「スター・ウォーズ」シリーズ最新作、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』が大ヒットしている。往年のファンを中心に映画を観た人の評価は絶賛に次ぐ絶賛で、「シリーズ最高傑作!」「涙腺崩壊」など、とにかく"泣けるスター・ウォーズ"として話題だ。


本作はシリーズ「スター・ウォーズ」シリーズの第1作目『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(77)の"直前"までを描く"アナザー・ストーリー"で、『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』(05)の間を描く、すなわちスピンオフ作品。反乱軍の寄せ集めのメンバーで構成する極秘チーム<ローグ・ワン>が、銀河全体を脅かす帝国軍の究極兵器デス・スターの設計図を奪うという、ほぼ生還不能なミッションに身を投じていく姿を描くシリアスな内容で、同シリーズ全体を見渡しても戦争映画色が濃厚なハードコアな一作。<ローグ・ワン>のメンバーはフォースやライトセーバーを使いこなすジェダイの騎士ではなく普通の人間でおまけに善か悪かはっきりしない、ならず者でもある。

それだけに、壮大なサーガである「スター・ウォーズ」シリーズを知らないような、SWビギナーにまずハマった模様だ。そもそもスピンオフ作品の場合、シリーズ全7作もある同シリーズを全作観ていないと「まったく作品世界を理解し得ないのでは?」という不安が生まれそうなところ、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』は普通の人間たちが団結してコトに当たっていく物語ゆえ、敵陣の設計図を盗み出すというシンプルなストーリーの効果もあって、「まったく抵抗感なく楽しめた」との声が多い。登場するキャラクターたちも人生の過去を背負っている複雑なキャラクターばかりで、彼らのじくじたる想いなどに共感を覚える人たちも多そう。ここに、多くの支持を得た理由のひとつがある。


一方で本作は、第1作目『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(77)の"直前"までを描いているため、自ずと"目で観てわかる「スター・ウォーズ」感"が強くなっている。昨年の『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』は時系列でも最新作になっているため、第1作目を思い起こすノスタルジックな視覚的仕掛けは控え目になっていたが、今回の『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』は遠慮なく、往年のファンが抱いているノスタルジーにズカズカと入ってくる。この点、ダース・ベイダーの登場が象徴的で、単なる"なかつぎ"ではない"エピソード3.5"感が、ファンのハートに響いたのだ。

SWビギナーも往年のファンの支持も獲得した『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』は、スピンオフ作品としても"本線"としても大成功を収めた紛れもない傑作だ。本作をきっかけに新たな「スター・ウォーズ」シリーズのファンが増えることを願いたい。


『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』は公開中
©Lucasfilm 2016

■『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』公式サイト
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