けもフレは脳死アニメだったのか?
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けもフレは脳死アニメだったのか?

2019-05-23 20:22
    初投稿からのっけからあれな長文記事かつ、おそらくさんざん語りつくされていることと思いますが、
    http://kemono-friendsch.com/archives/83795
    とか物語論とかのメタ考察を見聞きしての、私的なまとめその1です。


    けもフレは「脳死アニメ」「IQが下がる」という称号を得て2017年という時代を席捲しました。しかしながら、2期を受けての再考察が進んだ結果これは完全に誤った称号だったことが分かったのだと思われます。結論から言えば、「脳を全部使ってEQを駆使して観るアニメ」というのが正解だったのだと考えています。

    まず、けもフレ1期やケムリクサを見ていて、「画面から目が離せない」「ながら見ができない」と感じたことはないでしょうか?

    冒頭のリンク先のように、けもフレ1期はモノローグや回想を使わない(独白はあるが)という再発見が先日話題になりました。たつき監督は言語による説明を極力省き、それを補って余りある情報量を細かいジェスチャーや表情に込める作風をとります。それらの情報は視覚を通し、脳の非言語野に届くことで、無意識に染み込んでいきます。モデルになった動物の生態がどうの、などという知識を持っていなくてもコンテキストの中で意味を持つことが「わからせられる」のです。(ケムリクサではりんのモノローグがみられますが、これはりんの裏表=強がっていることを無意識に刷り込んできているように感じられます。)

    結果、役割とキャラ背景の紐づけによって不自然な解説セリフが省かれていることと相まって、従来のそれと一線を画すレベルでキャラクターが「生きる」わけですが、これはつまり、脳死とは正反対の「脳のより広い領域を使って受け止める」ことをしているということになります。フレンズ言うところの「脳死」とはつまり、「言語野集中でない」≒「IQだけでは足りない」という意味だったのではないでしょうか。(けもフレ視聴中の脳活動分布を測ってみたりすると面白いのでは?)


    たつき監督はこれを、少数精鋭の制作体制を活かしてブラックすれすれの際限の無い校正・リテイクを繰り返すことで必死に実現していることが数々のインタビューから見て取れます。そういった表現の特徴・作りこみ方を把握せずに、ただ「脳死アニメ」という称号を、イコール「子供向け」あまつさえ「子供だまし」のように捉えて真似してしまえば、一見して記号や構成要素としては同じものを取り揃えていても、実態としてはかけ離れた品質となってしまうことは想像に難くないし、理解して狙ったとしてもセンスがなければ無限の時間を費やしてもたどり着けない境地のように思われます。

    さらに言えば、けもフレ1期は普段アニメを見ない層にもかなりリーチしていたと認識していますが、逆に私の視界内では普段から大量にアニメを見ている層にはそこまででもない反応でした。これも実は根っこが同じなのではないでしょうか?従来のアニメを大量に見てきた視聴者の脳には、従来のアニメを見るための最適認知構造、いうなればアニメ野が学習形成され、逆にたつき監督の描写する表現を認識・評価できないというようなことが起きていたのではないでしょうか?(決してアニメファンを下げる意図はありません。念のため)

    似たような参考事例として、最近のYoutube動画を最初のエンタメとして接触したあたりの世代には「漫画の読み方がわからない」という子が一定の割合いるらしいことが話題になったのも記憶に新しいですね。エンターテイメント作品を受容するには、脳にある程度の準備が必要だからだ、などと言われていました。若い家庭では新聞の四コマすら触れなくなって久しいわけで、無理からぬことでしょう。



    とかく一見した低予算風の絵や、すごーいに代表される”優しい、ディスのない世界”ばかりが注目されていましたが、それだけであれだけの訴求力を発揮できるわけがないのです。

    とはいえ、先述の通りこれは日本ではirodoriの身内感覚によってはじめて実現できるスタイルで、普通の企業でこれをやるとコンプラ違反待ったなしでしょうから、次世代のスタンダードになれるかというとちょっと微妙そうです。ただ、ハリウッド映画のコメンタリーなんかを見ていると、案外たつき監督と同じようなこと(限度一杯を超えたリテイクやらなにやら)を言っていたりするので、アニメーターブラック問題から業界の再編みたいなことが起きれば夢ではないのかも??


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