• 大谷翔平選手 左膝手術

    2019-12-30 08:10
    皆さん、こんにちは。本日は、この秋に膝の手術を受けた、ロサンジェルスエンジェルスで活躍する大谷翔平選手が発症した膝の怪我について説明して行こうと思います。

    まず、彼の膝の怪我の診断名ですが二分膝蓋骨(にぶんしつがいこつ:二つに分かれたお皿の骨)と呼ばれるもので、幼児期に結合するはずの膝のお皿が分離したままの状態である分離膝蓋骨を指します。分離膝蓋骨は膝のお皿が二つに分離したものもあればそれ以上に分離したものもあり、怪我によって起こると言うよりは、先天的に発症するコンディションです。 通常、分離膝蓋骨に伴う痛みや症状が起こることは稀で、人口の数%しか症状を発症しないと言われています。 いくら、膝に痛みがあると言っても真っ先に疑う怪我というよりは、レントゲンを撮った際に写っていたという感じです。つまり、いくらレントゲンで発見されたからと言って、症状がなければ、手術はもちろん、特に治療する必要はありません。MLBの記事によれば、本人自身も、分離膝蓋骨があったことは今年MRIを撮るまで知らなかったと話しています。


    https://radiopaedia.org/articles/bipartite-patellaから参照

    しかし、彼の場合、ここ数年膝の痛みを何回か発症しており、特に今年に入って痛みが強くなって来たことから、検査に至った様です。膝のお皿には、太ももの筋肉が付着しており、筋力発揮の際にレバーとして重要な役割を果たします。つまり、下半身に繰り返しストレスのかかるような、ジャンプやランニングで痛みが悪化するケースもありますし、ウエイトトレーニングの様な高重量の重りが、炎症を起こして痛みを悪化することもあります。しかし、彼の様な一流のアスリートで、将来を期待される様な選手でなければ、なかなか手術に至るということは少ない様に思います。

    どのような手術を行うかは、分離した骨の大きさや場所によって異なって来ます。骨と骨を結合する様な手術を行うこともあれば、骨のピースが小さい場合には、取り除いてしまうこともあります。内視鏡手術で可能な場合もあれば、大きな切開を必要とする場合もあります。 もちろん、内視鏡手術はリスクや合併症の可能性は、切開が必要な場合に比べたら低いですし、回復期間も短いです。同様に、分離した骨を取り除いたほうが、ピースを結合する場合に比べたら断然回復が早いです。


    https://www.orthobullets.com/pediatrics/4049/bipartite-patellaから参照

    この様に、競技復帰までには、様々な要素を考慮する必要がありますが、球団側の発表によると、9月の手術時点で、彼の回復期間を遅くとも12月の半ばまでにはほぼ100%回復しているだろうと見ていた様です。もし、順調に回復していたら、今頃100%に近い状態で、トレーニングしていることと思います。春のキャンプに間に合うことを願っていますし、来年元気な姿でピッチに立ってくれることファンの皆さんは期待していることでしょう。




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  • 蛯名正義騎手 右踵骨粉砕骨折

    2019-12-29 10:27
    今日は、12月28日の中山2Rのグーガルドリームズで落馬により怪我をされた、蛯名騎手の骨折について見ていこうと思います。

    各メディアでは踵骨粉砕骨折と放送されていますが、踵骨とはいわゆるかかとの骨で、高い所から落下したり、急速なスピードでぶつかったりすることで、骨折するのが一般的です。骨折の重症度は、様々ですが、骨折箇所、骨折の箇所の数、骨のズレ具合によって治療方法や回復時間が異なります。 

    粉砕骨折の場合、その文字のごとく、骨が何箇所にも渡って骨折している状態を意味し、骨折箇所もずれている可能性が高いです。一般的な骨折と違い、骨にずれが生じている場合、ただ単に時間が経てば治るというものではありません。 骨自体がくっついたとしても、骨がずれて治ってしまっては、その周りの組織である筋肉や靭帯に影響を与えますし、それ以上に周りの関節にかかるストレスが怪我をする前とは全く異なってきます。つまり、通常の歩行にも影響を与えかねないのは言うまでもありませんし、騎手としてのパフォーマンスに影響を与える可能性が非常に高いです。

    写真はあくまで例として参照したものですが、骨折場所が何箇所にも渡り、骨がずれてしまっている場合には、手術が必要となります。ピンやスクリューなどで骨折箇所を整復し、理想の形での骨の治癒を促します。 この後は、骨が治るまで負荷をかけない様に、松葉杖やエアキャストを使用することになります。


    Screw fixation of calcaneus fracture
    https://orthoinfo.aaos.org/en/diseases--conditions/calcaneus-heel-bone-fractures/から引用。

    骨折の治癒後は、手術のスタイルによって、ピンやスクリューを抜くかが異なってきます。 どちらにしても、足関節の機能は衰えてしまっているので、しっかりと可動域改善や筋力強化などを行って、機能回復に努める必要があります。


    乗馬復帰までは長い道のりかと思いますが、一早い復帰を願っています。
  • 八村塁選手、鼠蹊部損傷

    2019-12-27 06:33

    現在ワシントンウィザーズで活躍中の八村塁選手。開幕からスターティングラインナップとして、チームを牽引していましたが、12月17日のデトロイトピストン戦で、鼠蹊部を負傷してしまいました。これは、リバウンド時にチームメイトに直接患部を蹴られたことによる負傷で、その試合後ゲームに戻ることは出来ませんでした。

    https://twitter.com/hashtag/WizPistons?src=hash

    では、ここでいくつか考えられる怪我について見て行きましょう。

    まず、受傷時のリプレイを見てみると、チームメイトの振り上げた脚が、直接鼠蹊部を強打し、八村選手が床に倒れこんでいるのがわかります。受傷起点を元にすると、何かしらの打撲だというのが一番初めに疑われます。 鼠蹊部には解剖学的に様々な組織が位置しているため、強打した場所によっては治るのにかなりの時間を要する可能性が高いです。

    まず始めに疑わなければいけないのは生殖器でしょう。 野球選手や格闘家がカップを身につけて、直接的な打球や打撃から守るくらいですから、強打に伴う痛みは計り知れません。毛細血管の破裂に伴う打撲や腫れ、痛みに伴う吐き気、そして損傷度合いによってはまともな歩行は困難となります。

    治療方法ですが、通常は、安静を取りながら、患部の腫れや打撲が引くのを待つことになります。場合によっては、痛みや腫れ止め用の薬を処方されたり、アイシングが効果的なこともあります。

    他の可能性を考えるとすれば、鼠蹊部は様々な筋肉の付着部という事もあり、仲間選手に蹴られた際に、股関節の内転筋の付着部を損傷した可能性もあります。 この場合も、筋肉あるいは筋肉が腱に移行して骨に付着する部位を打撲したことになり、度合いによっては痛みが引くのに長時間要するに場合もあります。 ただ、鼠蹊部の筋肉(内転筋)は怪我を再発しやすい部位でもあるので、ただ痛みが引いたからと言って、すぐゲームに戻れる可能性は少ないかもしれません。

    他にも、直接的な打撲による怪我を考えると、恥骨の骨折あるいは恥骨結合炎もあり得ますが、恥骨骨折でしたら、かなりの長期間プレーはできませんし、恥骨結合炎は急性的な怪我というよりも、繰り返しストレスを与えられておこる慢性的な怪我ですので、可能性は低いです。

    ここまで推測してきましたが、12月17日に怪我をして、12月26日以降ゲーム復帰とのことですので、そこまで、重症ではないと祈っています。

    今後もスポーツ選手を題材により深くかつわかりやすく怪我について語れたらと思います。