大阪都構想の意義の一つ
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大阪都構想の意義の一つ

2015-05-06 22:07
    昨日、藤井教授の呼びかけによる「大阪都構想の危険性を明らかにする」学者有志の記者会見が行われました。

    (2015.5.7 動画差し替え)

    これは、前回も書いたように「住民に理性的な判断材料の一つを提供する」という、「大阪都構想の是非を問う」枠組みの中で大きな意義があることです。
    しかし、同時に大阪都構想の枠に縛られず、
    大阪の行政の何が問題か、何が必要か」を、広い分野の専門家が集まり意見を公表した
    という点で、より根本的な、より大きな意義がありました。
    単に「専門家が集まって考える」ものならば「~会議」が既に多くありますが、特定の問題を核にこれだけ多くの専門家が自発的に集まり、メディアを通して意見を述べるのは珍しいのではないでしょうか?「象牙の塔」と揶揄されることもある大学の専門家たちが社会の問題についてこのようなアプローチを取るのは、様々な「良い効果」が期待されます。

    まず、様々な分野の専門家たちから出された「大阪都構想」の問題は、よく取り上げられる「二重行政」などの「行政」にとどまらず、大阪が抱える問題を浮き彫りにしました。例えば、防災の面で大阪の整備が遅れていること、少子化の影響、今後の街づくりにおいて温暖化対策が重要となること等々が今回まとめられたことは、大阪にとって大きな財産となると思われます。このような連携が続いて「大阪はどうあるべきか」という学際的なプロジェクトが誕生したら、大阪の街づくりに大いに役立つことでしょう。

    また、学者側から見て記者会見の場は「学者の社会貢献」として稀有な”チャンス”だったと思います。”地味”な分野の研究は、しばしば、その重要性と注目度が一致しません。「こういう研究をしている人もいるんだ」というアピールは、研究を続ける上で大切です。
    この記者会見の実現には、学者の側だけでなく一般の人たちが「二重行政の意義とは」などを考える機会をもち、積極的に学者の意見を求める動きがあったことも大切でした。
    学者と一般社会の距離が縮まることは、社会の知的レベル向上に役立つ可能性があります。
    福島の原発事故の結果「放射能の知識」が周知されたような「問題が起きてから」ではなく、「現実に問題が発生する前(住民投票の前)」に高度な知識を求め考える動きは、今後の日本の民主主義の”質”を向上させる点で大切な変化をもたらすかもしれません。TPPの議論でも見られた動きですが、ITの発達で意見交換が盛んになったことで大きな変化が始まっているのかもしれません。

    「大阪都構想」そのものは、多くの学者が指摘しているように「問題外」のバカバカしいものですが、それを切欠として「多分野の学者が協力した」とか「学者と大衆社会の距離が近づいた」貴重な経験をもたらしたことは大いに意義があることです。「大阪都構想」は住民投票で否決されるべきですが、「社会を成長させる」ためのアンチテーゼとして価値がありました。
    今回の騒動を、災い転じて福と為すように、今後に繋げていきたいものです。

    もう一つ。

    学者が、広い視野でなるべく多くの問題点を掘り起こす」こと、そして
    社会が、学者の警告に耳を傾け、良く考える」ことが、上で書いた成果でした。
    これは、学者たちの分野による「縦割り」的な知識に「横糸」を通し、さらに「学者と一般社会」を繋いだ3次元的な知の構造を組み上げることです。

    今回の記者会見は、国土強靭化を提唱された藤井聡教授のご尽力によるものです。
    この国土強靭化は、主に地震などの自然災害に対して「防災・減災・迅速な復旧」のシステムを作り上げることを目的としており、それを実現するために「国・地方・住民」という縦糸と「共同体の内外」の横糸で連携した有機的な構造体の構築を重視しています。
    これは、上に書いた「学者同士の連携と、学者と一般社会との連携」の構図と似ています。

    藤井教授が都構想に懸念を示されたのは、「新幹線を2本通す」と「二重行政の確保」との単純な個別の類似性にとどまらず、根本的な思想のあり方によるものです。
    この考え方は、自然災害や行政にとどまらず、資源・エネルギーなど今後の世界の動きの中で日本が国益を確保していく上で益々重要になっていくものです。
    私は、藤井教授の更なるご活躍を祈り、微力ながら何かの面で貢献できればと思っていますが、今回の「大阪都構想」の件でその考え方が広まったことも「大阪都構想が出てきた意義」かなと思ってます。
    現在、橋下氏を始めとする維新の会からの攻撃により藤井教授は大変なストレスに晒されていると心配ですが、是非、多くの支持者に支えられて成功していただきたいと願っています。

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