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注意:今回『007 スカイフォール』のラストについて触れています。
「For Your Consideration」へようこそ。ハフィントン・ポスト・エンターテイメントでは毎週アカデミー賞のあれこれを解説します。
これから2013年2月25日まで、アートとエンターテイメント部門の編集長マイケル・ホーガンと、エンターテイメント編集者のクリストファー・ローゼンが、今年の賞レースおよび第85回のアカデミー賞で最も会場を沸かせるのはどの作品かを語り合います。
ローゼン:さて、第85回のアカデミー賞ノミネートが発表されるまで、2ヵ月を切ったね。今のところ楽しんでるかな?(この『Party Down』のセリフはまだまだ使えるね。)今週は、嵐の前の静けさのようだった。『リンカーン』はまだ限られた劇場での公開、『007 スカイフォール』は順調に興行成績の記録を塗り替えている。 (『007 スカイフォール』はすでに北米で1億ドル以上の成績だ。) 11月16日になるといよいよレースが始まる。『リンカーン』、『Silver Linings Playbook』、『ライフ・オブ・パイ』、『Hitchcock』、そして忘れられてるけど『ジャッキー・コーガン』が今月次々封切りされ、12月になれば『ホビット』、『This is 40』、『ゼロ・ダーク・サーティ』、『ジャンゴ 繋がれざる者』、『レ・ミゼラブル』が公開になる。それでも現時点では、レースの状況は9月の頃とあまり変わらない。『アルゴ』が作品賞の先頭を走っている。ベン・アフレックのこの映画の勢いが衰える様子はまだ見えない。(『リンカーン』は非常に強力な競争相手だと思うが、オスカー予想の仲間であるトム・オニールが言うように、多くのアカデミー賞選考メンバーがスティーブン・スピルバーグの映画を大好きではあっても、この映画をどれほど尊敬に値する映画と考えるかは定かでない。)
さて、何について話したら良いかな?『007 スカイフォール』にしようか。10月に評論家たちに向けての試写が始まったとき、多少オスカーの噂はあった。ところがようやく自分で見てみると、これはオスカー映画という感じはしないね。映画撮影のプロ、そして、これまでに9回アカデミー候補になったロジャー・ディーキンスは、ノミネートは間違いないけど、『ノーカントリー』、『トゥルー・グリッド』、『ビューティフル・マインド』、『ショーシャンクの空に』を作った監督の初のアカデミー賞がジェームス・ボンドというのは想像し難い。変な話、『007 スカイフォール』をけなす人々 (僕もその一員だ) さえ、撮影技術に対しては何も言えないんだ。この映画は正直言って、本当に美しい。(本当かどうかはわからないが、Deadline.comのピート・ハモンドが、アカデミーの選考会で『007 スカイフォール』はギャングを取り締まる警官のように誰も逆らえない状態だったと言っていた。まあ、偉大な脚本家のウィリアム・ゴールドマンがかつて言ったように、誰が何を知るわけでもないけどね。)
駆け引きという観点での今週のビッグ・ニュースは、ザ・ワインスタイン・カンパニー (TWC) が『ジャンゴ 繋がれざる者』のクリストフ・ヴァルツを主演男優賞部門にエントリーさせるつもりらしい。それというのは、(a) ヴァルツを主演男優賞に入れるとジェイミー・フォックスはリストから外れることになり、近年競争が激しくなっているこの部門でふたりが票を吸い取り合うシナリオが防げる。そして、(b) TWCはこの映画でのレオナルド・ディカプリオの演技に非常に自信を持っているようだ。前回のタランティーノの映画で助演男優賞を受賞したヴァルツをどかすことで、1994年の『ギルバート・グレイプ』以来の助演男優賞へのノミネートとなるディカプリオが受賞しやすいようにしているのではないか。
先週、助演男優賞について議論したんだが、考えれば考えるほどオスカー予想のジョー・リードが正しく思えてくる。今年はジョン・グッドマンがノミネートされるはずで、それは多分『フライト』だ。 (僕が『フライト』を見たのは週末のアカデミー選考会だったが、グッドマンのシーンでは部屋中が釘付けだった。)どうやら彼とディカプリオは予選通過、あとはロバート・デ・ニーロ、トミー・リー・ジョーンズ、アラン・アーキン、フィリップ・シーモア・ホフマンが残りの3席を争うことになる。つまり、TWCはホフマンを犠牲にしてディカプリオに望みを託すということかな?
ホーガン:ヴァルツに関する君の読みは正しいと思う。TWCは助演男優賞の可能性が高いと思われるディカプリオのために道をあけたんだ。ホアキン・フェニックスの『ザ・マスター』に労力を集中させるんだろう。ホアキン・フェニックスがオスカーに批判的なコメントをしたり、映画自体があまり話題になっていないことなどもあるが、ダニエル・デイ=ルイスとデンゼル・ワシントンをかわして主演男優賞を獲れるチャンスはあると思う。
ジョン・グッドマンに関しては、同じくハフィントン・ポストのマイク・ライアンが指摘していたことだけど、『フライト』での彼の出演時間は短過ぎるんだ。グッドマンへの追い風は、フィリップ・シーモア・ホフマンを船の甲板から海に投げ出せるほど強いと思うかい?グッドマンが演じたハーリング・メイズという役は、主要人物というより、息抜きとしての(非常に効果的な)笑わせ役に過ぎないんじゃないかな。君が『Silver Linings Playbook』のデニーロや、ちょっと違った意味で『アルゴ』のアラン・アーキンに対して感じているのと同じさ。
『007 スカイフォール』は君が言ったように、ディーキンスのおかげでこれまでで一番成功したボンド映画になったと思う。オスカーに認められるチャンスも高いとは思うが、ただジュディ・デンチが疑問だな。彼女がこの映画でこれほど大きな役割を演じ (ネタバレ注意) 最後に死ぬとなれば、このシリーズへの彼女の貢献度合いに敬意を表する時期かもしれない。助演女優賞の5つ目のノミネート枠に、誰かが熱意とともに迎えられないのなら、おばあちゃんMがこっそり入るかもしれないね。最近、シルヴァを演じたハビエル・バルデムが助演男優賞にノミネートされるのでは、という声も聞くけれど、この部門に彼の入りこめるスペースはないと思うな。
ジュディ・デンチと言えば、やっと『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』を見たよ。このあり得ないほど洗練されたキャスト、素晴らしい俳優たちの中から、なぜマギー・スミスが大勢のオスカー選考委員たちから選ばれるのかがどうも分からないんだ。『ダウントンアビー』やハリー・ポッターシリーズで豪華な邸宅の貴婦人としての彼女を見慣れていたところに、ロンドンの下町訛りで話す人種差別的な年寄りを演じたからかな?それとも『ダウントンアビー』の伯爵夫人としての素晴らしさが加味されているからかな?推測するに、アカデミー投票者の60%は自分のお気に入りのテレビドラマを考慮するからね。
ローゼン:2011年にメリッサ・マッカーシーがエミー賞を受賞したのと同じ理由で、2013のアカデミー賞にはマギー・スミスが呼ばれる気がするよ。覚えていると思うけど、マッカーシーは映画『ブライズメイズ』のヒットで頂点にいるとき、驚いたことにテレビドラマ『マイク&モリー』でエミー賞の主演女優賞に選ばれたんだ。ティナ・フェイ、エディ・ファルコ、エイミー・ポーラ、ローラ・リネイ、マーサ・プリンプトンを破ってね。この勝利はCBSのB級コメディーというよりは、『ブライズメイズ』でのマッカーシーの演技のおかげだという気がする。だから君の言う通りだ。スミスがノミネートされるとしたら、それは『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』ではなくて、『ダウントンアビー』に関係していると思う。
助演女優賞は難しいね。アン・ハサウェイ、ヘレン・ハント、エイミー・アダムズ、サリー・フィールドは、固いと思う。この4人がノミネートされないとしたら、今年一番のサプライズ (そしてがっかり) だね。これ以外は、「うん、まあ、あの人かもね」という程度の人がもつれ合っている状態だ。スミスが一歩「リード」しているとは思うけど、あなたのコメントを聞いて、デンチも考え直しているところだ。彼女は実は『007 スカイフォール』ではあまり大したことはしていないんだ。死ぬシーンでさえ、そんなに良くもない。ただ、そうは言ってもあのジュディ・デンチだからな。よほどのバカでない限り、アカデミー会員に対する彼女のネーム・バリューは軽視できない。(もしかして、『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』が良かったせいで、『007 スカイフォール』での彼女自身をあまり良く見せない結果になってしまわないだろうか。)それ以外では、僕はみんなが『フライト』でのケリー・ライリーにもっと目を向けるべきだと思う。小さな役ではあるけれど、なかなか考えさせられるシーンが多かった。そして映画の第3幕で彼女が残念ながら姿を消すと、ライリーは助演女優賞のいくつかの大きな条件を満たしているんじゃないかと思った。彼女は中毒者を演じていて、オーバードーズ (薬物過剰摂取) のシーンがある。ここでの彼女は、既にノミネート間違いなしと言われるデンゼル・ワシントンと肩を並べていた。『フライト』は俳優たちから支持を集めるとしたらその場合、この映画は名高い俳優たちが良い演技を見せていることもあるし、ライリーが助演女優賞ノミネートの最後の枠に入るかもしれない。
『フライト』と言えば、グッドマンが受賞する可能性について、スクリーンに登場している時間は関係ないと考える理由を説明しよう。ベアトリス・ストレイト(5分40秒)、ジュディ・デンチ(8分)、デイヴィッド・ニーヴン(15分38秒)、アンソニー・ホプキンス(16分未満)。アカデミー賞は、小さい役(実際、どんな役だって大事なんだ)を評価してきた歴史があり、グッドマンは『フライト』では2ヶ所しか出演シーンがないものの、この2つのシーンが凄かったんだ!例えるなら、彼の役は『レボリューショナリー・ロード』のマイケル・シャノンの役のようだと思う。シャノンは2009年のアカデミー賞にノミネートされている。グッドマンは来年、ノミネートを手に入れると思う。
僕からの最後の質問。『リンカーン』の出演者では、ダニエル・デイ=ルイスとトミー・リー・ジョーンズがノミネートされると言われている。他に誰か思いつくかい?それから、誰か『リンカーン』が作品賞の最有力候補だということに異論を唱える人はいるかな?この映画はアカデミー賞投票者の中で一番人数の多い、俳優たちから支持を集めそうだと思うけど。
ホーガン:僕は日曜日、ついに『リンカーン』を見たわけだけど、さっき僕が言ったことを少し修正させて欲しい。ホアキン・フェニックスは違うな。あなたが言うように、サリー・フィールドは確実だと思うし、この映画が作品賞の最有力候補だと思う。監督賞については何を言ったらいいか分からない。この作品でスピルバーグがノミネートされないような世界に生きていたくないからね。
昨日、現在の政治の状況とこの映画が、神秘的に共鳴しているという記事を書いたんだ。だけどこの映画の価値はそれだけじゃない。キャストの調和もみごとだ。どうもAMCのドラマでひどい目に遭うと、次のスピルバーグ作品でいい役が貰えるみたいだね。それから、映像は息をのむようだった。この作品から、他に俳優がノミネートされるかどうかはわからないな。僕に何か言わせようとしてる?ただ、僕はニューヨークの最高の劇場で見るような重厚な芝居と知的な魅力を持ったトニー・クシュナーの脚本は、大いに評価に値すると思う。
ダニエル・デイ=ルイスはどうかって?時差ボケのせいかもしれないけど、年をとった正直エイブ (Honest Abe) の存在に触れたようで、文字通り光栄に思ったんだ。知性、叡智、ユーモア、親切さ、骨に届くほどの深い悲しみが、彼の皮膚から発せられていた。
助演女優賞の話に戻ろう。ケリー・ライリーについての君の見立ては面白いね。僕は彼女の演技はそんなにインパクトを感じなかったんだ。この部門の見えにくい状況の中で、僕は最後の枠はエミリー・ブラントかと思っていたんだけど、確かにケリー・ライリーの方が良い位置にいるかもしれないね。
(原文:'Skyfall' Oscar Chances: Can James Bond Crash The Academy Awards?)
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マイケル・ホーガン
Huffington Post エンターテインメント・エグゼクティブエディター
クリストファー・ローゼン
Huffington Post エンターテインメント・エディター
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「For Your Consideration」へようこそ。ハフィントン・ポスト・エンターテイメントでは毎週アカデミー賞のあれこれを解説します。
これから2013年2月25日まで、アートとエンターテイメント部門の編集長マイケル・ホーガンと、エンターテイメント編集者のクリストファー・ローゼンが、今年の賞レースおよび第85回のアカデミー賞で最も会場を沸かせるのはどの作品かを語り合います。
ローゼン:さて、第85回のアカデミー賞ノミネートが発表されるまで、2ヵ月を切ったね。今のところ楽しんでるかな?(この『Party Down』のセリフはまだまだ使えるね。)今週は、嵐の前の静けさのようだった。『リンカーン』はまだ限られた劇場での公開、『007 スカイフォール』は順調に興行成績の記録を塗り替えている。 (『007 スカイフォール』はすでに北米で1億ドル以上の成績だ。) 11月16日になるといよいよレースが始まる。『リンカーン』、『Silver Linings Playbook』、『ライフ・オブ・パイ』、『Hitchcock』、そして忘れられてるけど『ジャッキー・コーガン』が今月次々封切りされ、12月になれば『ホビット』、『This is 40』、『ゼロ・ダーク・サーティ』、『ジャンゴ 繋がれざる者』、『レ・ミゼラブル』が公開になる。それでも現時点では、レースの状況は9月の頃とあまり変わらない。『アルゴ』が作品賞の先頭を走っている。ベン・アフレックのこの映画の勢いが衰える様子はまだ見えない。(『リンカーン』は非常に強力な競争相手だと思うが、オスカー予想の仲間であるトム・オニールが言うように、多くのアカデミー賞選考メンバーがスティーブン・スピルバーグの映画を大好きではあっても、この映画をどれほど尊敬に値する映画と考えるかは定かでない。)
さて、何について話したら良いかな?『007 スカイフォール』にしようか。10月に評論家たちに向けての試写が始まったとき、多少オスカーの噂はあった。ところがようやく自分で見てみると、これはオスカー映画という感じはしないね。映画撮影のプロ、そして、これまでに9回アカデミー候補になったロジャー・ディーキンスは、ノミネートは間違いないけど、『ノーカントリー』、『トゥルー・グリッド』、『ビューティフル・マインド』、『ショーシャンクの空に』を作った監督の初のアカデミー賞がジェームス・ボンドというのは想像し難い。変な話、『007 スカイフォール』をけなす人々 (僕もその一員だ) さえ、撮影技術に対しては何も言えないんだ。この映画は正直言って、本当に美しい。(本当かどうかはわからないが、Deadline.comのピート・ハモンドが、アカデミーの選考会で『007 スカイフォール』はギャングを取り締まる警官のように誰も逆らえない状態だったと言っていた。まあ、偉大な脚本家のウィリアム・ゴールドマンがかつて言ったように、誰が何を知るわけでもないけどね。)
駆け引きという観点での今週のビッグ・ニュースは、ザ・ワインスタイン・カンパニー (TWC) が『ジャンゴ 繋がれざる者』のクリストフ・ヴァルツを主演男優賞部門にエントリーさせるつもりらしい。それというのは、(a) ヴァルツを主演男優賞に入れるとジェイミー・フォックスはリストから外れることになり、近年競争が激しくなっているこの部門でふたりが票を吸い取り合うシナリオが防げる。そして、(b) TWCはこの映画でのレオナルド・ディカプリオの演技に非常に自信を持っているようだ。前回のタランティーノの映画で助演男優賞を受賞したヴァルツをどかすことで、1994年の『ギルバート・グレイプ』以来の助演男優賞へのノミネートとなるディカプリオが受賞しやすいようにしているのではないか。
先週、助演男優賞について議論したんだが、考えれば考えるほどオスカー予想のジョー・リードが正しく思えてくる。今年はジョン・グッドマンがノミネートされるはずで、それは多分『フライト』だ。 (僕が『フライト』を見たのは週末のアカデミー選考会だったが、グッドマンのシーンでは部屋中が釘付けだった。)どうやら彼とディカプリオは予選通過、あとはロバート・デ・ニーロ、トミー・リー・ジョーンズ、アラン・アーキン、フィリップ・シーモア・ホフマンが残りの3席を争うことになる。つまり、TWCはホフマンを犠牲にしてディカプリオに望みを託すということかな?
ホーガン:ヴァルツに関する君の読みは正しいと思う。TWCは助演男優賞の可能性が高いと思われるディカプリオのために道をあけたんだ。ホアキン・フェニックスの『ザ・マスター』に労力を集中させるんだろう。ホアキン・フェニックスがオスカーに批判的なコメントをしたり、映画自体があまり話題になっていないことなどもあるが、ダニエル・デイ=ルイスとデンゼル・ワシントンをかわして主演男優賞を獲れるチャンスはあると思う。
ジョン・グッドマンに関しては、同じくハフィントン・ポストのマイク・ライアンが指摘していたことだけど、『フライト』での彼の出演時間は短過ぎるんだ。グッドマンへの追い風は、フィリップ・シーモア・ホフマンを船の甲板から海に投げ出せるほど強いと思うかい?グッドマンが演じたハーリング・メイズという役は、主要人物というより、息抜きとしての(非常に効果的な)笑わせ役に過ぎないんじゃないかな。君が『Silver Linings Playbook』のデニーロや、ちょっと違った意味で『アルゴ』のアラン・アーキンに対して感じているのと同じさ。
『007 スカイフォール』は君が言ったように、ディーキンスのおかげでこれまでで一番成功したボンド映画になったと思う。オスカーに認められるチャンスも高いとは思うが、ただジュディ・デンチが疑問だな。彼女がこの映画でこれほど大きな役割を演じ (ネタバレ注意) 最後に死ぬとなれば、このシリーズへの彼女の貢献度合いに敬意を表する時期かもしれない。助演女優賞の5つ目のノミネート枠に、誰かが熱意とともに迎えられないのなら、おばあちゃんMがこっそり入るかもしれないね。最近、シルヴァを演じたハビエル・バルデムが助演男優賞にノミネートされるのでは、という声も聞くけれど、この部門に彼の入りこめるスペースはないと思うな。
ジュディ・デンチと言えば、やっと『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』を見たよ。このあり得ないほど洗練されたキャスト、素晴らしい俳優たちの中から、なぜマギー・スミスが大勢のオスカー選考委員たちから選ばれるのかがどうも分からないんだ。『ダウントンアビー』やハリー・ポッターシリーズで豪華な邸宅の貴婦人としての彼女を見慣れていたところに、ロンドンの下町訛りで話す人種差別的な年寄りを演じたからかな?それとも『ダウントンアビー』の伯爵夫人としての素晴らしさが加味されているからかな?推測するに、アカデミー投票者の60%は自分のお気に入りのテレビドラマを考慮するからね。
ローゼン:2011年にメリッサ・マッカーシーがエミー賞を受賞したのと同じ理由で、2013のアカデミー賞にはマギー・スミスが呼ばれる気がするよ。覚えていると思うけど、マッカーシーは映画『ブライズメイズ』のヒットで頂点にいるとき、驚いたことにテレビドラマ『マイク&モリー』でエミー賞の主演女優賞に選ばれたんだ。ティナ・フェイ、エディ・ファルコ、エイミー・ポーラ、ローラ・リネイ、マーサ・プリンプトンを破ってね。この勝利はCBSのB級コメディーというよりは、『ブライズメイズ』でのマッカーシーの演技のおかげだという気がする。だから君の言う通りだ。スミスがノミネートされるとしたら、それは『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』ではなくて、『ダウントンアビー』に関係していると思う。
助演女優賞は難しいね。アン・ハサウェイ、ヘレン・ハント、エイミー・アダムズ、サリー・フィールドは、固いと思う。この4人がノミネートされないとしたら、今年一番のサプライズ (そしてがっかり) だね。これ以外は、「うん、まあ、あの人かもね」という程度の人がもつれ合っている状態だ。スミスが一歩「リード」しているとは思うけど、あなたのコメントを聞いて、デンチも考え直しているところだ。彼女は実は『007 スカイフォール』ではあまり大したことはしていないんだ。死ぬシーンでさえ、そんなに良くもない。ただ、そうは言ってもあのジュディ・デンチだからな。よほどのバカでない限り、アカデミー会員に対する彼女のネーム・バリューは軽視できない。(もしかして、『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』が良かったせいで、『007 スカイフォール』での彼女自身をあまり良く見せない結果になってしまわないだろうか。)それ以外では、僕はみんなが『フライト』でのケリー・ライリーにもっと目を向けるべきだと思う。小さな役ではあるけれど、なかなか考えさせられるシーンが多かった。そして映画の第3幕で彼女が残念ながら姿を消すと、ライリーは助演女優賞のいくつかの大きな条件を満たしているんじゃないかと思った。彼女は中毒者を演じていて、オーバードーズ (薬物過剰摂取) のシーンがある。ここでの彼女は、既にノミネート間違いなしと言われるデンゼル・ワシントンと肩を並べていた。『フライト』は俳優たちから支持を集めるとしたらその場合、この映画は名高い俳優たちが良い演技を見せていることもあるし、ライリーが助演女優賞ノミネートの最後の枠に入るかもしれない。
『フライト』と言えば、グッドマンが受賞する可能性について、スクリーンに登場している時間は関係ないと考える理由を説明しよう。ベアトリス・ストレイト(5分40秒)、ジュディ・デンチ(8分)、デイヴィッド・ニーヴン(15分38秒)、アンソニー・ホプキンス(16分未満)。アカデミー賞は、小さい役(実際、どんな役だって大事なんだ)を評価してきた歴史があり、グッドマンは『フライト』では2ヶ所しか出演シーンがないものの、この2つのシーンが凄かったんだ!例えるなら、彼の役は『レボリューショナリー・ロード』のマイケル・シャノンの役のようだと思う。シャノンは2009年のアカデミー賞にノミネートされている。グッドマンは来年、ノミネートを手に入れると思う。
僕からの最後の質問。『リンカーン』の出演者では、ダニエル・デイ=ルイスとトミー・リー・ジョーンズがノミネートされると言われている。他に誰か思いつくかい?それから、誰か『リンカーン』が作品賞の最有力候補だということに異論を唱える人はいるかな?この映画はアカデミー賞投票者の中で一番人数の多い、俳優たちから支持を集めそうだと思うけど。
ホーガン:僕は日曜日、ついに『リンカーン』を見たわけだけど、さっき僕が言ったことを少し修正させて欲しい。ホアキン・フェニックスは違うな。あなたが言うように、サリー・フィールドは確実だと思うし、この映画が作品賞の最有力候補だと思う。監督賞については何を言ったらいいか分からない。この作品でスピルバーグがノミネートされないような世界に生きていたくないからね。
昨日、現在の政治の状況とこの映画が、神秘的に共鳴しているという記事を書いたんだ。だけどこの映画の価値はそれだけじゃない。キャストの調和もみごとだ。どうもAMCのドラマでひどい目に遭うと、次のスピルバーグ作品でいい役が貰えるみたいだね。それから、映像は息をのむようだった。この作品から、他に俳優がノミネートされるかどうかはわからないな。僕に何か言わせようとしてる?ただ、僕はニューヨークの最高の劇場で見るような重厚な芝居と知的な魅力を持ったトニー・クシュナーの脚本は、大いに評価に値すると思う。
ダニエル・デイ=ルイスはどうかって?時差ボケのせいかもしれないけど、年をとった正直エイブ (Honest Abe) の存在に触れたようで、文字通り光栄に思ったんだ。知性、叡智、ユーモア、親切さ、骨に届くほどの深い悲しみが、彼の皮膚から発せられていた。
助演女優賞の話に戻ろう。ケリー・ライリーについての君の見立ては面白いね。僕は彼女の演技はそんなにインパクトを感じなかったんだ。この部門の見えにくい状況の中で、僕は最後の枠はエミリー・ブラントかと思っていたんだけど、確かにケリー・ライリーの方が良い位置にいるかもしれないね。
(原文:'Skyfall' Oscar Chances: Can James Bond Crash The Academy Awards?)
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