獲得球団が現れず、バッティングセンター通いをしていた2年前の開幕時を思い返せば、夢のようだ。7月で40歳を迎える今年、DeNA中村紀洋が開幕から絶好調。早くも20号を放った4番・ブランコの後ろに控える『恐怖の5番打者』として、DeNA打線を牽引している。5月5日には、日本での通算2千本安打を達成。5月15日の試合終了後には、3度目となるFA権を取得した。
中村紀洋といえば、ネット上で「悪人の『黒ノリ』と善人の『白ノリ』が同居する」と言われ、大の人気者である。解雇などの劣勢に立たされると、丸坊主で反省の意を示し、『白ノリ』に変身。持ち前の潜在能力の高さを発揮し、成績を残す。すると、天狗になってしまうのか、首脳陣批判などをする『黒ノリ』が顔を出す。
3度目のFAを獲得した今、ちょうど『白ノリ』から『黒ノリ』への転換期ではないかと心配の声が上がっている。 そこで、FA再取得以降の試合を見ると、驚愕の事実が浮かび上がってきた。
5月17日 日本ハム 5打数 1安打
5月18日 日本ハム 股関節痛のため欠場
5月19日 オリックス 4打数 0安打
5月20日 オリックス 4打数 0安打
5月22日 ソフトバンク 4打数 1安打
計 17打数 2安打 打率.118 0本 1点
それまで3割5分3厘を記録していたのに、急に打てなくなってきたのだ。あるスポーツライターはこう読む。
「驕りの気持ちが出てきたわけではないと思いますよ(笑)。開幕からずっと好調だったので、そろそろ停滞期に入る頃。1シーズン、不調の時期がない選手なんていませんからね。たまたま、FA再取得時期と不調が重なっただけでしょう。22日のソフトバンク戦では、外角の球を逆らわずにライトにタイムリーを打っていますし、これからまた盛り返しますよ。ただ、股関節が痛いと言って欠場したのは少し気になりますね」
ノリさんにはこんな過去もある。
FA権取得について、スポーツニッポンの取材に対し、「このチームに救ってもらって、2000安打も達成できた。熱い声援を送ってくれるファンの存在に感動しているし、力になっている。CS進出、優勝が恩返しになると考えている。できればここ(DeNA)で骨をうずめたい気持ちがある」と話したというが、実は08年の中日時代に2度目のFA権を取得した際にも似たようなことを語っていた。
「2度目のFA権取得の心境? 興味がない。使いみち? 何度も言うけど興味がないですね。まあ、それだけ長く野球をやらせていただいている結果。ドラゴンズには本当に感謝しています」(2008年4月15日の中日スポーツより)
06年オフに契約交渉でオリックスと揉め、自由契約に。翌年になってもなかなか声をかける球団が現れなかった。そこに、落合監督が手を差し伸べ、中日が育成選手として契約。ノリさんは背番号205から這い上がり、支配下登録を勝ち取り、レギュラーも獲得。日本シリーズではMVPに輝き、お立ち台で号泣した。
このような経緯から、上記のようなコメントは信憑性があり、誰もが「まさか中日に足を向けるようなことはしないだろう」とタカをくくっていた。
しかし、ノリさんはシーズンオフにまさかのFA宣言で、楽天へ移籍したのだ。
歴史は繰り返す。耳にタコができるほど聞かれる言葉だが、ノリさんの人生にも当てはまるのか。
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