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防衛研究所が毎年発行する「東アジア戦略概観」の今年度版が4月4日発表された。序章「2013年の東アジア」では、「東アジアにおける安全保障環境において顕在化しつつある注目すべき3つのトレンド」として、(1)北東アジア情勢の先鋭化・深刻化、(2)地域安全保障秩序を規定する要因としての米中関係、(3)多国間安全保障対話・協力の進展――を挙げている。
★http://www.nids.go.jp/publication/east-asian/j2014.html
(1)では、東アジア情勢の先鋭化・深刻化の背景に次の4つの要因があるとしている。(a)北朝鮮情勢、(b)中国の拡大、(c)主要国間の緊張と対立関係、その背景にそれぞれに特有な国内政治やナショナリズム、(d)主要国間におけるセキュリティジレンマ――である。この中で特に興味深いのは(d)で、次のように述べている。
「北東アジア情勢の先鋭化・深刻化の背景となる4つ目の要因として、主要国間におけるいわゆるセキュリティジレンマの顕在化も指摘されている。すなわち、自国の安全を高めようと意図した国防力の増強や対外的な安全保障関係の強化が、他国にとっては脅威や懸念と見なされ、対抗的な政策を引き起こし、結果的に軍事的緊張関係が高まり、全体としての安全保障環境が悪化する状況を招いているとする見方である。こうした状況を打開するには、首脳レベルにおける戦略対話、広範な分野における国際交流、危機管理メカニズムの構築や防衛交流・安全保障協力などを包括的かつ着実に積み重ねる必要があろう」
緊張を高めているのは北朝鮮や中国だという言い方をしてもよさそうなものだが、敢えてそうせずに、
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