• 音楽業界とVOCALOID

    2020-08-09 02:38
    一般に 音楽業界へ就職する場合の 正攻法といえば
    音大や専門学校を卒業して 履歴書やプロフィール作成して 面接受けるか
    または バンドとしてデモテープを作って 音楽制作会社へ送ったり、
    オーディションに参加して、目をつけてもらうとか
    地道に ゲーム会社などのコンペに参加して、入賞の数をこなして実力をつける。

    どっちの場合にしても、ある程度楽器が扱えたり ほかにメンバーが必要だったりで
    結構ハードルは高い。

    個人でデモテープ作るにしても 誰か歌ってくれる人を捜すのだが 
    そう簡単には見つからない。

    コンペに参加しても 著名な作曲家ですら 入賞率は3割程度しかない。

    仮に音楽制作会社から話があっても 製作期間は短い。
    (一週間に最低2曲は作れないと 難しい。)

    余程の事がないと 制作会社から「ウチで働かないか?」という話はでない。
    フリーランスで請け負って 作曲しているケースが大半・・・。

    その状況が一変したのが ニコニコ動画・Youtubeの動画サイトと
    VOCALOID 初音ミクの登場だ。

    それまでは バンド組んでライブにしても 身内だけ盛り上がるだけに留まる。
    バンド組めない人などは 同人の世界でくすぶっていた訳だ。
    (ゆうゆPさんは 東方とか BMS作家として活動していた。)

    そういう中で 上の2つの条件が重なったものだから 
    ダムの決壊の如く 怒涛の勢いでこの世界が広がっていく。

    それまでダムの水面下に隠れていた 才能のある人が表に出てきた。

    作曲した楽曲や その再生数などの客観的なデータもあるので
    業界の人にも目に付くようになった。

    大抵の有名Pさんは こういう経緯で プロデューサーになっている。
    (有名Pさんの中には 学者さんとか小説家さんなど本業が違う人もいる。)

    私心的には まずボカロPから業界入りを目論むのが 最短ルートかと思う。
    学歴とか経験云々よりも 実力が物をいう世界だからね。


    最近は 武漢コロナ渦による影響で ライブ活動できないバンドが 
    ボカロの世界に入ってきている。
    まだ限定的に知られたバンドで いきなりYoutubeでMVを投稿しても
    今ひとつ知名度がなくて なかなか他の視聴者には見てもらえないだろう。

    そこで ボカロで下駄を履かせて着目しやすくしたり、
    なかには ボカロPとコンビ組んだりと それまでと違う動きはある。

    何年か前に 「ボーカロイドは衰退する」という話は聞いたが
    日本の音楽界に かなり根が伸びてしまっているので 衰退はしないだろう。
    ただそれが 実はボカロPだったという話はもう出てる。

    業界人にとっても ボカロの世界は魅力はあると思うよ。

    巷に溢れる曲は 市場に合わせる必要に駆られる為、
    定番の理論や 歌わせる歌手に沿ったものが 増えてしまう。

    ボカロの世界には そんなものは一切無い、全くを以てフリーダムだ。

    クラッシック・POPS・ジャズ・ロック・民族音楽に お経まである。
    データに起こせるものなら 何でもある世界だ。

    この世界に入るのも 一切の制限は無い。
    (受け入れられない場合は 叩かれるだけだしな・・・)
    学歴・職業は関係ない。
    ただ 楽器の演奏とかしたことがある経験があれば かなり有利。

    一定以上の音楽の知識があって、その上に自身の哲学(センス)があれば なおよろし。
    必要とされているのは 以上だ。

    音楽畑からまったく違う世界からきた人も 遠慮なく入っていくんで
    それまで業界の中では見られなかった物を 見ることができたのではないかと。

    逆に プロの作曲家でも ボカロPになる人もちらほち見かける。

    仕事で作曲する場合、クライアントの都合もあって 
    「こうやってみたら」という冒険もしにくい・・・・。

    人知れずボカロPになって できなかった実験や冒険がやりやすくなるから
    投稿した楽曲のコメントをみて すばやく反応が見ることができて
    好印象だと 実際の仕事の中にフィートバックさせる事もできよう。

    だから このボカロの世界は 興味が尽きることは無い。



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  • ボーカロイドとのレッスン

    2020-07-26 21:46

    では チューナーは何をやっているのかと?

    自作曲と受注とで 大きく変わりますね、

    自作の場合は 自分の思った通りにボカロを弄る、それはアートだ。
    受注の場合は クライアントの意向から外れない様に弄る、プロダクト仕様。

    ここでは 主にプロダクト向けに話をする。
    自作だと弄りの基本から逸脱しても、それについての評価はそのまま自分になるが、
    受注してサイトへ投稿した時の評価は そのクライアントの方にいく。
    こっちはクレジットとして名前が載る程度だか 出来が悪いと結構叩かれる。

    私は あんまし依頼を取りたくはないし、受けるにも条件がある。
    最低でも VSQファイルに歌詞が入っている事が 最低条件です。

    頂いたVSQファイルに 歌詞がついてなく、
    後でテキストなりが添付されている場合は 即、却下ですね。

    特に作曲した人と作詞した人は 別々の場合は 必ずトラブルを起こす。
    VSQファイルの中の ノートの数・配置と 
    歌詞の文字数・誇張したいフレーズ等が 全く合ってない。
    普通なら そういう擦り合わせは 発注する以前でする仕事だ。

    それを チューナーに丸投げしてくるのは 至極迷惑。
    全く違う形の物を それまた全く似てない入れ物に押し込む作業だ。
    作業品質以前に 作曲と作詞の両方を満足させる問題を解決されるのに疲れる。
    そうやって押し込んだもんだから、あちこちに無理・しわ寄せができて
    仕上がった物は、不自然感たっぷりの何とも言えない出来になる。
    結果として そういう曲は投稿しても 伸びませんがね。

    まぁ、受注拒否するケースはこのくらいにして話は戻す。

    クライアントが 予定しているボカロを持っていない場合は 
    弄っていない素のままのエディターから書き出したWaveデータを
    用意してもらった オケとDAWで張り合わせたのをMP3で提出する。
    まず、弄る基準であり スタート地点だ。
    クライアントは この声を基準として考えるからね。

    クライアントがそのボカロを持っていた場合は、それにプラスアルファを要求される訳だ。
    その場合は 依頼の難易度は上がる。

    どっちの場合でも 基本的の基本は 「はっきり発音させる事」。

    これはメイコマスターの IGASIOさんが
    「隣の部屋からでも 聞き取れるように」と おっしゃってました。

    弄って もごもごと聞き取れないのでは、意味がない。

    実際弄るにしても 発音をはっきりさせる作業は 
    全体の60~70%ぐらいの手間がかかる。

    残った30%ぐらいに こちらで色をつけている。

    簡単で大雑把なボカロの動作原理は 前後のノートの繋がり具合で制御されているのだろう。
    ゆえに 作曲した側には意図しない動作もする。

    デフォルトで動作している場合は、その設定範囲内にトレースするように動いている。
    そこでノート配置が悪いと 発音が悪くなったり、流れがおかしくなる。
    大抵の人は、それに合うようにノート配置や歌詞をしている。

    例え話にすると 幅の広いサーキットのコースを 一定速度で ハンドルを切る角度を
    制限しながら走っているものだ。

    これが チューナーの話になると 簡単にノート・歌詞の変更はできない。
    山岳の山道を走る ラリーみたいになる。

    一も二も、発音を改善することが命題。
    ネットで調べたら、ある程度詳しい解説はしているだろう。
    しかしある程度 悩んだ経験がないと 理解は難しいし、
    そういうケースに当たる事も少ないだろう。

    弄り方は それぞれの方法があり、ネットにはない手法もたくさんあるだろう。
    自身も ネットにない手法がほとんどで 類似する技法はまだ見たことはない。

    でも そもそもの発音の改善の基本は ノートの崩し方で大方決まってくる。
    ノート間や 子音と母音を切ったりくっつけたり、ずらしている。
    それでも どうもならない場合は 発音記号を変更して 直接変える。

    そうやって 少しずつ声に起伏を起こしていく。

    ここまでは ネットでも詳しく載ってます。
    ここからは 私の独自の技法なので、感覚的であり理解には困難だとおもう。

    ノートの弄り方は 上で述べたが、私はそれ以上に表情コントロールプロパティの値を
    変更し 変化する幅を広げる事でこちらが求める方へ声を曲げる。

    それに付随するのが VELのパラメータで、
    子音から母音へと変わるポイントを指示するものである。
     
    ここで 大体の歌声が決定される。

    次に 音量変化のつけ方。
    一般的には DYNのパラメータの変化させるものとされているが、
    多用すると全体の音量が整わない、声にしわが寄るなどのデメリットがでる。
    私は それにBRIを使う。
    1小節間でのおおまかな音量変化にはDRNを使い、
    ノート毎の細かい音量変化に BRIを使う。

    説明には BRI(ブライトネス)は 声の明るさを調整するパラメータとされているが、
    それを 液晶モニターの明るさを調整するように使うやり方だ。
    DYN単体だと 効き具合が強く出るため、音量のムラが出やすくなるが
    そのうえにBRIを加えると その増減によって変化させる。
    効きはソフトで、すっと声が減衰するので 違和感が出にくい。

    次に BRE(プレジネス)。
    ノートの中のアクセントする所に ピンポイントで用いる程度で
    発音改善の隠し味であり 多用するものではない。

    次に CLE(クリアネス)。
    ノートでの曇り取りに使われる事が多い。
    後は 長いノートの後半に 透明感を追加する。

    OPEは いつも最大にしますね。
    弄る必要がある場合以外は、そのままかと。

    次のGENは 私はかなり重視していますね。
    普通は弄る事は滅多にないパラメータだけど、
    私はノート毎にアグレッシブに使っています。
    64より上で声が太くなり、下で細くなる。
    PITでやるとシビアに変化するので GENの方が弄りやすい。
    弄り方次第で ギャルみたいにもなり、熱くもクールにも出来る 
    感情を付加できるパラメータと思っている。
    こればかりは ネットには載ってない。

    次のPORは イントネーションをつけたりノート間の繋がりの調整するのに使います。
    地味だけど 滑らかに発音させるのには重要。

    PITは 弄れる人が少ないのではないかな・・・。
    効きが激しく、声にモロに影響を与えるパラメータなので 取扱が難しい。
    だが、弄り方をマスターすると 他のボカロPより かなりアドバンテージが取れる。
    まず声の伸び、艶、明瞭度がかなり変わる。
    DAWで いくら弄ってもでない声だ。

    自分は 声の色付けはGENで行い、PITは明瞭度を上げる目的で弄ってる。
    DAWのコンプで潰す前提で パキパキした発音にしている。

    PBSはPITの効きを設定するので 今のところ使うと悪化するので使っていない。


    以上が 自分でのボカロのレッスンのやり方だ。
    ノート一つは全体の中の1秒間しかないが、それを私はノート一つ一つを弄るので 
    ものすごく効率が悪く 一曲に一か月ぐらいかかってしまう。

    1小節に 10分ぐらいかかる事も よくある。

    PIAPROにはチューナーはいるが、どのぐらい手を付けているかわからない。
    しかしながら ここまで手を加えている人は他には居ないんじゃないかな?

    どれぐらいい弄ったかは VSQ(X)ファイルの容量をみたら分かる。
    私は フルに弄るとVSQファイルは 曲の長さによるけど軽く2.5MB超える。
    (VSQXは その4倍ぐらいに膨らむ)


    受注した場合は、あくまで最初のボカロ駆り合わせした時より 
    目立たちにくい程度に 弄る程度を抑えるべきである。
    どんなに時間かけても、クライアントからNGがでたらダメだからね。


    さて、ボカロ界でも 目立たないチューナーの仕事のつぶやきでした。


  • ボカロ チューナー

    2020-07-24 05:19
    まったく ボカロ界でも知名度の無い名詞だけどね。

    ボカロ調教師とも調声師とも呼ばれているんだけど、
    馴染みの薄い人からは ネガティブな印象を持たれる人も少なくはない。
    (この事は 初音ミクがこの世に出た当初から、時々問題提起されてる。)
    そういうややこしい事を避ける為に 
    私からは「ボカロ チューナー」というのを 提唱する。

    なぜ 「チューナー」というのかと?

    ピアノはピアニスト、バイオリンはバイオリニスト、チェロはチェリスト・・・・。

    では同じ「楽器」であるボーカロイドは、ボーカリスト?
    それだど 歌手と混同してしまう。

    そういう訳で チューナーと ここでは呼ぶことにする。

    やっている事は 楽曲の中のボカロ担当をしている人を示すのだが、
    マスター(所有者)とチューナーとは 似て非なる立ち位置にある。

    殆どの場合、楽曲の所有者(著作元)が 自身の持ってるボカロで歌わせているんだが、
    コラボなどで 持ってるボカロが少ない、別のボカロで歌わせたいとか
    中には 自分で弄ると音痴になって困るのでという理由で チューナーに外注する訳だ。

    私のようなチューナーは そういうコラボに参加して依頼を受注し、
    ボカロ音源を提出するのが 仕事。

    なぜ 「チューナー」という人が出てきたのか?
    ミクが出始めて数か月後ぐらいでしょうな・・・・。
    KONOZAMA組も解消されて、一杯ミクがここにあふれ出すようになった頃か?
    (KONOZAMA組 アマゾンで「初音ミク」をぽちったが予約殺到の為
               入荷待ちを食らって スタートダッシュに失敗した人)
    デフォルトの状態だと うまく表現できない、歌わせられない等の問題が出てきたと思う。

    (過去から現在に至るまで 少なくともニコニコに上がっている楽曲は ほぼ95%は
     デフォルトのままですよ。)

    V2の頃のボカロは 出している会社で同じボカロですら、性格や癖があって
    VSQデータ貰ってもそのままでは ロクに歌わせられないケースがあった。
    そのボカロ用に データを修正する必要に駆られるが、修正するにしても資料は当時は無い。

    独自で データを修正する技術を習得するしかなかった。
    マスターの中に その作業に特化した人が出てきたという訳だな。

    さて これからV5へと移行していくのだけど チューナーは減るだろうが消えはしない。
    (AHS社から出る Synthesizer Vシリーズ、AIきりたん次第で この状況は変わるか?)

    ボカロで デフォルトの状態で歌わせるのは ある程度の幅しか声が動かない。
    どうしても 抑揚とかイントネーションの変化が薄くなる。
    イレイギュラーな場合は 対処できない。
    DAWで 発音をはっきりさせるにも限界はある。

    根本的に ボカロエディター上で、データに修正を入れる事になる。

    でも きっちりデータを弄った声って はっきり違うものだよ。
    具体的すぎる代表は Mitchie Mさんですね。
    mylist/26375614

    私が チューナーを考えたのは ミクがでてしばらく経ってから。
    ニコニコで色々曲を聴いてから ふと思った。
    どれも 初音ミクの声は同じなんだよなーって・・・・

    実に当たり前過ぎるのだけど、それだと自分は埋没するだけ。

    自分の楽曲に 曲調が個性的とか、世界観がないと浮かぶのも難しい。
    一番手っ取り早いのが 自分のボカロの声を作る事だ。
    3年間ぐらいみっちりとボカロエディターと向き合った。

    お陰で 自分のボカロの声を作る事ができたよ。

    ほぼ全部に手が入っているので マネする事は出来まい。

    今のATスポーツカーを 昔のキャブのMT車にするような感じだよ。
    私のボカロは 「曲がる」。