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10月15日、黒沢清監督の初海外進出作『ダゲレオタイプの女』公開初日を記念した舞台挨拶が行われ、黒沢清監督が登壇、さらに俳優・西島秀俊が応援に駆けつけた。
世界中にファンを擁する黒沢監督が初めて全編フランスで撮り上げた本作。監督は「これはフランス映画ですが、現代のフランスの社会問題を鋭く描いているという作品ではありません。もっと映画そのものに根ざしています。"映画にはこんなことも表現できる"、"こんな物語を扱うこともできる"という、映画そのものの豊かさを感じていただければ、それが僕にとっていちばん嬉しいことです。こんな作品を撮ることができたことを嬉しく思っています」と日本での公開初日を迎えた喜びを語った。
世界デビューを果たしたことに関しては「日本以外の国で映画を撮ってみたい、というのは昔から夢でしたし、おそらく多くの日本の映画監督はそういう夢を持っていると思います。それがこの歳になって実現できたというのは本当に幸運だったと思います。チャンスとは、単に実力だけでつかめるものではなく、いろいろな人々との偶然な出会いがあってこそだなと思います」と感慨深い様子であった。
さらに、『LOFT ロフト』(05)や『クリーピー 偽りの隣人』(16)などの黒沢作品に出演し、「芸能人の知り合いって本当に少ないが、唯一の友達」と黒沢監督が述べるほど懇意にしている西島も本作の公開を祝福し、映画について「傑作です。やっぱり羨ましいですね。黒沢監督は、本当はこういうの撮りたかったのかなと(思います)。僕は、黒沢監督が日本で撮る、"白い壁紙"、"蛍光灯"...という寒々しい世界が好きですが、今回は、青いドレスの女性や、ブルーのドアと壁の色や、らせん階段という(モチーフが登場します)。黒沢さんは本当はこういうゴシックな世界を撮りたかったんじゃないのかな、と思って非常に嫉妬しましたね」と、黒沢作品の新たな一面を垣間見たことを語った。
また、黒沢監督が世界デビューを果たしたことについて、「今回黒沢監督世界デビューということですが、僕からすると正直遅いですよ、という気持ちです。今回完成した作品を観て、黒沢さんにどんどん海外で撮っていただきたいというのが僕の夢ですね」と今後の海外作品への期待を寄せた。
最後に黒沢監督は本作について、「これは間違いなくホラー映画です。ゴーストストーリーです」と紹介し、「死んだ人と生きている人との関係を、こういう風にも描くことができる、というひとつのチャレンジでした。それをフランス人の俳優たちが実に上手く演じてくれて。生きているものと死んでいるもののドラマはこれからも、ホラーという形を取るにせよ取らないにせよ、様々な可能性を秘めているな、と思いました」と振り返った。さらに「(本作を)まだ観ていない友達でホラー好きの方がいらっしゃったら、"これはすごいホラーなんだよ"と、ホラー好きじゃない方には、"全然ホラーじゃない、すごい美しい幽霊が出てくるんだよ。怖くないから"と勧めてもらえたら」と笑顔でPRした。
映画『ダゲレオタイプの女』は10月15日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、シネマカリテほか全国公開
■『ダゲレオタイプの女』公式サイト
bitters.co.jp/dagereo/
■リンク
・黒沢清監督、『ダゲレオタイプの女』で長年の夢だった海外進出を果たし感無量! 「夢のような時間でした」
RSSブログ情報:http://news.aol.jp/2016/10/16/dagereo/