スペインのクリスマス宝くじのCMが「めちゃくちゃ泣ける......」と話題だ。
https://www.youtube.com/watch?v=aB8s6Ulp6PE
テレビを見ている孫に、食事を持ってくるカルミーナおばあちゃん。しかし、孫は「お腹すいてないんだよ」とそっけない態度だ。おばあちゃんも「仕方がないわね」という様子で「いいわ、いらなかったら残しなさい」と居間を去ろうとする。そこで、テレビで流れていた宝くじの番組に気づいたおばあちゃんが当選番号を確認すると、......当たっている!? おばあちゃんは「まさか! なんてことなの......!」と、大喜びで家を出て行く。
しかし、この映像は当選発表を前に"昨年の様子"を伝えるニュース番組だった。おばあちゃんのくじは当たりではなかったのだ。そこに「どうしたんだ?」と入れ違いでお父さんがやってくるが、孫が「おばあちゃん、宝くじが当たったって思い込んでるんだよ」と言うと、「なんだって......? 参ったな」と困った様子で追いかけるが、おばあちゃんは既に街の人々に大喜びで自分の幸運を伝え、祝福を受けてしまっていた。お父さんとお母さんは困りながらも、おばあちゃんのために嘘をつき続けることにするのだった。
そこから街の人々を巻き込んでの、嘘に嘘を重ねた一大お祝いイベントが始まる。バルに電話すると、マスターは祝杯を用意することを快諾。「どうやら我々の街で宝くじの当選が出たみたいだよ」「なんだって? くじ引きは明日だろ!?」などと常連と言いあいながらも、マスターが準備するバーへ人々が集まりだす。シャンパンを酌み交わしながら上機嫌のおばあちゃんが「そうだ、ヘアサロンのみんなにも教えなきゃ!」と言うのを聞いて、お父さんは目くばせで孫を一足先にサロンへ走らせる。「面倒くさ......」という表情で向かう孫だったが、おばあちゃんの喜ぶ姿に思わず笑みがこぼれる。
さらにお父さんは、町長にも電話。急いで"この街から1等賞が出ました!"と書かれたTシャツに着替えた町長は、おばあちゃんとハグ。すると今度は「そうだ、そろそろテレビ局の取材も来る頃なんじゃないかしら?」と言い出すものだから、さすがに困って打ち明けようとしたお父さんを、今度は孫が制止。仲間に連絡し、テレビ取材班を装って来てもらうと、嬉しそうにニセの取材を受けながら「今日は、そう、灯台! みんなで灯台に行ってお祝いするのよ!」と答えるおばあちゃん。そして「カルミーナおばあちゃんには良くしてもらってるけど、嘘のために鐘を鳴らすなんて無理だよ!」という神父をよそに、教会からは鐘が鳴り響く。
ここまでくると、お父さんも「すべて叶えてあげたい」と、今度は食料加工の工場に電話。さらには知り合いの漁師にも電話し、事情を聞いた船長は助手に「ロブスターはお祝いのために取っておくぞ。陸に戻ろう」と一言。二人の「でも上にはなんて言うんだよ」「海が大荒れだ」「大荒れ......?」というやり取りが可笑しい。
街では孫が人々に「くじが当たったんだ! みんな集まってくれ!」と声をかけて奔走する。「本気なの!?」と言いつつも、灯台を目指して集まる人々。ところが、いつの間にか大行進になってしまった人々の前に、しかめっ面の地元警察が立ちふさがる。奇妙なパレードもここで終わりか......と思いきや、「ついてきなさい」とばかりに人々をバイクで先導! そんなこんなで到着した灯台では食事が振る舞われ、盛大にお祝いが繰り広げられらたのだった。
しかし、満足げな表情で街の人々を見つめるおばあちゃんを見ながら、息子夫婦は複雑な表情だ。ついに「俺が伝えるよ......」と、母の元へ歩み寄ったお父さんが、「母さん、言わなきゃならないことがあるんだ」と口を開くと、カルミーナおばあちゃんは「あなたが何を言うつもりか、分かってるわ」と、その言葉を遮った。そして「でもね、子どもはいつだって、まず母の言うことにちゃんと耳を傾けなくちゃいけないわ。......この宝くじ、あなたたちが持っていてくれた方が、私は嬉しいのよ」と、当たり(と思い込んでいる)くじを息子に手渡したのである。
思いがけもしなかった母の一言に、思わず言葉を飲み、年老いた母親とハグするお父さん。その様子を見ていたご近所さんは、最後に「明日、本当に当選したらどうなることでしょうね」と笑顔で呟くのだった......。
見事に予想を裏切るエンディングながら、観る者の涙を搾り取る秀逸なこのCM。再生回数が少ないことを不思議がるコメントも寄せられているが、近いうち爆発的にバズることになるかもしれない。