鳩山理事長は、昨年に引き続き、中国・清華大学で開催された"WorldPeaceForum2013"(以下WPF)で講演をしました。(講演内容は参照)WPFが今回掲げたテーマは、"International Securuty in a Changing/World Peace Development Innovation"で、開会式では、李源朝国家副主席、そして 唐家璇フォーラム議長(元国務委員、中日友好協会会長)のご挨拶がありました。昼食会では、王毅外務次官の演説が行われましたが、テーブルでは隣に座った鳩山理事長は、旧知の王毅外務次官との久々の再会を果たしたこと、そして、現在の日中関係について率直な意見交換ができたことを大変喜んでいました。講演会では、鳩山理事長は、Abudullah Ahmad Badawマレーシア前首相、Dominique de Villepin元フランス首相とともに、Keynotespeakerとして壇上に上がり、朝鮮半島情勢に触れながら、アジアの平和と東アジア共同体構想を丁寧に説明しました。講演を聞いていた米国CSIS顧問のBRZEZINSKIから、"Good Speech!"と直接お褒めの言葉を頂きました。

なお、孫崎享所長もこのWPFに招へいを受け、Panel1の"Changing Structure of International Relations and Impact on International Security"でスピーカーとして話されました。

講演後、清華大学・胡和平書記との会見が行われ、その後、同大学の各学部から選抜された70名の学生たちとの座談会が行われました。最初は緊張気味だった学生たちも、若い頃は大学で教鞭を取っていた鳩山理事長の洒脱で冗談を交えながらの挨拶にだんだん打ち解け、後半は笑い声も響く、とても和やかな座談になりました。理事長が最後に言った、「若いうちはいくら失敗してもやり直しがきく、失敗を恐れずにチャレンジしてもらいたい。」という言葉に、皆が頷いていました。

今回のWPFと同時に、鳩山理事長は、中日国際経済交流センターが主催する"The 3rd Global Think Tank Summit"にも招へいを受け、講演をしてきました。(講演内容は参照)

この講演会に先立ち、李克強国務委員総理を初めとする中国要人側と、海外からの参加者との意見交換会が28日午前に行われ、ゲスト側の座長をHenry Alfred Kissinger博士(元米国務長官)が務められました。6人のゲスト質問者がいる中で、トップにKissinger博士から指名を受けた鳩山理事長は、昨年26年間の政治生活を終え、3月に東アジア共同体研究所を立ち上げた目的を説明しながら、李首相に、東アジア共同体構想をどう思うか、と率直に尋ねました。他の質問とともに答弁された李首相からは、「東アジア共同体構想は大事であり、それにより東アジア全体の発展が最も重要である。その意味で、日中の責任は重く、共通の利益をもつ両国は、現在の状況を克服しなければならない」と述べられました。午後の開会式での特別演説を行った鳩山理事長は、とくに、日中関係の現況に触れ、41年前に尖閣問題を棚上げした先人の知恵に学び、一日も早く、両国の利益やアジア全体の発展と平和のために、すべき課題と東アジア共同体の必要性を強調しました。

今回の訪中にあたり、41年前の日中国交正常化当時の「生き証人」とも言える、現在、中国国際文化交流センター・林麗韞副理事長との面談が実現しました。鳩山理事長とは二度目の面談で、再会を喜びながら、神戸で育ったこともあり、ほぼ完ぺきな日本語を話される現在80歳の林副理事長ですが、当時の話をはっきりと記憶されており、以下のように述べられました。「当時、王效賢先生とともに、周恩来首相の通訳を務めた。私(林氏)が通訳で、王氏が記録する担当であった。41年前の日中国交正常化交渉における、周恩来、田中角栄会談の時、田中総理の側(日本側)から尖閣諸島問題を話題に出した。それに対し周恩来首相は、『今回大事なのは国交正常化であり、今回その話はしないようにしましょう。尖閣周辺に油田が見つかったので、話題になっているのでしょう。』と述べられた。これに対し、田中総理は、『今回、(日本側から)この話題を出さないと都合が悪いので出したが、周総理がそうおっしゃるのなら出さないようにしましょう』と答えられた。この会談には、大平外相や二階堂進先生も同席されておられた。その後、鄧小平先生が、『この問題は次代の知恵で解決しよう』と言われ、これが、いわゆる『棚上げ』である。この周恩来、田中角栄会談はすべて両国外交記録に残っているはずである。また、田中先生が帰国後、田中派の会合でそのように話された、と聞いた。」

歴史の事実をしっかりと公開し、それに基づいて話し合いで先人の知恵に学ぶことが、今の両国、とくに日本に必要ではないでしょうか。(D)