【絶体絶命都市4plus】震災をリアルに描くのはゲームには向かない【雑感】
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【絶体絶命都市4plus】震災をリアルに描くのはゲームには向かない【雑感】

2018-11-25 15:51
    11月22日発売の『絶体絶命都市4plus』をクリア(1回目脱出)しましたので、感想などを書いていきます。



    目次
    ・良かった点
     シリーズ恒例の遊び心
     人間の心理の描写
     防災マニュアル
    ・悪かった点(ネタバレなし)
     操作性
     テンポ
     古臭さ
     アイテム
     シナリオ
    ・悪かった点(ネタバレあり)
     シナリオ


    ・はじめに
    筆者は、絶体絶命都市シリーズのファンで、1~3のナンバリングタイトルと、巨影都市をプレイ済みです。
    2011年から発売を心待ちにしていたタイトルでした。

    初めてのエンディングを迎えての率直な感想は「正直あまり、面白くなかった」です。

    以下、プレイして感じた、良かった点と悪かった点について記していきたいと思います。

    まず、良かった点についてです。

    ・シリーズ恒例の遊び心
    まず、シリーズ恒例の遊び心についてです。
    思わず選びたくなるような、突飛な選択肢は今作も健在です。
    「1週目はまともな主人公で貫くぞ」という個人的な決意を強烈に侵犯してくる選択肢の数々。
    どうしても選びたくなってしまうものが多く、周回プレイを促してきます。



    また、巨影都市でもあった、資産がやたらと高額になるわらしべイベントも、いい感じの仕上がりになっていました。
    尚、総資産が1億円を突破するとトロフィーが獲得できます。

    ・人間の心理の描写
    これもシリーズ恒例となっていますが、震災の恐怖は物理的な要素に限らないというメッセージが込められたシナリオになっています。
    不安や恐怖が人々の心に悪影響をあたえ、よからぬ行動に出る人たちが、ときに主人公たちの行く手を阻みます。
    災害の混乱によるパニックをリアルに表現しています。

    ・防災マニュアル
    またまたシリーズ恒例の要素です。
    マップのあちこちで入手できる防災マニュアルは、本当に役に立ちます。
    そんな知識、使わずに過ごせれば、それが一番なのですが、いざというときに自分や大切な人を守ることができるような知識は備えておく必要があります。
    ボリューム・質ともに過去作以上に充実しています。


    よかった点は以上になります。
    過去作にあった良い点が、きっちり活かされています。
    反対に言えば、今作ならではの新しい魅力は少なかったように思います。

    次に、良くなかった点についてです。

    ・操作性
    カメラワークや乗り物の操作性が悪く、とても遊びにくく感じました。
    ある種のリアリティの表現に必要な措置だったのかもしれませんが、ゲームとしては不快な要素となってしまいました。

    ・テンポ
    単調で間延びしたマップが多く、退屈でした。
    「これは絶体絶命都市なのだから、ここから面白くなるはずだ」というモチベーションがなければ、コントローラを置いてしまうような退屈さでした。
    なかでも、同じような間取りの団地を延々徘徊して必要なアイテムを収集するシーンは恐ろしく退屈でした。




    ・古臭さ
    全体にひと昔前のゲームっぽさが濃かったです。
    行き止まりの表現が雑です。主人王が乗り越えられる高さと、そうでない高さの差がいまいち読み取れません。なんとなくオブジェクトを配置して「ここは通れないよ」と表現する、"ゲームのお約束"に頼りきった表現は、没入感を損なうものでした。

    ・アイテム
    アイテムのバリエーションが少なく感じました。
    服とコンパスしか落ちていません。
    アイテムを組み合わせて作成する要素も健在ですが、ほとんど使われませんでした。
    尤も、おかげでシリーズ恒例の、インベントリが飽和してアイテムの取捨選択をするというストレスからは解放されました。

    ・シナリオ(ネタバレなし)
    シナリオは本当に最悪でした。
    一番不満に思った点なので、ここについては長く書いていきたいと思います。

     ▼感情移入できない
    今作のシナリオは感情移入ができない点が、最大の欠陥です。
    たくさんのキャラが登場しますが、描写が薄いです。
    なので、突然自殺しようとしたり、主人公に銃を突き付けてきても「お、おう……」としか思えません。プレイヤーが蚊帳の外なのです。
    意外な人物が悪い奴だったりするのですが、そこまでのイベントが薄すぎて「あぁ、悪い奴だったのね……」と冷めた反応しかできません。もったいない。
    ひとりひとりのキャラクターのイベントを充実させて、主人公との関係性を構築していくことができれば、もっと面白いストーリーになったはずです。

     ▼絶望感をはき違えている
    今作は震災がもたらす絶望を表現することに注力しているように感じました。
    食料を巡って争う避難所や、火災で燃え尽きた集落で立ち尽くす人々を用いて巧みに表現がなされていました。
    ただ、絶望に駆られ非道を働いた人たちに対して、主人公から何の手出しもできず、また天罰が下ることもないことが多いです。
    リアリティのある描写だとは思いますが、ゲームのシナリオとしては評価できません。
    なに一つ悪いことをしていない女の子が、震災の混乱に乗じて性的に暴行され、主人公が駆け付けた時には加害者は逃げた後でした。
    何の必然性も救いも無いこのシーンは多くのプレイヤーに、いたずらに不快な思いをさせたことでしょう。

     ▼先の展開が気にならない
    怪しい人物が物語の序盤から多数登場します。
    それらの謎が少しづつ明かされていく過程を楽しむのが、アドベンチャーゲームの醍醐味です。
    ただ、今作の謎は、散りばめるだけ散りばめてから、放置される時間が長すぎます。
    とてもテンポが悪いので、「続きをプレイしたい」という欲求がまるで湧きません。
    前述の「これは絶体絶命都市なのだから、ここから面白くなるはずだ」というモチベーションがなければ、プレイを続行することはなかったと思います。


    以上が、良くなかった点です。
    PS2時代のタイトルから大きく進化した点はなく、PS4のタイトルとは思えない遊びにくさでした。マップやイベントも過去作と似たようなものばかりで新鮮味に欠けます。
    新しい試みとして、シナリオの方向性を変更したのだと思いますが、とてもひどかったです。

    とにかく、
    「震災のリアルは、ゲームで描写するのは向かない」ということだと思います。
    リアルにこだわるなら、歩き回らずに最寄りの避難所で救助を待つだけでよいわけですから。

    悪い点をいくつかあげましたが、シナリオだけでも改善されれば、良いゲームになると思います。
    絶体絶命都市シリーズは新作が出れば必ず買うと決めているタイトルなので、次回作に期待します。

    以下、ネタバレ込みでシナリオについて愚痴ります。



    以下、ネタバレを含みます。




    ==============================






    今作のシナリオで不満が溜まりがちなシーンは、
    1.比嘉先生の死亡シーン(とその際の選択肢)
    2.避難所の留学生ダニーの扱い
    3.笠原弥生が暴行されるシーン
    の3つかと思います。

    まず、1の比嘉先生のシーンに不満が溜まる理由としては、
    「生徒たちの描写の不足」があげられます。
    生徒同士が互いにどう思っているのか、先生をどう思っているのか
    そのあたりの心理描写がざっくりしすぎていて、プレイヤーに見えてこない。
    そのため、比嘉先生が命懸けで生徒を救うシーンもプレイヤーにはピンとこない
    完全に置いてけぼり。
    シリーズのファンにとっては付き合いの長いキャラなので、死んでしまった悲しみだけは味わわされるのですが、
    置いてけぼりをくらうので、悲しみは不完全な形でしか消化されません。
    残った感情は「不満」のみです。
    (そこへあの選択肢は無いわぁ)

    次に2の避難所のダニーの扱いについてです。
    ダニー達が避難所で差別的な扱いを受けるところまでは、災害の絶望感の描写として巧みだと思います。また、主人公たちで協力して食料を確保するなどして抵抗することができるので、ゲームとしても素晴らしい描写でした。
    ただ、その後の「一方的に投石などの暴行を受けた挙句、自宅の焼け跡で倒れているも、救ってあげることができない」という救いのなさはゲームで描く絶望としては悪手でしょう。プレイヤーには理不尽な無力感しか残りません。

    最後に3の弥生が暴行されるシーンです。
    個人的にはこのシーンを見るまでは、積極的に周回プレイをしてもいいかな、くらいに思っていました。
    なんというか面白い・面白くないではなく、心が折れました。
    このシーンは上述の1,2のシーンとは根本的に異なります。
    というのも、
    このシーンは圧倒的なまでに必然性がないのです。
    比嘉先生は生徒を助けようとリスクを負った結果死んでしまいました。
    ダニーは確かに避難所の人からみたらよそ者で、食料が有限ななかでは忌避されることもあるでしょう。
    しかし、弥生はチケットがもらえると聞いて待ち合わせ場所に向かっただけです。
    被害を受けることに、なんの必然性もありません。
    これがありなら何でもあり、というラインを超えています。

    強いていえば、若くてきれいだから劣情の対象になりうる、とかそんな理由ですか。
    ゲームのシナリオとしては無茶苦茶です。

    ていうか、宝石店の扉の鍵持ってなかったっけ?

    このシーンですべて台無しでした。


    以上です。
    最後まで目を通してくれてありがとうございます。

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