「人類には早すぎるランキング」とは何だったのか。
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「人類には早すぎるランキング」とは何だったのか。

2013-04-26 01:38

    2009年12月16日に投稿され始め、
    2012年12月16日という丁度3年を数えたその日、
    「LASTシーズン」(36thシーズン)の
    投稿で幕を閉じた、人気動画シリーズ「人類には早すぎるランキング」。
    動画をランキングする動画である本シリーズは、
    動画アップロード者である「うp主」のセンスによって、
    ニコニコ動画の海原から拾い集められ、ランキングされた
    (しかし順位に意味はないらしい)シュールな動画たちによって構成される。
    その理解しがたい発想に満ちた「人類には理解しがたい動画」たちは、
    僕たち視聴者を何度も笑わせてくれた。
    そして何よりも、うp主の抜群の嗅覚に、
    僕たちは何度も舌を巻いてきたものだった。

    しかし、その一方で、視聴者はうp主の訴えに
    耳を傾けてきただろうか。
    うp主が明確に声を発したのは、2011年5月15日にアップされた
    「17thシーズン」だと思われる。いわゆる「主コメ」と呼ばれる
    動画説明文に、うp主はこのように書きつけている。
    「人気動画の数だけ、埋もれた動画がある」と。

    これだけなら、まだ穏便な文言なのだが、その後、
    うp主から投げかけられる言葉は、日を追って切実なものになる。
    「100再生の動画も100万再生の動画も、大差はないと思う」(19thシーズン)
    「ニコ動を支えてきたのは、こういう動画達だと思う」(20thシーズン)
    「毎時、デイリーランキングが面白ければ、正直こんなランキングいらないと思ってる」(22ndシーズン)

    そうだ、デイリーランキングの20位までの一覧がちっとも面白くなく、
    各カテゴリの100位までのランキングを漁っている人も、きっと少なくないはずだ。
    うp主の言葉はさらに激しさを増す。
    「伸びる伸びない、面白い面白くないより、大事な事があると思う」(27thシーズン)
    「このランキングの需要(必要性)がなくなる事が、一番の理想だったりする」(28thシーズン)
    「ランキングから「公式動画」「人気動画」(実況、歌ってみた等)を切り分けて欲しい。
    これらがランキングを埋め尽くす現状で、原点回帰なんて言える訳がない。」(29thシーズン)
    「「DVD/BD」の売上ランキングに、「CD」や「ゲーム」が並んでいる。
    ドラマやアニメ等のカテゴリはあっても、「DVD/BDランキング」はどこにもない。
    今のニコニコは、そんな感じ。」(30thシーズン)

    そして31stシーズン、うp主は、人気ライトノベルをタイトルそのままに、こう吐き捨てている。「人類は衰退しました」――。

    ここにあるうp主の憤りは何なのだろうか。様々に推測は出来るものの、筆者は、きっとニコニコ動画というエコノミーの内部で、うp主は抵抗していたのだと思われる。自由なアップロードと視聴というユーザー主体のインターフェイスとして自由なものであったはずのニコニコ動画が、なぜか自ら閉鎖的な空間になっていっているのだということ――。

    最後の時期の主コメは、もはや断末魔のようにさえ思える。
    「ニコニコ動画が見たい」(32ndシーズン)
    「ニコ厨は考えない葦である」(33rdシーズン)
    「ニコニコらしさって、何だっけ?」(34thシーズン)
    そしてうp主は繰り返す。
    「伸びる伸びない、面白い面白くないより、大事な事があると思う(27thシーズンより)」(35thシーズン)

    しかしこのような檄に、ほとんどの視聴者は注意の眼を向けることはなかった。そしてこのランキング自体は、ずっと人気のままであり続けた。僕たちは、そのことに可能性を見出したい。一つのシステムの中の多様性を確保し、マイナーなものを尊重せよと言われるときに感じるその強権的な振る舞いからは、このランキングは逃れることができている。そして何より、マイナーなものを擁護するランキング自体がメジャーになることができていたのだ。
    うp主が最後の動画の主コメに書きつけた、雑誌連載漫画の打ち切りネタのフレーズを持って、この文章も締めたいと思う。

    「俺たちの戦いはこれからだ!」(LASTシーズン)





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