変化は突然やってくる-その1
閉じる
閉じる

新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

変化は突然やってくる-その1

2015-07-04 03:54

    いきなりの大事故・大事件に驚くことは多いですね。
    この時期は大雨が続き、土砂崩れなどの災害が心配です。十分にご注意ください。
    また、自然現象に限らず「中国のバブル崩壊」のように社会的にも突然の変化は起きます。
    新幹線の放火、台湾での粉塵爆発など、火災の恐ろしさを再認する事件・事故も続きました。
    テレビの専門家はいつも事件の後で「予兆を見逃すべきではなかった」と繰り返しますが、それではその「予兆」はどのように見つければよいのでしょうか?

    「予兆」という考えは、犯罪では「割れ窓理論」、事故では「ハインリッヒの法則」として知られています。いずれも「重大な事件・事故の背後には多くの小さな事件・事故が隠れている」ということで、概念的あるいは経験的な話です。世の中は複雑すぎ、その因果関係は明らかではありません。
    しかし、科学の世界では類似の事象がより単純な系で理論的・定量的に取り扱われます。

    まず、「ある状態から別な状態に変わる」相転移という現象です。これは例えば液体の水を冷やせば凍り、熱すれば蒸発する「モノのあり方が変わる」変化で、「自由エネルギー」という概念で説明されます。
    この概念は経済でいえば「損益」であり、相転移は「損益分岐点」で起きます。「商売として成り立つ/成り立たない」が分かれ、儲からないうちは少数が趣味で細々とやっていることが、儲かるとなった時点で「市場」が生まれ、参入者が急に増える現象です。
    この変化は必ずしも「急激」とは限りません。鍋の水を沸かすときは、小さな泡が出てきて湯気がたってきます。「そろそろ沸くな」という予測はわりと簡単です。水を冷やして「氷の出現」という「今までに無い」ことが起きても、そこで冷やすのを止めればそれまでです。

    しかし、複数の要因が干渉する場合は予期せぬ変化をもたらすことがあります。水を沸かすときも、余熱で沸騰が続き噴きこぼれることはあります。そのときに焦ると火傷したりします。「余熱」も「焦り」も「急激」なことではありませんが、組み合わせで事故につながります。
    実験室とは違い、世の中のことは大抵こうした「複数の要因」が絡むので注意が必要です。

    もうひとつ、相転移が急激に起きる理由に「準安定状態」の存在があります。変化するのに十分な条件が揃いながら、「キッカケ」を待っている状態です。例として、0℃以下に冷やした水が何かの拍子に凍り始めると一気に全体が凍る「過冷却」、動画も多く投稿されています。
    崖崩れが最後の小石で引っかかっている状態で、変化は「いつ起きても不思議ではない」と言われます。プラスの変化には「機は熟している」 とも表現されますが。
    そして、いざ「キッカケ」によって変化が始まると、相転移によって放出されるエネルギーで波乱が生じることあります。激しい「衝撃」や「揺り戻し」や「行き過ぎ」が起きます。支えが 外れたときの「ガタッ」という振動、過冷却では凍り始めると温度が上がったりします。「機が熟している」といっていきなり規制が解かれたら、競争が過熱したりバブルが生じたり混乱が生まれます。たとえ「必要な、良い変化」と思えても、変化には慎重であるべきです。
    良い例として「バブル潰し」があります。「バブル景気」という「準安定状態」、株価や地価が「行き過ぎ」た水準になっている状態を是正することは必要ですが、バブルは崩壊の機会を待っています。何かのキッカケで借金などの問題が表面化すると、一気に破裂します。
    このキッカケは、「風船を針でつつく」ような外部からの刺激や、「風船が圧力に耐えられなくなる」という自発的な変化によって生まれます。混乱を避けるため、余計な刺激を避け、適度な「ガス抜き」でゆっくり処理することが必要です。

    変化の結果が次の変化を呼び、時には加速することもあります。「連鎖反応」です。
    上の「過冷却」では氷が次の氷の核となり、一気に全体が凍ります。変化によって次の反応に必要なエネルギーが生み出される燃焼」 も典型例です。
    一つの反応によって引き起こされる「次の反応」が多ければ倍々ゲームのように反応は激しくなっていき、制御は困難になります。ネットで「噂が噂を呼ぶ」連鎖反応を「炎上」と呼ぶのは良く出来た表現ですね。燃焼以外にも「雪だるま式に」とか「雪崩を打って」とか形容されるように、世の中の様々な場面でみられる危険な状態です。
    しかし、逆に「次の反応」が少なければ、「火が消えるように」反応は消えていきます。
    インフルエンザなどの病気が広がるのも、流行が抑えられるのも、これで決まります。ある患者から感染する患者の数をなるべく少なくし、1以下に抑えることで鎮火されます

    そして、「連鎖」が起きるためには「点と点がつながる」ことも重要です。
    火が燃え広がるためには可燃物が密集していることが必要です。インフルエンザの時期に「人ごみに行かない」よう注意されるのは、患者との接触を絶つことで連鎖を止めるためです。このような「つながり」を考える上で「パーコレーション理論」が重要です。
    墨の粉をゴムに混ぜていくと、ある程度混ぜたところで急に電気を通すようになります。電気を通さないゴムの中でバラバラだった墨の粉がつながって、電気の通り道が出来るのです。
    この種の変化は指数関数的に起こり、まだかな?まだかな?と思って量を増やしていくと、あるところで急に性質が変わって驚くことになります。
    「最後のピースがはまった」ことで「謎はすべて解けた」と「ひらめく」ようなものです。
    社会では可燃物が密集していると火災が広がりやすいなどの事象を扱うことができます。
    現代社会では距離的な制約が小さくなり、特にネット社会では「つながり」を作りやすいため、本来ならば立ち消えになるような噂も広まって炎上したりします。

    このように、様々なメカニズムで「急激な変化」は起こり、それは世界の基本的性質です。
    急激な変化の原因は「蓄積されたエネルギー」や「複雑性を生み出す”つながり”」であり、そうした環境が「予兆」として観測され、それらの「お膳立て」や「変化によって放出されるエネルギー」を考えることで変化がどこまで広がるかの予測も可能になっていきます。


    広告
    コメントを書く
    コメントをするには、
    ログインして下さい。