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記事 24件
  • マット界初! 選手組合「日本キックボクシング選手協会」とは何か?/キック界の夜回り先生・佐藤嘉洋

    2016-03-16 14:29  
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    労働環境や待遇の改善を目指してキックボクシングに「選手組合」ができる!? 世界の強豪と渡り合える数少ない日本人キックボクサーとしてK-1MAXなどで活躍し、昨年引退した佐藤嘉洋氏がウェブを中心に展開していた「日本キックボクシング選手協会」がそれだ。選手の移籍や引き抜き、喧嘩別れなど、場外乱闘が絶えないプロレス格闘技界。選手が試合に専念しやすい場をつくるために佐藤氏は何を考え行動に移したのか――。――DropkickメルマガのユーザーはプロレスMMAファン中心なんですが、佐藤さんがWebなどで発信されている『日本キックボクシング選手協会』の発足についてはかなり関心があると思うんですね。
    佐藤 えっ、どういうことですか?(笑)。
    ――長年にわたり団体やイベントの隆盛や衰退を見続けてきてるので、システム刷新や組織論に興味があるというか。
    佐藤 あー、なるほど。だったら皆さんも協力してくださいよ!
    ――協力なんてとんでもない! IGFの今後に興味があるような、すさんだ人間しか読んでいないので到底無理です(笑)。
    佐藤 いやいや、始まったばかりの試みなので、ちょっとでも力になっていただければありがたいですから。
    ――そもそも佐藤さんはどういう組織を目指そうとしてるんですか?
    佐藤 わかりやすく言うと、いわゆる選手組合に近いかたちだと思ってます。ただ、一般的な会社の労働組合のイメージからすると、社員が「ギャラを上げろ!」と主張して会社と闘うような場だと思われがちですよね。ボクはジム・団体と選手を敵対させるつもりはまったくないですし、キック界はまだそれ以前の問題にあるというか。選手とジム・団体がお互いに納得できるような基本的なルールを整備したいだけなんですよね。
    ──厳しい言い方をすると、現在のキックは基本的なルールすら設定されていないということですか?
    佐藤 じつはそうなんです。ひょっとしたら、短期的に見たらジム・団体にデメリットが生じるのかもしれないですけど、長期的に見たらほぼ100%プラスになる話だと思うんで。それに、ちゃんとした考え方で運営しているジム・団体にとっては「当然のことでしょ」ということをやろうとしているだけだし、もし短期的にデメリットを被るジム・団体があるとしたら、そこはまともじゃないところですよ(キッパリ)。
    ──プレッシャーかけますね(笑)。でも、そういう厳しい状況が現実的にあるからこそ、組合的な組織をつくって改善しようということなんですね。
    佐藤 いまのキックボクサーの環境というのは、本当に低いところにあるんです。だから、それをちょっとでも引き上げられれば、キックボクシング自体が全体的にアップすると思っているんですよね。もちろん、興行もやっぱりビジネスだから、黒字を出してもらわないと選手も困るし、現状の興行収益とか規模を考えると、「専業でやれるギャラを払え!」というような要求は間違っていると思います。そこで基本的にボクが整備したいのは3点なんです。
    ──まず3つ。
    佐藤 一つは「選手に払うべきファイトマネーはきちんと選手に渡す」ということ。
    ──うーむ。
    佐藤 当たり前のことなんですけどね(笑)。たとえば、ファイトマネーというのは、基本的にジムと選手が山分けをするわけじゃないですか。そのパーセンテージは団体によって違いますけど、本来もらうべきパーセンテージ以上にジムがもらっているケースがあったりとか。
    ──佐藤選手も現役時代にそういうイヤな体験をされたんですか?
    佐藤 いや、自分が所属していたジムは、お金にはもの凄くクリーンだったんですよ。で、ボクはそれが当然のことだと思っていたんですけど、そしたらあんまり当然じゃないケースもあるみたいで……。それに、激励賞もジムが取っちゃう場合があるという。それが2つ目ですね。
    ──選手に渡さないと!
    佐藤 皆さんも、試合前に激励賞として金一封が選手に渡されている光景を目にすると思うんです。それは支援者が選手に対して渡しているお金なんですけど、それなのに、ジムが取り上げてしまうというケースもあるんです。ボクは『Hoost Cup』という大会に出たことがあるんですけど、そこは激励賞の中身を抜いたカラの封筒をリング上でもらうんですよね。で、「なんで中身を抜くんだろうな?」と思っていたら、あとで中のお金がちゃんと本人に渡るように、主催者が防止策としてやってくれてたんです。
    ──あー、あとでジムと選手のトラブルになっても主催者は介入できない。だったら事前に防止策を打っておこうという気配りなんですね。
    佐藤 カラの封筒をリング上でもらうなんて、悲しいことではありますけどね。でも、当然のことが当然と行われていないケースもあるみたいで。そして3つ目は、「ジム・団体はきちんと選手と契約書を交わすこと」です。聞くところによると、試合の契約書を見たことがない選手もけっこういるみたいなんですよ。
    ──多くの選手は、入会したジムでプロデビューするわけじゃないですか。そこではあらためて契約書を交わすわけじゃないけど、選手の保有権は、そのジムがなんとなく持っているというのが一般的なんですよね?
    佐藤 そうです。で、弁護士に聞いてみたら、書面じゃなくて口頭でも、一応契約は成立するみたいなんですよね。でも、口頭であれば、どうにでも曲解できますし、お互いが都合のいいことが主張できますから。
    ──それはトラブルの元になりますね……。
    佐藤 じつは一昨日、協会発足に向けた第1回の会合をして、いろいろ意見を出し合ったんですけど。結局、契約書一枚で解決することがかなり多いんですよ。だから、まずは選手との契約のあり方をしっかり考えたほうがいいんじゃないかな、と。なんか、聞くところによると、PRIDEでもわりと口頭での契約が多かったみたいですね。
    ──そういう話は聞きますね。
    佐藤 何千万円というファイトマネーが発生する試合でも、口頭でやってたケースがあったみたいで。だから、PRIDEもK-1もイベントとしてはトップにいきましたけど、スポーツマネジメントという点では、まだまだ低いレベルにあったのかなと思いました。
    ──トラブルの理由でいえば、選手が他団体に出るときや、ほかのジムに移籍するときの契約ですよね。キックボクシングは、ジム移籍が難しいイメージがあります。
    佐藤 キックボクシング業界は村社会的なところがあるので、契約書を交わしていない現状としては、個人的感情がもの凄く大きく作用していると思います。「あの団体の○○が嫌いだから、あの選手を使いたくない」「話し合いをしたくない」とか。すべてとは言わないですけど、ビジネスよりも個人的感情のほうが大きく動いているところが垣間みれるというか。だから、そのためにもやっぱり書面って大事だなと思っていて。ボクがK-1MAXと契約していたときのような、公的に通用する契約書を通例にすべきだと思っています。
    ──契約書がない以上、極端な話、選手とジム・団体とは、心のつながりしかないですもんね。
    佐藤 こういう話を持ち出すと、「ウチと選手は信頼関係で結ばれているから必要ない」と言う人も多いと思うんです。でも、信頼関係で結ばれているのは“いま”でしかないでしょ、と。たとえば、デビューしたてで、師匠に心酔している選手がいたとしても、やっぱりチャンピオンになっていろんな人と付き合うようになると、そのチャンピオンならではの景色が見えるだろうし、現状に対して疑問に思うこともきっと出てくると思うんですよ。
    ──そのときに感情のすれ違いが起こってくるわけですね。
    佐藤 そこで書面も何もなくて感情だけで動いていると、そりゃトラブルになりますよね。もし契約書があれば、ジム側は「あなたとは何年契約で結ばれているので、それを破棄していくのであれば、違約金を払ってください」となるじゃないですか。選手に対しても「これだけ契約が残っているから、この期間は頑張ってやっていこう」という抑止力になるだろうし。そういうことを話していると、結局紙一枚でなんとかなることがもの凄く多いんです。
    ──たとえば、契約の書類というのは、どのくらいの枚数になるんですか?
    佐藤 いや、ホント数枚ですよ。ボクのK-1MAXの試合契約も、そんなに分厚い契約書ではなかったですから。どんなことが書いてあるかは、守秘義務があるんで言っちゃいけないんですけど、本当に数枚。で、会合で意見が出たのは、おそらくジムの会長とかは契約書をつくるノウハウがないんじゃないか、と。だから契約書のひな形をつくってしまおうということだったんですよね。
    ――組合からジム側に方法論を提案してあげるんですね。
    佐藤 ボクシング業界ではそういうのがあるみたいなんで、それを参考にしながら、数字や名前の部分だけ書けばいいひな形をつくればいいね、と。
    ──ただ、そういうものを提出されただけで態度を固くするジムもありそうですよね。
    佐藤 たしかに一方的にやるとそれはトラブルになっちゃいますよね。でも、ボクはジムに対してもメリットをたくさん探したいと思っていて。というのも、最近はわりとそういう移籍問題が起こっているじゃないですか。
    ──移籍問題も野球やサッカーのように、きちんとビジネスになっているジャンルの場合は当たり前の出来事ですし。団体間の移籍ですけど、MMAがビジネスになっているUFCではフリーエージェントの権利をファイターが主張できます。
    佐藤 サッカーだって、ある種の“人身売買”ですけど、ある意味参考にするべきだと思うんですよ。チームだって「いかにコイツを高く売ってやろうか」という感じで育てている面もあるわけじゃないですか。ボク自身は、最初から最後まで同じジムでしたけど、もうちょっとそれが緩和されてもいいんじゃないかなって。そうじゃないヤツがトラブルで干されるのはおかしいし、ボクはもっと多様性があっていいと思うんですよね。
    ──そこは「師匠と弟子」という概念から脱却しないと、ちょっとそれはできないかもしれないですよね。
    佐藤 いや、それはそれで、あってもいいんですよ。でも違うモデルケースはすべて排除するというのが違うと思うんです。たとえば、性格も悪くて、コミュニケーション能力もないけど、もの凄い天才で、少なくともファンは魅了されている。そういうヤツを排除してしまうのかという話ですよね。で、ボクはスポーツの定義ってすべて一緒だと思っていて、その競技における能力が極めて高いのであれば、べつにそいつの人間性はどうでもいいんじゃねえかなって。その人間性に惹かれるかどうかは、ファンの勝手ですから。だから、バシッと紙で数字を決めておいたほうが、お互いのためになると思うんですよ。
    ──いまのままだとトラブルが起きると、選手を解放しないジム側が悪者扱いされがちですね。
    佐藤 ジムの言いぶんも充分わかるんですよ。こんだけ手塩にかけて育てた選手を、ほかのジムにパッと取られて試合されたら、それはたまらんという気持ちはあると思うんですけど、だったらそのぶん移籍金というかたちでお金をもらう、と。お金の問題じゃないと言うでしょうけど、裏切られて0円より、裏切られて300万円もらえたほうが、気は晴れるじゃないですか。
    ──たとえば、選手にとっては、そこのジムに残りたいけど、ジムによって出られるイベントが限られてしまうケースもありますよね。
    佐藤 まさに、その状況にある選手が一昨日の会合に来たんです。この続きと、上田勝次、追悼・堀辺正史、はぐれIGF、ドナルド・トランプなどの記事が読める「12万字・記事詰め合わせ」セットはコチラです http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar1000062 
  • キャッチ・アズ・キャッチ・キャンに思う/中井祐樹の「東奔西走日記」3月1日〜15日編

    2016-03-16 00:31  
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    日本格闘技界の礎を築いたレジェンド、中井祐樹先生@yuki_nakai1970 が日常を綴る連載! 今回は3月1日から15日まで!3月1日 火曜日 晴れ とってもイタリー、な日。 今日は午前中に隠れた名作『グッドモーニング・バビロン!』を観る。まさに、そして文字どおり映画のなかの映画。『ニュー・シネマ・パラダイス』とならぶ80'sイタリア映画の傑作である。知ってました?「馬鹿にすんな! 俺たちはダ・ヴィンチやミケランジェロの子孫だぞ! テメエの祖先は誰なんだ?」 みたいなこと、いつか言ってみたいねぇ。 午後からは上野は東京都美術館に『ボッティチェリ展』を見に行く。ネットでの好評が目につき、久しぶりの絵画鑑賞としゃれこむ。ボッティチェリってアダ名なのか、知らんかった。 今回は展示されてなかった『ヴィーナスの誕生』などで知られるボッティチェリは作品以外、あまり人となりを記したものが残されていないのだとか。師匠、そしてライバルのリッピ父子との交流とか想像しながらじっくり見た。音声案内も助かった。『美しきシモネッタの肖像』には目を奪われた! また美術館、行こう。是非ご一緒にいかが?3月2日 水曜日 晴れ 追悼・堀辺先生 骨法の堀辺正史先生の訃報を昼に封書で知る。体調を崩されているとは聞いていましたが、驚きました。 1995年のジャンジャック・マシャードとの本邦初の柔術マッチ前、東中野の道場で稽古させて頂きましたが、当時道着有りでの何でもあり、つまり「柔術」の練習ができる場は日本で骨法だけだったことは記しておきたいと思います。(他には木口道場のサンボ教室に参加して試合に備えました。) 堀辺先生には「格闘技通信」誌での対談時をはじめ、自分の若さゆえの熱い思いをいつも穏やかに受けとめて頂きました。理路整然とした語り口で格闘技を世に広めた、他に類を見ない方だったと思います。その後もパラエストラの10周年パーティにも出席して下さったり、公私ともに良くして頂きました。感謝しています。ご冥福をお祈りします。3月3日 木曜日 晴れ これからが楽しみ、待ち遠しい。 UFC収録。アンデウソン・シウバの復帰戦、中村K太郎選手の出場など。元チャンピオンがこれからはFIGHT NIGHTに続々登場してくるだろう。伝える側としても楽しみだ。K太郎選手は惜しかった。決して技量的に劣ってはいなかったな。 夜クラスのときにアーロンさんの茶帯昇級の写真をパチリ。帯は試合に出なきゃ上げない、ってことはないのよ。こないだも誰かに言われたけど。ただ、試合に出ている人のほうが目に見える形で成果をあげられ、わかりやすいから帯を出しやすくなる、ってのは確かなんだよね。今回のアーロンさんは試合には出なくなって久しいけどずっと稽古は積んでいて試合に出て昇級してる人以上に知識も技量もある、と認められたから茶帯なんだ。ま、ある種の横並びで気づかされるというか…。黒帯を渡せる日がいまから待ち遠しいよ。3月4日 金曜日 晴れ 若きMMAファイターとCACCに思う 前PXC王者・谷地祐介選手、昼柔術へ初参加。柔術は紫帯を巻いていました。さすがに身体が強く、良く柔術に適応していました。ニコニコしていて好感がもてる選手でした。ナカイはクタクタになってしまいましたよ(苦笑)。 月刊秘伝のキャッチ・アズ・キャッチ・キャンの記事を読む。面白かった! 内容については皆さんに読んでいただくとして、私が思ったのはピンフォールとサブミッションの両方が認められた競技がかりにあったとしてもフォールのほうが多くなるだろうな、ということ。サブミッションをとるのはポジショニングと相反する部分が大きいから、結局サブミッションでジリジリ痛めつけてもポジションを入れ替えられるリスクを犯さずピンするほうが確実、となるだろう。それって実は現行のレスリング的だよね。 自分が柔道部だったとき兄からお前抑え込みばっかりなんだな、関節技あんまり使わないんだな、と言われたことがあるけど、そんな言われても困るけどさ、そんな感じのことを思いだしましたワケです。3月5日 土曜日 曇り 江古田町田 午前の柔術クラスはリクエストに応じてフックガード潰しのパスを紹介。基本から応用まで取りあげた。クラス後半からはクローズドガードからのドリルを3セット実施し、以後3分刻みの自由稽古に移行し〆。 夜はパラエストラ町田指導へ。リクエストにお応えして股くぐりのリバーサルを前段のフックスイープから詳説。また次回以降別セクションの解説がありますんで要望出して下さいね。クラスでやることは考えてきてますが、質問などでガラリと変わるのはよくある事です! 後半はクローズドガードからのドリルを3セット、続いて6分刻みの自由稽古で〆。キャリアの浅い方もだいぶ慣れてきましたっ!3月6日 日曜日 曇り 休日は宝石 今日は骨休み。久々。なにもしない予定。 とはいえDEEPジュエルズ。経過をネットで追う。松戸・富松恵美、勝った。こっちはビール飲んでてすまん。でも良くやった、おめでとう。この続きと、上田勝次、追悼・堀辺正史、佐藤嘉洋、はぐれIGF、ドナルド・トランプなどの記事が読める「12万字・記事詰め合わせ」セットはコチラです http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar1000062 
  • 怪しくグレーな軍団が誕生も……!? 鈴木秀樹「はぐれIGF軍団は早く解散したいです!」

    2016-03-11 09:30  
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    アントニオ猪木誕生記念大会のIGFで「はぐれIGF軍団」の結成に動いた鈴木秀樹。今後の見通しが立ってないIGFの混沌を表わすかのような行動だが、そもそも現在フリーの立場である鈴木秀樹がなぜ「はぐれIGF軍団」を名乗るか。そしてIGFの開催が見えない中でいったい何が目的なのか。話を聞くと、まさに一寸先はハプニングなプロジェクトであることがわかった……(聞き手/ジャン斉藤)。伝説のキックボクサー上田勝次、追悼・堀辺正史……Dropkickメルマガ3月度更新記事一覧http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/201603――鈴木さん、大晦日のIGFに出なかったですね。
    鈴木 出なかったですね。
    ――ほとんどのプロレスファンは企画自体をもう忘れてるんですけど、鈴木さんは「GENOME-1名古屋王者決定戦」トーナメントで優勝してるから出場権がありましたよね。
    鈴木 そんなのがありましたね(苦笑)。
    ――もしかしたらDropkickのインタビューが原因で……。じつはずっと気になってて。
    鈴木 なんでですか?
    ――いや、鈴木さんが藤田和之vs諏訪間戦を語ったインタビューでIGFのことをあまりよく言わなかったじゃないですか。
    鈴木 だって事実じゃないですか(キッパリ)。
    ――まあ、そうなんですけど……(笑)。
    鈴木 いや、IGFから大晦日のオファーはあったんですよ。でも、出なかったんです。
    ――あ、断ってたんですか。
    鈴木 そんなこと気にしないでくださいよ! IGFの関係者にどう思われてるかは知らないですけど、なんでも書いていいですよ(笑)。それに今回の大会もオファーはありましたし。
    ――今回も断ったんですか?
    鈴木 断りました。いまのIGFで闘うイメージが見えなかったですし、結果的に出なくてよかったですよ。っていうのは、出ていたら大変でしたもん。自分の試合もやったうえに、将軍岡本、カシン、藤田さんの試合に出て行って「はぐれIGF軍団」のTシャツを着させなきゃならなかった(笑)。
    ――試合なんかやってる場合じゃない(笑)。
    鈴木 凄い疲れましたもん。大会終了後にカシンに言ったんですよ、「試合よりも大変でしたよ」と。そうしたら「そうだな。しかもノーギャラでな」って(苦笑)。
    ――あの「はぐれIGF軍団」Tシャツが凄くほしいんですよね。
    鈴木 ハッハッハッハッ! あれは『OJISAN SPORTS』という、カシンがよくTシャツが作ってるところのものなんですけど。Tシャツを着ようとしたら後ろに『OJISAN SPORTS』って書いてあったんで、間違いなくそうです。
    ――というと、あのTシャツは鈴木さんが依頼して作ったんじゃないですか?
    鈴木 いや、ボクじゃないですよ。将軍岡本の控室に置いてあったんですよ。
    ――えっ、どういうことですか? ますます意味がわかりません。
    鈴木 ボクも意味がわからなかったんですよ(笑)。将軍岡本のセコンドにだけ付くために、アイツの控室に行ったら「鈴木さん宛に荷物が届いてます」と。ダンボールを開けたらあのTシャツが4枚入ってたんですよね。
    ――なんですか、それ。不気味ですよ!
    鈴木 ボクだってビックリしましたよ。カシンに「これ、なんなんですか?」と聞いても「知りません」と。
    ――知らないわけがない!(笑)。
    鈴木 そこで問いただしても時間の無駄じゃないですか。じゃあ誰かに着させるか、と。ボク、将軍岡本、カシン、最後の一人は藤田さんにしようって。それで3人の試合のたびにTシャツを持ってリングに上って。
    ――じゃあ、その場のノリで「はぐれIGF軍団」を結成したというわけですか?
    鈴木 まあ、そうなりますねぇ。
    ――そもそも、あのTシャツが届けられても「……なんのこっちゃ?」ってことで無視する選択はありえたじゃないですか。
    鈴木 もちろん、もちろん。
    ――おそらくカシンが「はぐれIGF軍団」Tシャツを作り、鈴木さんに送りつけた。それを鈴木さんが3人に無理矢理、着させた。
    鈴木 簡単にいうとそういう流れですよねぇ。
    ――日常生活でちょっと駆け引きめいたことをすると「プロレスをやってる」という言い方をする人間っているじゃないですか。あまりそういう使い方は好きじゃないんですけど、鈴木さん! まさにプロレスやってますよね(笑)。
    鈴木 ハッハッハッハッ! なんかこんなことになっちゃいましたね(笑)。カシンとは普段から一緒にいるわけじゃないですけど、あの人は東京に来ると、とにかく変なことをやってくるんですよ、いつもいつも。
    ――いつもいつも、あんなことが(笑)。
    鈴木 ボクと将軍岡本のことをビックリさせたりとか。「この人は変なことをしてくる」という認識があるんですね。だから「このTシャツを着ろ!」ってことなんだろうなって。そして大会中に「はぐれIGF軍団」が増殖していったら面白いだろうなって。
    ――カシンと鈴木さんの「あ・うん」の呼吸が「はぐれIGF軍団」を生み出した。IGFは今後のスケジュールは発表されていないし、見通しが立たないから軍団を結成したんじゃないかというふうに見られてるんですね。
    鈴木 いやあ、全然違いますよ。そもそも、ボクはIGFの人間でもなんでもないですから。
    ――「はぐれ」どころか、とっくに離れてるわけですもんね(笑)。藤田さんが記者会見なんかでIGFの今後について危ない発言を繰り返してるじゃないですか。ニュースサイトではその発言が活かされてるのに、IGF公式サイトではカットされてるから、IGFって本当にヤバイのかなって。
    鈴木 うーん、内部にいる将軍も何も知らないですからね。上の人たちしか今後のことはわからない。だからカシンとしては「やっちゃおう!」ことなんでしょうけど。IGFは本当に終わったわけではないんですけど、バックステージでそういう雰囲気が漂ってましたよ。「あれ、これは終わりかな……」って。
    ――だから岡本さんも外のリングで戦うことが許されて。
    鈴木 ボクも岡本と一緒にやっていくというわけじゃないですけど、2人セットのほうがわかりやすいし、パトーナーがほしかったところはあるんで。今回の行動はIGFに対してじゃなくて、岡本が外でやっていくのでそのアピールになればいいやって感じですよ。IGFの中で何かしたいという気持ちはない。あとからカシンにもメールで聞いたんですよ。「これ、外向きですよね?」って。
    ――結成してから方向性を確認(笑)。
    鈴木 なんでそんなことを聞いたかっていうと、show大谷さんがツイッターで変なことを書いてたんですよ。ボクらの動きが「学生運動に見えた」とかなんとか。
    ――show大谷さんとは実質IGF内部の人間ですけど、あいかわらずズレまくってますよねぇ。学生運動って打倒体制ですよ。
    鈴木 要は「あんなのはダメだよ」という雰囲気の書き方でしたけどね。さっきも言いましたが、はぐれIGF軍団は外向けですから。まあそんなことよりTシャツ持って行ったら3人とも不思議な顔してましたね。
    ――藤田さんも訳が分からずあのTシャツを着たんですよね?
    鈴木 藤田さんの試合後、リング上で「着てください、カシンも着てますから」って言ったら「……え?」って戸惑ってましたね(笑)。
    ――そりゃそうですよ!
    鈴木 でも、藤田さんにとってカシンはレスリングの先輩じゃないですか。そこの上下関係は絶対なんですよね。カシンさえ抑えておけば藤田和之は言うことは聞くと(笑)。
    ――そうやって無理矢理に加入させられたんですね(笑)。控室に戻ったときに軍団の話はしたんですか?
    鈴木 するわけないじゃないですかぁ(呆れながら)。
    ――ハハハハハハハハハハ! 
    鈴木 メシは食いに行きましたけどね、カシン、将軍の3人と。あのTシャツの話はせずにメシを食うんですよ。こっちから振ろうかなとは思ったんですけど、向こうがしてこないので「……こっちも意地でもしないぞ」と(笑)。
    ――鈴木さん! プロレスしてますね(笑)。 

    鈴木 普段から会話もそういう感じなんですよ。ふざけてる……というわけじゃないんですけど。そこは勝負なんですよね。ボクもカシンもお互いにウソを付き合ってるという。そういうやりとりが好きってことですよね。いちおう最後に「はぐれIGF軍団は今後どうしますか?」って聞いたんですよ。そうしたら「あなたが決めさないよ」と。
    ――まあ結成したのは鈴木さんではありますね(笑)。
    鈴木 「ボクは軍団がなくてもいいんですけど」って言ったんですよ。プロレスラーとして、この看板は邪魔じゃないですか(笑)。
    ――IGFの名前を触りたくない(笑)。気持ちはわかります。
    鈴木 フリーになってやっとIGFのイメージが薄まってきてるのに。だいたいあれですよ、最初の頃は「鈴木さんってIGF出身なのにちゃんとプロレスができるんですね」って言われたんですよ(笑)。
    ――「IGF=プロレスができない」という盤石のイメージ(笑)。
    鈴木 だからこんな軍団、早く解散したいんですよ。コンセプトもないですし。ただ、仮にコンセプトがあったとしても、伝える人がいないんですよ。将軍はもともとしゃべるタイプじゃない。カシンはまずマスコミとは連絡が取れない。藤田さんは何を言ってるのかわからない(笑)。
    ――ハハハハハハハハハハ! 
    鈴木 そうなると広報役はボクしかいないんですよね。昨日「東スポ」の取材だったんですけど。何も決まってないから、ひとつひとつ考えながらしゃべりましたからね。どこで試合をやるのかも決まってない。だからこのままオファーがひとつもなく解散という可能性もあるんですよ。できれば解散してほしいんですけど!(笑)。
    ――いやあ、他団体に乗り込む「はぐれIGF軍団」は見たいですけどね。
    鈴木 だいたいこういうのってどこか上がるリングが決まってて動くもんじゃないですか。そういう根回しは一切ないですからね。でも、新聞を見たらさっそく大仁田(厚)さんが名前を出していましたね。
    ――さすが大仁田厚ですねぇ。
    鈴木 まあ全然見通しは立ってないですが、個人的には藤田さんと何かやれればな……とは思ってたんですよ。
    ――といいますと?この続きと、上田勝次、追悼・堀辺正史、佐藤嘉洋、ドナルド・トランプなどの記事が読める「12万字・記事詰め合わせ」セットはコチラです http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar1000062 
  • Dropkickメルマガこれまでのインタビュー一覧

    2016-03-11 00:00  
    ご要望が多かったDropkickメルマガのインタビュー一覧です。こちらのブログの記事(http://www.ningenfusha.com/?eid=397)とサイドバーでチェックできます。小佐野さんの連載なども徐々に整理していきますのでお待ちください。
  • 衝撃の結末 UFC 196 米メディア・アンソロジー■MMA Unleashed

    2016-03-10 18:02  
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    Omasuki Fightの北米MMA抄訳コラム――今回のテーマは…衝撃の結末 UFC 196 米メディア・アンソロジー! はじけ飛ぶビッグプラン、焦土の中からうごめき始める新たな物語!

    ●オクタゴンサイドで観戦していたUFCプレシデントのダナ・ホワイトにとっては、何百万ドルもの札束が目の前で焼かれてしまった気分だっただろう。

    ホリー・ホルムが落とされ、マクレガーも落とされた。もっともカネになる2人のスター選手が衝撃のアップセット負けを喫したのである。「ホルム vs. ラウジー」再戦実現は遠のき、UFC200でのマクレガーのメインイベントも怪しくなり、1年分のメガファイトの予定が一気に複雑化した。

    「もうこの商売を16年もやっているが、1つだけ言えることは、計画をしても仕方がないと言うことなんだ。だって、どうなるか分からないんだから」(ホワイト)

    もちろん、UFCの売り上げなどどうでも良いという人にとっては、今大会はトップ団体が提供してくれる愉悦の一夜だった。UFC196は、UFCが自社の将来の利益をプロテクトするのではなく、ファンの見たいものを提供することを証明したような大会だったからだ。MMA他団体やボクシング界では、こういうことがほとんどできていない。

    UFCは、ラウジーの準備ができるまで、ホルムを待たせておいてもよかったのだ。ラウジーのキズが癒え、映画の仕事が終わる頃、ホルムとの再戦を組めば、MMA史上最大の売り上げが約束されたようなものだった。9月頃に実現するのではないかという噂も出ていたのだ。

    「どうにか脱出できると思っているうちに、行きすぎてしまった」と語るホルムは、テイトにバックを許したことについては後悔しているが、そもそも試合を受けたことについては後悔していない。「どうしてこんな試合を受けるのか、ラウジーとの再戦まで待つべきではないのかと皆に言われた」とホルムは明かしている。「でも、戦うのは私の仕事だから」。

    掛け率でもフェイバリットだったコナー・マクレガーは第1Rに気がついていた。フェザー級の対戦相手なら倒れているはずのパンチを受けても、ディアスは流血するだけで倒れない。マクレガーは背伸びをしすぎたのだ。

    「あれほどのパンチがヒットすれば、フェザー級の選手ならとっくに砕け散っている。しかしネイトはそれを受けきった。大きな相手を蹴散らすためには、1発では足りないことがよく分かった。今回は、苦い、苦い薬になった」

    「オレはチャンスに賭けた。これからも、挑戦を止めるつもりはないぞ。負けたからといって気後れするつもりもない。今回はうまくいかなかった。でも、これがファイトビジネスなんだ」この続きと、上田勝次、追悼・堀辺正史、佐藤嘉洋、はぐれIGF、ドナルド・トランプなどの記事が読める「12万字・記事詰め合わせ」セットはコチラです http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar1000062 
  • 【追悼・堀辺正史】矢野卓見、親子喧嘩ついに終幕「ダメなお父さんでしたねぇ……」

    2016-03-08 09:06  
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    日本武道傳骨法創始師範、堀辺正史氏が2015年12月26日に心不全のために逝去されていた。堀辺氏の意向により葬儀は家族だけで執り行われ、関係者に伝えられたのは3月に入ってからだった。80年代からプロレス格闘技界で特異な存在感を示してきた堀辺氏、そして喧嘩芸・骨法――。ここはやはりこの男の話を聞かなければいけないだろう。「虚勢乙…もとい虚星堕つ…もとい巨星落つ」という、独特の愛情表現で堀辺氏を弔ったヤノタクこと矢野卓見に追悼インタビューを行った。元弟子は何を思うのか?【喧嘩芸の実態がよくわかる骨法シリーズ】■ヤノタク、堀辺正史を語る「骨法は俺の青春でした……」【愛と悲しみの17000字インタビュー】http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar483646■骨法会員番号229番!漫画家・中川カ〜ルが見た「骨法変節の瞬間」
    http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar560930■ヤノタク×中川カ〜ル「俺たちが愛した喧嘩芸骨法」http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar581751■元・骨法内弟子、かく語りき「矢野くんや皆さんは骨法を誤解しています」 http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar546715■船木誠勝「俺は真剣勝負がやりたかったわけじゃないんです」http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar597913――今日は急なお話にも関わらず時間を割いていただいて。
    矢野 いえいえ、まあ、亡くなったのは急な話……ではないですけどね。
    ――骨法の堀辺正史さんが昨年12月26日にお亡くなりになってまして。3月に入るまで外部には伏せられてましたね。
    矢野 親しい関係者にも知らせてなかったんですよね。
    ――みたいですね。亡くなる前日に谷川貞治が堀辺先生を取材してるんですよね。そのあと原稿チェックなんかのやりとりもあったはずなんですが……。
    矢野 そこは局長(堀辺夫人)が原稿チェックしてたんでしょうね。
    ――骨法の寮生たちはさすがに先生の死を知ってたんですよね。
    矢野 まあ、さすがに知ってたと思うんですよね。たぶんですけど。
    ――しかし、SNS全盛の世の中でここまで情報が漏れないって凄いですよね。
    矢野 まあまあ、寮生もそんなに数は多くないですからね。誰が漏らしたかはわかっちゃうんで。俺だったら言いたくなっちゃいますけど(笑)。
    ――ハハハハハハハハハハ。
    矢野 それより、なんでここまで隠していたのかを考えたんですよ。これは武田信玄を倣ったんじゃないか、と。
    ――あー、「しばらくは死んだことを隠しておくように!」と。
    矢野 あの人が考えそうなことじゃないですか(笑)。堀辺先生が死んでも、次の体制ができるまでは公にはせず……というふうに考えたほうが面白いですよね。
    ――矢野さんが堀辺先生が亡くなったニュースを聞かれたときはどう思われました?
    矢野 うーん、なんていうんですかね、「昨日亡くなった」という話なら「昨日何してったけ?」って考えるんですけど。亡くなったのは去年の12月26日じゃないですか。あの日は土曜日か、何をやってたっけかな、おぼえてないなって。実感が湧きにくいし、もともと堀辺先生って死にかけてたじゃないですか。まあまあ、だから「けっこうもってるな〜」くらいの感じではいたんですけど。
    ――矢野さんは堀辺先生とはずいぶん会われてないですね。
    矢野 そうですね。直接話したのは、スポセン(新宿スポーツセンター)で練習してたら、先生が寮生を連れて殴りこんできたときですよね(http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar483676)。
    ――ああ、「ガードポジション、やれるもんならやってみろ!」のときですね。
    矢野 あれ、まったく意味がわからなかったですね。あれが最後の会話ですよ(苦笑)。
    ――じゃあかれこそ20年近く……。
    矢野 そうですね。いまの心境を言えば、追悼するって感じでもないですし、悲しくもないんですけど、べつに嬉しくもない。なんなんですかね。
    ――矢野さんと骨法の愛憎入り交じる関係からすると、複雑な感情があるでしょうね。
    矢野 複雑なのかなあ……。
    ――プロレス格闘技界としては功績はあったし、影響を与えたっていう評価に落ち着くと思うんです。
    矢野 そこは関わりの深さで変わってくると思うんですけど、そんなに骨法に関係ない人にとっては「功績はあった」だと思うんですね。逆に堀辺先生の近くにいてゴジャゴジャあった人は「ふざけんなコノヤロー!!」って気持ちは強いと思う。
    ――矢野さんは後者なんですか?
    矢野 うーん、ボクはそこまでの感情はないですけど(苦笑)。ある人は網膜剥離になって障害者になったし。
    ――それは◯◯さんでしたっけ?
    矢野 ◯◯さんは稽古中の事故で金玉が一個なくなっちゃったみたいですね。
    ――喧嘩芸ですね……。
    矢野 イジメられてやめた奴もいるし、悪感情を持ってる人間は凄くいると思うんですよね。――骨法をやめた武闘派たちが当時の師範代を襲撃するなんて話もあったとか。矢野 自分のことをいえば、なんとなく思ったのは、俺の両親は堀辺先生と年齢も近いところはあるし、まだ生きてるんですけど、微妙に予行練習っぽいところはあるのかなって。
    ――今生の別れの。
    矢野 そうそう。
    ――つまり矢野さんの人生において、堀辺先生は父親的な存在だったということですね。
    矢野 そうっすね。「お父さん」とはいっても、どっちかというと「ダメなお父さん」ですけど(笑)。
    ――ダメおやじ(笑)。
    矢野 本当に「ダメなお父さん」でしたねぇ……(しみじみ)。外面はいいけど、家にいるときは子供に対して理不尽な仕打ちをして。まあ堀辺先生にはそういう身内っぽい感情はありますけど、局長には一切ないです。
    ――「ダメなお母さん」ではない。
    矢野 ウザいだけです。あの人がいなかったら、もっとうまくやっていけたかもしれなかったですけどね。トラブルで追い詰めらてた道場生がいたら本来はフォローするのに、みんなで攻撃して追い出すというね。
    ――そうやってカルト化していくわけですもんね。
    矢野 そこは中川(カ〜ル)さんも言ってたじゃないですか(http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar560930)。最初の頃の道場はあんな雰囲気じゃなかったって。
    ――道場生同士が一緒にご飯も食べに行くことも禁じられるという……。「ダメなお父さん」というキャラもそうですし、マスコミ受けも良かったのは、堀辺先生って愛嬌はあったってことですよね。
    矢野 なんていうんですかね。抜けたところがあったので、あの人。基本的に嘘をつくというよりは、ホラ吹き系なんですよね。
    ――わかります(笑)。
    矢野 ねえ(笑)。話をおもしろおかしく喋っちゃって引っ込みがつかなくなるタイプ。誰かを騙してるわけじゃないんですよね。
    ――そういう意味で場持ちもするから、マスコミとしては扱いやすかったわけですよね。
    矢野 マスコミにとってはいいネタですよ。道場生としては最悪でしたけど、マスコミとして骨法に関わって嫌な思いをした人はそんなにいないんじゃないですかね。「いい思いをさせていただきました!」って素晴らしい思い出になっちゃってる(笑)。
    ――こころよく思ってなかったのは、「これまで骨法にページを割きすぎました」っていう記事を載せた『格闘技通信』のAさんくらいですかね。
    矢野 Aさんはね、あの記事を書いたせいで、中井(祐樹)さんの結婚式のときに骨法の人間に囲まれて蹴りを入れられてますからね。他人の結婚式で何をやってるんだって話ですけど(笑)。
    ――けっこう武闘派集団ですよね(笑)。矢野さんもやめるときに道場生に襲われそうになったし。
    矢野 あんときは逆に潰してやりましたけどね。
    ――ボールペンで刺しに来た相手を引き込んで倒して、ヒールホールドで仕留めたんですよね……。熱い時代ですよね(笑)。あの頃の骨法をB級的なものとして評価する動きはあるじゃないですか。「あの怪しさ、うさんくささがよかった」と。でも、当時ってみんな真剣に向き合ってたいところはあったと思うんです。それはいまみたいにネットである程度、実態を把握できた時代じゃなかったですから。
    矢野 あー、わかります。いまになって振り返ってみればB級だったという話なのに……ってことですよね。
    ――そうです。
    矢野 もし骨法を総合で結果を残していたら「いまが競技化してるけど、昔は裏技があって、堀辺先生も適当なことを言っていて……」という楽しみ方もできましたけどね。要は極真空手の大山道場時代みたいなもんですよ。
    ――そこは中川先生も同じように振り返ってましたね。うさんくささもありながら、黎明期は本当に凄かったと。廣戸聡一というカリスマ的な師範代もいて、80年代末期から「なんでもあり」の稽古をやっていたわけですし、総合っぽい格闘技をやろうとしたら骨法か修斗しかなかった。マスコミも後押ししたらこそ「オウム真理教か骨法か迷った」という会員もいたほどで。
    スーパーセーフをつけて稽古する中川カ〜ル氏。喧嘩芸時代の骨法だ。
    矢野 だってアレですよ、骨法の打撃って恐れられていましたからね。修斗の人間も「骨法の打撃は怖い」って言ってましたし。いまだから「骨法はたいしたことない」「ペチペチ」というけど、みんな怖がってたんだから。――最初は常に「金的」だけを狙う物騒な練習をしてたそうですね。矢野 あとになってね、「いや、俺、インチキだって知ってましたよ」って言う奴が多すぎますよ。「ボクは騙されてなかった!ああいうもんだと楽しんでました!!」ってね。プロレスにもいるじゃないですか。「シナリオがあるものとして昔から楽しんでました」とか。違うだろ、真剣勝負だと思って見てただろ。「でも、ちょっとはおかしいな、これ。でも、俺はプロレス好きだから、どうやって言い訳しようかな……」って葛藤しながら見てたはずなんですよ。
    ――プロレスファンは子供の頃から理論武装してましたね。
    矢野 「プロレスはインチキ、八百長だ」と馬鹿にしてる奴らになんて言い返せいいんだ……と考えながら見てたんですよね。それこそね、第二次世界大戦後に「ボクは最初から戦争に反対していました!」って言うような感じですよ。みんな勝つことを期待して応援していたはずなのにね、負けると「なんで無謀な戦争をやったんだ!」って。まあ、俺は骨法に内部にいて「……これは負けるだろ!」って思ってたんですけど(笑)。
    ――あの当時の骨法にどこか信じてしまう求心力はたしかにあったという。
    矢野 ですね。だってね、骨法を辞めた人間は報復を怖がってたんだから。先生の「徹し」で殺されたらどうしよう……!?って。
    ――骨法の奥義「徹し」に怯えていた!
    矢野 いや、本当に。笑われるかもしれないけど、みんなそんな感じで恐れていたんですよ。だから俺もやめたときは「徹し」のことを考えたんですよね。結論としては「打撃はよくわからないけど、いままでの経緯を振り返ったらこれもウソだな」って。先生は寝技のことはよくわかってなかったら、きっと打撃もデタラメだろう……ってことにしたんです(笑)。この続きと、上田勝次、佐藤嘉洋、はぐれIGF、ドナルド・トランプなどの記事が読める「12万字・記事詰め合わせ」セットはコチラです http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar1000062 
  • 「柔術をやっていてよかった!」という妄想小説■二階堂綾乃のオールラウンダーAYANO

    2016-03-08 08:50  
    55pt
    新日本プロレスの選手イラストを描いてキャッキャしていたプオタ女子・二階堂綾乃がいつのまにかMMAジムに通いだし、ついに格闘技デビューをしてしまったこのコーナー。今回は妄想小説風柔術殺人事件!?私が子供の頃、母からある日突然『金田一少年の事件簿』と『名探偵コナン』のアニメ禁止令が出ました。理由は、主人公が行くところ行くところで人が死にすぎるから。……だ、だってしょうがないじゃない。事件が起きなきゃじっちゃんの名にかけられないんだから!
    小学校の親友がコナンマニアだったので、コナンが見れないことはショックでした。まあ本当は私金田一派だったのですが……。
    さて、あの頃の私がコナンや金田一を見るにはどうすればよかったのでしょうか。そうです。誰も死ななければいいのです。
    と言うわけで、今回はサスペンスによくあるシチュエーションから被害者を救いたいと思います。この続きと、上田勝次、追悼・堀辺正史、佐藤嘉洋、はぐれIGF、ドナルド・トランプなどの記事が読める「12万字・記事詰め合わせ」セットはコチラです http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar1000062
     
  • 中継も大会未定…日本のUFCはどうなってしまうのか?■「プロレス 点と線」

    2016-03-05 19:10  
    55pt
    事情通Zがプロレス業界のあらゆる情報を線に繋げて立体的に見せるコーナー「プロレス 点と線」。今回はのテーマは、WOWOW撤退情報、UFC JAPAN FAN CLUB終了、日本大会は未定……どうなるUFC!?(聞き手/ジャン斉藤)
    事情通Z WOWOWのUFC中継が4月以降予定されていないことで大騒ぎになってるね。「格闘技ボンヤリ層」の私もビックリなニュースというか。
    ――ファンがカスタマーサポートセンターに問い合わせたところ「現在のところ、4月以降に放送の予定はございません」という返答があったようですね。関係者筋の情報によれば、WOWOWがUFC中継の撤退を決断したらしいですね。
    Z いったい何があったの?この続きと、上田勝次、追悼・堀辺正史、佐藤嘉洋、はぐれIGF、ドナルド・トランプなどの記事が読める「12万字・記事詰め合わせ」セットはコチラです http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar1000062
     
  • ジョー樋口、和田京平…全日本プロレスを支えたレフェリーたち■小佐野景浩のプロレス歴史発見

    2016-03-03 20:03  
    110pt
    プロレスラーの壮絶な生き様を語るコラムが大好評! 元『週刊ゴング』編集長小佐野景浩の「プロレス歴史発見」――。今回のテーマは全日本プロレスを支えたレフェリーたち……ジョー樋口、和田京平氏になります。イラストレーター・アカツキ@buchosenさんによる昭和プロレスあるある4コマ漫画「味のプロレス」出張版付きでお届けします!

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    非会員でも購入できる大好評インタビュー詰め合わせセット! par25は大好評インタビュー10本、コラム10本、12万字で540円!!(税込み)  試し読みも可能です!http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar980288◉大反響!中村祥之インタビュー第2弾!激動のZERO-ONE旗揚げ! そして追い詰められていく破壊王……◉中井りんUFC再出撃、衝撃の理由!!「飢え死にしたくないので戦います!」◉好評連載小佐野景浩のプロレス歴史発見「馬場死去、三沢離脱……その後の全日本プロレス」
    ◉大晦日に手を組んだシュートボクシングとMMAの女王対談!RENA×浜崎朱加「一緒にアメリカへ行こう!」◉金原弘光のゼロゼロ年代クロニクル今回も「Tさん」の話題!「鬼が作るUWFインターちゃんこ!」◉元・光GENJI山本淳一、プロレスデビューを語る「昔、山本小鉄さんに指導をしてもらったことがあるんです」◉「パンクラスイズム横浜」設立! 北岡悟のとても優しいインタビュー◉法の番人が語る現代MMA、桜庭vs秋山、Dynamite!! USAの舞台裏――!!大沢ケンジ×礒野元 「格闘技とルール」対談◉事情通Zの「プロレス 点と線」
    新日本プロレスの上場とカミングアウト問題/2016年のプロレスラー育成方法とは?◉藤原喜明の教えとは――プロレスと格闘技まだらの時代ケビン・ランデルマンが生き抜いた時代/ジャン斉藤のMahjong Martial ArtasOMASUKIの「MMA Unleashed」、中井祐樹の「東奔西走日記」、「MMAオレンジ色の手帖」、二階堂綾乃のオールラウンダーAYANOも収録で12万字!http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar980288■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


    ――今回は全日本プロレスを縁の下から支えたレフェリー、ジョー樋口さんや和田京平さんのお話をうかがいたいと思います。
    小佐野 私がレフェリーという役割の凄さに気づいたのは、ジョーさんたちのレフェリングなんですよ。というのは、リングサイドで試合の写真を撮ったりするときに、あの2人は絶対に邪魔にならない。カメラマンの邪魔をしないレフェリングをするんですよ、ジョーさんたちは。
    ――それはリング外にも気を遣ってるということですか。
    小佐野 私は高校時代、新日本プロレスのファンクラブをやっていて。リングサイドで試合写真を撮ることができたんです(笑)。
    ――高校生がリングサイド撮影できるなんて、いい時代だったんですね。
    小佐野 山本小鉄さんが特別レフェリーをやると、まあ写真が撮りづらい(苦笑)。それはレフェリーの自分が一番見やすいポジションに立ってしまうから。たとえば4の字固めで選手が横たわってる真ん前にレフェリーが立つと、絵にならないじゃないですか。
    ――後ろに立ってくれないと絶好の写真は撮れないですね。
    小佐野 コブラツイストのときに横から「ギブアップ?」と聞いてくれればカメラマンの邪魔にならないけど、レフェリーが前に立たれたらレスラーが隠れてしまう。それは小鉄さんのレフェリングがヘタだという意味じゃなくて、小鉄さんにはレフェリーは一番見やすいポジションで確認するものだという意識があったわけですね。
    ――ジョーさんや京平さんはカメラマンが写真を撮りやすいように動いてくれるんですね。
    小佐野 ジョーさんや京平さんはカメラマンの前を横切るときに、さりげなく飛び越えてくれましたからね。
    ――そこまで気を遣う!(笑)。
    小佐野 それにレフェリングしていても絶対に後ろを見ない。ロープまでの距離が身体でわかってるんですね。そしてリングって思ったより狭いので、ロープ際でカウントを取るときにレフェリーの足がロープの外に飛び出てくるときもあるから、気をつけていないとカメラを蹴り飛ばされちゃう。でも、ジョーさんや京平さんは絶対に足が出てこないんですよ。
    ――距離感がわかってるからこその神業なんですね。
    小佐野 日本のプロレスのレフェリングの基本を作ったのはジョーさん。なにしろジョーさんはNWAの公認レフェリーですからね。セントルイスのキール・オーデトリアムのNWA世界戦を裁ける日本人だったわけで。所作がキビキビしてて、いかにも「審判!」という威厳のある動きだったから。京平さんがそのジョーさんから学んで、京平さんからいまのレフェリーがみんな学んでる。NOAHの西永レフェリー、新日本のレッドシューズ海野レフェリーにしてもジョーさんの系統ですよ。WAR時代の海野ちゃんは、天龍さんがパワーボムをやるときは絶対にカメラマンの邪魔にならない。
    ――パワーボムは天龍さんの最大の見せ場ですもんね。
    小佐野 海野ちゃんはカメラのファインダーからスッと消えるんですよ。あれは凄い技術。女子のレフェリーでいえば、トミー蘭のレフェリングは京平さん系列なんじゃないかな。あと村山大値さんも京平さん系。だからなのか、海野ちゃんと村山さんはレフェリングが似ていますね。絞め技でギブアップを聞く仕草がそっくり。あの2人の聞き方を見たファンは「あ、ここで極まってしまうのか?」と思えるんですよね。
    ――そこもレフェリーの技術なんですね。
    小佐野 昔のUWFのシュートサインじゃないですけど、レフェリーの仕草や表情でファンは興奮できるわけだからね。
    ――昭和の新日本のレフェリーはどんな印象がありました?
    小佐野 レスラー出身のレフェリーって感じですよね。ポイントはわかってるという。ミスター高橋さんがいて、特別試合は小鉄さんが裁いて。猪木vsゴッチはルー・テーズ、猪木vsテーズはアントニオ・ロッカがレフェリーやったりして。そういえば、猪木さんとモンスターマンの再戦って福岡でやったんですけど、鈴木正文さんがレフェリーで。あの人は京都の空手家なんだけど、モンスターマンが戦意喪失して首を横に振って試合続行を嫌がってるんだけど、無理矢理やらせてましたからね(笑)。
    ――ハハハハハハハハハハ!
    小佐野 モンスターマンが泣きそうになってるのに最後までやらせたという(笑)。「ここでギブアップさせるよりも豪快にやられろ!」ということなんでしょうけど、そういうときの猪木さんって容赦ないじゃないですか。
    ――鬼ですよね(笑)。新日本でいえばタイガー服部さんは、動きのあるレフェリーだったと思うんですけど。
    小佐野 服部さんはレスリング出身で、動きがいいダイナミックなレフェリングだったんですが、カメラマンとしては動かれすぎて逆に困った(笑)。こっちも服部さんのクセを把握してくるから、「ここで動く!」と思ったらその前にシャッターを押しちゃう。
    ――そこまで計算しないとカメラマンはできない。カメラマン講座になってきた(笑)。
    小佐野 あの服部さんのレフェリングを長州さんが欲しがったんだよね。ジャパンプロレスが解散したときに服部さんは全日本に残るという選択肢もあったはずなんだけど、長州さんとともに新日本にUターンしたんですよ。アマレス上がりで気心が知れてるところもあるんだろうけど。
    ――長州さんは服部さんのことを新日本のメインレフェリーに押し上げましたし、レスラーにとって「担当レフェリー」というのはいるってことですね。
    小佐野 天龍さんや川田は絶対に京平さんだった。全日本にジャパンプロレスがいた頃は、メインは服部さんが裁いていて、ジョーさんは外国人の試合中心。ジャパンがいなくなって天龍革命が始まって以降は、日本人同士の試合は京平さんになった。それはジョーさんが高齢になったこともあるんだけど、天龍さんが京平さんだったら任せられると思ったからでしょう。
    ――天龍さんたちから信頼されてんですね。
    小佐野 京平さんが言っていたのは「天龍さんが指名してくれたのは、自分が天龍さんのことをストップできたから」と。要はやりすぎちゃったときに京平さんは身を挺してストップできる。たぶん川田もそういうことだったと思う。京平さんいわく「選手の代わりに自分がギブアップしてあげる」ということなんですけど。
    ――猪木さんは誰か信頼してるレフェリーはいたんですかね。
    小佐野 猪木さんって誰を信頼してたのかなあ……。とくにいなかったのかもしれない。
    ――誰も信用をしてなかった。猪木さんらしいですけど(笑)。
    小佐野 猪木さんはすべて自分でクリエイトできるから、極端なことをいえば、ギブアップか3カウントを取ってくれればいい。「あとは俺が勝手にやるから!」って感じだよね。
    ――そもそも猪木さんの試合もレフェリングが難しいですね。大一番ほど、一寸先はハプニングで何を仕掛けてくるかわからない(笑)。
    小佐野 難しい。ホントに難しいと思う(笑)。ハルク・ホーガン戦の失神事件のときだって高橋さんは頭を抱えたと思うよ。副社長という立場の坂口(征二)さんだってリングサイドってドタバタしてたしね。
    ――あのとき猪木さんに呆れた坂口さんは「人間不信」の書き置きを残してハワイに消えちゃうわけですもんね(笑)。たしかに猪木さんの試合はレフェリーは関係ないといえば関係ないかもなあ。
    小佐野 馬場さんもそうだった。ジョーさんには絶大な信頼を寄せていたけど、ジューさんじゃなきゃダメってわけでもないし。
    ――天才はレフェリーを必要としないというか。猪木さんってレフェリーをやっても面白かったですよね(笑)。
    小佐野 上田(馬之助)さんとタイガー・ジェット・シンの一騎打ちで、レフェリーの猪木さんが2人にストンピングの雨を降らしてね。わけが分からなくて面白かったけど(笑)。
    ――ハハハハハハハハハハ! ジェット・シンと越中詩郎の試合でもレフェリーの猪木さんが一番目立っちゃうし。
    小佐野 東京ベイNKホール、平成維震軍の旗揚げ戦ね(笑)。
    ――グレート・ムタvs小川直也の特別レフェリーのときも、ボディチェックのときにムタに毒霧を吐かれて。闘魂ビンタをお返しして試合開始のゴングを要請したまま消えましたからね(笑)。あの動きはカッコ良かったなあ。
    小佐野 まあ猪木さんの場合は極端だけど(笑)、試合の盛り上げと言ったら変だけど、そこはレフェリーのさじ加減の部分もあるじゃないですか。カウントの取り方、注意の仕方。そこは京平さんは素晴らしかった。86年2月に全日本が初めて台湾遠征したんだけど、台湾の人たちはプロレスのルールがわからない。そういうときの京平さんのレフェリングは凄くわかりやすい。「首を絞めちゃダメ! ワン、ツー、スリー!!」ってアクションで示してくれる。ただカウントを取るだけじゃなくて、首を絞められる仕草も交えながらね。
    ――いまのプロレスって昔に比べてルールが曖昧になってますよね。
    小佐野 京平さんなんかはタッグマッチのタッチにメチャクチャうるさい。いまはトップロープとセカンドロープの間から手を出してタッチしようとするでしょ。京平さんはちゃんとエプロンにいてトップロープ越しからのタッチじゃないと認めないし、フォールだって跳ねなきゃ容赦なくワンツースリーを叩く。かつて高野俊二がきちんと返せなくて、試合後に京平さんにもの凄く抗議したんです。「なんでこんなところで入れるんだ?」って。
    ――「試合はここからなのに!」という。
    小佐野 でも、ちゃんと返さないと京平さんは3カウントを入れちゃうんですよ。「返さないおまえが悪いんだよ」って。京平さんはたとえば相手を踏んづけてのフォールは認めない。フォールというのはいわゆる押さえ込み。足を置いただけではフォールではないってことですよね。
    ――それくらい厳しかったからレスラーはもちろん、見る側にも緊張感があったわけですね。
    小佐野 だから昔は急所攻撃の現行犯は即反則負けだったんですよ。
    ――そうなんですよね!(笑)。この続きと、上田勝次、追悼・堀辺正史、佐藤嘉洋、はぐれIGF、ドナルド・トランプなどの記事が読める「12万字・記事詰め合わせ」セットはコチラです http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar1000062
     
  • 5分で分かるWWE、UFCの2015年度決算内容■MMA Unleashed

    2016-03-03 19:56  
    55pt
    Omasuki Fightの北米MMA抄訳コラム――今回のテーマは…プロレスとMMAの2大帝国の決算内容!
    5分で分かるWWE、UFCの2015年度決算内容
    先月に行われたWWEの2015年決算報告のテレカンフェランスによると、2015年の売上は、前年比1億1,600万ドル増の6億5,870万ドル(約752億円)、利益は前年の3,007万ドルの赤字から、今年は2,414万ドル(約28億円)の黒字へと大きく改善した。大幅な業績改善の主な理由は、2014年にかさんだWWEネットワークの立ち上げ費用やマーケティング費用が、2015年にはもはやそれほど大きくかからなかったからである。世界中でのテレビ放映権収入が、昨年の1億7,670万ドルから、今年は2億3,110万ドルへと拡大したことも業績改善に貢献している。
    WWEネットワークとテレビ放映権料は、今や完全にWWEの事業の2本柱となった。
    世界でのほとんどの放映権契約は、年々放映権料金額が増えていくタイプの長期契約になっており、番組内容や視聴率に関わらず、収入は当面伸び続けることになる。実はRawやSmackdownの米国でのテレビ視聴率は最近になって大きく低下している。ただし日本同様に米国でも、HuluやNetflixの成長もあって、テレビの視聴率が全体に低下しているという事情があり、WWEの番組の人気が落ちたのか、テレビ全体の不景気を反映しているだけなのか、評価が判然としない状態らしい。もっともこうした状況を受けて、一時期見られたスポーツ中継のテレビ放映権料の急騰バブルが弾けつつあり、カレッジフットボールなどのコンテンツで放映権料の引き下げ事例も見られ始めているという。WWEにとっては、放映権収入は当面安泰とは言え、次の放映権の契約更新時が大きな勝負になりそうだ。この続きと、上田勝次、追悼・堀辺正史、佐藤嘉洋、はぐれIGF、ドナルド・トランプなどの記事が読める「12万字・記事詰め合わせ」セットはコチラです http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar1000062