2015年の香港映画で興収No.1を記録した、実話に基づく感動作『小さな園の大きな奇跡』のエイドリアン・クワン監督と脚本のハンナ・チャン氏へ直撃取材! 郊外の貧しい幼稚園を救うため、激安賃金で園長職に名乗りを上げた女性の奮闘記を描いて香港で大ニュースになった話題作。撮影中も号泣していたというクワン監督は、取材中も号泣していたぞ!


――香港は仕事でよく訪れますが、空港などを見ていても裕福な国だと思いがちですよね。このような貧困の事情があることは、国外の人は知らないと思いました。

監督:おそらく、香港の人も知らないですね。

チャン氏:慈善事業の仕事をしていた時に、実際に多く人とお会いしました。

監督:ひとつのパンを3日間、ふたりの少女がわけあって暮らしたという話も聞いたことがあります。

チャン氏:香港は貧富の格差がひらいている国でもあります。しかも、子どもたちの4人にひとりが貧困層という事実もあります。
この映画に登場する子どもたちも、幼稚園の学費を払う余裕がなかった家庭の子です。

監督:この実話を初めて聴いた時、ショックを受けました。

――公開後、香港では大ニュースになったそうですが、社会の情勢なども含めて、いい影響はありましたか?

監督:ええ。何かを成し遂げたような気がします。

――いまもちょっと泣いていますよね???

監督:(苦笑)。この映画を観るようにと、政府の機関がスタッフを送ってきたことがありました。そのおかげで多くの関係者が情熱を燃やし始めましたが、この映画がきっかけだったと思います。一般の社会でも運動が起こっていると思います。

――それと銃のイメージが濃いルイス・クーが、アクションなしでドラマしている点も見逃せないですよね!

監督:主役のふたりは互いによく知っている間柄で、ミリアム・ヨンも撮影中にセットのなかで、「拳銃を手に持っていないルイス・クーを初めて観た」と言っていたよ(笑)。彼はいつも、深刻な顔をして銃を撃っているからね。今回は妻を支える夫の役なので、全然違うよ。プロデューサーのベニー・チャンも撮影現場に来て、「今日は爆発ないの?」って居心地が悪そうでした(笑)。

――ルイス・クーは、本作に製作出資までしていますよね。映画人として、関心が高かったことの証拠ですよね。

監督:彼の大きなオフィスに招かれた時に今回のストーリーを話しましたが、この映画の出資者のひとりになってくれました。30分ほどの面会でしたが、最後の5分で「わかった」と。最初の25分間、わたしは泣き続けていましたから(笑)。彼は「やらなくてはいけない」と宣言してくれました。こういう映画は「作られるべきだ」とも。まるで暗い部屋に光がともった気がしました。

――もう、完全に号泣していますよね??? 昔から涙もろいのですか???

監督:昔からではないですね(笑)。悲しいからではなく、愛と希望のことを考えると泣けてしまいます。
わたしは映画監督として自分がやりたいことをやっているという意味で、大変幸福に感じています。ですから今流している涙は、心から流している涙だと思います。


公開中


■映画『小さな園の大きな奇跡』公式サイト
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