直木賞作家・小池真理子の同名小説を映画化した『二重生活』は、他人の尾行を始めた女性が、その過程でさまざまな変化を経験していくストーリー。尾行する主人公・珠を演じた門脇麦、珠の恋人役の菅田将暉に、映画『二重生活』にまつわる話をインタビューした。
――"尾行"がテーマの作品ですが、サスペンスフルな展開だけでなく、総合的なエンターテインメントとして楽しみました! 最初、物語をお読みになった時の感想は???
門脇:わたしが演じる珠(たま)は尾行するシーンが本当に多かったので、どういう風に撮影が進行していくか、想像することが難しかったです。
菅田:人間のすれ違いやのめり込み、まわりが見えていないことを自分で分かっていながら、ウソをついてしまう。そのヘンがリアルで嫌だな、という感覚になりました。
――俳優として挑みがいがある題材でテーマだったとも思いますが、撮影が始まる前に一番楽しみだったことは何ですか?
菅田:門脇さんと本格的に共演する初めての作品ということと、噂で岸監督はテストをしないと聞いていたので、それも楽しみでした。個人的には久々にニュートラルな役柄で、映画を観た知人に「最後、人殺したりしないのか」と言われましたが(笑)、それはいままで僕の演じてきた役柄の影響でしょうけれど、今回の真っ直ぐな役柄も楽しみでした。
門脇:わたしも岸監督とご一緒することが楽しみでした。普段、セリフが「......」で、言葉が8割ないみたいな役柄が多かったのですが、今回もほぼ尾行で、「......」が極められる役柄かなと思いました(笑)。
――"理由なき尾行"というキャッコピーもそそりますが、映画のような尾行とまではいかないにしても、普段広い意味で人間観察などはするほうですか?
門脇
:そうですね。人間には、いろいろな思考や感情があるので、それを知ることは面白いなって思います。珠のようなという意味では、わたしも哲学書が好きなので、買いはしますが、飽きっぽいので読まずにそのままになっている本もあります(笑)。
菅田:東京にはいろいろな人がいて、そういう人たち同士を比較するわけじゃないですが、ありのままに目に入ってくる感じは好きですね。
――本格的な共演ということで、今回の撮影中、お互いの"観察"はしましたか???
門脇:菅田君は――よく寝ます。お弁当をすごい速さで食べ終わったかと思うと、気づくと寝ている。本番中も寝ていました(笑)。
菅田:寝たね。よく観ていますね(笑)。寝たことに気づいてなかったので、恥ずかしい話です。門脇さんは身のこなしが柔らかくて、ナチュラルな人。自分がそうだからわかるんですけど、あれこれ考えるとお芝居をしていて体が固くなっていくんですよ。それが一緒にお芝居していくなかで影響を受けて、溶けていく瞬間が何度かありました。あと、声。本当に聴きやすい(笑)。
門脇:菅田君は柔軟性があって、良いか悪いかを決めつけず、すべて受け入れる。それは俳優としての強みだなって思いました。
――珠の視点で観た時に尾行していて、最終的に自分を見つめ直すという点もポイントですが、映画『二重生活』の魅力とは、ズバリ何でしょうか?
門脇
:いろいろな視点が存在していて、そこへ導いてくれる映画なので、そこがまず魅力ですね。尾行している彼女をさらに尾行して、そこに出てくる人たちを観察していく視点もあると思います。哲学など思考面でも新鮮で興味深く、考えさせられる作品になっています。珠が自分と戦って、ちょっとずつ前に動いていく過程も見届けてほしいです。
菅田:自分が出ている作品を試写会で観て、初めて普通に楽しめたんです。お客さんとして観られたんですよね。今までそんなことなかったんです。この作品はずっとしゃべっていたいとも思えて、すごく好きだったんです。いろいろなエンターテインメントが入っているけれど、シンプルに楽しめる作品です。静かでもなければ、うるさくもない。人が生きている心拍数をグラフにしているような、そういう心地良さもある映画です。
映画『二重生活』は、全国大ヒット上映中!
■映画『二重生活』公式サイト
nijuuseikatsu.jp
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