているだけ、というのをもう少し自覚した方が良いのではないでしょうか。「それ違反だよ!やめてよ!」と言われたら謝る。撤退する。黙認されているうちは静かに楽しむ。これがネット上のコンテンツの楽しみ方であると私は考えます。


[参考文献]

田島正広「インターネット新時代の法律実務QA(日本加除出版、2012)

文化庁「著作権法入門20152016(著作権情報センター、2015)

知的財産教育協会「インターネットユーザーのための知的財産権の基礎知識」(日本経済新聞社、2007)

相沢英孝他「知的財産法概説(5)(弘文堂、2013)

著作権法例研究会「実務者の為の著作権ハンドブック(第8版)(著作権情報センター、2011)

中山信弘他編「著作権判例百選(4)(有斐閣、2009)


※ネット上では、無責任なことが書かれていたりしますので、なるだけ書籍にあたりましょう。参考にするならばせめて、官公庁によるHPにするのが適切です。



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他60件のコメントを表示
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パックパクリーパクライブ
37ヶ月前
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パクリを指摘しても「ですよね~」で済むのがセーフな方、パクリを指摘すると必死な擁護が湧くのがアウトな奴。
法律的なこと抜きにすると、オレの中では、こんな感じかな。
37ヶ月前
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パクられてもソレよりすごいものをすぐ作れる頭持ってる人は騒がないよな
37ヶ月前
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著作権を巡る論議についてはいろいろな角度や視座で議論されているし、それぞれに思うことがあるだろうけど、コメント欄でブロガーの意図や提示する考察を無視しすぎなのはどうなのかと。みんな一度落ち着いて、シンプルに丁寧に「読んで」みてはどうでしょう。それに沿ってコメントすれば話もとっちらかることもないし、議論の筋道もできようというもの。

ブログ主さんの議論の立論は余計な情報をそぎ落として分かりやすい物だけに、なんでこういった流れになるのかは残念。作り手側の立場になったときにこの議論をどのように身体的に理解できるかってのが大きな分かれ目になる気もするのでどんなにわずかでも創作の作業をやってないと、意識が向かないのかもしれませんね。

ところで、ブログ主さん、引用の方法など的確で私は好きです。文献リストのあげ方もルールに乗っ取ってますね。こういうのは本当にありがたいです。大変だとは思いますが、是非続けて行ってほしいと思います。(細かいことを言うようであれば、ページ数の前に読点「、」を入れるのが原則ですが、まあ、気にせずに)
37ヶ月前
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元ネタが、
バレると困る→パクリ
バレると嬉しい→オマージュ
バレないと困る→パロディ
37ヶ月前
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クラブミュージックにおけるBootleg作品は明らかに無許可で音源使ってるけどそういう文化だからいいよねっていう風潮
37ヶ月前
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パクられ元が許すか許さないか
37ヶ月前
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まあ現実のところパクられ元が文句言ってきたってケースがかなり少ないですよね
37ヶ月前
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最近だとネットが炎上するかどうか
平原綾香のジュピターも本当は叩かれるはずなんだがな
著作権切れてるとはいえ作者の意向無視してるし
37ヶ月前
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皆様ありがとうございます。
すべてのご意見、興味深く読ませていただいております。
やはり、パクリという言葉をタイトルで使うことは、少々扇動的すぎるきらいがあったと反省しております。
明日(というよりも今日?)の朝にPCから追記修正させていただきますね。
パロディ、オマージュに関する記事はまた後ほど。
気になるコメントを返してまいります。

>>60
問題の検証動画を拝見したのですが、著作権法10条の事実の伝達に関する解釈が違うような気がいたしました。あれは、報道に関する事柄なのでうわさやあのような事実は含まれません。
一般論だから著作物ではない、だから使っていい、というのは少々暴論ですね。

>>64
興味深いですね。
著作権法においては、(特にネット文化的に)重要な考え方かと思います。

>>68
ご指摘ありがとうございます。
読点、完全にこちら側のミスです、すみませんでした。
冷静なコメント、とても心に沁みます、ありがとうございます。
37ヶ月前
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