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小飼弾の論弾 #252 「2028年に核融合発電が実現?半導体特需で日本経済は復活するか、逆襲のGoogle」
「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
無料公開部分の生配信およびアーカイブ公開はニコ生・ニコ動のほか、YouTube Liveでも行っておりますので、よろしければこちらもぜひチャンネル登録をお願いいたします!今回は、2023年05月23日(火)配信のテキストをお届けします。
次回は、2023年06月06日(火)20:00の配信です。
お楽しみに!
2022/05/23配信のハイライト
- G7サミットの成果とアメリカの債務上限問題
- 「民主度低くてヤバいアメリカ」と国の規模感、豊かさ
- 視聴者質問「電脳化まであと何年?」と「AIと電子すかしと啓蒙」
- 「やってみるのはいいと思う」和製生成AIと「マイナンバー2.0は簡単にできる」
- Helionの核融合発電と「エネ放題はいつ?」
G7サミットの成果とアメリカの債務上限問題
山路:本題のニュースとかいろいろ入る前に、弾さん、遊びに行ってきたんでしたっけ?
小飼:遊びに行ってきたというのか、南九州のほうを妻とぐるっと回ってきました。
山路:純粋に旅行、観光旅行で。
小飼:純粋に旅行で、ゴールデンウィークをちょっと外して。
山路:どのあたり回ってきたんですか? 南九州って。
小飼:まず、熊本に降りて高千穂のほうに行って、宮崎のほうに行って、九州の南のほうをコの字型に行って。最後は鹿児島から九州新幹線で博多まで行って、それで飛行機で帰ってきたという。
山路:けっこうぐるっと半周、長いコースじゃないですか?
小飼:けっこう周りましたね。車借りたんだけど、600キロぐらい走ってましたね。
山路:どうでし、九州のほう、飯うまかった?
小飼:うん、それで各都市がけっこう大きいというのか、立派というのか。九州で大都会といえば、クリスタルキングの歌でも出てくるようにもう博多ですけど、博多以外のところもけっこう大きいんですよね。例えば、熊本市というのは今や政令市なんですよ。僕も、政令市になりました、最新の政令市です。
山路:ああ、そうか。熊本地震とかのニュースはよく聞いてたんだけど、いつのまにか政令都市に。
小飼:だから、福岡市がやっぱり一番でかいんだけれども、だからそこに一極集中という感じではもう全然なかった。熊本と鹿児島、ちゃんと自然があるのがえらい。僕、自然好きなので。
山路:過疎ってる、よくない地方みたいなイメージでは全然ないのか。
小飼:だからけっこういいコンパクトシティになってると思うよ、熊本と鹿児島は。
山路:そういえば熊本といえば、半導体、TSMCのもできるんですよね。
小飼:けっこう便利な立地。そもそも今回旅行しようっていうふうに言ったのは、JALのセールスがあったじゃん(笑)。
山路:アクセス不能になるぐらい人気だったっていう、
小飼:あれでなぜか買えちゃったので。
山路:そんな格安チケットをこまめにチェックしていたとは(笑)、
小飼:いや、僕がチェックしてたというよりも、妻がチェックしてたんですけどもね、
山路:本当に金持ちは金使わないよな(笑)。
小飼:そう、しかも彼の帰りの日はピーチだったので(笑)。帰りも格安チケットを取りたかったんだけど、やっぱりそうは問屋はおろさない、
山路:でもピーチも十分安いんじゃないですか?
小飼:でも、ピーチよりもさらにJALの6600円というのは安かった。
山路:そうなのか。
「TSMCの大卒初任給28万円」(コメント)
小飼:いや、でも全然多く感じないよな。
山路:例えばこれが台湾ならとか、
小飼:だってHUAWEIは40万とか出すわけでしょ。でも地方という、まあでもこれでも十分地方が集まるのか。
山路:それで地元の大学とか、半導体を専攻した人間の仕事があるんだったら、有望な話ですけどね。
小飼:まぁでも自動車の工場とかに比べれば、雇用数というのはもう圧倒的に少ない、
山路:2桁ぐらい違うんですよね、おそらく、
小飼:2桁ぐらい違いますね。
山路:自動車だったら、こまめにサプライヤーが云々かんぬんとか、一次下請やら二次下請やら、いっぱい企業できますけど、半導体ってなんかそんな感じじゃないですよね。
小飼:だって実際にアセンブルしてるところに、もはや人が入れないもん。最新の半導体のクリーンルームってもう人入れませんよ。昔は入れたんだけども。だから、今いったん作っちゃったらもうオフリミットっていうのか。だから本当に外に出てきたところをもう箱詰めするとか、そんな感じですね、人間がやるのは。
山路:あとはもう本当、研究者というか、製造ラインなんかにいるのも、単純な作業をやるというよりは、研究的なことができる人材でないと、トラブルとかも解決できなかったりしますしね。まぁ半導体の特需の話は後でするにして。
「弾さんもLCC乗るんだね」(コメント)
小飼:いや、もう乗りますよ。
山路:(笑)まぁ特に日本って近いですもんね、飛行機。そんな、10時間とか20時間とか乗るわけじゃないですもんね。地方の話題といえば、広島G7が、
小飼:あー、なんかお好み焼きはどっちだ、みたいな、
山路:そうそうそう。広島焼きをなんかお好み焼きと紹介するのはいかがなものかみたいな(笑)こととかが色々出てたりとかして、スナクが一緒にお好み焼き焼いて楽しそうにしてましたけど。今回のG7って、印象としてはいかがでしたでしょうか? 成功か失敗かというのがどっち?
小飼:成功か失敗かというのか、外交的にはとてもよろしいでしょう。とてもよろしいですけれども、なんで東京の自動販売機まで影響を受けるのか。
山路:何それ?
小飼:いや、だから駅の自動販売機が止まってるとかね。
山路:え? そんなことがあったんですか?
小飼:なんか、テロ対策か何か知らないけれども。
山路:へえ。どういう関係があるのか、いまいちわかんないですけどね(笑)。自販機周りのゴミ箱をちょっとでも使わせない、みたいなことなんですかね、新幹線とかのホームにはあるけど、今在来線はゴミ箱もないですけど。
小飼:だから、そういうところ本当にクソムカつくよな。たかがサミットだろ。
山路:コメントで「東京の?」ってついているけど、そうらしいですよ。
小飼:そう、東京の。
山路:いや、ほんと確かにそれはクソムカつきますね。
小飼:なんだけれども、昔は日本は東京でばっかりやってたのね。他のG7諸国はいろんなところを持ち回りでやってたのに、それを地方に持って行ったのは良かったけれども。やっぱりこれは首相の地元ということで広島が選ばれたのかな。
山路:原爆の話が先にありきじゃなくて。
小飼:まぁでもゼレンスキー大統領も呼べたし、その意味ではとても良かったんだけれども、でも、東京の自動販売機まで封鎖したりするっていうところがとても日本的で。平和的なデモも排除したりとか。
山路:そうですね。
小飼:いや、アレだよね、一般市民の扱いが雑だよなぁという。
山路:まあそこのところで言うなら、他の国のサミットでも一般市民をどれぐらい丁寧に扱ってるのか、ちょっと見えないところではありますけどもね、報道からは。
小飼:まぁでも少なくとも、700キロも離れた東京の自動販売機を封鎖したりとかしない。
山路:意味がないからな(笑)。なんかちょっとでもリスクがあったらなくそうとする。
小飼:(コメントを見ながら)そうそうそう、もう1回10万円出したら、それはないよな。普通の日本国民に対するアメが全くなかったというのは。
スタッフ:あ、すいません、失礼します、途中なんですけれども。ちょっと業務連絡というか、ただいまYouTubeライブのほう、YouTubeのほうで若干障害が発生しているようでして、正常に配信できていない可能性があります。なぜこのレポートをしているかというと、アーカイブで残る可能性があるので、いちおう残しておきますので、ニコニコのほうですと正常に視聴できますので、リンクがありますのでそちらから移動していただければと思います。すいません、失礼しました。
山路:サミットの成果で言うと、いろいろ例えば、G7が一致して宣言を出したりとかしてましたけれども。あるいはゼレンスキーがいろんな海外、G7だけじゃなくてグローバルサウスとかそうした首脳なんかとも話をして、ロシアに対抗してこうみたいなことができたりとか、まぁいろいろあったと思うけど、弾さん的には特に何が、何に注目しましたかねという、今回の成果。
小飼:まぁ確かにG7の首脳が全員揃ってケンカしたという、ケンカってこれ、「花を捧げる」の「献花」で、
山路:全員がバトルロイヤル(笑)、
小飼:その喧嘩ではないよ、いやもう日本語ってこういうところつらいね、同音語が多すぎて。いや、あれだけでもなかなかの成果ではある。
山路:人によっては、そんな核廃絶みたいなんじゃなくて、結局核抑止を認めてるじゃないかみたいなイチャモンつける人もいましたけども。
小飼:でも全くその通りなのよ。日本はアメリカの核の傘の下にいますっていうのを、全世界に向けて広島から、よりによって広島から発信したのが今回のサミットなので。
山路:まぁ私は個人的には、それでも今回の広島からのメッセージは意味があったかなとは思いますけどね。
小飼:よっぽど意味があったと思うよ。今までは、よからぬ意味でも神聖だったし、広島の、原爆、
山路:よからぬ意味での神聖、sacredのほうの神聖なこと?
小飼:そうそうそう、
山路:犯すべからずみたいな意味で。それに関して物申すことができない、みたいな、そういう意味での、ということですか。
小飼:いや、まぁはっきり言って日本は、二次大戦では加害国なのに、広島のおかげで被害者面してきたっていうことがあるんだよね。
山路:確かに、そこを上手いこと使ってきたところがありますもんね。
「タブーになってる」(コメント)
山路:それ以外にG7以外で8カ国招待してたりするじゃないですか。あれなんかもG7と言いつつ、上手いやり方だったなと思ったんですけれども、いかがでしょうか、インドだったりとかインドネシアとかもか。
小飼:それでゼレンスキーが会えたという、インドネシアのジョコ大統領に会えたというのも。
山路:あれはやっぱ、ゼレンスキーが行けたら行くわって言うとったから呼んだんですか? そういうところはけっこう強かったりするのかな。じゃあそういう外交的なところでずいぶんウクライナといろんな国との顔をつないだりとか、グローバルサウスの顔をつないだりとか、
小飼:こう言うのもなんだけれども、日本国民にけっこうな不便を強いたのだから、これくらいの成果を上げてくれないと、元が取れないという言い方は変だけども、割に合わないよなとは思う。
山路:ただ、総選挙の話なんかもちらほら出てくるようになりましたよね。G7が成功に終わって、支持率が上がったところでみたいな。
小飼:どうかなぁ、いや、でもせっかくの長期政権を活かしきってないっていうところはあるよね、自民党。
山路:こんなに安定的に多数派を取ってるというのにって。これ、よく思うんですけども、ある大統領なり首相なり、その国の首脳の評価って自国民と海外から見た評価って全然違ったりするじゃないですか、
小飼:違うね、
山路:内政と外交を両方評価される首脳ってあんまりいないような気がするんですけど、
小飼:まずいないね。
山路:例えばアメリカで言えばオバマさんってなんとなく偉い、業績ある人みたいなイメージありますけど、国内では全然評価されてない、
小飼:ウクライナからしたら恨み節、
山路:ロシアとの宥和政策を取ったから、
小飼:そうそうそう。あと技術面でも、
山路:技術面?
小飼:シャトル引退させたのはオバマ政権の時だから、仕方がないけどね。まあでも引退させたはいいけど、代替手段、ものすごい遅れたじゃん。
山路:スペースXが出てくるまで、
小飼:しかも本来はスペースXじゃなくて、NASAが主体でやるべきところだったんだけど、スペースXのほうが先に有人宇宙飛行を取り戻したじゃん。
山路:その間、それまでロシアに頼ってたわけですもんね(笑)。それもたぶんロシアに宥和政策を取らなきゃいけなかった一因でもある、
小飼:あるある。立派な。
山路:いろいろ繋がっているなとは思いますけれども。サミットの続きで言うならば、このバイデン大統領、サミットが終わったら、本当はオーストラリアとかインドとかのQuadのほうでしたっけ? 集まりに行くはずだった。あるいはパプアニューギニアとか、太平洋の島々のほうに行く予定だったのがちゃっちゃと切り上げて、G7サミットが終わったらさっさと帰って、内政のほうに集中しなきゃいけなくなったという。それがアメリカの債務上限問題、
小飼:この債務上限の設定の仕方がモダンじゃないんだよね。
山路:これ、アメリカの国が国債を発行して、それをどこまで発行していいのかっていう話なわけですよね、
小飼:そうそう、それの決め方というのがもっとMMT的でいいんじゃないって僕は思うんだけど、
山路:モダンマネタリーセオリーのMMT、
小飼:そうそうそう。
山路:もっとバカスカ額を上げてっちゃってもいいってこと?
小飼:まぁ今のアメリカだと、というか、もう少しそうしてほしいね、そうするとドルの下げ圧力にもなるので。インフレしてる割にちょっとドルが高すぎるなとは思うので。正直、もっとT-Bill出せやっていう感じなんだけれども(笑)。
山路:共和党は反対している。
小飼:あのね、これは必ず野党が突っ込むんですよ。これ毎度毎度やってるので。毎度毎度やってるっていうところも、やっぱモダンじゃないので。毎度毎度、特措法を出して。毎回毎回、その場しのぎしてるの。ただそれを言ったら日本も、そもそも赤字国債って発行しちゃいけないという、建前上は。
山路:なんか素人考えかもしれないですけども、結局今、デジタル経済というかITとかですごいデジタルでの物事のやりとりって進んでるわけじゃないですか。そうしたら結局、経済の規模っていうのは拡大せざるを得ないんだから、それに応じて通貨っていうのは増やさないとダメなんじゃないですかって思ったりもするんだけど。
小飼:しかもアメリカの場合は基軸通貨なので、アメリカがT-Billを十分発行してくれないと、他の国の、
山路:T-Billってなんですか?
小飼:国債のことよ。Treasury Billsの略。
山路:他の国も困っちゃうと。
小飼:そうそうそう。アメリカだけでは済まないんだよね(笑)。
山路:アメリカは世界に通貨を供給しているというか(笑)、アメリカのマネーサプライが。
小飼:そうそうそう。
山路:世界的にデジタル経済とか進んでいったら、金が足らなくなるから、ドルがもっといるって話でもあるわけか。
小飼:そうそう。結局、赤字のように見えてアメリカに戻ってくるからね。
山路:結局、アメリカは損はしないようにできてるというか(笑)。
小飼:そうなの。
山路:なんか世界の通貨発行権を持ってるみたいな。
小飼:そうなの。ただアメリカが債務を膨らませすぎないおかげで、ドルの基軸性が保たれているっていうところもあるんだよね。あんまりジャカスカ発行すると、これはもうドルは信用できないからユーロに行こうとかっていうことになるので。でも、今のところはもっと出していい(笑)。
山路:それにこの債務上限っていうのがあんまりリーズナブルなやり方じゃないことで決められてるっていうのは、野党と与党の間で取引するためのものを用意しとかないと、お互いに不具合があるということもあるのかな。
小飼:そういう使われ方をしちゃうのもまた、やっぱりあんまりいい制度じゃないという。
山路:これ、よくお金の話この番組でもしますけれども、結局政府が発行するお金の意味みたいな話っていうのはよくやりますけれども、アメリカ国民っていうのも、そういう共和党的な緊縮財政、あんまり赤字国債出さないとかっていうことをみんな支持してるんですか? 共和党支持者っていうのは。
小飼:けっこう支持してる。でもけっこう支持してる割に、一番債務を増やしたのはトランプ政権の時なので(笑)。現在の債務の4分の1ぐらいはトランプ政権が積み増したので。
山路:積極財政を行ったという意味ではトランプは評価されるべき?
小飼:実は。ただその理由がパンデミック対策だったっていうのが。パンデミックの時には前半がトランプ政権で、後半がバイデン政権で、どっちも積極財政だったので。
山路:それを共和党がお前、積極財政のせいでインフレになったってバイデン政権を責めてるのはちょっとおかしい、
小飼:おかしい、どっちもおかしい。
山路:政争の具が必要なんだな、
小飼:要は結果論的にどっちも正しいことはしたんだよね。
山路:そこは日本の財務省も見習うべきだという(笑)、
小飼:そうなのよ。
山路:アメリカの共和党の考え方って、日本の財務省と似てるなと思ったけども、コロナの時はけっこう積極財政だったんですね。
小飼:うん。
山路:アメリカといえばこれはもっと小さなニュースなんですけど、ジョージ・サントスという議員、下院ですよね、下院議員で通ったんだけど、経歴が全て嘘だったっていうとんでもない有望新人が。
小飼:なんかあれだよね、日本だと、
山路:ショーンKが議員に通ったってイメージですかね(笑)、言っちゃなんですけど。
小飼:そうそうそう。いや、この間、議員をクビになった人は何だったっけ?
山路:ガーシーでしたっけ?
小飼:ああ、よりもちょっとすごいね。
山路:嘘の塗り固め方が、いや塗り固めてなかったから、罪に問われてるわけだけれども。共和党も抵抗しましたよね、これ(笑)。
小飼:不逮捕特権って有効なのかな、これに関して。
山路:議員って逮捕されない。
小飼:いや、罪がチャラになるわけではないけども、議員である間は逮捕はされないというのが適用されるんだったっけ。日本の場合は、国会の会期の間だけというふうに、かなりリミテッドな運用なんだけれども。
「そんな特権あるのか」(コメント)
山路:だいたいの国にあるんじゃないですか。
小飼:だいたいの国にありますね。国会議員相当の人の不逮捕特権というのは。
山路:それは三権分立とかの文脈だとは思うんですけど。簡単に逮捕されちゃうと、その辺の権力の分立みたいなものがうまく働かないということで、だいたいどの国にもあると思うんですけど。それを必ず悪用するやつが出てくるということも問題ではあるんですけどもね。トランプなんかでも、しっかり訴えられてるじゃないですか、大統領でも。
小飼:まぁでも今や「元」大統領なので。大統領の特権っていうのは今ないわけですよね。
山路:で、あともう一つ、アメリカのニュースなんですけど、「ペンタゴンが爆破された」というフェイクニュースが(笑)。
小飼:ただ一度フェイクでない、飛行機が突っ込んだというのがあったからね。それはちょっと緊張もするわね。
山路:これって後に出てくるAIの話なんかにもつながってくることではありますけど、まぁこれから増えるんでしょうなと。ただ、個人的に思うのは、これ、みんな慣れるのかなとも思うんですよね、つまりニュースが出てきたら、それが、
小飼:要はオオカミ少年の周りの人みたいになるっていう感じ?
山路:そうそう、いちおうちゃんとソース当たらなきゃなっていうふうな習慣っていうのは少しずつ根付くかとも思っているんですけれども。それは甘いですかね(笑)。
小飼:まあ楽観的に、そう、楽観的であればそういうこともあるのかもしれないけれども。
山路:しばらくはやっぱり混乱しそうって?
小飼:というのか、ずっと混乱してるよね。911の余波というのは、未だに収まってないんだよね。
山路:そうなんですか? テロ事件の。
小飼:そうよ。例えば空港のセキュリティとか、それ以前に戻ると思う?
山路:ああ、そういうことか。なるほど。
小飼:そう、あののどかな日々というのはもう二度と戻らない。
山路:世界の、もうほとんどのシステムが性悪説で動かざるをえなくなっちゃったという、
小飼:国際線であれば、靴脱がされるとかね。
山路:性悪説で動くってことは、いろんなところでコスト負担が増えてるってことですよね。
小飼:そう、コスト負担増えてるのよ。そうなのよ、飛行機のチケットももちろん、石油の値段が上がったっていうこともあるけれども、それ以上にセキュリティだ云々だっていうことで、昔よりはコストも、費用も手間も増えてるからね。
山路:それがいろんな意味で、普通の人の負担とかにもさりげなく反映されてきてるのかなっていう気はするんですけどね。
小飼:消費税みたいな感じで。
山路:そのコストっていうのが、たぶん格差を拡大させることの一つの力として働いてるのもあるのかなと思うんですが。別にそれだけではないにしても。これ、BARDの話コメントに出てますけど、ちょっとタイトルにもあったGoogleの話を少ししますか。Googleさん、Google I/Oというのを、デベロッパー会議ですよね。それでやって、いろんなことを発表したわけなんですけれども、弾さん、Google I/O見ました?
小飼:見たけど、なんか後追い感、半端ないというのか、
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小飼弾の論弾 #251 「AI第一人者が訴える生成AIの危険性、相次ぐ日本企業の不正とバグだらけのITシステム、弩級ロケットStarshipの挑戦」
「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
無料公開部分の生配信およびアーカイブ公開はニコ生・ニコ動のほか、YouTube Liveでも行っておりますので、よろしければこちらもぜひチャンネル登録をお願いいたします!今回は、2023年05月09日(火)配信のテキストをお届けします。
次回は、2023年05月23日(火)20:00の配信です。
お楽しみに!
2022/05/09配信のハイライト
- 「コロナに音を上げた人類」と「ロシアの防空力低すぎ」
- 日本の衰退と「ヤバくない東京」問題
- 「公文書データ10万件消失の謎」と「根源的にダメな証明書交付サービス」
- 視聴者質問「弾さんが投資で一番大きく儲かった資産は?」と「AIを一専門家として扱う」
- 「OSSの責任とスポンサー」と「初めてにしてはいい線いってたスターシップ」
- 「宇宙船がオタマトーンに似た理由」と「ネットの公共財産問題」
「コロナに音を上げた人類」と「ロシアの防空力低すぎ」
山路:ゴールデンウィーク明けの1回目なんですけれども。
小飼:ああ、そうか。世間はゴールデンウィークっていうのやってたんだよな。
山路:ゴールデンウィークやってなかったんですか、弾さんちは。
小飼:実は妻は普通の勤め人で、単身赴任してたので、ずっといたという違いはあったんですけれども。特に連休だからといって、どこか行くわけでもなく。
山路:普通に?
小飼:普通に。
山路:全然旅行、行かなかったんですか?
小飼:旅行はですね、ずらしていくことに決めました。だって、どこもかしこも混みすぎて、そもそもチケットが取れない。
山路:全く。
小飼:なので、日程ずらしました。
山路:私ら基本的に自由なんで、人ごみが嫌いだし。私はずっと部屋の掃除をしてましたけれどね。気持ち的には旅行に行くよりもずいぶん落ち着きましたけども。
小飼:それでけっこう面白いビデオというか、DVDが掘り出されてたり、
山路:そうそう、
小飼:今日貸してっていうの忘れてた(笑)。
山路:弾さんがそれに反応するとは思ってなくて。
小飼:だって借りれないわけでしょ、借りたり、配信で見たりできないわけでしょ。だから、普通面白いもの紹介されたら、もう私も今時の若いものなので、若いものかどうかを置いといても、今時のものなので、すぐ配信で見ようとするんですけれども。だから、わざわざメディアを借りなきゃいけないっていうのは久しぶりに、そうか、そういうことがあるよなというのを。
山路:なんか電子書籍の時にもありましたけど、電子化が当たり前になる時代との空白期間というか、過渡期みたいなところのコンテンツってけっこう顧みられなくなることってありますよね。
小飼:DVDでしょ、だから既にデータはデジタル化されてるわけですよね、その意味で。
山路:まぁそうなんだけど(笑)。まぁでも、来週、次回持ってきますんで、それをお楽しみということで。ゴールデンウィーク明けといえば、コロナが5類になり、
小飼:ああ、そうだ。要は普通の病気ということにしますということになったんだよね、日本でもついに。
山路:WHOもこの緊急事態宣言終了を発表し、と。
小飼:要するに人類、音を上げたわけですよね。音を上げたという意味では負けなんだけれども、でもコロナぐらいで人類は滅びやしないという意味では勝ちなわけですよね。でも、日本、明らかに死者は増えてるんですけどね。でも、今後は統計もきちっと見れないっていうのはそこが残念だよな。
山路:弾さんこれから、マスクとかの扱いは個人的にはどうします?
小飼:今まで通りというのか、屋外では元から一番取り締まりが厳しい時でも、散歩の時にはしてませんでしたし、逆に屋内ではちゃんとしてましたし。ただやっぱり、ちゃんとrestrictionがなくなったということで、電車とかでもついに、
山路:マスクしない人もけっこう増えてきましたよね、
小飼:しない人が出てきたということで。
「アメリカ人の寿命、3年短くなったんだっけ。日本もそれぐらい?」(コメント)
山路:日本はそこまでは行ってなかったんじゃなかったかな。
- アメリカ人の平均寿命、過去2年で2.7年縮む 1996年以来の低水準に - BBCニュース
- 我が国の平均寿命、コロナ感染症等の影響で男性81.47年、女性87.57年に短縮、老衰死因が上位浮上―2021年簡易生命表
小飼:日本の場合はコロナ1年目の時には、むしろ微増だったんだよね、平均寿命が。2年目でやっと少し縮んだという。
山路:つまり、本来だったら亡くなってたような人も丁寧にケアされたことで伸びちゃったみたいな。
小飼:もあるし、日本では亡くなった人はほとんど高齢者なので。アメリカとかの顕著な例だと、若い人もボンボンやられてたので。若ければ若いほど、平均寿命に対する負の影響力っていうのは大きくて、だから一番デカいのは乳児死亡率。アメリカはその点では統計的にはもうはっきり言って途上国なので。ロシアはもっとそうなので。
山路:大国とは一体(笑)。
小飼:いや本当に。
山路:大国の定義っていうのは、よくわからないですよね、本当に。
「若い肥満の人がたくさん死んだってことか」(コメント)
小飼:まあその通りですね。
山路:しかし、マスクをみんながするようになるっていうのが日本でかなり習慣として根付いたから、インフルエンザなんかの死亡者も今後はまた減っていくのかな。
小飼:いや、まぁでもさ、マスクよりもリモートワークが根付いてほしかったんだよね。
山路:それそれ。
小飼:あんま根付いてないみたいだね、周りの声を見ると。「リモートワークなくなっちまった」って言って、リモートワークだって聞いて就職したのに、入社したら廃止とは何事だ、みたいな。やめてやるみたいな声がさっそく聞こえてくるけど。
山路:リアル出社を強要してるだけじゃなくて、従業員のほうもリアル出社じゃないと落ち着かないところが絶対あるように思うんですけど、日本の場合。あれはなんとかならんのかなと思いますけど。不安なんでしょうけどね、皆さん、働いている人は。というところで、コロナがとりあえずは緊急事態宣言解除されたっていうのは、とりあえずはいいニュースなのか、みなさん用心してくださいと言いつつ。
小飼:はっきり言って、人類が白旗を上げたというのが8割。白旗を上げられるだけ慣れたというのが2割かな。だからいいニュースでも、本来いいニュースではないんだよね。
山路:完全勝利じゃないですもんね。
小飼:根負けなの。
山路:天然痘みたいに撲滅したとかじゃないですからね。
小飼:そうなの。だから病原体に対してほとんどの勝負はあれなんですよね。だからその意味では負けというのか、勝利を得られたものというのは非常に少ない。
山路:じゃあいいニュース、これなんかどうですか。FOXが陰謀論流布の代償で、1000億円(笑)、
小飼:これはいいニュースだよね(笑)。
山路:もう本当に、ちゃんとバカには罰金を課さないといけないよなという。
小飼:いや、でもアメリカだからこの金額になったけどさ、日本だと、例えば地下鉄サリン事件で犯人扱いされた長野の河野さんみたいな、あのクラスでも数千万だって言われてて、億は行ってないんでね。
山路:奥さん、結局、
小飼:亡くなっちゃいました。
山路:亡くなっちゃったんですよね、意識戻らないまま。
小飼:賠償はされたみたいですけども、確か、だから非公開なのかな、それは。山路:河野さんの振る舞いはなかなか高潔だと思いましたけどね。で、このFOXニュースに絡んで言うと、看板キャスターも事実上の解雇という。
小飼:ああ、カールソンね。
山路:なんであそこまでやりたい放題できると彼らは思ったのかっていうところもあるんですけど。FOXニュースのシンパはまた陰謀論とか言うかもしれないですけどもね。
国際ニュース、続けて言うと、ちょっとスーダンのほうでヤバいことになってないかという話が。小飼:もともと、世界一ヤバい地域ではあったけれども(笑)。
山路:これ、戦争もヤバいけれども、このバイオハザードの恐れっていうのが怖くないですか。だって、それが原因で、もしかしたら世界的な感染症になったのかもしれないってこう、COVID-19でみんなが思い知ったことじゃないですか、COVID-19に関してはまだ原因はわかってないですけど。ちなみにこれ、スーダンの内戦って、弾さん的にはどう見てますかと。
小飼:収めようがあるのかなという。
山路:あと根本的な問題としては、
小飼:結局、ソマリアも全体を収まらなかったわけじゃん。だからアメリカでも収める力はなかったわけじゃん。で、アフガニスタンも元に戻っちゃったわけじゃん、タリバンの手に戻っちゃったわけじゃん。やっぱり、地元の人が変えないとダメだよね。だから、外国からトップダウンで、お前ら変われっていうのはダメだよね。アメリカほどの軍事力があってもダメっていうのがわかっちゃったよね。
山路:本当、その「内にいる人」っていうのは何なんだろうな、その土地に根付いて暮らして、アイデンティティがその国の国民。
小飼:国民って意識あるかな、そんなに。だから、スーダンの人は、自分たちがスーダン人だという自覚はあるかな、というのもアフリカの国々というのは皆さんご存知の通り、植民地時代の線引きがそのまま来ちゃってるので、
山路:真っ直ぐですもんね、国境線が。
小飼:そうそうそう、
山路:国境線が直角になってたりしますもんね。国民国家ができる前に植民地支配とかされちゃうと、うまくいかないってことなのかなという気もしますけどもね。
小飼:そうそう。ルワンダも、もともとあったかどうかも怪しい民族間差別というのを煽る形で、植民地支配をしてたわけだよね。だから、それがもとで内戦が起こったんだけれども。内戦というのか、虐殺というのかが起こったんだけれども。
山路:世界の歴史では、よく「バスに乗り遅れるな」みたいな言い方がされるじゃないですか。そのタイミングというのが、国民国家のタイミングで乗れたかとか、経済成長のタイミングに乗れたかとか、そういうのはあるのかなという気はするんですけれどもね。その後その国がうまくいく、いかないみたいなものが。
小飼:ただ、それが全てではないとも思うんだけどもね。
「日本だけ上手くいったから不思議」(コメント)
小飼:いや、日本だけじゃないじゃん。今、アジアの国というのはそこそこどこも上手くやってます。まぁアジアにも北朝鮮とかいるけどね。
「ソマリランドの収拾方法はすごかった」(コメント)
山路:ソマリランドはどうやって収拾したんだっけ?
小飼:いや、だからソマリアから独立したわけ。
山路:したけど、すごく安全だってなったのは、結局どうやったんだっけ。
小飼:いや、だから安全なところが独立したわけ。
小飼:「一緒にするな」方式。
山路:なるほど(笑)。
小飼:だから、イタリアとかで北イタリアが独立しようとしてるけど、それが実際になったみたいな形かな。
山路:逆に言えば、ソマリランドがソマリアを切り捨てたともいえるわけだ(笑)。
小飼:そうそうそう、それが実態。
山路:しかし人類、なかなか難しいですね。この時代になってもうまくいかないというのが。
じゃあ国際ニュース絡みでもう一つ、ウクライナ戦争、色々相変わらず。小飼:結局ロシアはバフムートも落とせないのかっていう(笑)。落とせないのかっていうのもあれだけれども。ウクライナのほうもよくバフムートを死守してるなっていうのはあるけれども。でも、プリゴジンという人は今時珍しい悪人面で、悪人根性で、かつ悪人という。見た目と性格とやってることが全部一致してるという、今時珍しいタイプの(笑)、
山路:わかりやすすぎて、逆にいい人みたいな感じですよね(笑)。
小飼:絵に描いたような悪人だよね。
山路:やってることも本当にひどいし。
小飼:いや、本当に日本の悪人からペンネームを取ったアクーニンという人がいるけれども、名前返上すべきなんじゃないか(笑)。
山路:ちょっと前、プリゴジンがロシアの国防省をすごい非難して、弾をよこせって言ってたじゃないですか。
小飼:あれはなかなかすごい絵だったよね。
山路:あれっていうのはやらせなんですか?
小飼:いや、でもあの背景にいた戦死者は本当に死んだ人でしょう。
山路:国防省を非難することによるメリットって何? みたいな。純粋に弾がなかったってことなんですか?
小飼:そういうことです。だから本当に何と言えば、損得勘定抜きで怒りに任せていってるように見えましたね。だから、あの行動によって弾薬の支給とかというのが優先順位が上がるかどうかというのはちょっとわかんないんですけれども。
山路:へー、計算ずくってわけでもなかったのかもしれないという。
小飼:全体的に武器弾薬不足っていうのが深刻みたいで、本当に二次大戦の時のT-34を引っ張り出してくるという(笑)、
山路:T-34って戦車?
小飼:戦車。
山路:ていうか、それが動くのがすごいですよね。
小飼:いや、まだ動くのいっぱいありますよ。実際に戦力になるかどうかというのはさておき。でもすでにその一つ後の、冷戦初期の頃のT-55とかは、もう実際に出てるのが確認されてるしね。だから日本に例えると74式どころか、61式が引っ張り出されてるような状況だというのは。それでもあの物量で来られると、やっぱりそう簡単に撃退できないんだよね。
山路:しかもその古い戦車って、弾薬とかも現行戦車とは規格違う、同じなんですか? 全然詳しくないんで、
小飼:僕もちょっとそこ、戦車砲弾とかっていうのはどうなんだろうね。
山路:うーん、なんか弾ないんだったら、そんな古いやつを引っ張り出してきても、あんまり状況改善しないんじゃないかって思うんですけどもね。
小飼:戦車の主砲の砲弾っていうのはけっこう変わってきたわけですよ。T-34のころは75mmだったのが、次のやつは85mmになって、次のやつは100mmから110mmになり、それが120mmになりっていって、主砲はけっこう口径とか、あと砲弾の種類とかっていうのもアップグレードされていたんですけれども。機関銃とかの銃弾とかっていうのはほとんど変わってないんですよ。100年以上変わってない。
山路:え、そうなの?
小飼:はい。
山路:今の弾丸を昔の機関銃に入れて撃つことも?
小飼:できます。今の機関銃M2で使われている弾薬は、これは西側の銃ですけれども、M1918に入れてちゃんと撃てます。
山路:火薬式の銃器ってかなり昔に完成されてるんですかね?
小飼:そうなんですよ。
山路:自動小銃の時点で、ある意味完成はしてるわけなのか。
小飼:そうなんですよ。べつに新しいAKでなくても、撃てば人死にますからね。
山路:ウクライナ戦争といえば、クレムリンの無人機攻撃もあったよっていう。あれ何なんすかね。
小飼:クレムリンのドローンはあれはウクライナではない、ウクライナから飛んできてないのは確か。ロシア国内からディプロイしたのは確かなんだけれども。
山路:もういろいろな記事で言われていることではありますけど、あれが自作自演だったら、あるいは自作自演でなかったにしても、ロシアはどっちにしても評判落とすだろうっていう(笑)。
小飼:自作自演ではないと思うんだよね。どっちかっていうと、ウクライナひどいというよりも、俺たちの国の防空力……、
山路:「うわっ…、私の防空力低すぎ…?」ってやつですよね(笑)。
小飼:そうなっちゃうよね。実際に物理的な戦果が上がらなくても、政治的な戦果っていうのは、攻撃されたというニュース自体がけっこう価値がありますからね。日本もミッドウェイで逆転される前に、アメリカの空母に無理やり陸軍の爆撃機を艦載して、飛ばして戻さないで、中国まで抜けさせて着陸させたという、それで東京を爆撃したということがあったんですよね。
山路:そのデッチ上げにしろ、なんというかこの言い訳を作ることの重要性というか、
小飼:そう、だから攻撃しましたという実績を上げるという意味で。だから一番可能性が高いのはロシア国内のウクライナのスパイ的な機関が、あるいは協力者がやったというものだけれども。それはさておき、どれくらい続くんだろうな。今、戦場は膠着状態になっているけれども。
山路:そのウクライナ、TPP加入の意向だそうですよ(笑)。もう、太平洋とはいったい(笑)。
スタッフ:ちょっと質問していいですか? ウクライナもそうなんですけど、なんかイギリスもTPPに、
小飼:だからイギリスはEUの代わりにというのはわかるんだが。とにかく入れる国際協力機構には入っておけ、ということなんでしょうかね。EUはけっこうハードルが高いので、NATOよりも難しいので。
山路:教訓としてはとりあえず、団体を立ち上げるときは名称に地名を入れんなってことですかね。
小飼:ちなみにトルコもNATOのメンバーですけど、EUのメンバーではないです。
山路:このNATOで言うなら、日本にNATOの拠点ができるという(笑)。
小飼:あ、今までなかったのか。いや、けっこう昔から日本はオブザーバーだったので。
「アルバニアもそうだね」(コメント)
山路:へえ。本当に、合従連衡のガラガラポンといえばいいのか、なんていうか、世界秩序を本当に組み直されていってる感じがありますね。
小飼:というのかね。まさかロシアが19世紀に戻るとはね(笑)。革命前だよな(笑)、ある意味。
「太平洋と太西洋の概念が乱れる」(コメント)
山路:ほんとその通りですよ。なんか本当に、もう具体的な地理の関係というか、むしろ遠くにあった同盟国みたいなのが、これからより重要になっていくのかもしれないですけどね、離れた位置にある同盟国。
小飼:まぁでもな、いまだに国民国家というのを引きずってるというのもね。
山路:さっき弾さん、アフリカがうまくいかないことの一つとして、その地元の人が頑張らないとなって話はあったじゃないですか。その土地に根付いた人間が何かするっていうところからなかなか離れられないのって、どうしようもないところはあるんじゃないですかと。
小飼:まあマジョリティの単位で移住するというのは、なかなか難しいですからね。だから、そこの土地でうまくいかなかったら、他の土地で起死回生すればいいじゃんっていうのは実は強者の理屈で。
山路:どこでもやっていける人が言うことだよなっていう話ですよね。いやいや、なんか大変なことになってますね。じゃあちょっとIT絡みの話、いきますか。
日本の衰退と「ヤバくない東京」問題
「弾さんも日本がオワコンになったら、渡米するの?」(コメント)
小飼:そうねえ、僕の寿命のうちは、日本が衰退はしてってもオワコンにはならないというふうに踏んではいるんですけれども。いや、でもアメリカはなぁ。やっぱり実際に暮らしてただけであって、イヤなことというのをいっぱい知ってはいるから、だから英語が通じて、やっぱり、かつアメリカでないところとかっていうのを狙うかな、オーストラリアとか。
山路:オーストラリアいいっすよ。本当にリラックスできるんで、あの国は。やっぱアメリカとかって行くと、なんつーのか、気を張ってなきゃいけない感じがある。
小飼:いや、でもアメリカで気を張ってるというのも、元気なうちは楽しいし。
山路:アドレナリンがちょっと出る感じが。
「スイスもいい」(コメント)
小飼:いや、スイス物価がいいよ(笑)。
山路:安いんでしたっけ?
小飼:高いの。あのね、(コメントを見ながら)シンガポールはきれいすぎるというのか、だれが言ったのか、大人のディズニーランド。
山路:小汚い定食屋とかなさそう。
小飼:ちょっと水が合わないっていうのか。だから、シンガポールだったら香港のほうが良かったけれども、今や中国だからな。
「日本の治安がいいとは言えなくなってきた」(コメント)
小飼:いやいやいや。あの程度で、銀座にちょろっと強盗が出た程度で。
山路:しかも銃も持ってないんですよ(笑)、その強盗。信じられない。あんな大胆な犯行して、ナイフぐらいしか持ってないって。
「バールのようなものは持っていた」(コメント)
小飼:実際に統計を見ると、ただでさえ低かったところに持ってきて、さらにこれ以上どうやって下げるんだっていうところまで下がってますから。
山路:ああ、犯罪率ね。
小飼:だから、これは本当に日本の大事なアセットですよ。とにかく安全だという。
山路:ただなあ、もしも今後日本が衰退していくとしたら、そういう治安みたいなものから、
小飼:日本にとって幸いなのは、日本が衰退しているというのは、あくまでも進むのが遅いからであって、進んでないからではないんですよね。世界のほうが早く進んでいるというだけであって、
山路:ロシアみたいに逆戻りしているわけじゃないということですよね。
小飼:そう、ちゃんと進んだ世界からの恩恵も受けてるわけじゃないですか。そうですよ、ちゃんとコンテナ船にどっさりのハイテク機器というのが、まだ今のところは日本も買ってきている、買えてるわけですよ。
山路:iPhoneも発売すぐに買えますしね。
小飼:その通りです。
山路:ちゃんと日本語対応もしてるし。
小飼:だからその辺が変わってきたら、いよいよヤバいんですけれども。
山路:じゃあiPhoneとかの日本語の表記がヤバくなってきたら、そろそろ(笑)。iPhoneとかもMicrosoftの自動翻訳みたいな感じになってきたらヤバいかもしれないですけどね。
小飼:いや、だから大学に10兆円ファンドとかってやってるべきじゃないんですよ。日本に必要なのは底上げなんですよ。だから、てっぺんを伸ばすことじゃないんですよ、てっぺんをこうやって伸ばすよりも、(山の中腹より下を示して)この辺が崩れてるから、山が低くなっちゃう。っていうのは明らかなんだけどもなぁ。
「去年のシンガポールの出生数たったの3.2万人なんだけど」(コメント)
山路:まあ、アジアは全般的に出生率低くて、日本はいいほうですよね。
小飼:日本はむしろ少し高いほうなんですよね。韓国や台湾やシンガポールよりも高いですから。でも高いとは言っても、2を余裕で下回ってるわけですけどね。
「ハワイならどう?」(コメント)
山路:このコメントは、年くってから暮らすならってことですかね。
小飼:ハワイも物価高めなのは仕方がないんだけど、お金がある程度あるのであればいいのかな。日本の人もいっぱいいますしね、少なくともホノルルであれば。
山路:Web3の本を作った中島聡さん。あの方ハワイに今在住で、
小飼:そうなんだ。
山路:朝泳いでからプログラミングするみたいなこと、書いてましたけどね(笑)。
小飼:川井さんもずっとハワイ、プログラマーで、劇団にも入ってる、川合史朗さんというハッカー。
山路:あ、ハワイにいるんですか。
小飼:ずっと、もう90何年かぐらいからずっとハワイにいる。
「弾さんはお金持ちだから、物価高くても余裕じゃない?」(コメント)
小飼:でもやっぱり育ちが貧乏だから(笑)、精神的に精神的にクるね。だからスイスとかホノルルとかの。
山路:ラーメンが3000円だったりすると、う、みたいな。
小飼:そうそうそう。
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小飼弾の論弾 #250 「Amazonもマスクも生成AIに参戦、AIエージェントが人間の行動をシミュレート」
「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
無料公開部分の生配信およびアーカイブ公開はニコ生・ニコ動のほか、YouTube Liveでも行っておりますので、よろしければこちらもぜひチャンネル登録をお願いいたします!今回は、2023年04月18日(火)配信のテキストをお届けします。
次回は、2023年05月09日(火)20:00の配信です。
お楽しみに!
2022/04/18配信のハイライト
- Starship打ち上げ失敗と、陸自ヘリ事故、「マルチコプターの利点」は?
- 岸田首相襲撃事件と「子育てに最適な国」
- 最高裁判事のスキャンダルと「水素は天然ガスよりもエコではありません」
- 「Appleカードと資産運用」と「AIと日本政府の死の接吻」
- AIと「インテリジェンスとはなにか」「LLMはアンラーナブルなのか」
- 「AIの勉強におすすめの本」と、プログラミングの未来
Starship打ち上げ失敗と、陸自ヘリ事故、「マルチコプターの利点」は?
山路:今日最初に取り入れようかなと思ってて、ダメになったニュースとしてStarshipというものが、SpaceXの。
小飼:昨日、うまくいけば初フライトだったんだけども、ちょっと延期しちゃいましたね。
山路:これって、めちゃすごいことなんですか? 打ち上げが成功してたら。
小飼:いや、けっこう、50年ぶりにサターンの記録を抜くと。
山路:ペイロードとかのその持ってける荷物の総重量。
小飼:そう。すごいよ。4400トンだよ。打ち上げ時に。
山路:4400トンっていうのが一体どれぐらいの重さなのかっていうのがなぁ、ちょっとわかんないんだけど、アフリカゾウ数千頭かな(※編注:アフリカゾウの体重は3〜7トン程度なので、数百頭分)、
小飼:自衛隊の主力護衛艦に匹敵しますね。フリーゲートよりも重い。ちなみにサターンVが3500だったかな。日本が誇るH2が600トンぐらいですかね。
山路:全然ちゃう、もう本当10倍近い、8倍ぐらいか、
小飼:ちなみにそれだけ重いのが、飛行機から打ち上げてない理由の一つなんですよね。実はあれだけでかくても、成層圏に到達するまでに燃料、半分使っちゃうんですって、今の地上から打ち上げてるロケット。それでもなんでそういうふうにしてるかって言ったら、そんな重いものを積める飛行機というのが今どころないという(笑)。飛行機から打ち上げられるのであれば、効率がいいというのはわかっているので、それをやろうとしているベンチャーもありますよね。
H2は軽自動車クラスというのか、大体あの辺がメインストリームというのか。山路:しかし、地上からそのどでかいロケットをボーンと打ち上げるみたいなのが、最先端のロケット技術というのが意外な方向だったなと思いました。
小飼:どんなところが?
山路:笹本祐一さんの『星のパイロット』で描かれたように、飛行機からの発射がもっと主力になるのかなとか、あるいは宇宙空間で組み立ててというのが今頃は実現しているかと思ってたんですけどね。
小飼:もっともっと宇宙、この番組で繰り返し言ってるように、宇宙ビジネスって意外と規模がショボいんですよね(笑)。
山路:ですよねっていう、結局。現実はそうだったっていうところがね。
小飼:だいたい今一番ボンボン打ち上げてるファルコン9ですら、ウィークリーぐらいなんですよね。
山路:ウィークリー、毎週。
小飼:毎週1本ぐらいですからね。じゃあ翻って、羽田-新千歳とか羽田-福岡って一日何便飛んでます?だから桁が3つ、いや下手すると4つ違うんだよな。コマーシャル、民間商用航空とは。
山路:これ、Starshipが順調にポコスカ打ち上がるようになってきたら、その辺の頻度って、ちょっとは、3桁が2桁ぐらいまでは縮まったりするんですか?
小飼:どうなんだろう。他のお客さんがつかないとね。今のところSpaceXの一番の客というのはSpaceX自身じゃん。一番多いペイロードというのはスターリンクでしょ。スターリンク2を打ち上げるのにも必要だということになってるけれども、Starshipは。
山路:そうか、スターリンクの需要が一段落したら、需要はある程度収まってしまいそう。
小飼:そうそう、でも自ら需要を作り出してるっていうのはやっぱりなんだかんだ言って偉い。
山路:マスクは、宇宙発電衛星とかブチ込んでくるかもしれないですけどね。
小飼:Starshipをもってしても、発電衛星をブレイクイーブンできるほどではないんだよね。さらに、さらにひと回り安くならなければいけない、太陽発電衛星の場合。だから、宇宙エレベーターができるのであれば、それで資材を持っていくのが一番いいのではあるけれども。
山路:テクノロジーレベルとして、宇宙エレベーターのほうがずいぶん先のもんだという気がするけれども、
小飼:そうなんだよね。
山路:それこそゲームの『シヴィライゼーション』で先にこっちの文明ツリーを開けとかないと次には進めないみたいな感じで、
小飼:あるいは地球の自転速度がもっと速ければね(笑)。
山路:無理な要求きた(笑)。
小飼:それはだからちょっと、でも火星であれば、今の人類の技術でも宇宙エレベーターを建造と言えばいいのか、敷設と言えばいいのか、できるんだよね。
山路:まあでも本当、次回の時までにはたぶんStarship、順調にいってれば打ち上げ、
小飼:たぶんあと2、3回ぐらいは爆発してくれるんじゃないかと(笑)。
山路:それは1回で成功すると、イーロン・マスクがいい気になりすぎるから(笑)?
小飼:ということではなくて、いや、名物になってるじゃん、Starshipの実験でさ、そう、ちゃんと着陸ができたけどボトーンと倒れちゃうとかさ、名物になってるじゃん。
山路:今回は着陸する時のキャッチはしないんですよね?
小飼:いや、今キャッチ失敗できて、設備ごと失うというのはちょっとリスクが高すぎるかな。
山路:まあ、これは次回の楽しみにとっておきますかね。
じゃあ、これ時事ニュースなんですけども、ヘリ、陸自のヘリが墜落して、亡くなった方が、小飼:これは残念なニュースですけれども、ヘリってわりと落ちますし。で、さらに軍用機というのは平和の時にもポコポコ落ちるものなので。前にも言った通り、イーグルって、F-15って今まで戦闘で撃墜されたことはないんですけれども、空自だけでも、12機、13機が事故で失われて、
山路:訓練とかで?
小飼:訓練とかで。はい。ただ、戦闘とか演習でなくて普通に人を運んでる時に落ちちゃったっていうのはちょっと残念ではあるんですけども、ヘリコプターというのは普通の固定翼機よりはやっぱり落ちやすいですね。やっぱ操縦、難しいですし、それだけ気象の影響も受けやすいですし。わりと普通の飛行機よりは、リスキーな乗り物ですね。オスプレイだけじゃないです。
山路:最近、空飛ぶ車とかそんな文脈でマルチコプターとか流行ってるじゃないですか、それやろうっていう動きもあったりするじゃないですか。万博、大阪万博で飛ばそうとしたりとか、
小飼:もしあれが通ってるんだったら、もうとっくにできてなければいけないのに、なんでできてないかって言ったら、もうこれ単純に物理法則で、
山路:マルチコプターのほうがなんか簡単そうじゃないですか?
小飼:あのですね、これは本当に改めて皆さんも『ゾウの時間 ネズミの時間』を読みましょうという話なんですけれども、虫ってすげえ不恰好なのに飛んでるじゃないですか。不恰好でも飛べるんですよ、あれくらい小さければ。ところが、これがネズミぐらいの大きさになると、ネズミぐらいの大きさで飛ぶって言ったら、スズメだとか、ハトだとか、それくらいになりますけど、かなり空力的に洗練されたフォームでないと飛べなくなりますし。これが人間ぐらいになると、もうそう簡単には飛べなくなってしまう。
山路:ハングライダーとかないとダメなわけですよね。
小飼:だからもう、単純に2乗3乗則というやつなわけですよね。そう、寸法が、長さが倍になると翼の面積は4倍になって、容量が4倍稼げるような感じがしますけれども、ところが体積のほうは8倍になってしまうという。要は被揚力は半分になってしまうわけですね。それだけで。で、3倍になれば3分の1。というわけで、重いというのはもうそれだけで飛びにくくなるんです。ちなみに、ちょっと話が飛んじゃいますけれども、船はこの制約がない。3乗3乗則なので。体が大きくなればなっただけ、浮力が取れるので。
山路:だから、海は低コストで済むということもでかいわけなんですね。
小飼:むしろ海の大きさが制限要素になっている。船はもっと大きく作ることも可能なんだけれども、接岸できなくなる(笑)、座礁しちゃう。
山路:このマルチコプターで大きくするのは意味がないんですか? マルチコプターのプロペラをものすごい勢いで回転させ出力を稼ぐとか、
小飼:空飛ぶバイクとか空を飛ぶ車とかって言ってるじゃないですか、これもやっぱりもう単純に物理法則で、大きな回転翼一つのほうが、小さな回転翼を複数よりも、大きな揚力を生めるわけです。これもちょっと一見違うように見えるんですけれども、風力発電の風車、あるじゃないですか。ちなみに英語では、すごい高速で回るgas turbineも風車もどっちもturbineといいます。そう、小さなやつをいっぱい並べるのではなくて、大きなやつを少しのほうが出力が大きくなるという。ちなみに今一番大きいやつって、翼1枚が115m(笑)。
山路:風車?
小飼:風車。風車の高さが280m(笑)。
山路:東京タワーみたいな感じだな(笑)。
小飼:なんでそんなバカデカくする、そう、もう747とかA380とかがほんとちっちゃく見えるサイズで、なんでそんなデカくするかって言ったら、そのほうが効率がいいから。一重に。
山路:じゃあマルチコプターって全然意味がない?
小飼:意味がないというよりも、multi copterにするぐらいだったら普通の1枚バネか、あるいはせいぜい二重反転翼の一対ぐらいにしておいたほうが効率がいいんですよ。
山路:空飛ぶタクシービジネスやりたいんだったら、ヘリでやれってこと?
小飼:単純にヘリでやりましょうという。
山路:じゃあマルチコプターの利点っていうのは、小さいものを運べる、そういうドローンを安く作れるということか。
小飼:実はですね、制御のやり方が全然違うんですよね。大きなヘリと小さいドローンとかのmulti copterとは。大きな奴というのは、ピッチ制御をしてます。
山路:羽根のねじれで。
小飼:そう。羽根のねじれを本当に1回転ごとに調節してるんですよね。それをやらないと、まともに飛んでくれない。それに対してmulti copterというのは固定です。固定で、本当に電気モーターが直結してて、それだけ。何を制御しているかって言ったら、回転数だけ。でも、電気なので、もう1/4回転1/8回転ぐらいのものすごい細かい制御ができるわけです。もしそうであれば、部品数はどっちが少なくなるかっていうふうに言ったら、翼は固定で、動力も電気モーター直結のほうがずっとシンプルでしょ。
山路:簡単に作れそう。
小飼:だから、なんでドローンはマルチコプターで、もっと大きなヘリというのは、もう農薬を散布するやつとかっていうのも無人のやつでも、普通のヘリコプターの形をしてますよね。っていうふうになったら、もうこれ単純に物理法則なんですよ。本当、泣く子と物理にはかなわんという(笑)。
山路:ヘリコプターのピッチ制御するみたいなプロペラっていうのは、高コストになりそうですね。
小飼:ものすごい高コストですよ。ものすごいハイテクですよ。ヘリというのは高いんですよ。同じ大きさだったら、固定翼のやつよりも一桁高いですね。
山路:あら、そんなに違うんですね(笑)。
小飼:ちなみにこのあいだ落ちたブラックホークはやっぱり数十億円のオーダーですね。もったいないとは思いつつも、でもやっぱり落ちる時には落ちる。
山路:話聞いてると、万博で空飛ぶ車、マルチコプターでやろうとするのは馬鹿みたいじゃないですか。
小飼:いやー、事故ったら万博どうなるんだろうなーっていうね。
山路:そうか、なんか残念だけど、
小飼:いやー、ミャクミャク君のドローンパフォーマンスにとどめておけと言いたいですね、それは。
「師団長ってどれくらい偉いんですか?」(コメント)
小飼:今、自衛隊って何個師団持っているのかな? 確か、普通の国では中将なので、日本だと。
山路:何かの記事では、陸将って。
小飼:二等陸将になるのかな。かなり偉いです。もう、その上にあると、あと二つぐらいしかないぐらい、偉い。
山路:それにしても宮古島のすぐ上でそんな墜落することはあんのかいって思ったんですけど、ヘリが急に落ちちゃうってことは十分にあり得る?
小飼:よくって言うのか、本当に年数回ぐらいの頻度だとあるじゃないですか。山岳救助のヘリが事故っちゃったりとかっていうので、わりとヘリコプターは固定翼機よりも一桁以上はリスキーなはず。それでも乗りたいけどね。
(コメントを見ながら)オスプレイはって言いますけど、オスプレイは事故率から言うと、普通ですね。ヘリコプターというのは、あれくらいは事故るものだと(笑)。それでも、民間バージョンのオスプレイとか来てくれないかなというのか、今、この間落ちた陸自のブラックホークももうかなりトウが立ってるんですよね、もう40年ぐらい経つ、もうちょっとか、もっとか、もう半世紀近くなるのかな。というわけで、後継機を今開発してるんですけど、後継のやつはオスプレイみたいにティルトローターになる予定です。Valorという名前、V280という。山路:結局もうティルトローターか、普通の一枚羽根のヘリコプターか、それぐらいしか、
小飼:いや、でもティルトローターの民間機ができれば、小笠原までやっと飛んでいけるようになるんですよ。今はちょっと遠すぎて、ヘリの航続距離では無理なんですよね、小笠原。
山路:じゃあティルトローターとかの開発なんかにリソースを投資したほうがまだ有望なんだ。新しいものを作るんだったら。
小飼:今のところはアメリカの独擅場ですけどね。今のところ唯一実用化されたのがオスプレーで、これから実用化されているようとしてるのがValorなんですけれども。
山路:民間用のができたらすごい盛り上がりそうな気がしますね。
小飼:民間用のもしてるんですけどね、AW689だったっけな(※編注:正しくは、AW609)。
岸田首相襲撃事件と「子育てに最適な国」
山路:時事ニュースで言えばもう一つ、岸田首相の襲撃事件がありましたよね。
小飼:あれはちょっとしたトロッコ問題が発生してましたよね。どういうことかっていうと、パイプ爆弾をあれはSPの人ではなくて、実は県警の人だったらしいですけども、蹴って首相から遠ざけたじゃないですか。ただ蹴った方向に群衆がいたでしょ、あれ僕すごい気になってて。トロッコ問題で5人対1人の、5人のほうに振った状態になるんじゃないかと(笑)。要人警護という点ではあれ正しいんですけれども、でもあれ、本当に普通の手榴弾だったら、犠牲者が多くなる方向だったので。こういう、いや、でもこういう場合、実は一番冴えたやり方というのは、
山路:身をもって庇う、
小飼:あれです、アメリカ海兵隊でそれをやった人は軍艦の名前になることが、もうなったのか。モンスーアという人だったっけ。
「判断してる時間もなさそう」(コメント)
山路:今回の襲撃事件でネットなんかでよく出てるのが、テロ容疑者のバックグラウンドについて細かく報道する必要、すべきじゃないっていう意見と、
小飼:それちょっと勘違いしてるよ。テロリズムに関しては、冴えたやり方っていうのは実はあんまりない。まだどこの国も、どこの社会も、抑え込みに成功した例というのはないじゃないですか。いや、でも日本は少ないほうだけども、それでも地下鉄サリン事件があり、安倍元首相の銃撃事件があり、今回のパイプ爆弾事件があり。ただ、個人的なterrorと組織的なterrorは分けられるじゃないですか。安倍元首相と岸田首相の例というのは、どっちもいちおう個人的なterrorというところまでは言い切れるような、組織、まあ安倍元首相の場合は、反組織テロではあるけれども(笑)。
山路:弾さん的には、報道のあり方に関して一律にこうっていうのは、ちょっと言えねえだろうと。
小飼:言えない、言えないけれども、さっきの陸自のヘリ墜落にしても、結論を急ぎすぎるなっていうのは。憶測があたかも決定事項のように流されちゃうというのも。最初の時にも、最初は左翼の仕業だとかって言ってたら、ド右翼だったわけじゃん(笑)。
山路:そこのところSNSの時代っていうとこありますね。
小飼:いや、SNSの時代伝わったということはあるけれど、でも実際に日本はテロリズムが多い国かって言ったら、そんなことはないわけですよ。実際にテロリズムによる死傷者というのもゼロではないけども、かなり少ないわけですよ。
山路:アメリカなんて普通の事件として起こってますからね。毎週のように。
小飼:フランスとかは組織的なやつがあったじゃないですか。劇場襲撃とか、スタジアム襲撃とか。
山路:まあそれに比べたらまだマシではあるんでしょうけど、一つのことで傾向を言っちゃうとか、そういうことは危険だということですよね、一つの例取り上げて。
小飼:いや、でも、警護の時の手術弾対策というのはやっぱり訓練メニューには含めて欲しいとは思う。でもやっぱり、覆いかぶさるというのがやっぱり一番冴えたやり方で、防弾ベスト着てても、やっぱり致死的かな、完全に覆えればいいんだけどね。いや、もっと時間に余裕があれば、液化窒素にドブ漬けしてしまうというのもあるけど、液化窒素のボトルを用意してるわけにもいかないし(笑)。
山路:爆弾処理班をいつも同行させるわけにはいかないですからね。
小飼:こういうのもなんだけれども、奇襲というのはもう、するほうが守る側よりも圧倒的に有利なんですよね。場所も方法も選べるわけですから。先手が圧倒的に有利だというのは変わらないので、先手を取らせたくなるような状況にしないっていうのは、すごい意味があるわけですよ。
格差を一定レベル以下に抑えるとかっていうのは、ものすごい効果があるんですよね。日本が安全な国の理由の一つっていうのは、これでもなお格差が薄いほうの、山路:他の国に比べたら、圧倒的ですもんね。
小飼:いわゆる先進国に比べたら、格差少ないほうなんですよ。
山路:これからはどうなるかわからんけれど。
小飼:大きくなるほうには来てはいる、あらゆる統計がそれを示してるし。
「液化窒素に入れたら、爆弾を抑えられるの」(コメント)
小飼:要は化学的に起爆しなくなりますね、ほとんどのものは。あれだ、いちおう原爆は別だな(笑)、いや、ただ原爆もあれだ、起爆は普通の化学的な爆弾を使っているので、起爆しにくくはなるけど、でも大きなものなどで、簡単に冷えてくれないな。でも、手榴弾ぐらいだったら本当に液化窒素ドブ漬けでいけるはずではある。
「アメリカは政治家が道で演説することはないの?」(コメント)
小飼:してるけれども、防弾ガラスをちゃんと展開する。アメリカはスピーチがすごい大事なところなので、全くしないってわけにはいかないので。狙撃されるリスクを背負ってでも、それは取らなければいけないリスクなんだけれども。
山路:いちおう狙撃されにくいポイントでやるようにするとか、
小飼:対策のほうもなかなか。大統領専用車とかはNATO弾くらいでは破れませんからね。たぶん12mmでも耐えるでしょう。
山路:えー、そうなんですか。
小飼:いや無傷とはいかないよ。さすがに20mmで撃ったら、爆発炎上すると思うけれども(笑)。いや、(指を広げて)こんなんですもん、窓とかの厚さも。
「簡単に狙撃ってできそうな気がしちゃうんだけど、映画の見すぎ?」(コメント)
小飼:きちっと当てるのは難しいでしょうね。
山路:日本って銃を持ち込むことができたら、意外に狙撃簡単かもしれないですよね、街頭演説とか多かったりもするし。
小飼:だからけっこうアメリカのシークレットサービスのフリをしてというのはあり得るかもしれない。日本は止められないから、アメリカのシークレットサービスを。属国なんで(笑)。エアフォースワンが来てる時とかっていうの、銃を持ったシークレットサービスが、日本の土地を闊歩してるわけですよ。
山路:じゃあ政治絡みであの暗い話多かったりするので、ちょっとこれは政治絡みでいい話なんじゃないかというのがこの話。
小飼:でもまだ提言なので、この状態でぬか喜びしちゃいけないんですけれども。
山路:ああ、ちゃんと決まるまで見とかんといかんぞっていう。
小飼:これは喜ぶというよりも、ちょっと今までがひどすぎたという。
山路:アムネスティに非難されるようなレベルの話だったわけですもんね。
小飼:というのか、タリバンに非難されかねない、日本のやつ、あまりに。
山路:また新しい比喩が増えてきましたね(笑)、「タリバンに非難されるレベルの人権侵害」。
「このニュース、本当良かったな」(コメント)
山路:本当にいい話だと思いますね。ただまあはっきり言って、この動きが進んできたのは、移民をいい加減ちゃんと受け入れる体制作らんとダメやろっていうふうな圧力もあったんじゃないかなって気がしますけどね。
小飼:一つ希望が持てるのは、例の観光立国というのはちょっとやばいんだけど、一ついいこととして、外国人慣れするというのはありますよね。でも、ねえ、今、少なくとも東京は外国人がいないというのはありえないですからね。
山路:めちゃめちゃ増えましたよね。
小飼:インバウンド、ちゃんと戻ってきてくれた。
山路:ありがたいことに。それに関連してちょっと言うと、BBC のニュースなんですけど、子育てに最適な5つの国っていうのが、
小飼:日本が入ってたと。
山路:そうそうそう、もうトップで上がってたという。まぁ治安の良さみたいなことが、
小飼:安全というのはでかいよね。ただ、教室いじめにあうとかっていうのだってあるぞ、君たちはそういうリスクをご存知なのかいという、
山路:それって、そのいじめって世界、アメリカとかなんか、
小飼:いや、もちろんある、
山路:めちゃめちゃ酷いのあったりするじゃないですか(笑)。
「日本入っているの?」(コメント)
山路:もうトップに、子育てには最適な国って上がってますよね。日本の子育てのしづらさって、日本人の賃金の低さみたいなところがあったりするからっていうのはあるんじゃないのと思ってますけど。
小飼:まぁあるいは労働、あるいは労務管理のずさんさね。
山路:そうそうそう。
小飼:これはもう、技能研修生とかにも本当に言えることだけれども。
「ただし金持ちに限る」(コメント)
山路:確かに金に心配がないんだったら、日本は最高に子育てしやすい国じゃないですか。
小飼:人事管理というのがド下手だよね。あんまり人事が上手い人っていないし、訓練もしないよね。訓練である程度どうにかなるものではあるはずなんだけれど。
山路:なんか日本って、元からあるスキルを教育で伸ばすって思想はあんまないですよね、全般的に。この子育ての話が出たところで、
「歴史上ずっと属国だったからですかね」(コメント)
小飼:属国かどうかわからない、けども、やっぱり属国レベルになったというのは日本が戦争に負けてからじゃないでしょうかね。というのも、島国だけあって、べつに属している意識がなくても、やっていけたわけですよね。日出るところの帝が、日沈むところの帝にお祈り申すって言っても、この無礼者! って言って、占領されないで済んだ国ではあるんだけど(笑)、
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