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  • 18年ぶりに帰還! “魔物”が棲む東京ドーム大会総括■RIZIN広報・笹原圭一

    2021-06-22 17:002
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    毎大会恒例! 笹原圭一RIZIN広報のインタビュー!!  今回はRIZIN東京ドーム大会を振り返ります!(聞き手/ジャン斉藤)


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    恋のマジカルRIZIN.27名古屋大会を語ろう■RIZIN広報・笹原圭一


     

    ――
    MMAにとって18年ぶりの東京ドーム大会はどうでした?

    笹原 何か東京ドームはすごくそわそわする会場というか……谷川(貞治)さんも来場されていたんですけど「東京ドームってやっぱり色気があるよねぇ」と言ってて。

    ――
    んあ~!(懐かしのサダハルンバ語)。特別感がある会場なんですね。

    笹原
     その感じはすごくわかるんですよ。ボクもPRDIE時代の記憶が残っているので、それこそPRIDE.1のときに高田(延彦)さんが控え室として使っていた部屋の前を通るだけでドキドキしますから。

    ――
    高田延彦vsヒクソン戦の緊張感がよみがえってくる……。

    笹原
     それくらいPRIDE.1の記憶が強烈に残っているってことなんですけどね。 いまの会社(RIZIN)では社長(榊原信行)ぐらいしかあの緊張感を共有できないんですけど。社長も「東京ドームは何か違うんだよな……」って言ってましたから、やっぱり不思議な緊張感があるんですよ。

    ――
    “東京ドームの格闘技イベント”を体感した関係者も減ってますよね。

    笹原
      ボクは18年前どころか、25年前のPRIDE.1とやっている仕事がほとんど変わっていないので、 それが幸せなことなのか、どうなのか(笑)。RIZINオフィシャルカメラマンの保高(幸子)さんともそういう話になって。当時の保高さんは駆け出しのカメラマンだったそうですけど。 

    ――
    ボクもプロレス格闘技を見ながら麻雀を打つ日々なので、変わりのなさに絶望しますね(笑)。

    笹原
     18年間って子供が生まれて成人するまでの時間ですからね。PRIDEを知らずにRIZINを見る人もいる。ひとつの大会でも見方が当然違ってきますよね。

    ――
    オープニングVもCOMPLEXの「BE MY BABY 」が使用されていましたけど、あれも若い世代はなんでこの曲なのか意味わからないですよね。知ってても知らなくても楽しめるんですけど。

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    RIZIN東京ドームのオープニングVより

    笹原
     大会が終わってもボクの頭の中には「BE MY BABY 」が流れ続けていますけど(笑)、本当はなぜあの曲を使ったのか、みたいなことまで掘り下げると、もっと楽しめるんですけどね。

    ――
    そこらへんはDropkickの他の記事でもちょっと触れてるんですど……あのオープニングVのPRIDE振り返りは写真で構成されてますけど、会場ではUFCの協力により実際のPRIDE映像が使われた限定版だったそうです。

    笹原
     じつはそうなんです。だから会場観戦組の方々はものすごく貴重な映像を見られたということなんです。

    ――
    よくUFCから映像を借りられましたね。

    笹原
     チャーリー柏木がUFCに問い合わせたら「会場で使うぶんにはいいよ」と。配信や放送なんかで流すのはNGだけどってことでした。

    ――
    すべてNGというわけじゃないのが興味深いですね。

    笹原
     まぁでも映像を借りる・貸し出すくらいの話はできる関係性があるってことです。

    ――
    そういう発言でご飯が何杯も食べられるRIZINファンはいっぱいいます(笑)。ただ、朝倉未来選手が負けてしまったことで「格闘技人気が下がる!」と心配しているファンも多いんですよ。

    笹原
     あー、そうなんですね。でもPRIDEは東京ドームの高田延彦vsヒクソンから始まったじゃないですか。未来選手の敗北はたしかにショッキングだったかもしれませんど、高田さんが負けたときの絶望感ったらなかったじゃないですか。

    ――
    正直、終末感がありましたねぇ。

    笹原
     いまでいえば「RIZINも修斗もパンクラスもDEEPもすべて終了です。明日から大会もやりません!」みたいな感じじゃないですか(笑)。

    ――
    佐伯さんが「ジュエルスも入れてよ!」と吠える声が聞こえてきました(笑)。

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    笹原
     PRIDEは敗北からスタートしたからこそ「負けからどう這い上がるのか」というテーマがイベント自体に刻印されてしまったわけです。なのでPRIDEを母とするRIZINも当然、そこからは逃れられない。未来選手もこの敗北からどうやって這い上がっていくのか。負けたら負けたでここからドラマが紡がれるわけですから。

    ――
    RIZINの中でも、堀口選手の復活とかはまさにそのテーマですよね。

    笹原
     未来選手が「引退するかも」という発言をしていたじゃないですか。まぁ正直負けた選手からそういう言葉はこれまで7万回くらい聞いているので、「そういうモードね」くらいの感じなんですよ、我々は(笑)。でも勘違いしないでほしいんですが、未来選手の言葉を軽く考えているとかじゃなくて、格闘技で受けた敗北や屈辱って、結局格闘技でしか贖えない、という思考に選手が戻ってくることをボクらが確信しているからってことなんです。

    ――
    実際に翌日、引退発言を撤回しましたけど。それは「もうRIZINが終わってしまう……」くらい、のめり込んでるファンが多いってことでしょうね。

    笹原
     熱狂的なファンがRIZINに付いていることは、つくり手として嬉しいことですね。いろんな声を見ていると、RIZINは他人の人生を狂わせるなあって思いますよ。PRIDEやDREAMのときもこの手の熱はありましたけど、あのときとは何か違うなあという印象がありますね。

    ――
    SNSで直接ものが言えることが大きいんでしょうね。

    笹原
     ああ、SNSの存在は大きいですね、たしかに。

    ――
    ボクは毎日中日ドラゴンズの試合を見ながらテレビ画面に文句を言い続けてますけど、RIZINの場合は選手本人に「その考えはおかしい!」「ざまあみろ!」とかぶつけてるわけですからね(笑)。 

    笹原
     喜怒哀楽をSNSで表現できるからこそ、こういった熱が生まれることを加速させているかもしれませんね。

    ――
    それと自分と同じ感情を共有したいという願望も強いでしょうし。 

    笹原
      今回でいえば、サトシやクレベルの勝利に「柔術最高!」と叫ぶ人がいれば、「柔術じゃなくて、サトシやクレベルが最高なんだ」と主張する人がいて。 いろんなところで争いが起こっていてみんなエネルギーがすごいですよね。「もっとほかのことにそのエネルギーを使えよ!」って言いたくなるくらい(笑)。それくらいRIZINが生み出した熱がいろんな人に伝播しているっていうことなんでしょう。天心選手の1vs3の企画もそうだし、斎藤裕選手の判定もそうだし、みんなのエネルギーが凄くて、自分では手に負えないくらいの元気玉を背負わされている感じです(笑)。

    ――
    猪木さんが「世の中には怒りが足りない」って言ってますけど、全然足りているという(笑)。 

    笹原
     大会の翌朝から「三角絞めでタップは是か非か」みたいなことで盛り上がっているんですよ。もう、こっちからしたら翌日くらいゆっくり休ませてくれって感じですよ(笑)。まぁこれも選手が大舞台で、真剣に取り組んでいるからこそなんですけどね。

    ――あの試合形式はどうなんだ、みたいな批判の声もあった天心選手にしても、試合後のマイクは何か熱いものがあったというか。天心選手本人が一番満足してない感がマイクを通して伝わってきて。 

    笹原
     天心選手のYoutubeにもupされていますけど、いわく「試合前にメイウェザー戦のことが頭をよぎった。恐怖に囚われてしまった」と。ボクもリングサイドで見ていて、すごく変な空気感を感じていたんです。なんか不穏な感じというか。

    ――
    そこは視聴者とのギャップは確実にあったんですね。どうしてもYouTube っぽい企画として見ちゃうでしょうし。やっぱりハンディキャップマッチってアンドレ・ザ・ジャイアントのように見た目のハンディがないと難しいのかなって。

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    笹原
     そこの温度差はどうしても出ちゃいますね。リングサイドで見ているぶんには緊張感がとんでもなかったんですよ。 天心選手からすれば、リングに上がったら3人の対戦相手がいて初めてやるルールですから、いつもと勝手が違う感じが、リングインした時に伝わってきましたし。

    ――
    全然スケールが違いますけど、ボクも初めての雀荘で打つときには多少、緊張しますからね(笑)。

    笹原
     このままインタビューを打ち切りたくなるくらいスケールが違いますけど、そういうことですよね(笑)。「1vs3」で戦ったらどうなるかを想像できても、 実際にやってみたらその想像との乖離はあったでしょうし。あの天才・那須川天心でさえ15キロ近い体重差がある人と練習はすると思いますけど、ガチンコで殴り合うことなんてないでしょうし。 

    ――
    これもまたスケールが違いますけど、麻雀で赤ドラが1枚入るだけでゲーム性が全然違いますからね。

    笹原
     競技麻雀ばかりしていた人が、いきなり赤5筒・赤5索・赤5万全部入ったルールでやるみたいなもんですよ……って、こんな例え誰もわかりませんよ!(笑)。でも、ここからが那須川天心の天才たる所以なんですが、「3人倒そう」とする自分が空回りしていることに気づいて、このままだとまずいと冷静になって一度引いて、1ラウンドは無理せず倒されないようにパンチをかわすことを考えたと。

    ――
    一度、自分を捨てたわけですね。「破壊と建設」の概念だ。 

    笹原
     我々レベルだと、もう面倒くさくなって「こうなりゃリーチだ!」みたいな感じになると思うんですけど、あの局面でというか、戦っている最中に軌道修正できるのはやっぱりすごいですよ。

    ――
    格闘技をろくに知らないウチの奥さんが1vs3を見て「これは本当に意味がわからない」と固まっていたので視聴率が心配だったんですけど。 

    笹原
     それが昨年9月のRIZINより上なんですよね。斉藤さんの奥さんが興味を持って見たように、一般世間の人からすれば「知っている人が戦っている」ことが大きいんでしょうね。

    ――ああ、マスってそういうことですよね。一般人ってMMAやキックルールの違いもわかってなかったりしますし。 

    笹原
     それは我々の努力が生き届いていないってことも当然ありますけど、一般世間というのはそういうもんなんだろうなっていうことですよね。BTSのメンバーの名前を我々が言えないことって、 BTSファンからしたら「は?ありえない!」ってことなんでしょうけど、どれだけ情報が流れてきても、ボクも斎藤さんも覚えようなんて気にならないことと同じですよね。

    ――BTSと言われても「GSPやJDSと違うのかな~」というオヤジギャグな切り返ししかできませんよ(笑)。地上波の放送で新規ファイターを売り込めばいいっていう考えもあるけど、一般世間は「知らない人は見ない」わけですし。そう考えると那須川天心も朝倉未来も世間にお披露目する前から地熱はありましたから。

    笹原
     テレビに出せばスターになるわけではなく、世間を振り向いてくれる存在にならないとテレビに出ても跳ねないってことではありますね。試合翌朝の『めざまし8』の最初のトピックスが朝倉未来の敗戦で、 コメンテーターの橋下徹が三角絞めのことに触れて、「引退しないでほしいですね」って言っていたらしいんですね。フジテレビのRIZIN担当が仕込んだとかじゃなくて、話題になったので普通に触れていたと聞きました。

    ――それだけ注目されていたってことですね。

    笹原 そうです。衝撃的な決着シーンだったことも大きかったと思いますし、大会後のツイッターとかも、日本中がRIZINのことを議論してんじゃないか(笑)くらい活況でしたからね。

    ――
    決して冷めた言い方するつもりはないんですが、タップする・しないって状況によるとしか言えないんですけどね。なんならRIZIN直前の UFC では、腕十字で腕を脱臼させられたあとに三角絞めを固められて肘打ちを喰らい続けてもタップしなかった選手がいましたし(笑)。

    笹原 ホントそうなんですよね。試合直後とか、うかつなことを言うと炎上しそうなくらい熱くなっていましたよね(笑)。斉藤さんがRIZIN RADIOで言ってましたけど、RIZINってホントに格闘技啓発イベントになってますよね。RIZINで何か起きるとみんなが勉強できる。

    ――
    そこで異常な熱が生まれるのは、全肯定と全否定のぶつかり合いが起きるからでしょうね。

    ・斎藤裕vsケラモフの判定について
    ・ムサエフが「あの人」に詰め寄った!?
    ・井上直樹のフリップ芸で生放送ピンチ!?
    ・朝倉未来の「タップしない」発言の受け止め方……などなど11000字総括はまだまだ続く!

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    斎藤裕、ダーティファイトを振り返る/井上直樹フリップ事件の真相/義足でプロレス復帰する凄いヤツ・谷津嘉章AKIRAインタビュー⑤/菊地成孔☓佐藤大輔/高野拳磁とPWC伝説……など続々更新中

    https://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/202106
     
  • 焼き肉7人前ならぬジャッジ7人制を提言!佐伯繁のジャッジ論

    2021-06-22 17:002
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    佐伯 ジャッジもそうなんだけど、競技運営っていろいろと難しいことが多いんですよね。こないだRIZINの公開練習のときに川名(雄生)くんがワセリンとカットマンの話をしていたでしょ。

    ――
    RIZINは縦ヒジも含め全試合ヒジ打ちありになりますね。それに伴ってワセリンが使用されますが、川名選手はカットマンも導入してほしいと。RIZINの場合はドクターが塗るそうですけど。

    佐伯
     誤解されてるのは、カットしたからって試合中にワセリンはダメなんだよね。インターバル中に規定の場所に塗るだけで、それ以外は医療行為になっちゃうから。

    ――
    笹原さんはRIZIN RADIOで医療行為になるからという理由でワセリン自体の導入を嫌がってましたね。

    佐伯
     阿部大治vsレッツ豪太の試合で、阿部選手のパンチを手で防いだらレッツ選手の指が外れたんですよ。 本人が試合中やインターバル中に指が入れれば試合は続けられるけど、それ以外は医療行為になるから。

    ――
    セコンドじゃなくて自分がハメればオッケーなんですね。

    佐伯
     そうそう。で、試合はそのままドクターストップで終わったんですよ。以前オーストラリアの試合で相手選手の腕が外れてレフェリーが入れていたことがあって。大会関係者から「ゴメンね、地元の選手だから」って言われましたよ(笑)。

    ――
    ホーム判定ならぬホーム医療行為(笑)。

    佐伯
     そのへんを含めてMMAにはまだまだ矛盾点はあるわけだよね。 人間が戦って人間が裁いているスポーツだから。

    ――
    それは格闘技にかぎらず採点制のスポーツは何かしら矛盾を孕んだものになっちゃいますね。

    佐伯
     ジャッジにしても基準というものは明確にあるんですけど、ジャッジする人のそれぞれの基準というのもあるわけですよね。昔だったらレスリング出身の人はレスリングベースで戦う選手にポイントを付けがちだったかもしれません。

    ――
    レスリング五輪の金メダリストでPRIDEジャッジをやっていた小林孝至さんとか。いまはユニファイドになってて基準があるとはいえ、競った試合になると個人の見方は出てきますよね。

    佐伯
     判定基準をベースに個人個人何かしらをポイントにしてジャッジしてるわけですよ。 あとみんな気付いてないですけど、ジャッジの物言いは文章で抗議できませんからね。偶発的なアクシデントは検証しますけど、基本的に判定結果は検証できないルールが日本ではスタンダードなんです。それにみんながテレビカメラで見ているのとは違うわけですよ。ジャッジの目線の位置の映像を見ているわけでないですからね。

    ――リングサイドのジャッジ席から見てるわけですよね。

    佐伯
     近くからじゃないとわからないこともある。となるとビックリするくらい印象が違ってくるから。

    ――
    佐伯さんは話題の斎藤裕vsケラモフをどう見たんですか?

    佐伯
     ボクの意見をいえば、テイクダウンの評価だよね。ONEなんかはテイクダウンは全然評価してないでしょ。

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    ――ONEは世界で一番テイクダウンを評価しない団体ですね。

    佐伯 今回のケラモフがテイクダウンから先の展開はなかったことは事実。だけどテイクダウン回数は多かったので、どこからが有効なのかは難しいですね。

    ――
    展開を作らなかったらテイクダウンの回数は関係ないのか?と。<会員ページへ続く> 


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    斎藤裕、ダーティファイトを振り返る/井上直樹フリップ事件の真相/義足でプロレス復帰する凄いヤツ・谷津嘉章AKIRAインタビュー⑤/菊地成孔☓佐藤大輔/高野拳磁とPWC伝説……など続々更新中

    https://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/202106
     
  • RIZINフェザー級王者・斎藤裕、「ケラモフのダーティファイト」「朝倉未来vsクレベル」を語る

    2021-06-19 08:455
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    難敵ケラモフを薄氷の判定勝利でクリアしたRIZINフェザー級王者斎藤裕インタビュー。物議を醸した判定、ケラモフのダーティファイトぶり、そして朝倉未来vsクレベル・コイケ戦までスカッと語ってくれた!(聞き手/ジャン斉藤)


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    ・ボンサイ柔術の戦友が語るクレベル・コイケの強さ■関根シュレック秀樹



    ――
    すっかりSNSに嵐を巻き起こす男になってますね。いや、斎藤選手が何かやったわけではないんですけど(笑)。

    斎藤
     そうですね(笑)。 何をやっても騒がれてしまって、お騒がせな感じになってましたね。

    ――
    まず今回の試合順が騒ぎになってましたし。「第3試合だなんてチャンピオンに失礼!」とか。

    斎藤
     ハハハハハハハ。ボクを応援しているファンの方々は怒ってましたね。

    ――
    アゼルバイジャンズ(ムサエフ&ケラモフ)のセコンドの人数の関係で、2人の試合の間隔を空ける理由もあってケラモフの試合が3試合目になったそうですけど。RIZINから第3試合だと伝えられたときはどう思われたんですか?

    斎藤
      地上波が絡んでいたり大人の事情を察しましたね。

    ――
    変な感情はなかったんですか?

    斎藤
     うーん、決まったものに何か言ってもしょうがないし、目の前に試合に集中したいなと思ってました。

    ――
    選手って試合順は気にするんですか?

    斎藤
     ボクはあんまり気にしないですね。第1試合だったら「えっ!?」ってなるかもしれないですけど。

    ――
    第1試合はあまり。

    斎藤
     どうしても会場入りしてから試合までの準備時間が短くなってしまうので。東京ドームは初めての会場でしたし、地上波があるということでバックステージに関係者も多かったんですよね。「いつもと違うなぁ」と思いながら過ごしていたので。できれば準備する時間があったほうが気持ち的にも楽かなと思っていたんですけど。

    ――
    場の空気に馴染みたいということですかね。

    斎藤
     そうですね。テレビが入ってのドームというのはボクは初めてだったので、いい経験になりましたけど。

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    ――
    今回の試合は体調を含めて万全の状態で臨めたんですか。

    斎藤
     なかなか試合が発表されずに……。そこも嵐を呼んでいたわけですけど(笑)。

    ――
    ケラモフ戦はとっくに内定していたけど、緊急事態宣言下の入国問題の事情で公にはできなかった。なかなかカードが発表されないことで「クレベルから逃げた」とか批判されてしまったという(笑)。

    斎藤
     そうですね(笑)。淡々と試合に向けて準備はできていたとは思うのでコンディション的には問題はなく……あ、ノンタイトル戦問題もありましたけど。 

    ――
    ハハハハハハハ。

    斎藤
     話題に事欠かない感じになっちゃいましたね(笑)。

    ――
    あらためて質問するのも馬鹿馬鹿しいんですけど、斎藤選手がノンタイトル戦を希望したんじゃないわけですよね(笑)。

    斎藤
     そうですね。 防衛戦にするならするで全然いいんですけど。何か……生きづらい時代になりましたねぇ。

    ――
    ガハハハハハハハ。 いまってわからないことや、疑問があると、SNSを通して怒りに変換しやいですからね。「斎藤はベルトを失いたくないからノンタイトル戦にしたの?」とか。

    斎藤
      格闘技のファン層が広くなったのかなと前向きに捉えてますけど。

    ――
    今回の判定結果も嵐を呼ぶことになって。イエローカードが判定に影響を与えて斎藤選手が2-1で勝ったわけですが。公式動画のコメント欄の書き込みの指摘によれば、なんとケラモフは17回も反則していたという。 

    https://www.youtube.com/watch?v=AEZosftj1GE

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    斎藤
     映像で見えないところでもグローブを掴んできたりしてて。あれ、クラッチされると離れられないんですよね。

    ――
    17回どころじゃないと。たしかにサミングもあったみたいですし……ここまで反則が酷い試合はなかなかないということで、海外メディアからも斎藤選手に取材の問い合わせが入ったとか。

    斎藤
     まあ、あんまり言うとあれなんですけど……ダーティというか確信犯だったとは思うので。そこは海外選手の図太いところというか、日本人とは違うところをまざまざと感じましたね。そこはサブレフェリーだった和田(良覚)さんがずっと「掴んでいるぞ」としっかり見ていてくれましたね。そこは感謝したいです。

    ――瞬間的な動きの多いスポーツということもあって、グラップリングの際の反則をチェックするのはなかなか難しいみたいですね。

    斎藤
     たしかにグローブやショーツ掴みは普通に起きたりするんですけど、「それを5分3ラウンドやり続けるのか!?」っていう話なので。

    ――
    あー、なるほど、たしかに。

    斎藤
     何かの瞬間に結果的に反則行為になってしまったのなら仕方ない……とは言わないですけど。 今回の場合は最初から最後まで確信犯でやり続けてましたからね。 

    ――
    中でも1ラウンド後半に斎藤選手がテイクダウンをしようとしたときにケラモフが一瞬ロープを掴んだシーンがあったんですけど。あの場面はけっこう大きいんじゃないかなと。

    斎藤
     四つで倒そうとしたときですよね? あそこでロープが掴まれてなかったら展開はだいぶ違ったと思うんですけど。あそこは相手に有利に働いたところですよね。

    ――
    今回からそのへんの反則チェックを厳しくなったという印象はありましたか?

    斎藤
     そうですね。ロープに引っかかったりすると、すぐにレフェリーの方々が対応したりしていたので、より明確になったというか。反則を“やり得”させないようになってるのかなと感じたんですけど。これからもずっとそうだとありがたいです。

    ――
    格闘技には見えない反則はあるとはいえ、ロープ掴みって視覚的にも認識もされやすいし、テイクダウンを防がれた事の重大さは伝わってますよね。でも、ショーツ掴みは理解が難しい。

    斎藤
     言うならば髪の毛を掴まれるのと一緒ですからね。髪を掴まれたら離れないですよね。

    ――
    ああ、それはキツイです。

    斎藤
     ケンカが強い人は髪掴みが上手って聞きますからね(笑)。 技術といえば技術なんですけど、やってはいけないものなので、 1回注意されたらやめてほしかったですね。 

    ――
    斎藤選手の金的を掴まれそうになったという指摘もありますけど。要はファールカップをズラそうとしていたのか。

    斎藤
      それはどうなんだろう(笑)。必死だったのでそういう意識はないですけど。それが本当だったらヤバイですね(苦笑)。よく気持ちを切らせずに頑張れたらと思います。

    ――あそこまで反則をされたのに、試合後のリング上でケラモフやそのセコンドに挨拶に行ってましたよね。

    斎藤
     終わったらノーサイド、 自分の中ではそういう考えがあるので。しかもこの大変な中、来日してくれたし、隔離生活も厳しかったと思うんですよ。それでも体重を落として身体を作って戦ってくれたという意味での感謝はあります。

    ――
    ケラモフはバックステージではかなり荒れてたみたいですね。 あそこまで反則やっておいて、なんで怒ってるんだって話なんですけど(笑)。

    斎藤
      ボクはバックステージでムサエフに捕まっちゃいましたよ。 

    ――
    えっ!?

    斎藤
     何を言ってるのかわからないんですけど、通訳の方があいだに入ってくれて「君は今回の試合についてどう思う?」って聞かれて。まあ、いろんな波紋を投げかけてしまいましたね(笑)。 

    ――
    いろんな意味で死闘ですねぇ。反則されたときにもっと怒ってもいいんじゃないかなって。

    斎藤 明らかに変なことされたら。頭突きとかやられたらさすがに怒りますけど(笑)。

    ――
    そこがラインですか(笑)。

    斎藤
      それでも試合中に「パンツを掴んでる」とアピールしてたんですけどね。

    ――
    注目される試合だからこそこうやって反則がクローズアップされたとこはありますよね。

    斎藤
     そうですね。これを機にレフェリングのほうも明確になっていくのかなという気がしますね。

    ――
    ケラモフってライト級のムサエフより身体が大きいんじゃないかって見えたんですよ。

    斎藤
     リングで向き合ったときは計量とはだいぶ違いましたね。10キロぐらい戻ってんじゃないかな。凄い身体してたもんな。

    ――
    斎藤選手も見劣りしませんでしたよね?

    斎藤
     あ、そうですか。並んだときに「同じ体格に見えた」っていろんな人に言われるんですけど。ボクは10キロは戻らないんですけど。6キロも戻ってないと思いますね。

    ――テイクダウンは何回もされちゃいましたけど、フィジカル負けはしなかった感じですか。

    斎藤
     そうですね。昔だったらテイクダウンされて押さえ込まれて時間がなくなっちゃう……というのが負けパターンなんですけど。そこから脱出はできていたので。その後スタンドで決定的な場面を作れたらよかったんですけど 。相手は1ラウンドから3ラウンドまでテイクダウンからトップキープという作戦だったので、ボクももうちょっと何かできたんじゃないかなって、いまだに思いますね。

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    ――
    テイクダウンされたのは大きな反省材料ですけども、封じ込められるわけでもなく戻せたのは大きいですね。

    斎藤
     そこは相手がポジションを取る気配はなかったので。バックを奪われたりとかになったら判定でも分が悪いとは思ってたんですけど、 しがみつくだけだったら、なんとか立ち上がることはできましたね。石渡(伸太郎)さんから負けるんだったらここじゃないかってことで、あそこから逃げる練習は重点的にしてましたね。そこはしっかり理解したうえで試合には臨んだんですけど。 

    ――
    パウンドもほとんど打たせなかったですね。

    斎藤
     最初は鉄槌を打ってきたんです。ボクは1回もらった攻撃は次はもらわない自信があるんですけど。頭の位置を変えれば大丈夫だなって。左目がちょっとケガをしてるんですけど、これは最初の鉄槌ですね。あのあともパウンドを打ってきたら逃げられる自信はあったので、それで相手も固める作戦になったのかなと思いますね。 

    ――今回の予想でケラモフ有利が多かったのは、斎藤選手が修斗で外国人相手(アギー・サルダリ)に封じ込まれた敗戦があったからですけど。今回は何度もリカバリーして進化を見せ付けましたね。

    斎藤
     解説の川尻(達也)さんも同じような事を言ってましたね。ボクが2年前に負けた修斗でも川尻さんは解説してたんですよね。

    ――
    ああ、そんな感慨深いドラマがあった。

    斎藤
     あの敗戦を経て、どこを補えばいいのかというのをずっとやってきたので。ここを改善すれば、もっと強くなるんじゃないかと。

    ――
    2年間の成果がケラモフ戦で出たわけですね。

    斎藤
     そうですね。金網とリングは違いますけど、あのくらいのフィジカルの強さの選手から逃げられたことは大きいですね。 ケラモフって後半は強くない選手だと思っていたので、その攻防を続けていくうちに体力を削れていくだろうし、後半はこっちは頑張ることができるので、チャンスが来たら勝負をかけようと思ってましたね。


    ・判定前の率直な心境
    ・RIZIN判定基準はどう把握していたのか
    ・榊原代表の「チャンピオンならスカッと勝てよ」発言について
    ・朝倉未来の戦いぶりに思ったこと
    ・クレベル恐怖の三角絞めはこう見た……まだまだ続くインタビューは会員ページへ!