11月14日、東京・秋葉原にて書籍『生きる理由を探してる人へ』刊行記念、トークライブ&サイン会が行われ、著者の大谷ノブ彦(ダイノジ)&平野啓一郎が登壇した。これまで自殺を考えたこともあると明かした大谷は、平野の説く、人には様々な顔があっていいとする「分人」という考え方に救われたと話し、「自殺というものに直面したときが何回かあったんだけど、そのとき出合っておきたかったなと思った」と、共鳴していた。


『生きる理由を探してる人へ』は芸人と作家による「自殺」をテーマにした異色の対談。序章から終章まで全6つのセクションに分け、追いつめられていても自らを死に追いやるような考えではなく、「自殺を思いとどまらせたい」と語る大谷と、「自殺回避の方法にどこまで説得力を持たせられるかが重要」と掲げる平野が、現状から脱出して違うかたちで生きるという道を提示している。


「以前は他者と幸せを比べたりして。同期の芸人がテレビに出ているのを見ていたら消したりとか、自分の自意識に勝てなくて、苦しくてしょうがなかった」と話す大谷は、平野の著書『私とは何か――「個人」から「分人」へ』のタイトルにもある「分人」という考え方に光を見たという。「本当の自分なんてないんじゃないのかな、ってハッとさせられました」。もっと分人主義を広め、伝えることができれば理想的だと思い、本を出すに至った。


また、過去に自殺を考えたこともあると明かした大谷は、「いざ自分が自殺をしようとしたときのことって覚えていないんです。都合よく記憶を消している感じもするし。未遂の人は本当にそういうのが多いらしくて」と、はっきりとした理由もないまま至ることもあると自己を例に挙げた。平野もうなずき、「僕も体験談を取材しました。本人が(他者に)相談してダメだから自殺しているのではなく、言葉としては単に疲れたとか、抜け出したいとか。行動として自殺に結び付くとなってしまったケースが結構あると思うんです」と話し、「"自殺する勇気があるなら生きろ"とか善意のつもりで言っているんだろうけど、悪いことをしたという言い方になりがちで、本人のことも傷つけていますよね」と持論を展開した。


さらに、平野は「ひとつの人格に決めつけられるのに、すごく抵抗があるんです。自殺してしまうと、いろいろな人生があったはずなのに"自殺するようなやつだった"とか、ひとつに決めてしまうことが起きていて。人間には多用な面があるし、それが大事だと思うんです」と、ひとつの自分の顔だけではなく、対人ごとに見せる顔がすべて自分であり、それを肯定することを勧めた。大谷も、「"こうでなければいけない"ということを受け入れなくていいですよ、ということをやわらかく伝えたいというのが、本を出した一番の理由でした。別に逃げているわけじゃないもんなあ」と、しみじみと生きることをかみしめていた。(取材・文・写真:赤山恭子)

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