• 戦争文学

    2018-07-01 04:12
    八月が来る。八月と言えば日本の終戦記念日/敗戦記念日が訪れる日である。つまり、戦争の話題が巷を賑わせる時期である。だからというわけでもない……いや、あるのだけれど戦争を描いた文学や映画に触れたくなる。例えば大岡昇平『野火』や奥泉光『グランド・ミステリー』、古処誠二『ルール』などだ。

    今年読もうと思っているのは、大西巨人『神聖喜劇』。この本は五冊とも十年以上前に光文社文庫の新装版を買ったのだけれど、一度読もうとして途中で挫折して放り出してしまっていたのだった。大西巨人の小説はその厳密さとユーモア――大西巨人を顰め面をして読むなんて、勿体無いことだと思う――にあると思うので、『神聖喜劇』もユーモアが全開になっているのではないかと思われて読むのが楽しみだ。

    その他では気になってるのが、集英社から出ている『戦争と文学コレクション』シリーズ。全二十巻から成るシリーズは文字通り朝鮮戦争や 9.11 といったホットなトピックをそれぞれテーマ毎に集めて集積したもので、読み応えは抜群……だと思う(読めていないので肝腎の中身までは触れられない)。知らない作家と出会えるのもこのアンソロジーの醍醐味だ。

    あと陣野俊史『戦争へ、文学へ』といった本も気になっている。戦争と文学を論じた本として読み応えがありそうだ。だがまずは『戦争と文学コレクション』を少しずつ読んで行きたい。そして『神聖喜劇』も。とはいえ私の読書は行き当たりばったりなので、半月後ぐらいには反故にしている可能性も高い。でもまあ、良いじゃないか。今の正直な記録をつけておくことに意味があると思った。だから書くのだ。

    それにしても、八月になると終戦記念日/敗戦記念日を祝う(?)という雰囲気はどうにかならないものか。いや、確かに八月はヒロシマがありナガサキがあった月でもある。そんな月だからこそメモライズの意味でも思い出す/忘れないためにそうした行事は必要なのだろう。だけれども、戦争は突然始まったわけではない。人災なのだ。それに目を向けて、一年中戦争について考え、反省すべき時が来ているのではないか。

    とまあ、偉そうなことを書いてしまったが私の「戦争文学」に対する知識は付け焼き刃。だからこれから大西巨人の本を読んで学んで行こうと考えている。
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  • 山崎まどかさんの本を読んでいる

    2018-07-01 03:48
    長谷川町蔵・山崎まどか『ハイスクールU.S.A.』『ヤング・アダルトU.S.A.』といった本を読んだせいか、長谷川町蔵氏と山崎まどか氏の単著をそれぞれ読みたくなった。それで長谷川町蔵氏に関しては『サ・ン・ト・ランド』『聴くシネマ×観るロック』といった単著を読んだので、山崎まどか氏の単著を色々読んでいるところである。

    私は男である。だから山崎まどか氏の著作は正直ついて行けないところがある。女性/女子向けに書かれた本が多いからだ。『オリーブ少女ライフ』みたいに『オリーブ』を愛読していないと分からない本があったり、『オードリーとフランソワーズ』みたいに乙女趣味(と書くとイヤミな響きに聞こえるが)全開の書物があったりする。私にはハードルが高い。

    ただ、悪く言えば情報の羅列/塊であり目新しいところなど殆どないとも言えるそんな山崎氏の本が、それでも興味深く読めるのは山崎氏がそういう文化を好きで好きで仕方がないところから来ているのだろう。批評家、としての筆致ではない。少女趣味(と書くとこれもまた雑に過ぎるが、他に語彙がないのだ)を好んでいるその耽溺具合が伝わって来る。それが書物に説得力を持たせているように感じられる。

    彼女の現時点での最新作である『優雅な読書が最高の復讐である』を読んだ。ページによって色が変わったり、二段組になったりとレイアウトが趣向を凝らした本で読んでいて飽きさせない。もちろん山崎氏の筆も軽快で、こんなに読めていない本が世の中にはあったのかと蒙を啓かれること暫し。新しい分野を切り開いて行こうという気分にさせられた。

    長谷川町蔵氏にも言えることだが、繰り返しになるのだが情報量/勉強量の多さで勝負するライターであると見た。つまり、例えば(個人的にファンなので名を挙げれば)三田格氏のような、強引な/我田引水な論理の遊びで持って行く人ではないのだ。天才ではなく秀才、というべきか。そのあたり読んでいてやや退屈かな、という気分も感じなくもない。だが、秀才は秀才で優れたものを記していることには変わりはない。読みたい本が増えてしまった。

    山崎まどか。なかなか侮れない著者を知ってしまったものだと思われる。これからも動向をチェックして行って、それで彼女が紹介する本や音楽・映画に触れて行きたいと感じられた。それは決してムダなことではないだろう。
  • Horace Andy『Skylarking - The Best Of Horace Andy』

    2018-06-30 03:04
    ホレス・アンディの名は何処で知ったのだろうか。覚えていない。『スタジオ・ボイス』誌で、『空中キャンプ』がリリースされたあとくらいに行われたフィッシュマンズのインタヴューが載っていたのを読んだ時くらいに知ったのが初めてではないかなと思う。ベースの柏原譲氏が、佐藤伸治のヴォーカルを称してホレス・アンディに似ていると語っていたのだった。それがホレス・アンディという名を知った直接の切っ掛けだったように思う。

    その後マッシヴ・アタックの作品を聴くようになって、そこでホレス・アンディが参加している曲を色々知るようになった。声を聴いたのはそういう切っ掛けだったように思う。確かにホレス・アンディの歌声は佐藤伸治のそれに似ているようにも思った。甘辛いというか、キーが高くて若干粘っこいところが共通点であるように感じられたのだ。佐藤伸治はホレス・アンディを何処まで聴き込んでいたか知らないが、まさか全く知らなかったわけでもあるまい。そう思うとこの類似点にも興味が沸く。

    『スカイラーキング』はそんなホレス・アンディのベスト盤。マッシヴ・アタックとのコラボレーションも含めた曲が十四曲収められている。聴いていて思うのは、やはりホレス・アンディの歌声の強度である。甘辛い……他に言葉が見つからない。朗々とした歌声がこちらの胸に切なく響いて来る。理屈を超えて本能に訴え掛けて来る、エモーショナルな声だと思う。レゲエ/ダブが分からない人でも、この歌声は身に沁みるのではないだろうか。

    蒸し暑い時期がやって来た。梅雨明けはまだ遠いようで雨が降り続けてジメジメする。蒸し蒸しした時期を潜り抜けたら梅雨明けが訪れるのかもしれない。そんな夏の暑い時期にホレス・アンディの歌声は似合うように感じられる。例えばオーガスタス・パブロやリー・ペリーみたいな過激な実験は為されていないのだけれど、逆の角度から言えばオーソドックスで聴きやすい。入門編にピッタリではないかと思う。

    フィッシュマンズと並んで、ホレス・アンディのこのベスト盤も夏に愛聴する作品になりそうだ。レゲエ/ダブはまだまだ掘り下げられていないミュージシャンが多い。これからも色々と聴いて行こうと思っている。伸びやかなヴォーカルは確かに佐藤伸治にも似ている。佐藤伸治とホレス・アンディの共演……そんなことって起こらなかったな、と思い至る。もし共演が成り立っていたらどうなっていただろう?