思考パターンの呪縛
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思考パターンの呪縛

2015-06-14 04:09
    いわゆる「大阪都構想」が否決され、「では、どうする」という議論が始まっています。
    先日、
    たかじんNOマネーBLACK 大阪◯◯構想をぶち上げろ!大阪の未来!提言SP
    という番組で、「大阪を発展させる」アイディアを話し合っておられました。
    私としては、正直、あまりにも「断片的」「小さい話」「エンタメ」なものは、まじめな議論に対して失礼ではないか、そもそも、こういう「おちゃらけ」風な番組づくりや、論の細かい部分を無視して「総合ポイント」でモノの良し悪しを断じてしまう安易な考え方が、橋下氏のような人物を世に出してしまったような失態の原因ではないかと心配です。
    まあ、多くの人に知ってもらうための方便とか番組作りの方法とか視聴率とか、色々とあるんでしょうけど。

    論者の一人、藤井教授のお話も短い時間での説明であり、
    ・本当に、たった4兆円(10年計画なら平均4000億円/年、さらに経済成長による税収増で実質的な負担は更に軽くなる)で済むのか?
    ・津浪対策の防潮堤を紀淡海峡(友ヶ島水道)に建てる場合、その形状によっては津波が反射・屈折して予期しない影響をもたらす可能性があるが、新幹線の経路と"適切な構造"はマッチングするのか?
    などなど、色んな疑問点があり、詳細をつめる必要があると思われます。(藤井教授の著書にいろいろと説明があるそうですが、残念ながら入手できていません)
    全体としては実に納得行く話なので、ぜひ検討を経て、早い時期に実現して欲しいです。

    ただ、そういうのは別に、この番組で面白いなと感じたのは「考え方」の違いです。
    藤井教授以外の人のアイディアは、結局のところ「目玉商品を作ること」であったのに対し、藤井教授の構想のポイントは「大阪に集まるルートを作ること」でした。

    様々な人達から出された「目玉商品を作れば、(どこからか)人が集まる」という考え方は、橋下市長の「カジノ構想」もそうですが、「自己責任」とかの考え方が好きな人と相性がいいようです。
    これは「お金持ちが儲かれば、(どうにかして)お金が社会に回る」という、いわゆる「リフレ」や「トリクルダウン」などと共通する考え方のように見受けられます。
    「トリクルダウン」などを提唱し、推進する人たちに対して「自分への利益誘導」という批判がありますが、ひょっとしたら、そういう人たちは自分の損得以前に”素で”そういう思考パターンになっているのかもしれないな、と感じました。一種の「思考停止」です。

    一方、藤井教授の考えは「人が集まるには、道が必要。あとは、各人の工夫に任せる」です。これを「昭和の考え」と批判する人もいましたが、昭和どころか「全ての道はローマに通ず」と言われた昔から、洋の東西を問わず都市計画・国家運営の王道です。
    これは「経済成長には、お金を回すルートが重要。『第三の矢』は自然発生で」に似ていて、ケインズなどの経済学の王道(流行り廃りとは別)です。
    (あまりに単純化した捉え方で、また、藤井教授の考え方には有機的な組み合わせを作る」という根本思想もあると思われますが、まあ、簡単にまとめるならば、ということで…)
    この共通性は「考え方のパターン」もあるでしょうが、「思考停止」というより、メタ的に、「従来の諸説を学び、自分の説を打ち立てる(温故知新)」という学者としての訓練の結果、強化された「マナー」に沿って「王道」にたどり着いた面が強いと、藤井教授の話の具体性から考えられます。(「思考停止」からは新しい具体的なものは出てこず、空虚な流行のキーワードや昔の体験の繰り返しになります)

    「目玉商品」を挙げた人達が多いこと、そしてその「目玉商品」の中身から、やはり人間、「三つ子の魂百まで」と言うように「考え方の基本パターン」があり、それはなかなか変えられないものなのかもなぁ…と思われます。
    以前、「話を聞かない男、地図が読めない女」という本で話題になったように、人間の思考は各々の「脳の構造」にかなり影響され、個人個人に「行動のパターン」があります。
    例を挙げれば、「せっかちな人」は、食事も運転も仕事も「せっかち」ということです。
    「生まれつきの性格や能力がある」という主張は、週刊朝日の橋下徹特集記事で問題とされたように、「人間の心」に何か神秘的な自由とかを夢見たい人から反発があるところですが、DNAなどの影響で個人の行動や思考に特定の傾向・制限が生じるのは科学的事実です。
    一方、「生まれつき」以外に、学習によっても脳の構造が変化し、行動に影響することも実際に証明されています。「習い性となる」と言われている通りです。これは「三つ子の魂…」と矛盾するようですが、実際には「性質の強化」であり「基本パターン」を変えるには至らないのではないかと思われます。「成功体験や努力で基本パターンが強化される」可能性です。

    「考え方は固定されている、さらに成功や努力で強化される」のは怖いなあ…って思います。
    自分でそれに気がつくのが困難で、「その考え方こそ全てだ」という思い込みに支配されて、失敗に対応できなかったり、他人にもそれを「常識」として強要する可能性がありますから。
    特に、日本の「空気を読む」文化は、そういう傾向を助長するかもしれません。
    震災のとき注目された、混乱のなかでも「コンビニの前で列を作る」ことが、明日への希望や信頼、理性的な判断の結果ではなく、「思考停止」だったら悲しいし、怖いことですけれど。
    今話題のMERS、それへの対応が、両者の違いをハッキリさせるかもしれません。

    考え方の基本パターンを変えるには、本当に「人生観を変える」ような衝撃が必要なのかもしれません。そこまでは行かなくとも「新しい言語を覚える」などの方法もあるようですが。
    私は今、海外で仕事をしており、そこの言語は覚えていませんが、カルチャーショックを日々受けています。割かし度胸も付きました(別に慣れたかぁねぇんですけどね!)。
    そういう経験が将来の自分の成長に役立てばいいな…とは思っていますが、「経験の応用」以外に「根本的な脳の変化」ってのがボーナス的にあれば嬉しい限りです。
    できれば、将来、お金持ちになって「仕事」ではなく「趣味・遊び」で脳に刺激を与えられるような生活が出来ればいいんですけどね…

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